ORETSURIをご覧のみなさん、ハイサイ!沖縄のニッシーです!
沖縄も11月になるとだいぶ涼しくなってきます。この時期になると、地元の方達が波打ち際に立って、「ンヌジグヮーユベー」という伝統釣法を楽しんでいます。
今回は貝殻を投げて「シガヤー(ウデナガカクレダコ)」を釣る方法を紹介します。
「シガヤー」ってなに
シガヤーは脚が長い
「シガヤー」は、和名「ウデナガカクレダコ」のことを言います。
イイダコのような小型のタコで、名前の通り長い脚が特徴です。岩陰や海藻などを巣穴にしながら、ながーい足を伸ばし、カニや貝を捕食します。
このシガヤーは根掛かり必須のガレ場を狙うため、後述する伝統釣法で狙うのが一般的なのです。
「シガヤー」は釣り竿もハリも使わない伝統釣法で狙える
波打ち際でみんなが狙っているのは「シガヤー」
シガヤーの習性を利用した釣法が、「ンヌジグヮーユベー」です。この釣りでは、ロッドもリールもハリさえも使いません。貝殻のついた仕掛けを手でカウボーイのようにぶん回し、黙々と投入し続けるおもしろいスタイルをとっています。
タコの好物である貝にラインを通した仕掛けをぶん回し、海に投げ入れます
仕掛けを飛ばす距離はだいたい5メートル程度。
仕掛けをズルズルひきずってくると、岩陰や海藻などに隠れていたシガヤーが貝を追いかけて来るので、足元まで誘導し、後は鷲掴みでキャッチするだけです。
エギなどと違って、釣り針がないため、逃げられることも多いのですが、根がかりも少ないため手返しがよく、慣れてくると1時間で20杯近く捕まえることも出来ます。
この釣りで使う仕掛けは「ンヌジベント」と呼ばれます。
地元の釣具店で2,000円〜3,000円で売られていますが、コスパがいい&作る楽しさを味わえるので自作をオススメします。
材料はイモガイなどの貝殻、ビーズ玉、太目のライン(フロロ24号程度)、10メートル程度のテトロン芯ロープ(釣具店で500円ぐらい)を用意しましょう。
貝殻は海で拾ってくればタダ。ラインとロープも普段使いの流用。かかった材料費は、100均で買ってきたビーズ玉ぐらいでしょうか(笑)。安上がりですね。
作り方もとっても簡単です。
- イモガイに穴を開けてラインとビーズを通します。ビーズは動かないように、ラインを2重に通して固定します。
- 1と同じものを20センチ間隔で5個程度作り、ラインの端とロープを結びます。
以上で完成。シンプルですね。
シガヤー釣りに詳しい地元の先輩によると、イモガイの隙間から綿を詰めて入口をボンドで固定することがポイントらしいです。どうやら、貝の口を塞ぐことで、タコに中身が空っぽだとバレなくなるんだとか。
オプションで夜光玉やタコベイトを追加したりと自分流にカスタマイズするのも面白いですよ。
次に、実際にシガヤーを釣ってきた話をします。
シガヤーを「ンヌジグヮーユベー」で釣る!
膝下程度の水深にも「シガヤー」は生息している
それでは出来上がった仕掛けを持って、「ンヌジグヮーユベー」に出かけましょう!
シガヤーが生息しているのは、砂地にガレ場が点在する環境です。見えないだけで、干潮時には干上がるような、膝下ぐらいの浅瀬にもたくさん隠れています。
「ンヌジグヮーユベー」は、膝下ぐらいの水深のポイントを次々に探り歩く、いわゆるラン&ガンスタイルの釣法です。
釣果をあげるコツは、ピンポイントでタコの巣穴前に仕掛けを通すこと。砂地に大きめの岩や藻場がポツンとある場所、タコが食べた貝殻が散らばっている場所が狙い目です。
早速、怪しい場所を発見!
海藻と岩が点在しているようなポイントで、いかにもシガヤーがたくさん隠れていそうですね。
仕掛けをブンブン回し、自作の「ンヌジベント」を投入。
底をズルズル引きずってくると、後ろから腕を伸ばしてシガヤーが追いかけて来くるのが見えます。このとき、回収スピードが早すぎると追いつけませんし、遅すぎると見切られてしまいます。
基本的には、人間がのんびり歩くぐらいの回収速度で大丈夫。
慎重に足元まで寄せたら、素早くグワシっと鷲掴み!
ビックリしたシガヤーは、墨を吐いて全力で抵抗します。
とれたのは、アベレージサイズのシガヤーでした!
モタついて逃がしてしまうと、砂に潜ったり、岩陰などに一瞬で雲隠れしてしまいます。
この釣りは完全サイトの釣りなので、追いかけて来るシガヤーとの攻防が楽し過ぎて、夢中になってブンブン回しちゃいました(笑)
結果、2時間程で30杯以上のシガヤーを確保!
シーズン真っ只中のハイプレッシャーな状況でしたが、満足な釣果を得ることが出来ました。
今回1番の大物だったシガヤーは、足までいれて全長50センチ。これはかなりでかいサイズです。
わかりやすくいうと、「シーバスでいうと1メートル級のランカーサイズ」だと思ってください。
持ち帰ったシガヤーは美味しく食べる!
無事持ち帰ったシガヤーはもちろん美味しく頂きます!
マダコなどと一緒ですが、まずは下処理のヌメリ取りをします。塩をたっぷりかけ、手揉みして水で流す作業を5回ほど繰り返します。ちょっとでも目を離すとすぐに脱走するので、気を付けましょう(笑)
シガヤーはタコ飯、パスタ、炒め物等、何にでも合う万能食材です。市場には出回らないので、自分で捕まえて来ないと食べられません。
今回はお酒のオツマミとして、「キムチ和え」と「タコから揚げ」を作りました。
マダコなどと比べて小さいながらも、味は濃厚!思わずビールが進んじゃう抜群の美味しさです。
シガヤーはタマンも好む餌。エギでも狙える!
ちなみにシガヤーは、タマンこと「ハマフエフキ」が好んで捕食する最高の釣りエサでもあります。
釣具店で買うと高価なエサでもあるので、僕はこの時期にシガヤーを捕まえて冷凍保存したものをタマン釣りに使っています。
「最高の食材」兼「最高の釣りエサ」を手軽に楽しく狙えるのが、「ンヌジグヮーユベー」の魅力なのです。
「シガヤー釣り」ですが、若いアングラーには小型のエギを使った方法が流行っています。エギのカンナの下半分を潰して、根掛かりを回避します。あらかじめ改良されたエギも売られていますが、ニッパーなどでカンナを半分カットするだけで十分です。
みなさんも沖縄に来ることがあればぜひシガヤーを狙ってみてください。
寄稿者
ニッシー
- ブログ【沖縄冒険日誌】しままやー
- 「沖縄県うるま市の島々」で海のツアーをやっています。(シーカヤック、SUP体験等)
ORETSURIフィールドレポーターについて
<補足>沖縄のタコ釣りと共同漁業権について
貝殻で狙うことができる「シガヤー」(別名:うむずなー、いいだこ)こと「ウデナガカクレダコ」は共同漁業権の対象外なので一般の釣り人による捕獲に制限はありません。
一方、和名「シマダコ」「ワモンダコ(島ダコ)」「サメハダテナガダコ」は共同漁業権の対象です。一般の釣り人は捕獲することができないので注意しましょう。
サメハダテナガダコ
シマダコ
ワモンダコ(島ダコ)
出典:沖縄県公式ページ
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