突然ですが、ご自宅の冷凍庫に釣った魚が眠っていませんか?
おそらく海釣りによくいく方であれば、冷凍庫が魚だらけというかたも多いはずです。
何を隠そうわたしもそうでして、いつも冷凍庫の中の魚の在庫を計算しながら海へは釣りにいくようにしています。
ご結婚されている方の場合、釣ったあとの魚の処理を奥さんにすべて丸投げをしていたり、冷凍庫に釣った魚を封印する呪文を唱え続けていたり、冷蔵庫の奥地に青イソメ等を保存していると、あんなに熱々であった奥さんのあなたへの愛が、冷凍マグロのようになり、やがては離婚&慰謝料よろしく。ということにもなるようです。
ということで今回は冷凍庫で眠っていた魚を料理するだけで、なんとなく家族に貴重っぽくみせつける技を披露します。メモの用意はいいですか?
いいですね。はい。では、はじめます。
まずは冷凍術
たくさん釣れて食べきれなかった魚をどう冷凍するかについてポイントをあげておきます。
- 大きめの魚はサクにしてラップで包んでジップロックで密封
- 中小型の魚は内臓とエラと鱗をとった状態でラップで包んでジップロックで密封
- アラはアラだけでジップロックで密封
- 冷凍前に料理内容が決まっている場合は料理後に冷凍
- できれば3週間以内に食べる。早いほどいい。
- イカは冷凍してもほぼ味が劣化しないすぐれもの
まず、冷凍庫といやつは脱臭剤をいれても、いつの間にやらいやなニオイが魚につきやすい場所ですので、できるかぎりニオイから隔離する必要がるため密封保存をします。
また、冷凍し解凍をすると魚の細胞がこわれ、旨味がぬけるため、できるかぎり料理後に冷凍します。
たとえばウナギのかば焼きを冷凍する際は、白焼きにして冷凍しておき、解凍後タレをぬり炙るのがベストです。
重要な点をお伝えします。
冷凍庫は釣り人にとっての無敵装置ではありません。
どんな魚でも冷凍をしておけばずっと保存できるわけはなく、冷凍してからも魚の劣化というのは進みます。脂が多い魚は脂が参加して冷凍焼けといってどんどん臭みを帯びやがてタタリ神のような存在になります。これ注意ですよ。
釣った魚を冷凍庫に放置してみてみぬふりをしているアナタ。嫁さんがいる場合はいつかキレられますよ。
魚の解凍術
魚をレンジ解凍する方法が手軽のように思えますが、それをやってはいけません。
もし時間があるときは、ジップロックのまま流水解凍や常温解凍をしておくとよいですよ。
冷凍した魚の大きさによっては数時間かかりますが、解凍する際に魚の細胞がくずれにくいため、旨味がドリップとしてぬけにくいのです。
盛り付け術
「士郎、きさまこんな器で料理を出しおって!」みたいな感じで、料理は器というようなことを、美味しんぼの海原雄山が吠えていますが、あれはほんとでどんな料理でも器によって、ちんけになったたりうまそうに見えたりします。
とはいっても、庶民が海原先生が作るようなひと皿数十万円也の食器など買えませんので、家にある範囲で無理はなしなくてもよいでしょう。
ひとついえるのは、料理は狭苦しく盛り付けるより、大き目の皿の中心に盛り付け、色合い等で香草等をあわせると、なんとなく料理がうまそうに見えます。無用の用といいますか、余白が料理を引き立てるわけです。
このあたりの妙技を知りたい人は北大路魯山人の書を読みましょう。
読んだ後に、魯山人だったら魚を冷凍しないだろうなということに気づくことでしょう。
釣り人料理の裏技
ここでORETSURIをご覧のみなさんにだけに裏技をお教えしましょう。
「ミンナニナイショダヨ」
もったいぶりましたが、
その裏技とは、料理名を凝ったものにするということです。
人間は言葉に縛られるいきものでして、
釣り好きで、大傑作大江戸釣客伝の作者である夢枕獏さんが、陰陽師シリーズで安倍晴明によく語らせていますが、
人間の言葉はそれ自体が『呪(しゅ)』というやつでまじないの効果があります。
例えば、魚のブリを指して、『青物』という呼び名で呼ぶのか、『ブリ』と呼ぶかで、発言者と聞き手の印象は大きく変わります。
要は、モノに対自したとき、印象だけでなくモノの名前で判断をするというわけです。
ということで、作った料理になんとなく旨そうな名前をつけてみるとよいでしょう。
旨そうな名前をつけるポイントは以下の通り。
- 地名を強調する
- 旬を強調する
- 海外の料理用語を使う
この3点を押さえておけばよいでしょう。
さて、ここからは
上記のセオリーを守ったり守んなかったりして作った料理をお送りします。
ガチガチにやっても料理はつまらんですし、気ままにやって旨いのが素人料理の楽しみですからね。
寒スズキのムニエル香草添え
このスズキは神奈川のみなとみらいで釣ったものです。
みなとみらい。この地名自体は食とつなげた場合、マイナスに働くため、地名を隠し、寒スズキという風に、よくわかんないけど、なんだか旬っぽいニュアンスをはらませています。ちなみにスズキの旬は夏と言われています。
あとは、ムニエルということばで高級感を演出し、香草添えということばでヘルシー感を醸し出しています。
食べるのが女性の場合、この香草添えという言葉はマジックワードになるのでぜひ覚えておきましょう。要は、脇にパクチーとかパセリとかまー緑の香草をそえておけばいいんです。
<作りかた>
- 冷凍スズキを流水解凍する
- 解凍したスズキにマジックソルトと白コショウをすり込み小麦粉をまぶす
- 弱火でフライパンをあたためパターと植物油でニンニクとタイムを加熱し風味を抽出。その後、ニンニクとタイムは別皿に隔離しておく
- フライパンに残った油で2のスズキを弱火で加熱する
- 裏面をかえしよく火が通った状態で白ワインを回しいれ蓋をして1分
- 5のスズキを皿にもり、5でのこった汁にレモンを絞りソースにしてスズキにかける
- 自分以外に食べる人がいる場合、「これは寒スズキのムニエル香草添えだよ」と言って出す。自分一人で食べる場合は、「ふむ。よくできた寒スズキのムニエル香草添えだな」と声に出してから口にする。
※この最後の工程7はほんと重要です。
三浦サバと旬野菜の具だくさんトマトスープ
このサバは神奈川の城ケ島沖で釣ったものです。
三浦。この地名自体はサバとつなげた場合、プラスに働くため、地名を前面にだし、旬野菜というあたかもフレッシュなことばで受け、具だくさんということばでそこまで金持ちタウン葉山あたりのシャレオツレストラン風にしていた言葉をビストロレベルまで意図的に落としています。また、最後にトマトスープ。ということばで締めていますが、これも呪をこめています。
スープでしめてしまうと、相手は、だいたい透明なスープを想像するわけなのですが、これをトマトスープとすることで受け手は、赤いスープを想像します。
サバが入ったスープだったら透明より、なんだか赤いほうが旨そうじゃないか。
そう思うのはわたしだけでしょうか。
いいや、みなさんも赤いほうがいい。赤はシャア専用にもつながるし正義だ。
今そうおもったはずです。
<作りかた>
- 冷凍サバを流水解凍
- サバにマジックソルトと白コショウをすりこみ一口サイズにきっておく
- 鍋でつぶしたにんにくとセロリと玉ねぎを炒める
- キャベツと人参と玉ねぎとサバ、トマト缶を、どん、と放り込む。具だくさんについて反論させない量が必要です。
- 湯と牛乳を8対2で注ぐ
- コンソメを入れ、ケチャップ、ウスターソースで味を調整する
- 沸騰させないで煮込み、仕上げにバターを溶かす
- 盛り付けた後に、フェンネル散らす(写真はドライですが生のほうが見た目がいいです)
- 自分以外に食べる人がいる場合、「三浦サバと旬野菜の具だくさんトマトスープだよ」と言って出す。自分一人で食べる場合は、「ふむ。よくできた三浦サバと旬野菜の具だくさんトマトスープだな」と声に出してから口にする。
最後に
いかがだったでしょうか。
え?
写真がすくなくテキストが多すぎて疲れたと。甘えるのもいい加減にしてください。これはGoogleをはじめとした検索エンジン対策のためです。というのは冗談で、
料理というものはけっこう適当にやってもうまくいくものですが、慣れが必要です。
ご家族がいる方は、奥さんばかりに釣った魚の料理を任せていると、
旦那の魚釣りが迷惑です。
嫌がられているのに、いちいち釣ってきた魚の披露…ドヤ顔
もうウンザリ
出典:Yahoo!知恵袋
というようなクソ相談をネット上でされてしまうので、要注意です。
たまには奥さんや子供に、俺たちの料理を、がつんとふるまってドヤ顔をしてやりましょう。そうすればいつまでも家族公認でたのしく釣りにいけるはずです。
以上です。
ではでは