夜行性の魚をより効率よく釣るために、夜釣りは昔から楽しまれてきました。この記事では、そんな夜釣りが釣れる理由を改めて推測し、夜釣りという非日常のシーンを安全にたのしく過ごし、実際に成果をあげるためのコツをピックアップしました。
素人釣り師が30年以上釣りをするなかで学んだものです。当たり前のように感じることもあるかと思いますが、ぜひ参考にしていただければと思います。
夜釣りが釣れる4つの理由
個人的な経験からまとめますと、夜釣りが釣れる理由はいくつか推測されます。
- 夜行性の魚が捕食活動をとりはじめる(例:メバル・イカ・アナゴ類・ウナギ・ナマズ類)
- 季節によって魚が夜行性になる(例:夏季の大型ブラックバス)
- 釣り人が日中より少なくなり、釣り場へのプレッシャーが少なくなる
- ラインや仕掛け・ルアーなどが水中で確認しにくくなり、魚の警戒心が薄くなる
夜行性の魚が捕食活動をとりはじめる
魚には昼行性と夜行性の魚がいて、後者は日中は物陰や砂泥に潜んだりすることで釣り人からすると積極的に狙うことができません。
夜行性の魚は日没後、積極的に動き出し餌を捕食するのですが、これは、餌(ベイト)が寝ていたり、街灯等により1か所にあつまるため捕食の効率性を重視してこのようになっていったのかもしれません。すぐれた視力をもつメバルやスズキ等がこの類です。
また、夜行性の魚には視力がそれほど良くなく嗅覚や触覚(側線による振動)を頼った魚もいます。例えば、ナマズやウナギやアナゴ等がよく知られています。ナマズ類は、トップウォータールアーで狙ってみると捕食が極めて下手な魚でであることがわかります。そういった魚は日中敏感に動く小魚を捕食するのは難しいのかもしれません。
ちなみに夜行性の魚を日中狙うことは、『デイ○○ゲーム』というように呼ばれ、難易度が高いながらも楽しまれています。よく知られている釣りに、『デイメバ(デイメバルゲーム)』『デイナマ(デイナマズゲーム)』があります。
季節によって魚が夜行性になる(例:夏季の大型ブラックバス)
季節によって夜行性になる魚もいます。たとえば、夏季の大型のブラックバスは日中はほとんど動きません。野池等の止水域でこの傾向は顕著な気がします。太陽光線も強く、水温も高い時間帯、そして釣り人がたくさんきている時間帯は一切捕食活動をせず、比較的浅めのフィールドの場合は、水草や倒木の脇にじっとしている大型のブラックバスをみかけることもあります。
わたしが高校生のときに、夏場の渡良瀬遊水地の野池で釣りをしていましたが、この場所のブラックバスの活性があがるのは、午後18時以降、22時ぐらいまででした。
日中は、ヒシモの下や葦際のエグレに潜んでいて、フロッグやテキサスリグのような攻め方以外に反応が薄かったのですが、夕まずめをすぎて、夜になると頻繁にライズを繰り返すのでした。
当時ほぼスピニングタックルオンリーであったので、8lbクラスのナイロンラインにノーシンカーで結んだスライダーのバスグラブをグラビングバズで引いてくると、狂ったようにバイトがあったものでした。
スライダーのバスグラブ=知っている人はバス釣り歴が長いはずです。現在はほぼ国内では流通しておらず、国産メーカーがこの形を模倣した製品が人気です。
釣り人が日中より少なくなり、釣り場へのプレッシャーが少なくなる
多くの人が夜行性ではないので、明るい時間帯の方が釣りはやりやすいですし、夜は帰って家族と過ごすという方も多いはずです。
淡水でも海の岸釣りでも、客層をみていると、
- 夕方日が暮れそうなときに帰る層
- 夕まずめをやりきって帰る層
- まってました夜の部という具合に、鼻息あらい層
に、分かれている気がします。1+2の層が大多数ですので、多くの釣り場は夜になると静かになり、それまで岸際によりつかなかった魚が岸によってきたりというような効果がある気がします。
ラインや仕掛け・ルアーなどが水中で確認しにくくなり、魚の警戒心が薄くなる
夜行性の魚には視力がいい魚と悪い魚がいるという話を先ほど書きましたが、後者はなんでも釣れるとして、前者はラインやリーダー、そして餌やルアーの状況によって敏感に釣り人の魔の手を見切る傾向にあります。
ですが、夜になると、視界もわるくなりがちなので、街灯等で明るくなっているエリア以外は、ハリスの号数が比較的太くても容易にバイトしてくる気がします。といっても、スレている魚ばかりの釣り場もあるので一概にはいえませんが。
夜釣りで成果を上げるためのコツ
夜釣りで成果を上げるコツというタイトルにしてしまいましたが、日中の釣りとさほど変わりはありません。
強いて考えてみると、どの釣りでも共通することは、魚の警戒心が薄れているので意外と岸近くに大物が来ていることもあることです。遠投をするまえに、足元をというのがいろんな釣りで玄人にによって言われていますが、夜釣りは特にその傾向が強い気がします。
たとえば、このナマズ(65センチ)は、某都市河川の足元水深20センチほどのところに上流を向いて潜んでいました。浅場の鯰が追いかけてくると引き波がたつのですが、この時はまったくの静寂から突然バイトがありました。
上記の傾向を考えると、岸近くに不用意に近寄らないようにしたり、振動や騒がないというのもポイントです。
特に波止のメバルは繊細なので、堤防で騒いだり、灯りを海面に照らしてみたりするとすぐに魚が散ってしまいます。また、こうした行為は、他の釣り人とのトラブルの原因になるので注意です。
釣り場が温かくなったり熱くなったりすると、気分も乗ってきますので、歓声をあげながら騒いでいるグループをみかけますが、他の釣り人がいた場合は配慮したほうがよいですよ。
夜釣りを安全に過ごすための8つのコツ
これは断言できるのですが、夜釣りは日中より危険だと思います。例えば波止で足場がしっかりしているところでもつまづいたりして落水することもしばしばです。ここでは、夜釣りを安全に過ごすためのコツをいくつかピックアップします。
- できるかぎり複数人で釣行する
- ライフジャケットの着用
- 明るいうちに釣り場に到着して地形や注意する場所をおさえておく
- 水際に必要以上に近寄らない
- 小物を地面に直接おかない
- ライトはヘッドライトタイプとランタンタイプの2種類を用意する
- 釣り禁止のところでは釣りしない
- 酔った状態での釣りはできるかぎり避けるとよいでしょう
できるかぎり複数人で釣行する
釣り人たるもの、一人になりたいときもあるでしょう。それはそれでよくわかります。ですが夜釣りの場合は、周りの人目も少ないことがしばしばです。なんらかの事故やトラブルがあった際、誰にも気づかれない。そんなことがあるかもしれません。できれば仲の良い友人でも誘って語りながら釣りをするとよいでしょう。
ライフジャケットの着用
釣り場の状況にもよりますが、夜は足元が見えなかったりするので落水の危険も高まります。自分にあったライフジャケットを着用しておくとよいでしょう。子供ちゃんがいる場合は、なにをしでかすかわかりませんので、ライフジャケット必須&決して目を離してはいけません。
明るいうちに釣り場に到着して地形や注意する場所をおさえておく
夜釣りをする場合、慣れている釣り場であればよいのですが、そうでない場合、何がどこにあるか、地形がどうなっているかがわかりません。根がかりの連発だけですめばまだよいですが、釣り場の状況がつかめていないばかりに事故にあうこともあります。できるかぎり、明るい時間帯に釣り場に到着して周囲の安全や障害物、水場の地形等を押さえておくとよいでしょう。
水際に必要以上に近寄らない
こんなことはないでしょうか、たとえば堤防で街灯に集まった魚やベイトがなんなのか確認するために水際に近づいてみること。このとき、足元が濡れていたり苔が生えていたりなんらかの拍子に躓いて落ちてしまうことがあるかもしれません。堤防等の際との距離はしっかりとって釣りをしましょう。
釣り具を地面に直接おかない
これは事故にあうというわけではないですが、暗い波止などで、様々な釣り具を地面に直置きしておくと自分もしくは他人によって蹴っ飛ばされて海に落下してしまうこともしばしばです。スマートフォンなどだとかなりショックなので気をつけましょう。また釣り竿は堤防の通路となっているところに横たえておくと、誰かに踏まれて哀しい思いをします。タックルボックス等に縦置きでロッドを固定するグッズもありますので、注意しておきましょう。
ライトはヘッドライトタイプとランタンタイプの2種類を用意する
ライトはヘッドライトタイプは必須です。ハピソンのチェストライトも使いやすいでしょう。これらとは別に周囲全体を照らせるランタンタイプがあるとなにかと便利です。グループで釣りに行く際は誰かが1台もっていればよいので、事前に装備について相談しておくとよいでしょう。
釣り禁止のところでは釣りしない
これは夜釣りだけの問題ではないのですが、釣り禁止と決まっているところのなかには危険度が高いから釣り禁止であるところがあります。こうしたところで夜釣ることは自殺行為です。改めて死んだらもう釣りができないということを思い返して、釣り場を選択しましょう。
酔った状態での釣りはできるかぎり避けるとよいでしょう
泊りがけの波止釣りなどで酒などを飲み釣りをするのも楽しいでしょう。わかります。一方、酒を飲んでいるときは自分がOKだと思っても、かなり身体能力が落ちた状態になっています。前述の落水につながることですので、改めて自問自答しておくとよいでしょう。
最後に
素人釣り師が30年以上釣りをするなかで経験してきた夜釣りに関してのアドバイス、いかがだったでしょうか。いろいろと情報が獲得できる時代ですので、一つでも新しい情報が得られたり、みなさんが一つでも改めて注意しようと思うきっかけになれば幸いです。
もし海で単独釣行で落水してしまった場合、118番が海上保安庁への連絡先です。防水のスマートフォン出ない場合は防水グッズを用意しておきましょう。
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