いざ船釣りをはじめるときに水深100m以浅の小物釣りからスタートする人がほとんど。
このときよく選ばれる竿は「ライトゲームロッド」です。
貸竿に多いグラスソリッドの竿と比較して、ライトゲームロッドはカーボン主体で軽量で使いやすく、感度もよい竿。
女性や子供が船釣りをはじめるときも持ち重りせず、軽量小型両軸リールとあわせると釣りがさらに快適になります。
ダイワからは「ライトゲームX」、シマノからは「ライトゲームBB」があり、やがて多くの釣り人はどちらかを購入して船釣りを楽しむようになります。
今回は、新しくリニューアルしたダイワのライトゲームXについて、旧モデルとの変更点や競合ライトゲームロッドとの比較を解説します。
ライトゲームXシリーズについて
ダイワのライトゲームXは「ライトゲームX・R」という名称で2020年10月にリニューアルしました。
2021年3月に「ライトゲームXS」(変則3ピースモデル)が登場しています。
「ライトゲームX・R」は旧型のライトゲームX(6アイテム)と比較してラインナップが10に増え、より広い釣りに対応できるようになりました。
<旧型ライトゲームXのスペック>
<新型ライトゲームX・Rのスペック>
<ライトゲームX・Rのおすすめ対象魚表>
出典:ダイワ
6:4調子、7:3調子、8:2調子に分かれ、10モデルが販売されています。
- 6:4調子:食い込みと仕掛け安定性が高い(バットのネーム部が赤)
- 7:3調子:操作性と食わせのバランスがよい(バットのネーム部が青)
- 8:2調子:感度と合わせがしやすい(バットのネーム部が緑)
これから船釣りをはじめる場合、ラインナップが多いので迷う人も増えると思います。
全体から考えずに、一部から選ぶとよいと思います。
東京湾や相模湾などで、より万能的につかうのであれば、190㎝のMHクラス(オモリ負荷30-80号)を手に取ればよいでしょう。
- 73 MH-190 対応オモリ30-80号
オモリが対応していなくても問題なく釣りができる釣り物もあります。
一方、以下のような釣り物は経験するうちに専用タックルや別のライトゲームX・Rを選びたくなるはずです。
- マゴチ:15号オモリの着底をもっと感じられるようにしたい。微妙な前あたりをさらに感じたい。やや長めのほうがタナとりしやすい
- エビメバル:すこし長い竿のほうが仕掛けを扱いやすく、食い込みをよくするのに6:4調子がよい
- タチウオ:餌をしっかりうごかして、かける釣りをするならば8:2調子がよい
- エギタコ:タコのノリと根がかりの判断がしづらい。大型のタコを底からはがせない
- カワハギ:アタリがとれないので、どうしても向こうアワセの釣りになる
ライトゲームX実機インプレ
ここからはライトゲームXの実機インプレです。
こちらはライトゲームX73・M190。
MHに比べて、15号オモリを使うマゴチはやりやすい竿です。
アマダイの釣りで50~80号のオモリをかつぐと、ちょっとオモリ負けしてしまうので、その場合はMHのほうが適しています。
グリップ。
ナット部分に高級感が加わっています。
上が旧型のライトゲームX系(比較対象はマゴチX)のグリップ。
ネーム部分はラメ入りでデザイン性が向上しています。調子によって、赤、青、緑とわかれています。
バット部分は「BRAIDING X」。
ブランクの外側をX状のカーボンテープで補強し、ゆがみをおさえてパワーロスを軽減する仕様。
名称は異なるんですが、今はどのメーカーも標準装備しています。
2Pのジョイント部分は金属による補強。ダイワ特有ですね。
経験上、この部分が割れたり、縦にひびが入ることはほぼないのですが、扱い方によってはたしかに他の部分と比べては割れやすい箇所です。
ティップ部分。
ガイドフットを固定するスレッドは赤系の塗装仕上げ。
TOPガイドのみSiCガイドです。
サルカン巻き込みをしやすい場所なので、強度が高いことはいいことですね。
こちらは旧型ライトゲームXとのガイド比較。
下側が新型なのですが、PEラインが絡みづらいガイド形状に変更されています。
こちらは旧型ライトゲームSSのMクラス(20-60号)とのバットつけねの比較。
白で膨張してみえるというのはあるんですが、もともとのブランクの太さがよりライトになってきているんでしょう。
パーミングした様子。
とても持ちやすいグリップです。
これは特に女性と子供に船釣りを教えるときなのですが、ちゃんとパーミングするだけで負荷が減ります。
旧型ライトゲームXとのグリップ比較。
下が現行のライトゲームX・Rです。
似たような形状なのですが、リールシート下側の指で包む部分がややスリムになっている印象。
▼ライトゲームXで最も汎用性が高い「73 MH-190 」
シマノの新型ライトゲームBBとの違い
旧型ライトゲームBB
実際に購入検討する際にシマノのライトゲームBBと迷う人がほとんどだと思います。
ライトゲームBBは2019年にモデルチェンジしました。
出典:シマノ
どちらをつかってもよい竿なので満足するとは思うのですが、見た目以外には以下のようなチェックポイントがあります。
- カーボン含有率の違い(張りと粘り)
- 対応オモリ負荷の違い
- 先径の差(目感度、穂先の強度)
「カーボン含有率が高い=よい竿」というわけではないのですが、比較的軽量でシャキッとした竿になりがち。
カーボン含有率が下がると、同時に使われるグラスの特徴である粘りが顕著になり、より折れにくい竿ができあがります。
同じライトゲームロッドでも、設計思想の違いがあるのでしょう。
シマノ・ライトゲームBBは比較的シャキッとしていて、ダイワのライトゲームXは粘りが強い印象です。
またシマノ・ライトゲームBBはMクラスをオモリ負荷(15-60号)としています。
買う人からすると「15号~」という数字が入っているだけで、マゴチのバランスシンカー15号にあうのはこちらだろうなーと思うのではないでしょうか。
このあたりは、決めの問題でもあるかもしれません。
ダイワはMクラスの表記を15号~とするだけで、だいぶ購入する側の心理的ハードルが下がる気がします。
またダイワのライトゲームXとシマノのライトゲームBBでは先端部のグラスソリッドティップの太さに差があります。
ライトゲームXは多くのモデルで先径1.6mmですが、ライトゲームBBは先径1.0mmです。
この差はどこにでるのでしょうか。
実は以下の部分に差がでます。
- 穂先の目感度:ライトゲームBB
- 穂先の強度:ライトゲームX
はじめての一本の場合、TOPガイド付近に道糸が絡むことで穂先が折れるということが散見されます。
比較的ライトゲームBBは穂先が折れやすいのですが、ライトゲームXは先径が太めなので折れにくいというメリットがあります。
感度より丈夫さを望むのであればライトゲームXがおすすめです!
▼シマノライトゲームBBで最も汎用性が高い「TYPE73 MH195」
アルファタックルのフネタツライトゲームとの違い
フネタツライトゲームは、ライトゲームX・ライトゲームBBと比較しても数千円安価に購入できるライトゲームロッドです。
出典:アルファタックル
主要な釣り物に対応して、クセがなく使いやすいロッドです。
特徴は以下の通り。
- TOPガイドがSiCでない
- カーボン含有率が高い(98%)、同スペックのライトゲームXorライトゲームBBより軽量
- 対応オモリ負荷の違い(10号~など、より軽量オモリに対応)
- ガイドが小口径(高感度ながら、ガイドつまりで穂先の破断につながることも)
- スモールトリガー(操作性は高いが、竿の落下原因になりやすい)
- X状のカーボンテープ補強なし
この中で、実釣で気になるところは小口径ガイドあたりぐらいです。
リーダーを組むと、つまりやすく、リーダーの号数によってはストレスに感じます。
▼フネタツライトゲームで最も汎用性が高い「73-195M 」
まとめ
今回は、新しくリニューアルしたダイワのライトゲームXについて、旧モデルとの変更点や競合ライトゲームロッドとの比較を解説しました。
どの竿が一番よいのかは、使う人によって変わってくるかと思います。
- 比較的粘りがあってラインナップが多い、ダイワのライトゲームX
- 比較的ハリがあってオモリ負荷15号から対応している、シマノのライトゲームBB
- シンプルながら軽量で1万円を切る、フネタツ・ライトゲーム
ちなみに、ライトゲームBBもライトゲームXも実売価格は似たような価格帯になってきました。
お互い旧型同士での勝負では、ライトゲームBBがライトゲームXに比べてやや高値でした。
両社ともにスペックをあげ、やや値段をあげてきている感があります。
このあたりは、外装などをよくし、パーツのスペックをあげる高付加価値路線で売ったほうが利益率が高くなるという共通の考えなのかもしれません。
何を使っても釣りが上手くなるわけではないのですが、自分にあった1本を選ぶ参考にしていただければと思います。
平田(@tsuyoshi_hirata)
関連アイテム
▼ライトゲームXで最も汎用性が高い「73 MH-190 」
▼マゴチをやるなら「73 M-190」のほうが15号オモリの着底を感じやすいかも。もしくは20号オモリをつかいましょう!
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