トゲトゲに注意!高級魚「マハタ」を三枚下ろしにする

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マハタ
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ORETSURIをご覧のみなさん、こんにちは。サラリーマン・アングラーの釣人割烹です。

9月末にテトラポッド滑落で壊した左肩のリハビリも兼ねて、先日、外房・飯岡の幸(さち)丸に乗りました。今年度初めてのヒラメ生息調査。九十九里沖の40m前後を入念に調べました。

わたくし「ヒラメ調査」を得意としてきました。ところが、その日は竿頭7枚2人に対し、筆者は本命2枚(うち1枚は40cm未満のソゲ)とさっぱり手が合わず。まる1カ月以上も釣りから遠ざかっていたせいかどうか、何ともふがいない復帰戦でした。

それでも、うれしいお客様のイナダとマハタを1匹ずつ、とりました。おみやげとしては十分です。イナダは知人宅に寄って丸ごと進呈し、ヒラメとマハタは持ち帰りました。

今回のテーマはマハタ。深さ50m以上の岩礁帯にすみ、漁捕りの対象ではないためスーパーや鮮魚店では滅多に見かけません。ヒラメやマダイ狙いでゲストとして登場しますが、「ハタ釣り」の専門船もほとんどありません。近年は養殖技術が確立し、愛媛県や三重県から養殖ものが出荷されているようですが、さばく機会も食べる機会も多くはない「幻の高級魚」です。

小さいものはザクザクやって煮付けます。今回はまな板サイズだったので、刺身にすべく初めて丁寧に三枚に下ろしました。その際、ちょっと痛い目に遭ったというお話です。

目次

マハタの背びれのトゲは指を刺し貫きそう…

このサイズでも通販では1匹6,000円前後する

わが家のまな板の上のマハタ。小さな個体は縞模様が鮮明ですが、このサイズになると消えかけていますな。

この魚、背ビレがやばいです。

魚のヒレには「すじ」があり、その数や硬い、柔らかいが種類ごとに決まっています。ヒレのすじで硬いものは、正式には棘条(きょくじょう)というそうです。

文字通り棘(とげ)。マハタの背ビレのトゲは人の指など簡単に刺し貫きそうです。とはいえ、ヒレのトゲは他の魚にもあり、包丁さばきに慣れた人なら怪我はしないでしょう。慣れてない人は、最初にひと手間かけてキッチンバサミで落としてしまえば安心です。

しかし、マハタのトゲはヒレだけではなかった。あちこちに手ごわい「伏兵」が潜んでいたのです。

さて、最初に鱗を落としましょう。鱗取りでバリバリやってもよいのですが、飛び散ります。これを避けるため細身の包丁で「削ぎ切り」をします。

鱗の並びに逆らって尾の方から包丁を上下させ、鱗の乗る薄皮を削いでいきます。包丁を寝かしすぎると鱗の上を滑ってしまう。立てすぎると皮を破り、身が出てしまう。微妙な加減は何度もトライして慣れるしかありません。

左手で魚のエラあたりをしっかり押さえ、包丁を慎重に動かし……。

いたたっ!

伏兵その1。エラぶたの2個のトゲ。左手人差し指の腹が切れている。

左手の指の腹にチクリと痛みがありました。あ、血が出てる……。よく見ると、エラぶたのあたりに2個、鋭いトゲが出ている。カッターの刃のように切れそうです。こりゃ完全に嫌がらせだろ。

アップにすると……

エラは思わぬ落とし穴

指の腹を止血し、気を取り直して作業を再開。削ぎ切りで鱗をきれいに除去し、次は頭を落とします。が、その前にエラを取り除いておきましょう。

頭は、もちろん捨てません。

包丁でざっくり兜割りにして、カマ(エラの下で胸びれのついた部分)と一緒に煮込みます。

エラを取るのは簡単。アジでもヒラメでもエラは付け根に出刃を入れ、指を入れて引きちぎる。同じ要領でマハタのエラに指をかけ、力を入れると……

痛~!

伏兵その2 エラ本体

な、な、なんと、エラに無数のトゲがついているではないか。嫌がらせも大概にしてほしい。

さて、やっかいなエラを取り除き、頭を大きな出刃包丁でズドンと落とします。これを兜割りにするために、口を開いて手を差し込むと……

痛っ~!

外見上は歯がないかに見えるマハタ。よく見ると、下アゴにびっしりと小さく鋭い歯が並んでいるではないか。

伏兵その3 下あごの歯。ないと思ったら大間違い。

タチウオもきわめて凶悪な歯を持っているが、いかにも目立ち、誰もが注意を払います。しかし、マハタの下あごの歯は小さく目立たない。陰険だ。

一方、上アゴの方に歯はなさそうだ。そう思って上あごを触ると……

痛っっ~!

おおお、あるじゃないか。口の先の方にちょろっと。しかも、長い犬歯が3本ずつ。歯は内向きに倒れ、ほとんど目立たないじゃないか。勘弁しろよ。

伏兵その4 上あごの歯。内向きで目立たない。

そんなこんなで、チクチクやられながらマハタを三枚下ろしにして、あらもしっかり確保しました。

マハタのあらと切り身

下ろした身は、にじみ出す脂で妖しくテラテラ光っています。半身の腹側、いわゆる上トロの部分を切り分けて皮を引き、刺身にする。

片側を下ろしたところ

お味は……。

舌の上で甘くとろけて絶品、絶佳。

これは寒ビラメを超えるかもしれません。ひと晩、ふた晩寝かせた身は熟成されてさらに甘く、ちょっと言いようがありません。

釣りたてのマハタの刺身

美しい花にはトゲがある。うまい魚もおんなじだな……と思った次第です。

みなさんも気をつけてくださいね。

寄稿者

釣人割烹

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