釣り場で腹が減ったときに我々は一体全体どうしたらよいのでしょうか。
メシを食えばよいのです。
でも、どうせならうまい飯を食べたいもの。
このシリーズは、釣り場に近いメシ屋のレビューを気ままに行うというものです。
今回の釣り場は、逗子。
逗子界隈の岸釣りはつらめ
なぜ逗子か。
よく考えると、これまで逗子・小坪の店が2つ登場しているし。貴殿は逗子を贔屓してるんじゃねーか。おい。というのはあるのですが、不当に絡むのはやめてほしい。何を隠そう、わたしがすんでいる街なので、まーよく行くからなんですね。
鎌倉から逗子をへて葉山までの地形は遠浅で岸釣りで狙える釣りものはそれほど多くありません。逗子海岸だとシロギス、あたりが主戦場で、しかもピンギスしか釣れない。それ以外はちょっと沖目にいかないと難しいわけではあります。
一方、逗子海岸を挟んである小坪港・鐙摺港からは釣り船の出船も多く、JR逗子・京急新逗子ともに多くの釣り人が訪れる街です。
じゃあ、釣りにいったあとにいいメシ屋があるのかって?
まあ、落ち着いてください。
確かにある。ラーメンを食べたいときにオススメな店があるわけです。
これは教えようか迷っていました。
今回のラーメン屋は、いわゆる「しなそば」「中華そば」カテゴリーにおいて、5本の指に入る名店だと思ってます。都内のダシがうんちゃらといっている中華そば屋の25,000倍は旨いし、安い。
そろそろメシにしよか。中華料理「松栄楼」へ
こちらが松栄楼。
みてわかるとおりに狭めな外観。方丈記っぽいものをイメージしてみてください。
逗子から鎌倉にむかう途中の街道筋にあるのですが、所謂「町中華」という表現が似合っている店。なんと、この店はカウンター4席しかないんですね。
駐車場はなし。車で行く場合は、周辺のパーキングにとめて歩く必要があります。
昼にいくと、中華そばとチャーハンや餃子などのセットがあるのですが、オススメなのは中華丼セットです。900円。餃子もうまいんだけど、まずはこの中華丼セットを頼んでほしい。頼めばわかるさ。チャーハンはふつーです。
厨房では人柄のいい細めのじいさんと女性が切り盛りしていて、接客が丁寧でなんとも低姿勢なんですよね。
注文すると、中華丼も1杯ずつ餡をつくりはじめるようなお店なのですが、のほほーんと待っていると、すぐにできあがります。まーお客さんも自分以外にはMAXで3名なので、そうなるわけです。
それでは、ご覧ください。
これだ。
もうね、旨いものはみればわかるんですよ。
ラーメンや食への執念がある人はきっとわかるはず。
中華そばの色艶。中華丼の照り。しかも、中華丼のボリュームもけっこう多いんだこれが。
チャーシューだって、バラでしっかりアジがついた極上品。家系などで、しばしばエンカウントする味のないクサチャーとは大違いです。あれは、申し訳ないが残したくなるんですよね。
スープはやや生姜がきいているようなダシで化調とのバランスがよく、飲み干せる1品。これで600円ですからね。
よくわからんラーメンで900円とか1,000円とかするこのご時世。
「そのラーメンに愛はあるのかい?」
と、問われたら、答えられないものが多いわけです。
うーん、一応うまいけど、愛っていわれると、答えられんなーと。
が、この松栄楼の中華そばについては、わたしは即答できるわけですよ。
これこそが、愛だ。
魂に染みいる味だなー。
一切の派手さはないが、スープの奥行、麺との相性、チャーシューへのこだわりなどなど。その辺のラーメン本に載っている醤油ラーメンの25,000倍ぐらいは満足する味です。
さらに、中華丼。セットにするとこれが300円なのかと心配になってしまうようなボリューム。しかも、この中華丼にも臭みのまったくない醤油が立ったバラチャーシューが1枚入っているという。
あんかけや麻婆豆腐というと、中華料理屋でもいちいち作るのは非効率なので、朝イチで一気に仕込んであとは湯煎保温しておくというのがよくみられるんですが、これは目の前でじいさんがつくってくれますからね。
体感的には1350円、きどったラーメン屋だと1,500円ぐらいかかるもんが、なんと900円。
信じられない。
アンビリバボーや。
もう、「要チェックや」とはこのことですよ。
この1杯を食べるために逗子にくる価値があるし、釣りにきた帰りであれば釣果などどうでもよくなる味。
値段の問題ではないですが、これも店主の人柄というか生き方を示しているような気もするのです。世の中、儲けるのはまったく悪くないですが、価格っていうのはオーナーのスタンスだとおもんですよね。
なぜカウンター4席なのか。
たいして儲からんだろうに、この味は国内有数やで、と毎度思いながらこの中華そばをすすっています。
或るとき、店のTVに東京の有名店のすんごい値段が高い老舗のしなそば屋が登場していたんですね。
店主がそれをみて、「へぇー、すごいねー」みたいに感嘆していたんです。それも、心から凄いものをみるように。
カウンターで麺をすするわたしは、じいさんのつくる中華そばは、あの店の何倍も旨いもんですよ実際、と伝えたかったわけです。
今日も、大きな声でごちそうさまをいって、店を出ました。
追記:中華そば大盛も満足度が高い!
松栄楼の中華そばは600円。麺の大盛は+100円。
とんこつらーめんなどの満足度とは異なるんですが、チャーシューも+1枚の合計4枚になり満足度抜群。
写真をみているだけでもまた食べたくなります…
今回のめしや
松栄楼
神奈川県逗子市久木4丁目3−1
ORETSURI釣り場メシ・レビュー評価
★★★★☆4.5
ラーメン1杯が高騰している世界にて、昔ながらの価格で至高の1杯を提供してる店。ビジネスの成功とは関係ないところにありながらも、提供している料理が
※レビューは5点満点。①人②味③空間の3要素について筆者の圧倒的な主観で取り決めています。どんとこい。