行きつけのスーパーで北海道産の「活きつぶ貝」が3個で350円で売られていました。
つぶ貝といえば、だいたい剥いたものを買うことが多いと思うんですよね。ということで、ためしに買ってみました。
ツブ貝三連星があらわれた。
今回は、知っているようで知らない「つぶ貝」の種類や特徴と、さばき方・調理レシピ・毒の除去について紹介します。
つぶ貝の基本情報
「つぶ貝」とは通称で、巻貝のうち食用になるものをまとめて指しています。
実際に同定するのは難しいのですが、販売されていて代表的なつぶ貝のカテゴリーは以下の通り。
- マツブ:和名は「エゾボラ」。産地は北海道
- 灯台ツブ:和名「クビレバイ」「ヒモマキバイ」「シライトマキバイ」などが混在
- アワビツブ:和名は「モスソガイ」
このうち、マツブと呼ばれるエゾボラの評価が高く高値で販売されています。
マツブやエゾボラモドキ(赤ばい)やヒメエゾボラ(青つぶ)は、ほかの二枚貝や巻き貝などを捕食する肉食性の貝です。
「あぶら」と呼ばれる唾液腺をもっていて、神経毒があり有毒。視覚障害などをもたらすため、食用にする際はこの唾液腺を除去する必要があります。
まずはつぶ貝の殻を砕こう
わたしはバイク乗りなのでメガネレンチセットが自宅にありまして
つぶ貝は死ぬと鮮度劣化してすぐに臭くなり食べられなくなってしまいます。
かならず生きているものか、冷凍されたものを調理しましょう。
まずは殻を割ります。
サザエのような巻貝の場合、殻のまま焼くようなという選択肢もありますが、このつぶ貝、とあるところに神経毒をもってまして、必ずこの毒を取り除かないとなりません。毒については後述します。
必要なのはハンマー。
なければメガネレンチのような金属製の堅牢なものを用意しましょう。重めの出刃包丁であれば背をつかって対応可能かもしれませんが、ミネが傷つくかもしれません。っていうか、やってみたら傷つきました。。。
あと、当たり前ですが、檜のまな板の上で叩くと表面が陥没して傷がつくので注意です。これも今回経験しました。。。
そんでもって、親の仇のように殻を叩き割る。
お前らもっとオープンになれよ!
とか、好き勝手いいながら叩き割ります。
モコモコの攻撃、「モコッチ!」おおっとこれは会心の一撃!
とはいっても、日頃のストレスのあまり、貝の身に傷がつかないようにしたほうがよいでしょうね。このとき異変を感知したつぶ貝が筋肉を縮こまらせるのですが、容赦せず叩き割ります。ゆるせよ。
こんな感じに威勢よく殻をわって内臓ごと取り出しましょう。殻をつかう料理の場合、殻の渦の中心のアタリに千枚通し等で穴をあけて身を取り除くようです。
デストロイ
3つぶとも、デストロイ完了です(`・ω・´)
つぶ貝の下ごしらえは「有毒部位」と「ぬめり」の除去が大切
つぶ貝は前述の通り、有毒な唾液腺があるのですが、もう一つ処理が必要なものがあります。
それが「ぬめり」です。これがかなり強力なのでしっかり除去しましょう。
有毒の唾液腺を取り除く
殻の蓋を手でとりのぞきます。隙間に指をいれて強引に剥がしてみましょう。
はがれました。
次は、内臓と身(筋肉部分)を切り離しましょう。内臓は腸線等がややこしそうなので捨てます。
そんでもって、身の中心に刃を入れます。
真ん中にみえる鶏の脂のようなクリーム色の器官が唾液腺(有毒)
パカっと。
すると、みてください。真ん中に、鶏もも肉についているような黄色い脂肪じみた器官があります。これを手でしごいて取り除きましょう。
これが、唾液腺と呼ばれる器官で、テトラミンという毒が含まれます。なんで毒があるかというと、つぶ貝が襲い掛かるほかの貝などの獲物を弱らせるためにためているものです。
実は、この毒は熱や酸に強いんです。だから、丸焼きなどにせず、あらかじめ取り除いておく必要があるわけです。
個体や種類によっても毒性は異なるようですが、症状としては、食後30分程度で、視覚障害や目眩や頭痛、船酔い感などを感じるとのこと。
死亡例はなく、放っておいても数時間で回復するようですが、まー敢えて挑戦するものでもないので、とりのぞきましょう。
世の中には、あえて毒を味わってみる人もいるようです・・・でも、このような人のおかげで、食の世界は広がってきたのかもしれないですね。
右によけたのが唾液腺です
ということで、唾液腺を取り除きます。
塩で「ぬめり」をとる
唾液腺をとりのぞいたつぶ貝がこちら。だいぶヌルヌルしています。
どんぶりに入れ、塩を投入して手でごしごしします。
ひゃー。ぬるがたくさん出ました。。。
このぬめりはしつこいので、なんどか塩で落とすとよいでしょう。
ちなみに塩をつけたまま、放置をすると身が塩辛くなるので注意。
流水で洗うと、あらま、販売されている剥きつぶ貝になりましたね。
身は生きているため、まな板にたたきつけると固く縮み、歯ごたえがよくなります。
あとは刻んだり、スライスするだけ
毒腺とぬめりを除去したつぶ貝はそのまま食べられるのですが、かなり歯ごたえがあるので、薄くきるか細かく刻みましょう。
今回は、ナイフで薄くスライスします。ちょっとつまみ食いをしてみたところ、コリコリして噛むと甘みがありますね。うまい。
水管部分は通常捨てるようですが、今回は食用に。形をみるに生殖器にもつかわれるのでしょうかね。〇んぽっぽいといえば、そうみえますね。なかなかのグロさではあります。
活きつぶ貝のキムチ炒めを作る
本当は女子受けしそうな、こじゃれ偏差値の高い活きつぶ貝のこりこりパスタを作ろうとおもったのですが、ふと視線のすみに、先日特売で2束50円で購入したニラがへたりだしているのがみえたわけです。
ニラが大量にあるので、どうしようか。
あ、そうだキムチと炒めてみよう韓国風っぽいねと、「キムチ炒め」という料理にいたりました。
といっても、この料理を以前つくったことがあるわけではありません。
わたしが新しい料理をつくる場合、大体脳内で料理の計算式を整えて、その答えが『うまい』となったものを作るようにしています。料理好きな人はこのプロセスわかりますよね?
まずニンニクスライスをごま油で炒めます。ペペロンチーノ同様、弱火でニンニクを焦がさず旨味を引き出すのがポイントです。
そこに、つぶ貝を入れます。グロ水管も投入してみましょう。
で、細切りにしたネギとニラの茎部分を投入。ニラは、茎と葉の投入時間をずらすとよいですよ。
つぎに、ニラの葉部分を投入。
さらに1分ほど炒めて、キムチを投入。
キムチはいろんなものがありますが、ちゃんと発酵食品として取り扱われているものがベストです。タレをまぶしただけの『○○のうまうまキムチ』みたいな即席キムチ風つけものはいけません。
さらに、1分ほど炒め、塩コショウ&みりんを少々。
最後に、ごま油をひとまわし入れ完成です。
いったことがないのですが、釜山あたりの料理屋で登場しそうな風味です。コチュジャンをすこし入れて炒めてもよいですね。
味ですが、豚キムチの豚がつぶ貝になった味そのまんまです。
つぶ貝を食べると、こりこりして甘みもあって旨い。実に美味。
ん?この料理であれば剥きツブ貝でいいんじゃないかという声が聞こえてきましたが、お静かに。結果オーライです。
活きつぶ貝の刺身
こりこりして、味わい深いツブ貝
つぶ貝の刺身なのですが、薄くスライスして、レモンをしぼって食べると磯臭さが中和されます。
歯ごたえが強く、実に美味。
おそらくこの量でも料理屋であれば900円ぐらいするのではないだろうかと思うと、自炊っていいよね、おほほ。と改めて思った次第です。
最後に
ツブ貝類のなかでもエゾボラの仲間は毒があるのですが、スーパーでは、「この貝は毒があるよー気を付けてねー」と書いてあるのをみたことがありません。ググれカスということなのでしょうか。
昔ながらの魚屋さんであれば、こんなコミュニケーションがありそうです。
「へい、毎度あり。あ、お兄さん、あれ、ツブ貝の料理の仕方しってる?」
「え?しらないです。ググろうかと…」
「あー、あれね。唾液腺というのがあってね…以下略」
みたいなことになるのかもしれません。
ということで、ORETSURIをたまたまご覧になったみなさまは、ぜひ参考にしていただければと思います。
ではでは。