スナダコは、多くの人が知らず知らずのうちに釣っては逃がしているタコの仲間です。
「このタコ、ちょっとサイズが小さいからリリースしてあげよう。大きくなったらまた会おう(会わねーよ)」
「このタコなんだか体表がつぶつぶしてアレだから逃がそう(いいことしたなー)」
というように、なぜだか成体なのに子ダコだと思われ、どんどんリリースされている幸せなタコ。
今回はそんなスナダコについて解説しつつ、おすすめ料理「スナダコおでん」を紹介します!
メモの用意はよろしいか?
スナダコについて
スナダコ。小型で体表がつぶつぶ。腕の付け根に◎マークがない。100g以内がほとんど
日本国内には、マダコ・ミズダコ・イイダコの他数十種類のタコが生息しているんですが、スナダコは比較的沿岸部に生息している生き物です。
市場流通もしないですし、地域的に漁業者や地元の人が食べているか、釣り人が「わーいイイダコだー」と錯覚して食べている程度。
イイダコ。腕の付け根に◎マークがあるのが特徴
そう、イイダコと水ダコはサイズ感がよく似ているんです。大人になってもあと、ポイントもかぶっていたり。
スナダコもイイダコも全長15㎝以内で100g以内がほとんどなのですが、わかりやすい違いは腕の付け根に円マーク(◎)があるかないか。
スナダコは漢字で書くと「砂蛸」。ということで、砂地やツブ根が混じったエリアを好んでいます。なので、根周り中心のマダコとは棲み分けができている印象があります。
とはいえ、タコも体が大きくなる夏以降は根を出て、砂地をふらつくんですよね。
だから釣り船も根周りだけじゃなくて、砂地だったり、ガラ場と及ばれる貝殻まじりのエリアを狙うようになる。するとマダコにまじってスナダコがチラホラ釣れます。
コウイカやアオリイカ狙いのゲストとしてもよくかかるゲスト。
あとは、堤防や岸壁・ボート釣りなどでもよく釣れます。
漁業権の対象としては、ほとんどの自治体で「タコ」と広義で定められているため、このスナダコも含まれていたり。なので、タコの共同漁業権がある場所では狙うことはできないのですが、実際は漁業者も狙ってはいません。
イイダコとテナガダコ同様、餌持ちもよくぶっこみ釣りの餌としても有効
スナダコの下処理
今回はそんな「スナダコ」をおでんにしていくんですが、下処理はマダコとほぼかわりません。
変わる点はマダコよりぬめりが弱いという点ぐらい。
人間にとっては好都合ですね。
胴体をひっくり返して内臓を抜き、軽く塩をまぶして、なんどか水洗いするだけでぬめりはきれいになります。
近くで見ると、体表がつぶつぶ系ですね。
この質感をみて、「うわ、気持ち悪いから逃がすわ」といっている人をよく見かけます。
生き物をみて「気持ち悪い」っていうのは、人それぞれの感覚であり、まー自由なんですよね。
一方、いろんな生き物をみて「気持ち悪い」じゃなくて「ユニークだな」と思う感覚っていうのがいいなーと思ってます。
なので、巨大タカアシグモなどが出現しても「わ、おっきい蜘蛛だねー」というように息子とコミュニケーションをとっています。
すると、彼も最初は未知の存在に怖がっていたものの、だんだん慣れてくる。
で、自ら民家の壁に隠れていた巨大タカアシグモを発見して「おっきいねー!」とか教えてくれます。
このあたりは小さいときに親からどういう育て方をされるかだと思うんですよね。
おい、そろそろスナダコの話をしろ。
はい、わかりました。
これが下処理を完了したスナダコ。
内臓は墨袋をふくめてアヒージョなりにするとよいと思います。ジップロックにいれて冷凍しておけばいろいろつかえます。
おいしい「スナダコおでん」をつくろう
はいスナダコおでんのお時間がやってまいりました。
といっても調理はかんたんです。
底があつめのフライパンに、昆布つゆあたりを水で薄めにし、そこにスナダコと大根をいれて弱火で炊くだけ。
大根のサイズは一口サイズが見栄えがよいと思うんですが、輪切りでもよいと思います。
白ダシをブレンドするとちょっと塩気が立ちます。
こだわるなら、昆布単体+みりん&酒+しょうゆ+砂糖+干しシイタケあたりと炊いていくとよいんじゃないでしょうか。
煮汁は薄まるので、やや薄めでOK。
といってもできあがりで濃くなったら湯を足しても大丈夫。肩ひじ張らず炊きましょう。
しばらくみていると、脚が丸まるので、そしたら逆さにして頭側を下にしましょう。
あとはゆっくり炊くだけ。
次第に湯気とともに部屋に広がるタコと大根の香り。
1時間程度炊いているとこのようになります。
もともとスナダコ自体がそんなに硬いタコではないんですが、炊けば炊くほど柔らかくはなります。
盛り付け。
おでんは煮汁がうまいわけでどんぶりに入れるのがよいんじゃないでしょうか。
味はどうなのか。
所謂「うまいに決まってんだろ」(なんでんかんでん社長)
状態です。
厳密に比べればマダコのほうが味が濃い云々はありそうなんですが、「素人のお前らにその差がわかるのか」ということなんです。
実に美味だし、おちつく味。
ほっ、とする。
なんなら湯舟にいれてつかりたいような味といえばわかるでしょうか。わからないか。
なにしろ昆布つゆは安くて偉大ですね。
本題の「スナダコ」もほどよく噛み切れ実にいい。
そんでもって白飯と一緒に食べると、ゲソからたれるおでんつゆがメシかきこみ派にはたまらない。
おでんつゆ 飯にしみこむ 至福かな
頭にぼんやり浮かんだ句です。
まとめ
今回は、知らず知らずのうちに釣られてはリリースされているスナダコについて紹介しました。
スナダコおでんは、とくに秋冬にいいんじゃないでしょうか。
イイダコをつかってもよいですしね。むしろ、イイダコおでんの方がよく知られているか。イイダコもあんまり釣れなくなってきてるけど。
ということで、今度タコが釣れたら、体表と腕の付け根をチェックしてみてください。
共同漁業権エリアの範囲外であれば持ちかえることが可能です。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)