なぜ釣り場でコミュニケーションをしないのか

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波浮港桟橋で釣り
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特に岸釣りでは「釣り場でのコミュニケーションが大切」だと思っている。

何度かそう思ったきっかけはあるのだが、一つエピソードを紹介したい。

 

当時、妻と或る離島へ遊びにいき、レンタカーを借りて釣りをしていた。

妻、と書いたが、当時妻はまだ彼女だったのかもしれない。

 

魚影が濃いと噂される離島とはいえ、釣りは時合を逃すと思ったほど釣れない。

ベテランになるほどわかる事実だ。

なので、朝、夕まずめの時合や特定の釣り物が多く釣れるシーズン以外は地元の人は竿を出さない。

特定の釣り物とは、夜釣りでケンサキイカやヤリイカが大量に回遊するとか、イワシをおって大量の青物が押し寄せるというようなことだと思ってほしい。

 

その日は島をまわり、いくつかの漁港で竿を出した。

 

が、釣れない。

 

そこで、その日の終わり、街中から一番遠くにある集落に隣接した港を訪れた。

たしか車内では、ipod経由だったのか、ジュディマリのくじら12号が流れていた。

当時も懐かしいとおもっていたが、今でもいろいろと懐かしい。

 

その場所は「車で乗り入れができる」という暗黙の了解があり、地元の人もそうしているので、それを非難する人は誰もいない場所であった。

釣りではこういった場所がある。所謂グレーゾーンである。

グレーゾーンでは、関係者に迷惑をかけないかぎり、釣りを楽しむことが黙認されている。

 

さて、先行者はいるかな。

どんな釣り人も一度は考えるはずだ。

すると、軽ワンボックスカーに乗った地元の人(と思しき)が、ちょうど堤防先端で竿をしまうタイミングであった。

ほかに釣り人はいない。ラッキー!そう思った。

 

「こんちはー。どうでしたかー?」

 

そうわたしが聞くと、地元の人はつまらなそうに「サバばっかだねー。〇本(忘れた)。大きいんだけど。(冷蔵庫に?)一杯いるから餌にするしかないよね」というようなことを言う。

 

内心、それを聞いたわたしは、「サバでも大サバだったら塩焼きにすれば旨いよな」と考えた。

というのも、その釣りのあとに、宿泊施設のかまどで釣った魚を料理しようと目論んでいたのだ。

 

そそくさとライトショアジギングのタックルを軽ワゴンから出し、堤防突端からメタルジグを遠投する。

PE1号に30gぐらいのメタルジグをつけると、だいたい100mぐらいの飛距離がでる。

サバならば群れでいるので、いれば容易に釣れるはず。

 

あ、1投目からなにか、かすったな。

そう思っていると、一度堤防からでていったはずの軽自動車が引き返してくる。

 

あれ、なにか忘れたのか。

それともなにか叱られるんだろうか。

というのも、釣りというものは地域を超えると、兎角様々なローカルルールがあり、いつの間にかそのルールに抵触していて「謎説教される」というようなことがよくあるのだ。

 

すると、停車した運転席の窓が開き・・・

 

「どうしましたー?」

わたしはコミュニケーションの先手をとることをきめ、停車した車にむかって声をかけた。

 

「あのさ、これからココ凄く吹いてくるから、車先端からバックしたほうがいいよ」

「え、ほんとですか。ちょっと先端から引いて駐車してみたんですが」

 

「いやー、ぜんぜん、もっとかぶるよ。これから満潮だし、ほんと、荷物ぜんぶ流れちゃうよ」

「そうなんですね。ありがとうございます」

「うんじゃ、気をつけてね。あんま釣れないと思うよー(笑)」

 

そう男性は言って、帰っていった。

 

ここであなただったら、どうするだろうか。

 

  • 釣れなそうなので釣りをやめる
  • 車を下げて、荷物をしまって釣りをする
  • そのまま釣りを続ける

 

3つぐらい選択肢があると思う。

 

さて、わたしは、2番目を選んだ。

 

とにかく釣れてないので、魚を釣って妻に見せたかったのだ。

どんなときも魚を釣っちゃうサバイバル力の高い男を演じたかったのかもしれない。

妻は魚が好きなので、食べさせたいと思っていたのだと思う。

むしろわたしは魚より肉が食べたかった。

釣りをしないひとは釣り人が釣りにいくと魚を食べたくなると思いやすいが、釣りにいくとわたしは肉を食べたくなる。

 

さて、天気が悪くなるといっても、それまではすこし時間があるはず。

そのころは今のようにアプリで天気がリアルタイムに予測できるような仕組みはなかった。

いや、あったのかもしれないが、つかっていなかったのかもしれない。

 

そこでわたしは堤防上の荷物を最小限にし、釣りを続ける。

それからしばらくたち・・・。

 

にわかに空が掻き曇り、港が開けている側から猛烈な風が吹きはじめた。

 

次第に高まる波。

 

ちょうど黄昏時に満潮にいたったのか、波が堤防に乗り上げるようになった。

潮位に無頓着であったのだ。

 

わ、これはヤバイ。

足元はスニーカーだからびちょぬれ。

 

人間こういうときは意外と笑う。

なぜ笑うかというと、たぶん、平静を保つためのシステムなのだと思う。

「あはは、やばいねこれ、マジ。あはは」みたいなことをいって、わたしは妻と笑った。

 

そして、何度目だったろうか。

高波がザァーっといきなり到来。

 

そう、自然は人間を待ってくれるわけでもない。

波だってかぶるときはいきなりくるのだ。

突端にぶつかった波が身長くらいに盛りあがり、ひざ下ぐらいの海水が怒涛のようにおしよせる。

 

海とは反対方向に流されるクーラーボックス。

荷物を最小限にしておいてよかった。

あの財布が入ったバッグが流されていたら・・・

 

クーラーは引き波のときに速攻で回収。

置き竿にしていたもう一つのタックルを慌ててつかみ、やや遠くにとめた軽ワゴンへダッシュ。

 

そして車内。

 

こういう時、映画であれば、「例のキュルキュル音」がしてエンジンがかからないパターンなのではないか。

そして、男は車のダッシュボードを思いっきり殴る。

すると、エンジンが始動して・・・

 

とはならず、ぼろいレンタカーは一発で始動。有難や。

慌てて、堤防から下がり、港を出た。

そのまま全身潮だらけのまま、車内の暖房をMAXにして宿にむかった。

 

「いやー、ほんとあの人の話を聞いておいてよかったね」

「ほんとそうだね」

「あのまま先端にさ、クルマをとめて、荷物も置いてたら色々流されちゃったよね。車も動かなくなっていたかもね」

 

足をすくわれて、海に落水してどうのこうの、と脳内では思っていたが、なぜか口には出さないでいた

でも、シチュエーションを考えると、落水して溺死するという可能性は十分あったと思う。

 

とにかく、危機一髪から逃れたこともあり、緊張がぬけて、言葉数が無駄に多くなり、やがて宿についた。

 

さて、食事である。

魚は1匹もいなかった。

いや実は魚は釣れていたが、小さかったのでリリースしていたのだ。

 

ということでその日は、集落の商店で買った安い牛バラ肉(といっても離島ではやけに高い)と野菜を焼いて、エバラ焼肉のたれで白飯をかきこんだ。

直火で焼いた安バラ肉は脂が香ばしい。

それにしても、なんて旨いんだ。

エバラ焼肉のたれ、あなどれず。

 

そう、危機がせまったあと、ひと段落すると、人はやけに腹が減るものだ。

わたしは、パック白飯をひたすらかきこんだ。

なんなら2パック食べたような気もする。

 

さて、冒頭「特に岸釣りでは釣り場でのコミュニケーションが大切だと思っている」というフリをしておいたので、何をいいたいのかはもう伝わったかと思う。

 

あの時、地元の釣り人とコミュニケーションをとらなかったら、どうなったのか。

あの人は、引き返して危険について教えてくれたのだろうか。

たぶん、いい人だから教えてくれたのかもしれない。

 

ただ、思うのは、一言二言でもことばをかわしたことにより、なんらかの情があの人に生まれたという考えもできるのではないか。

 

「あー、あのカップル、悪い奴じゃなさそうだな。ちょっとあぶねーから教えとこうか」

そんなことを思ってくれたのではないだろうか。

 

今回伝えたいのはそういうことだ。

 

「もっと天候に注意しておけよ」

「潮位に気をつけろよ」

「堤防の先端は危険だから駐車は避けろよ(最初に駐車していたのは突端から10mぐらいのところ)」

「むしろ堤防に駐車するのが間違っている」

 

とかは一旦おいておく。

非難したい人は自分のこれまでの人生を振り返り一点の曇りもなければ石を投げてほしい。

 

ここで伝えたいのは、「釣りの危険を避けるためには、より多くの情報を得て判断することが必要」ということだ。

 

世の中には釣り場解説本や、個人ブログやメディアのネット記事、YouTubeの釣り動画があふれている。

詳しく書いてあったり、わかりやすく解説している動画もある。

が、どの情報にも尺があり、そこには載っていないクリティカルな釣り情報というものがある。

爆釣!と書いてある釣り場に潜む危険。

そういったことを釣り人は軽視しがちだ。

 

やはり釣りは現場主義の遊びだ。釣り場にいってわかることは多い。

でも、釣り場にいってもそう簡単にはわからないことも多い。

初心者のうちは尚のことわからない。

ベテランでも通いなれた人から聞くことでやっとわかるクリティカルな情報もある。

 

そう、釣り場にいったらきちんと挨拶をすることで損をすることはないし、得られることのほうが実に多いのだ。

 

平田 剛士(@tsuyoshi_hirata

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