「雑魚出汁」のススメ。べつに甘鯛なんか釣れなくても立派なブイヤベースが作れるんだからね!

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雑魚ブイヤベース
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うひゃひゃ、なんじゃ、甘鯛を釣りに行って「ボウズ」じゃったと。

ひゃひゃひゃ。さもありなん。と、この婆は思うばかりじゃよ。だいたいにおいてのう、釣りなどは必勝を込めて攻め込んだときにこそ、「ボウズ」の返り討ちを受けるのじゃよ。

古今の戦いでもそうであったわい。かの信長公はそのあたりをよくわかっておられてのう。

戦に勝とうとするよりも、遊ぶように戦っていたといったほうが近いお方であったのう。桶狭間だけは、なんの想いがあったのか、珍しく熱田神宮に詣でてから戦場へ駆けられたが、まーなんというか、あれはやけっぱちだったんじゃろうな。

それぐらい、今川白餅公の兵力は圧倒的であったからのう。

そちも知っているかと思うが、ビジネスですこし仕事ができるっぽい御仁が馬鹿の一つ覚えみたいに使いまわす「ランチェスター戦略」でも、敗北が予知されるわけじゃ。

信長公は、だいたいにおいて、負け戦は徹底的にさけておられたのじゃ。だからそもそものこと、混みあっている土日に船宿に甘鯛を釣りにいくなんて下策なのじゃよ。

上策とはなにかと聞くのかね?うむ、よいだろう。教えて進ぜよう。まず平日のすいているときにしれっと釣行する。それで、密度がうすい船上で、サクッとデカアマダイを釣って、まー釣れた記事しか書かない。さらに、釣れたときしかSNSに投稿しない。

そうすれば、そちに対しての読者のイメージもどんどん「ORETSURI編集長氏は、天晴れ釣りが上手な武将だ」「三浦の海に平田水軍あり!」「よ、国士無双!」「よ、一騎当千!」あたりになるわけじゃ。そちは自分のブランディングについてもうすこし頭をつかいなされやい。

それをなんだ。

平日も釣行できる身分でいるのに、あえて肩肘はって土日の激戦に無駄攻めする。それでまあ、釣れればいいものを、案の定太郎で甘鯛坊主の討ち死に合うとは。船幽霊にでもとりつかれたのかえ?かなしいかな、かなしいかな、倉科カナ。

ん?

なんじゃと、「甘鯛がいなくても立派なブイヤベースをこしらえることができるんです」じゃと。ほほーん。本来ならば敗軍の将は兵を語るべからず。じゃが、そのいきやよし!よう言うた。

たしかにここまで書いておいて、誰も何の記事かわからなくなってきてるからな。よいじゃろう。

見せてもらおうか。「雑魚出汁ブイヤベース」の実力とやらを!

目次

「雑魚」を尊ぶ。下処理はしっかり

こちらが前回甘鯛釣りの釣果。

え?甘鯛ですか?あー「潮流れず」ってやつですよ。

<今回釣った魚は以下の通り>

  • アヤメカサゴ
  • ヒメコダイ(アカボラ)
  • アカトラギス
  • ユウダチトラギス
  • オキトラギス
  • ヒメ
  • アズマハナダイ
  • キダイ(レンコダイ)
  • トゴットメバル(オキメバル)
  • カナガシラ

※トラギス類は同定が難しいので類推

実に10魚種。

甘鯛五目はいろんな魚が釣れてよいですね。小型の魚が多いので、みんな釣れたそばから海に放ってカモメのエサになり巡っていますが、どの魚も身は少ないもののうまいのです。

トラギス・アカボラ・カナガシラはサイズがある程度大きければ天ぷらに。ユメカサゴやトゴットメバルあたりはいい出汁を出しますのでね。タナが高かったり、潮がふけあがっているとよく釣れるキダイは酢締めにして押し寿司にしたり、塩焼きでうまかったり。

これだけ貴殿系の魚種がたくさんいると呼び名がながくなってしまうので、侮らず尊称の意味で「雑魚」と呼んでおきます。雑魚類が大漁だったときには下処理が手間ではあるのですが、そんなときには出汁にしてしまうのが一番です。

今回は、前回の甘鯛釣行のときにつくった冷凍フュメ・ド・ポワソンをつかって、雑魚出汁ブイヤベースを作ります。

雑魚のみなさんは、うろこ、血合い、エラ、内臓あたりをしっかりとって熱湯をかけて洗います。熱湯をつかったあとは流水でしっかり鱗などを落とすとよいでしょうね。

フュメ・ド・ポワソンをベースにするとブイヤベースは手早い

そこでフライパンにオリーブオイル。にんにくと唐辛子で香りを出す。

にんにくは細かくするほど香りがでるので切るサイズで調整するとよいと思います。こだわる人は芯をぬいたものつかうとよいでしょう。

さらに玉ねぎとパセリの茎をいれてソテー。パセリの代わりにセロリでもよいです。セリ科ですからね両者とも。

トマトは安トマト缶で十分です。全体の半分ぐらいつかえば十分。

ホールトマトをつぶしながらソテー。

油となじんだところで、以前作った甘鯛五目のフュメ・ド・ポワソンを投入して伸ばしていきます。お好みで四の五の言わず動物性のブイヨンを入れると奥深くなります。

冷凍しておいたものを電子レンジで半解凍。

惜しげもなく全量投入。1.5リットル弱ぐらいはあるんじゃないかなと。

中火で炊きだす。

氷がとけた時点で、ナンプラーと隠し味にカレー粉を少々(耳かき程度)。このカレー粉が裏技で仕上がりの奥深さが変わります。入れすぎるとスープカレーになるので注意。ナンプラーがない場合はオイスターソースでもOK。

もともとスープのベースにつかったフュメ・ド・ポワソンにハーブの香気が含まれているわけなのですが、好みでタイムやディルアタリをいれて炊くと臭みも香りでカバーされるはずです。ちょっと高いですが、サフランをいれるとさらに本格的に。あれは高いんだよな。

あとは出番をまっていた野菜と雑魚のみなさんを投入。甲殻類の旨みがほしかったので、下処理したタイワンガザミを投入。ガザミはかならずガニ(エラ)の砂と胃袋を取り除いてから入れると雑味が出ません。

アルゼンチン赤海老やらアサリをいれるとさらに風味が強くなります。野菜はシンプルにしておいたほうがいい気がします。じゃがいも、にんじん、玉ねぎぐらいで。今回のじゃがいもは「インカのめざめ」をつかったのですが、メークインのように煮崩れしないものがオススメ。

さらに15分ほど中火で炊く・・・

刻みパセリを散らして出来上がり。

盛り付けは相模湾でとったタイワンガザミで映えを意識しつつ、質実剛健にカナガシラとトゴットメバルを飾ることに。この下には、トラギス陣が控えているわけです。何事も上があれば下があり、全員が前に出るということは難しかったり。

UPで見せたろか?

はい、こちらです。

食べてみる。

旨草四郎時貞!

この奥深い旨み!!!

やっぱり、さぞや高級な魚で出汁をとっているんでしょうな。庶民の手には届かないよなー。

・・・

ふはははは。ご安心ください。これ、

全部雑魚の出汁っすよ(ドヤ)

という具合に、甘鯛ではない魚でもこのようにものすごく美味しく食べることができます。

もともと、ブイヤベースは南欧発祥でそのままだと売れないような魚(棘のあるカサゴなど)をごった煮にして漁師界隈が食べていた料理なんですよ。

それが時を経て、矢鱈に豪華食材がつかわれるようになって、高級店だと一皿2,000~3,000円したり。

そこにきて、この雑魚出汁ブイヤベースなんて、ほんと大したことないっすからね。

船代を入れなければね!( ゚Д゚)

ではでは。

平田(@tsuyoshi_hirata

冷蔵庫に入れた翌朝、圧倒的な雑魚たちのマリンコラーゲンにより、全体が固まっていました。栄養の塊。

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