釣り師たるもの、釣り道具だけでなく、エサの研究にも力をいれるべき。
というわけではないのですが、ただ興味があり船釣りのタチウオの身餌を工夫してみたくなったわけです。
東京湾の釣り船でのタチウオ釣りの場合、サバやコノシロなどの身餌は船代にふくまれていて、追加でアミノ酸等で味をつける以外は工夫がないですよね。
今回のエサは、なんと、タチウオそのものです。
タチウオは共食いをするということもあり、釣ると、胴体の半分や、尾側がぶつ切りになったまま治癒している個体をよく見ます。
ここで、共食いするんなら、タチウオをエサにしても釣れるんだろうかという問いが発生するんですが、まー光るし短冊にしたり尻尾だけつければ釣れるだろうなーと誰しも思いますよね。
が、
実際にやってみたという人は少ないと思いますし、そもそも検証記事がネットには見当たらなかったので、シッタカしちゃうのもいやだなーと思い、ためしてガッテンしてみました。ガッテン。
タチウオでタチウオの身餌を作る
タチウオでタチウオの身餌を作る。という文章自体がなぞかけみたいな響きですが、まータチウオをエサにするというわけですよ。
大名おろしにしたタチウオのサクを用意します。
このサクは冷蔵庫で数日寝かして水分をすこしぬいてあるもの。
タチウオ用のフックに合わせてサクをきりとっていきます。
写真は、がまかつSTRの1/0というサイズで、夏などのやや小ぶりのタチウオにはちょうどよいサイズ。
サクの長さは、このフックサイズの約2倍。
(キッチンペーパーのあとが皮目についてますね)
こうして切りそろえる。
でもって、落下時にじゃまになりそうなパーツはそいでいく。
この通りタチウオ短冊ができました。
グアニン色素の強力なアピール力。と、でもいいましょうか。
と、ここで注意なんですが、タチウオの筋肉繊維のつくりからしてけっこう身割れしやすいです。
これつくってみてはじめてわかるんですが、タチウオをこのように横にきるとそのラインがパカっときれいに割れるんですね。
上の写真のタチウオ短冊は、身割れしなかった部位だけ集めたものです。
タチウオでタチウオを釣ってみる
ということで、ある日のタチウオ釣行で、このタチウオ餌(冷凍したもの)をつかってみました。
さて、釣れるのかな。
かな。
サバ餌がきれそうになったタイミングでタチウオエサ投入。
猿島沖、タナ50m
やや深場なので、このタチウオのギンギラ銀がアピールしてくれるのではないかなと。
さきほどから全体的にあたりが遠のいている状態。こうなると釣り人も士気が下がるわけで、気分転換にもうってつけの実験です。
お、よさげ。
皮目はサバやコノシロより弱そうだけども、色やソフト感で勝負。
タチウオも年百年中、サバやコノシロの短冊じゃあ飽きちゃうだろうよ。
たまにはデザートなんかどうですかね。
・・・
・・・
ググん。
なんと一投目からきた。
おー、タチウオ餌釣れる。
・・・
これは細目のフォルム。
これは釣れたな。
わたしがタチウオだったらもれなくかじると思う。
で、
落とす。
・・・
55メートル。
・・・
53メートル。
ググん。
ガツン!
ぬお。
つ、釣れた。
まわりは全然つれてないのに。
という具合に、そのときに、うまくタナや誘いがあっただけなのかもしれませんが、タチウオをエサにしてみても釣れるということがわかりました。
このあと3尾ほどタチウオでタチウオが釣れたという。
エサの用意がめんどくさいのと、サバやコノシロ餌はおかわり無料なので、わざわざ用意する必要はないよね。というのはあるのですが、まー、なんというか、同じことをやっていると飽きてしまう人にはこういう刺激があると、なんらか釣果につながるかもしれないですよ。という話でした。
タチウオをエサにした場合の特徴
最後にタチウオを身餌にした場合の特徴をまとめておきます。
- 皮目はうすいので、サバやコノシロより弱い
- グアニン色素を落とさず餌加工するとアピール力は高そう。水中でギラリとひかってアピールするかな
- 身の柔らかさもサバやコノシロより柔らかいので、しなやかに動きそう
- 餌としての味や風味はサバやコノシロに劣りそう
という具合に、餌持ちはあんまりよくはなさそうだけども、そもそも喰わないでふわーんと立ち泳ぎしているタチウオにはなんらかの形で噛みつきたくなる要素はあるのかもしれません。
もし気になったら試してみてください。
ではでは。