船釣りをはじめ、これからも続けようという人は、次第にマイロッドが欲しくなってくるはず。
毎回異なる道具を使うという手軽さに対して、自分が選んだ道具を使いこなしていくと平均釣果も上がりますし、道具愛も湧いてきます。
今回は船釣りの1本目として選ばれやすいシマノ「ライトゲームBB」とダイワ「ライトゲームX」について、8つの観点から比較します。
2大釣り具メーカーのエントリーモデルについては、「何がどう違う」のかあまりわからないまま、ブランドイメージのみで購入している人も多いと思います。
また、ベテランに「オススメの船竿」を聞いてもロジックが明確じゃないということもあります。
本記事でライトゲームロッド比較の不確かな検討ポイントを明確にしてみましょう!
<本記事の結論>
- 「価格面」「丈夫さ」「デザイン」重視の場合: ダイワ・ライトゲームXがオススメ
- 「感度(シャキッと感)」:シマノ・ライトゲームBBがオススメ
▼釣りをはじめたばかりの方で、船竿についての比較項目を理解するためにはまず船竿全般の解説記事を読んでおいてください。
①ラインナップの特徴比較
はじめに、それぞれの商品ラインナップを比較します。
ダイワ・ライトゲームX(2020年モデル)
シマノ・ライトゲームBB(2019年モデル)
ダイワ(ライトゲームX)が10モデルに対して、シマノ(ライトゲームBB)が10モデルです。
ライトゲームXは以前6モデルだったのですが、2020年モデルからより細分化されています。
まとめると以下の通り。
- ライトゲームX:6:4と8:2のアイテムが2つずつ。7:3調子が6つ。M~HHクラスまで。錘対応120号までのモデル。73MH-225以外は1.9mに統一
- ライトゲームBB:6:4が2つ、8:2が3つ。7:3が5つ。M~HHまで対応。錘対応120号までのモデル。全長がやや長め(1.95~2.25m)
さらに、シマノについては、「ライトゲームBBモデラート」に錘負荷200号まで対応できるモデルがあります。
もともとダイワは必要最低限のラインナップでライトゲームX(6モデルM~MHクラス100号まで)を展開していました。
2019年モデルでシマノのライトゲームBBが長さとオモリ負荷でより多くのシチューエ―ションに対応しました。
そのことにあわせてか、ダイワも2020年でに力をいれ、ラインナップを広げてきている印象です。
②全長比較
ロッドの長さは、以下の通り。
- ダイワ:ライトゲームXは73 MH-225以外は1.9mに統一
- シマノ:ライトトゲームBBは1.95mを中心に、1.90m、2.0m、2.25mの4種類
汎用ライトゲームロッドは、電車釣行等のユーザーも想定されているため、両者仕舞寸法は1m程度。
2ピースで持ち運びやすい長さは同じです。
違いとしては、シマノのライトゲームBBが1.9mだけでなく、1.95m、2.0m、2.25mのモデルを複数作っている点にあります。
ダイワ・ライトゲームXとシマノライトゲームBBともに2.25mは旧型ではない長さです。
やや長めの竿は手持ち以外に、置き竿での仕掛けの安定、食い込みの良さ、タナの取りやすさ(マゴチ)につながります。
<全長比較のまとめ>
- シマノのライトゲームBBは1.95m以上のモデルが多い
③カーボン含有率の比較
表A:錘号数と調子を目安に比較した表。対応するものがない場合、近しいモデルを当てはめています
釣り竿でメインに使われる素材はカーボン(炭素繊維)とグラス(ガラス繊維)です。
また、そしてそれぞれの素材を安定させるためにレジン(樹脂)が使用されます。
大まかに比較すると、カーボンは軽量で感度にすぐれ、グラスは重く感度は低いものの、食い込みの良さ、粘りや強度という点で優位性があります。
釣り物や釣り方によって変わってきますが、カーボン主体のロッドが多い理由は、軽量で感度がより良いものが消費者に求められているからです。
特にライトゲームの釣りは常に手持ちでいることが多く、軽量両軸リールと組み合わせたときの合計重量が軽いほうが疲れにくいといえます。
これは、リールの重さ・装着位置により持ち重りという要素はありますが、わかりやすいポイントです。
上記表Aをご覧いただくと、ダイワの「ライトゲームXシリーズ」とシマノの「ライトゲームBB」では、シマノ製品のカーボン率が高いことがわかります。
シマノの旧型ライトゲームBBは軽かった
シマノ・ライトゲームBBの旧モデルは上記図のように、ライトゲームXに対して軽量でした。
一方、2019年モデルのライトゲームBBは、「ハイパワーX」を取り入れるなどし、全体重量での逆転がおきています。
※ハイパワーX:ブランク外側をX状にカーボンテープで巻き上げ補強する技術。強度があがる
※ライトゲームXの穂先がチューブラーなのも重量差に関係している
オモリ号数と調子が近しいアイテムを比較。ライトゲームBBの新型はやや重量が増している
強度以外にも、X状のカーボンテープ仕上げは見た目にも美しく、所有欲を刺激します。
これは、もともとダイワのライトゲームXに「ブレーディングX」が用いられていた(シマノはミドルエンド以上で用いていた)のに合わせたのかもしれません。
カーボン含有率のメリットについて言及してきましたが、あえてグラスや樹脂の割合を高めることで耐久性を高めたり、食い込みを良くするなどの観点もあります。
「ダイワのライトゲームX」と「シマノのライトゲームBB」を持ち振ってみると、ライトゲームBBのほうが比較的全体的にシャキッとハリがある作りです。
ライトゲームXは手に持つと全体的に粘りのある感触です。
<カーボン含有率の比較まとめ>
- シマノはカーボン率が高く、ハリがあり感度に優れる。ダイワは全体的に粘りがある調子(より折れづらい)
④穂先の比較
ライトゲームXの穂先断面。製品ページでは言及されていないがチューブラー
ダイワのライトゲームXはチューブラー穂先、シマノのライトゲームBBはグラスソリッドの穂先です。
旧型のライトゲームBBにはチューブラー(穂先の内部が空洞)もありましたが、現在はソリッド穂先で統一されています。
カラーについては以下の通り。
- ダイワ(ライトゲームX):黒系ソリッド穂先にスレッドが蛍光色オレンジ+赤系
- シマノ(ライトゲームBB):銀系ソリッド穂先にスレッドがメタリックな赤
人によるとは思うのですが、ライトゲうームBBのシルバーはライトゲームXの黒系統よりは見やすいものの、白よりは見づらい気がします。
また、デザイン面では穂先の色が変わらないダイワのライトゲームXのほうがシャキッと見える印象です。
また、注目したいのは先径(穂先の太さ)の違いです。
シマノ・ライトゲームBBの元径はカタログに公開されていない
シマノのライトゲームBBは先径1.0mmに統一されているのですが、ダイワは先径1.0mmから1.6mmまでのラインナップがあります。
全体的にみて、シマノのライトゲームBBのほうが穂先が細いため目感度という点で高感度です。
同じオモリ号数対応でも、より軽いオモリに対応し、微妙なアタリも捉えやすくなります。
先径が細いデメリットは穂先巻き込みなどに対して折れやすいという点です。
上位機種と異なり穂先に特別な補強がなされているわけでもないため、ライトゲームBBは特に穂先折れに注意して扱いましょう。
ダイワは上位機種のアナリスターライトゲームではカーボンソリッドで先径0.8mmが中心。
エントリーモデルは感度より丈夫さとコストカットに重きを置いているのでしょう。
ダイワ・ライトゲームX系の穂先
シマノ:下が19ライトゲームBBの穂先。上が前モデル。スレッドがメタリックっぽくなり、やや高級感
<穂先の比較まとめ>
- ダイワのライトゲームXはチューブラー穂先、シマノのライトゲームBBはソリッド穂先
- デザイン上はブランク全体の黒系が穂先まであるライトゲームXのほうが統一感がある
- 穂先はライトゲームBBのほうが繊細で、感度が良いが破損しやすい
⑤ガイドの比較
ライトゲームXの穂先は、ライトゲームBBより糸がらみしづらい斜め形状(LDBガイド)
ライトゲームBB・ライトゲームXともにガイドリングの素材はトップガイドのみSiC、その他はハードガイドのため違いはありません。
またガイドフットはステンレスでこちらも変わりがありません。
船釣りの場合、サルカンの巻き込み等でTOPガイド部分に瞬間的な衝撃が生じますが、SiCガイドであれば安心ですね。
船で使う用途であれば、TOPガイド以外はSiCガイドでも機能的になんら問題ありません。
さて、違いは穂先部のガイド形状です。
ダイワのライトゲームXは2020年モデルから穂先に糸がらみしづらいガイド形状(傾斜)が採用されています。
<ガイドの比較まとめ>
- ソリッド穂先に傾斜ガイド(LDB)をつかっているダイワ・ライトゲームXのほうがPEライン絡みのトラブルは少ない
⑥ブランクスの仕上げ比較
旧モデルのシマノ・ライトゲームBB(モデラートを除く)には、X状のカーボンテープ補強がされていませんでした。
2019年モデルではソリッドティップ手前まで、「ハイパワーX」による補強がされています。
ダイワのライトゲームXについては、バット部分のみ「ブレーディングX」という技術でカーボンテープで補強がされています。
それぞれX状のカーボンテープ補強の効果としては、ロッドのねじれが軽減され強度があがりコントロール性もよくなります。
また、見た目にも影響します。
こちらはダイワの「ブレーディングX」。バット部分のみ
ライトゲームBBの19新モデル(下側)はソリッドティップ手前まで補強されている
<ブランク仕上げの比較まとめ>
- カーボン含有率に加えて、ライトゲームBBのほうがソリッド穂先手前までX状テープで補強されているのでシャキッと感がある。
⑦リールシート(グリップ)の比較
以前はシマノのみ2パターンのリールシートでしたが、現行モデルはマルチパーミングシートのみに変更されています。
グリップ&リールシート部分、そしてバットセクション部分はダイワのライトゲームXがデザイン的にも優れている印象です。
ダイワ
ダイワのライトゲームX。上が旧型、下が新型。あきらかにかっこよくなっている
シマノ
ライトゲームBBのマルチパーミングシート。上が旧型、下が新型
旧型ライトゲームBBの『TYPE73 H200』と『TYPE82 H190』は富士工業のDPSだった。
<リールシートの比較まとめ>
- ライトゲームXのほうがデザイン性に優れる(主観)
⑧値段の比較
次に気になる価格面の差をみていきましょう。
2020-05-16時点のAmazon価格
Amazonの場合、モデルによって価格変動が日々起こるものですが、上記の通りの差があります。
基本的にライトゲームBBが~2,000円程度高めなのですが、モデルよっては大差がない価格であったりします。
これはカーボン率が高い点、ソリッド穂先手前までX状テープ補強されている点などがある点を考慮するとよいでしょう。
<価格比較まとめ>
- ライトゲームXのほうが安価なことが多い
ライトゲームXとライトゲームBBどっちがオススメなの?
ここまで新型の「ライトゲームX」と「ライトゲームBB」を8つの観点から比較してきました。
では、どちらがお得なのでしょうか。
ここまで見てきたチェックポイントから判断すると、以下の考え方ができそうです。
- 「価格面」「丈夫さ」「デザイン」重視の場合: ダイワ・ライトゲームXがオススメ
- 「感度(穂先の繊細さ・全体的なシャキッと感)」: シマノ・ライトゲームBBがオススメ
個人的には、感度が高くシャキッとした竿が好きなのでシマノのライトゲームBBを選んできました。
置き竿を考慮した長竿のラインナップも魅力です。
が、デザイン性や丈夫さは明らかにライトゲームXがいいなーと考えています。
他に竿の扱いになれていないビギナーの場合、穂先折れが頻発することから、対策としてはより穂先が太いライトゲームXを選ぶのもよいでしょう。
スペックの数字以外で好きなメーカーを選ぶのも重要
他にも以下の観点で船竿を選ぶのも一つです。
リールのメーカーと合わせて選ぶ
ロッドとリールのメーカーは合わせたほうがバランスがよいですし、デザイン上の調和感も高いことがほんとんどです。
わたしもダイワ×シマノという組み合わせをすることがあり、問題なく使えることがほとんどですが、やはり同一メーカーのほうがしっくりきます。
好きなメーカー・デザインで選ぶ
スペックやロジック云々ではなく、「自分はダイワが好き」「シマノが好き」という理由で選ぶのもよいと思います。
あなたが道具にどれぐらい思い入れをする人かわかりませんが、しばしばマイロッドは釣り人にとって特別なもの。
自分の手に持って愛着をもてるもの、釣りをしていて、しっくりくるメーカーというのはやはりあるはず。
これはデザイン面も同様です。
もとめるスペックに達していて、その値段が妥当でも、デザインが気に入らないアイテムを持つのはどこかしっくりこないものです。
スペックや価格だけでなく、自分がこれから使うロッドとしてカッコイイ(女性の場合はかわいいが入るかも)と感じられるかどうかは重要です。
まとめ
今回はダイワの「ライトゲームX」とシマノの「ライトゲームBB」について様々な観点から比較・解説してきました。
船釣りの入門ロッドとしても最適な両者。
あなたにとってこの記事が最初のマイロッドや次の1本を選ぶきっかけになれば幸いです。
▼ライトゲームXとライトゲームBBの比較をTwitterでまとめました!
【他で読めないライトゲームロッド(船竿)比較】
唯一神Googleで「船竿 選び方」などで検索すると、全く参考にならない記事がヒットしますね。ふざけんなこのやろいいますわ、うちの社員だったらなぐってますわ、よくわかります。
どういうことか。…
— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 13, 2023
関連アイテム
アジ・ライト五目釣りなどをはじめとして、浅場のライトゲームの釣りをはじめる場合のおすすめは以下の通り。
- ダイワ:ライトゲームX73 MH-190(オモリ負荷30-80号)
- シマノ:ライトゲームBB TYPE73 MH195 or MH225(オモリ負荷20-80号)
80号まで対応のライトゲームロッドであれば、やや重めのオモリをつかうタチウオやアマダイでもオモリ負けせず使用できます。
ライトゲームX、ライトゲームBBともに、73調子のMHクラスで195cmと225どちらが良いかについては以下の通り。
- 195cm:ライトアジで手返しを上げる。ライトタチウオでしゃくる際に海面から穂先を離したい
- 225cm:マゴチをやる。置き竿をすることが多い
最初の1本に選ばれる73調子のM・MHクラスの釣り物おすすめは以下の通り。
- M:ライトアジ、メバル、マゴチ
- MH:ライトアジ、マゴチ、ライトタチウオ、ライト五目(ウィリー)
ちなみに、ライトアジなど40号程度の仕掛けを使う場合は、Mクラスのほうがアタリをはじきにくくなります。
ビシのしゃくりやすさはMHが上です。
マゴチについてはMでもMHでも先径の太さは変わらないのでよいですが、バットがより強いMHのほうがしっかり合わせられます。
▼シマノのライトゲームBBとライトゲームXについては旧型モデルもあります。Amazon等での購入は「19ライトゲームBB」「20ライトゲームX」を選びましょう。
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