釣り場で腹が減ったとき、我々は一体全体どうしたらよいのでしょうか。
メシを食えばよいのです。
でも、どうせならうまい飯を食べたいもの。
このシリーズでは、釣り場に近いメシ屋のレビューを気ままに行うというものです。
今回の釣り場は、佐島漁港。
佐島漁港は三浦半島西岸で最も大規模なマイナー釣り場
三浦半島の西岸を南下していくと鎌倉・逗子・葉山と町が移り変わっていくのですが、葉山の次はどんな町があるのか。じつは三浦市、と、みせかけて、横須賀が陣取っています。
横須賀は三浦半島に占める面積が大きく、東京湾側と相模湾側の両方に港湾をもっているんですね。ファミコンウォーズでいえば西海岸・東海岸の両方から軍艦を出動できるという地形。母ちゃん達には内緒だぞ。
小和田湾の対岸、隣接する長井をふくめて考えると、佐島・長井地域はかなり広い港湾エリアです。
釣りでいえば、おかっぱりの釣りができるところもありますし、釣り船も多い。手漕ぎボート釣りもできるという、まさに釣り天国。
この日は釣りに来たというよりも、三浦半島西岸を逗子から南下していったという気ままな散歩。
まー人間歩いているだけで腹がへるわけです。息を吸って吐くだけでも腹がへるし、怒っても減るし、笑っても減る。ましてや1日釣りをしたあとには、もっと腹が減るはず。
ということで、メシ屋を探しましょう。
マリーナにがある天神島にわたる水深1m弱水路をよくみたら、ワカメにかくれて20cm強のメバルとメジナが。
しっかり潮上をむいて流れてくるプランクトンなどを食べているんでしょうね。
そろそろメシにしよか。佐島かねき鮨さんへ
この佐島界隈にはいくつか食事をするところがあるのですが、和食は「佐島かねき鮨」と「はまゆう」の2つ。
街道沿いに「海辺」という店があったようなんですが、今は閉店しているようですね。ようしらんけど。
なんとなく、たたずまいがよかったのでこの日は「佐島かねき鮨」へ。
青い夜の訪れ。
入店すると、気立ての良い女性スタッフがむかえてくれました。
だいたい、接客が素敵な店はうまいわけですよ。
オーダーは、「コノシロの刺身(400円)」と「刺身とミックスフライ定食(1,500円)」
コノシロは釣り人にとってあんまり好かれていない魚な気がします。
サビキで専門に狙っている人もいるはいますが、なんとなくシーバスのルアーゲームやサーフからのショアジギングでスレがかりするイメージです。
一方、コノシロの幼魚である夏場にとれる「シンコ」は江戸前寿司の伝統のネタとして人気かつ最高級品ですし、冬場のコノシロは脂がのって極めてうまいといいます。
「うまいといいます」
そう、わたしも食わず嫌いで、コノシロを避けてきたんですよね。
魚を食べないで、「まずい」「○○は▲▲みたいな味だから食えない」といようなスタンスはあまり好かないので、今回コノシロの刺身を食べてみることにしたわけです。
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こちらがコノシロの刺身。
皮つきですね。生臭くないのかな。
お好みで七味をかけて食べてくださいとのこと。ほーん。
アップでみると身からうかがえる脂の様子。
こりゃトロだな。
トロコノシロ、トロシロとでもいいましょうか。
コノシロの刺身は生姜+ねぎ+しょうゆが一番うまいなと
そのまま醤油だけつけて食べてみる…
う、まい。
脂が口のなかでじゅわりと染み出て臭みはゼロ。
タチウオやカサゴ釣りの身餌としてもコノシロは有能
コノシロとえば、釣り船のタチウオの身餌としてつかわれているくらいしっかりした皮かと思いきや全く問題なく食べられます。
皮をとっていないからこそ、皮下の脂肪も含めて味わえるという趣向。
これは、小あじなどではできるかもな。こんどやってみよう。
いやはや、口の中に残る旨みの余韻。
コノシロも冬から春ぐらいまではかなりいい味をもっているんだなー。すっかり侮っていたけども。今度から釣ったら持ち帰ることを意志決定しました。
続いて、刺身&ミックスフライ定食。
うーむ。いい布陣です。
料理というものは目で楽しむという要素もありますが、基本的に見た目がいい料理はだいたい旨いわけです。
人間も一緒で、見た目がよければだいたい中味もいい。見た目がいいっていうのは顔がキレイとかかわいいというよりも、その人なりの良さが顔に出ているというやつで。
アラ汁はスズキかクロダイの腹骨をすいたハラミ部分に白めの味噌仕立て。じんわり旨い。
刺身はスズキorヒラメ、ブリ、イサキの焼霜作り。
アラ汁もスズキのはらすが具だとすると、この刺身もスズキなのか。ようわかりませんが、甘みがあって旨い刺身でした。
そんでもって、ミックスフライである。
ミックスフライというとなんとなくチープな印象が漂ってしまうんですが、こういった漁港隣接のメシ屋で食べる魚のフライは、地魚のフライだったりして生食用を揚げるので、もう旨さが違うんですよね。
臭みがなく身がほっこりして、衣はさっくり。
個人的に釣りのあとはラーメンか揚げ物が食べたくなるものの、ミックスフライは食通にあなどられることもありながらもオススメな一品でもあります。
具材は、かなり大き目の牡蠣。殻付きの牡蠣が販売されていたので、冷凍ではなく生からむいて仕上げているようなぷりぷりした触感。スパークする海の旨み。
他にイワシ。これはウルメなのかマイワシなのか判断できず。脂乗りがさほどだったので、ウルメイワシじゃないかなと。アジフライは刺身を半身とった反対側に衣をつけて揚げているようなつくり。これも絶品。
白身のフライがあったので、これはスズキかクロダイかと思ったのですが、スズキとのこと。これは脂がじんわり染み出るような圧倒的な白身力。
食事中、その日の漁を終えたとみえる赤銅色の水軍男性があらわれて、カウンターの常連の方々と話していたのですが、「今年はアジ藻(?)がないからアジが一か所につかなくてずっと回遊しているから云々」みたいなトークがありました。
基本的に魚にうるさいとされる漁師や界隈にお住まいの人が日々通う店ということは、観光客ズレしていないってことだよなー。と、茶をしばきつつ、満腹の興奮にまったりとしながら外にでて、2分歩いたところで通り雨が降り出してずぶ濡れにあいなりました。
近くで釣りをした帰りにでもぜひ行ってみてください。オススメです。
今回のめしや
ORETSURI釣り場メシ・レビュー評価
★★★★4.0
リア充向けの店舗が近隣にあるなか、地元にも愛されている感のある名店。いつだって潮臭い釣り人はこちらがよいでしょう。スタッフの女性の笑顔もいい。人間は笑顔をみればわかるのです。カウンターで地物の寿司をオーダーして冷酒をかますという趣向もよさそう。
※レビューは5点満点。①人②味③空間の3要素について筆者の圧倒的な主観で取り決めています。どんとこい。