ひそかに全国的に人気が広がっているのがコウイカを狙うエギングやスッテ釣法です。
アオリイカ狙いでは「あ、コウイカか」なのですが、専門的に狙ってみると奥深い釣り。
コウイカはアオリイカにも劣らない食味で、イカのなかでコウイカが一番好きという人も。
そんなコウイカを堤防や岸壁からコウイカエギング(エギ・スッテ)で釣る方法を紹介します!
コウイカエギングはアオリイカ狙いと違ってテクニックはそれほど必要ありません。
釣り方をしっかりチェックして釣行しましょう。
コウイカとは
コウイカ(スミイカ・松葉イカ)
まずコウイカの基本知識を学んでいきましょう。
ほぼ日本全国の沿岸部(もともと関東以南が主な生息域でしたが、生息域が北上しています)で狙えるコウイカの仲間は主に3種類います。
- コウイカ:別名「スミイカ」「松葉イカ」「ハリイカ」「マイカ」。墨を多く吐くため、釣りあげると背中に松葉のような細い模様ができるため
- カミナリイカ:別名「モンゴウイカ」。背側の紋様がカミナリのようだから。3種類で一番獰猛
- シリヤケイカ:別名「ゴマイカ」。胴体の端から茶褐色の分泌液を出し尻が焼けているように見えるから(厳密には尻ではない)。ゴマのような模様があるから
<その他生態>
- 生息域は水深10~100m(深場は冬季)
- 砂泥底を好むが、石や貝殻などの多いエリアにもいる
- 日中でも釣れるが、光量が少なくなると活性が上がる
カミナリイカ(モンゴウイカ)
シリヤケイカ(釣りあげると白とグレーのまだら模様)
コウイカはこれら3種類のなかで最も食味が良く、最大900g程度まで成長します。
カミナリイカは「モンゴウイカ」と釣り人に呼ばれるイカで、最大2キロ程度。3種類では一番獰猛で何度もエギやスッテにアタックしてきます。
シリヤケイカはコウイカとカミナリイカと比較して食味が劣るとされますが、加熱すれば美味しいイカです。船釣りでは狙われず、岸釣りでは専門に狙う地域があります。
コウイカの仲間はみな沿岸部の浅い海に生息していますが、地域によって種類の分布が異なります。
東京湾の場合は、より湾奥(川崎~横浜)にシリヤケイカが多く、横浜・中ノ瀬エリアから横須賀エリアはコウイカ、千葉側はモンゴウイカが多く生息しています。
餌は胃袋をみると、どの個体も小型のエビ類が多い印象があります。
おそらく小型のエビは数が安定し、砂泥底で一番捕まえやすい獲物であるからと思われます。
スミイカ(奥)と巨大なモンゴウイカ(手前)8本の脚と2本の触腕がある。触腕は脚の付け根に隠れている
触腕を隠したコウイカ
堤防からコウイカが釣れるシーズンは春と秋。その理由は?
岸釣りが行われる堤防・岸壁・桟橋からコウイカが釣れるのは主に春と秋です。
エリアによって異なりますが、関東地方の場合は以下の通り。
- 春:4月~5月
- 秋:9月~11月
コウイカは以下のようなライフサイクルで命をつなげています。
<コウイカの成長(東京湾)>
- 9月頃にようやくエギやスッテで釣れるようなサイズ感(所謂コロッケサイズ)になる。100~200g程度
- 10月後半には水深20m以浅で300gから400gに成長
- 11月~12月にかけて急速に成長し~600g程度まで成長
- 12月以降水温低下に伴い深場(水深50~80m)へ移動
- 1月~2月は成長が止まり深場に停滞(水深~80m)
- 3月以降、水温の上昇に伴い再び浅場(5~30m)へ移動
- 5月をピークとして浅場で産卵活動
- 産卵後7月頃までに死滅して浮遊。他の魚介類や鳥類の餌になる(寿命は約1年)
以上のような行動から、岸釣りでコウイカを狙えるのは、浅場にコウイカがいる9月~11月の秋頃か、4月~5月の春になるわけです。
コウイカがよく釣れる場所は湾内の砂泥底
コウイカが毎年浅場に回遊する場所は決まっています。
実績のない場所ではそもそも回遊しないので、過去に釣れた実績のある場所を探しましょう。
岸釣りの場合、以下の条件がある場所がねらい目です。
- 水深5~10mある湾内(10m以上水深があると、長いシーズン釣れる)
- 砂泥底(ツブ根やブレイクからのかけあがり)
- 潮が速すぎないエリア
コウイカは遊泳力が高くないため、潮があまり速く流れない湾内の砂泥底に生息しています。
墨跡はイカ狙いの基本。公共施設では洗い流しましょう!
<関東でコウイカ類が濃いエリア>
- コウイカ&モンゴウイカ=内房エリア(富津南から館山付近が特に濃い)
- シリヤケイカ=横浜、川崎、木更津エリアを結んだライン(より湾奥)
上記のエリアで比較的水深がある堤防や岸壁から砂泥底を秋・春シーズンに狙ってみましょう。
比較的高確率にコウイカを釣ることができます。
コウイカは朝夕のまずめ時や潮が大きく動く時間帯を狙う
コウイカを岸から釣る場合、以下の条件で釣行しましょう。
- 朝夕のまずめ時(エギやスッテを視認できる明るさ)
- 日中なら潮が動いている時間帯
- 全体的に浅いエリアでは満潮前後の4時間
- 夜釣り(夜光カラーのエギやスッテを使用)
シリヤケイカやモンゴウイカも一緒です。
コウイカ類はアオリイカに比較して遊泳力が低いと離しましたが、潮が流れると甲殻類や魚類の動きが活発になり、コウイカの活性もあがります。
なるべく潮どまりではなく、潮が動いているタイミングを狙いましょう。
コウイカは平均的に言えば、中潮・大潮周りでの釣果が高いです。
コウイカ狙いのタックル
次にコウイカ狙いのタックルを解説します。
ロッド
基本的にエギングタックルか柔らかめのシーバスロッドがおすすめです。
アオリイカと比較してエギをしゃくる鮮やかなスキルなどは不要ですので、万能ルアー竿で十分。
高価な竿は全く必要ありません。
バスロッドでも大丈夫ですが、短すぎると足元の障害物等をかわせず、釣りづらくなります。
その他、先調子気味の竿をつかうことで海底をオモリでとらえやすく、シャクリもしやすくなります。
▼ルアーマチックの8.6フィートMLクラスか、ルアーニスト8.6フィートMLクラスがおすすめ!
リール
軽い仕掛けを投げるため、スピニングリールが簡単です。
こちらも高価なものは不要です。
1キロ強のモンゴウイカがよく釣れる釣り場以外は高性能なドラグは必要ないと覚えておきましょう。
▼ダイワ・レブロスLTか、シマノ・セドナの2500番台ハイギアモデルがおすすめ!
ライン・リーダー
コウイカ狙いの場合、極端に細いラインシステムは不要です。
海底を狙う釣りなので、根がかりした際も回収率を上げられる号数を選びましょう。
おすすめは、飛距離を高める8本編PE1号にフロロカーボンリーダ4号のセッティングです。
0.8号+フロロ3号等はアワセ切れも増えるので、ドラグを使用しましょう。
その他
その他コウイカ狙いのエギングやスッテ釣り方法であると便利なアイテムを紹介します。
ランディングネットやギャフ
大型のコウイカ・モンゴウイカを抜き上げると、角度により竿が破損することもあります。
釣り場の高さにあったランディングネットやギャフを用意しましょう。
ネットはナイロンでもよいですが、ラバーだとフックの絡みがすぐとれ、イカの身も傷みません。
バケツ
スカリにいれて海で洗っておくと帰宅後楽
釣りあげたコウイカは大量の墨を吐き続けます。
手返しを考えると釣ったそばからバケツに入れていくのがスピーディ。
車の場合は、バケツのまま持ち帰るのも一つです。
バケツに中途半端な量の海水を入れると墨を噴射して後悔することになります。
水汲みバケツは釣り座を洗い流すために必須です。
イカ締めピック
気温が低い場合は、バケツのなかで野締めしてそのままでもOK。
より鮮度高く持ち帰るためには、釣ったそばからコウイカを締めてジップロック等にいれてクーラーで保冷することをおすすめします。
イカを締めてから仕舞うことで、ジップロックを噛んで穴が開くことがなくなります。
イカの神経は目と目の間にあり、イカ締め用ピックをさせば白くなります。
マイナスドライバーでもOK。点より線状の断面ができるものを選びましょう。
ブラシ
コウイカを釣り上げると大量の墨を吐きだし堤防を汚します。特に、釣り人以外も散歩するような場所では速やかに海水で墨を洗い流しておきましょう。
ブラシがあると便利です。
コウイカはエギングかスッテ釣法が簡単(釣り方)
コウイカは底上に定位していることが多い
岸からコウイカを狙う場合、エサ釣りよりエギングかスッテ釣法が簡単です。
コウイカはアオリイカと違って遊泳力が低く、底から30㎝以内にいることがほとんど。
エギ・スッテのどちらで攻める場合も、ルアーが海底から離れないように注意しましょう。
エギング
春の大型狙いならタコエギでもOK
- 秋:エギのサイズ2.5号~3号
- 春:エギのサイズ3.5号
エギは完全に沈めます。
根がかりが少ない場所では、エギに接続するスナップにナス型オモリ2号~5号を装着するのが簡単です。
釣り方はアオリイカのように派手なシャクリは不要です。
<オモリ直結コウイカエギングのやり方>
- キャストしたら人差し指のフェザーリングで余分なラインが出ないようにしてエギ着底
- 着底後ラインをたるませる
- そのままラインを張り、底上30㎝ぐらいをエギが跳ねるようしゃくる
- しゃくったらゆっくり沈めてラインをたるませる
- ラインをはってしゃくる
- 5でコウイカが乗っていると重くなるので大きく竿を立てて合わせ、間髪いれず素早くゆっくり巻く
- 乗っていない場合はシャクリの繰り返し
- (コウイカがヒットした場合)そのままラインのたるみが出ないように引き寄せる。特にポンピング時はラインの余りがでないように素早くゆっくり巻く
- 海面までコウイカが上がってきたら、竿を立てたまま墨を吐かせる
- 墨を吐くのがとまったら抜き上げるor網入れorぎゃふ掛け
- コウイカの頭足部の付け根をしっかりつかんでエギをはずす
- 締めてからバケツorクーラーへ
シャクリの代わりに底上を50㎝ずつさびき、5~10秒待ってから1回程度空アワセするのもオススメ。
シャクリ主体より、広い範囲を探れます。
ダウンショットスッテ
ダウンショットスッテでは枝スを幹糸よりやや長くするのが一般的
ダウンショットスッテは、海底に海藻や根があるエリアで有効です。
根がかりもあるエリアの場合、オモリにエギ直結だと根がかりが増えます。
その場合、親子サルカンをつかって胴突き仕掛けにしましょう。
枝スは30~50㎝程度で、それぞれ幹糸(オモリ固定用の幹糸を指す)は枝スよりやや短めにします。
- 枝ス40㎝~45㎝に幹糸30㎝
- 枝ス50㎝に幹糸40㎝
潮がなく、エギが底に垂れる場合は枝スをさらに詰め、竿を立て気味にすると根がかりが減ります。
※枝スが長いほどアオリイカがヒットする率があがります。
オモリは釣り場環境によって異なりますが、根がかりがない砂泥底なら5号のナス型オモリがおすすめ。
根がかりが多い場所では、3号程度までをつかったり、枝スを幹糸より短くして調整しましょう。
スッテはエギとちがって浮力が高いのが特徴。
平行姿勢で底上をよりゆっくり狙うことができます。
実際はスナップ・親子サルカン・リーダーによってゆっくり沈んでいくのですが、コウイカのノリはエギより良い傾向にあります。
<ダウンショットスッテで狙うコウイカの釣り方>
- キャストしたら人差し指のフェザーリングで余分なラインが出ないようにしてエギ着底
- 着底後ラインをたるませる
- そのままラインを張り、底上30㎝ぐらいをスッテが跳ねるようしゃくる
- しゃくったら竿でテンションをかけながらゆっくり沈めてラインをたるませる
- ラインをはってしゃくる
- 5でコウイカが乗っていると重くなるので大きく竿を立てて合わせ、間髪いれず素早くゆっくり巻く
- 乗っていない場合はシャクリの繰り返し
- (コウイカがヒットした場合)そのままラインのたるみが出ないように引き寄せる。特にポンピング時はラインの余りがでないように素早くゆっくり巻く
- 海面までコウイカが上がってきたら、竿を立てたまま墨を吐かせる
- 墨を吐くのがとまったら抜き上げるor網入れorぎゃふ掛け
- コウイカの頭足部の付け根をしっかりつかんでエギをはずす
- 締めてからバケツorクーラーへ
釣り方もコウイカエギング同様、底をさびいて広くさぐり、時折空アワセでしゃくりましょう。
スッテやエギの選び方
色んなスッテをもっていても、いつも使うのは一緒・・・
サイズ
餌木やスッテのサイズはシーズンごとに変えていきましょう。
ヨーヅリのウルトラスッテであれば、秋はSサイズ、春の大型狙いではMサイズがおすすめ。
エギであれば秋は2号~3号、春の大型狙いでは3.5号を使用するとよいでしょう。
フック(カンナの形状)
最上部丸針、真ん中と下が松葉針
スッテの場合、よく見るとカンナの形状が2種類あることに気づきます。
松葉針と呼ばれる形状は、シーズン初期の小型をかけるのに適しているのですが、大型のコウイカやモンゴウイカがヒットすると伸びやすいのが特徴です。
特に網入れをしないで抜き上げるとバレやすくなります。
春の大型コウイカ狙いではやや強度が高い丸針を選びましょう。
ヨーヅリのスッテの場合、Y2型(松葉針)とM2型(丸針)で表現されるので購入時にチェックすることができます。
色
コウイカに有効なスッテやエギの色については人によっていろんな意見があります。
多く言われている説は以下の通り。
- よく釣れる色:ピンク・オレンジ・レッドヘッド
- 澄潮に効果的とされる色:青・緑・クリア系カラー・ナチュラルカラー(イワシ・アジ等)
<おすすめのスッテ>
▼ウルトラスッテにはノーマル(布巻)とDXがあります。夜光タイプがほとんどですが、前者は光を通しづらい仕様で、後者は光を通しやすい設計です。
- ウルトラスッテ(布巻)で人気のカラー:L9、L8
- ウルトラスッテDXで人気のカラー:OG、PK、RH、SBW、SCP、AJ
<おすすめのエギ>
▼9月から10月はヤマシタのナオリーが効果的。
▼渋い場合、ヤマシタ(YAMASHITA) エギーノもぐもぐ サーチ等も有効
まとめ
今回は堤防から簡単に釣れるコウイカエギングやスッテ釣法について解説しました。
アオリイカのエギングほど派手さはないのですが、コウイカは砂泥底中心で根がかりも少なく、たまっていれば釣果につながりやすい魅力があります。
実績がある釣り場をしらべて、潮が動く時間帯に釣行しましょう。
根がかりしづらい砂泥底をゆっくり広く探るだけで簡単に釣れます。
特に秋のコウイカの食味は柔らかく甘みが強いのでぜひ食べてみてください。
春の大型コウイカやモンゴウイカはヒットすると根がかりのように「ズシン!」するのでヤミツキになること間違いなし!
関連アイテム
▼実はタコやんはコウイカがよく釣れるルアーです。基本50~1mずつサビキ、ラインをたるませてからはってしゃくってみましょう。
もともとタコ用だけあって、根がかり回避性能も高いのでおすすめ!