イナダを食べるときは期待値調整が大事
イナダはブリの若魚。関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリという順に呼ばれる出世魚でもある。
人間であれば、ワカシが小学生・中学生なら、イナダは高校生ぐらいのイメージをもっている。なぜそう思うか?なんとなくね。見た目がね。
舌が「脂」になれている今日では、さらに成長したワラサやブリと比べると「脂が少ない」とされている。そのため、あまり好まれないこともしばしば。これは食味の「期待値調整」の問題だと思う。
釣り上げた魚を人にシェアするときも、自分で食べる時も期待値調整はしたほうがいい。
失敗しないイナダの食べ方は2種類だと思う。
- 脂ノリの未熟さをポジティブにとらえて、さっぱり食べる
- 調理によって油分を足して、満足度を上げる
人にあげるときは、「イナダはブリの若者で、まだ脂がのっていないので、さっぱり食べるか、揚げたり油をつかう料理がオススメ」と言おう。これをいっておくだけで、イナダをもらった人の印象は変わると思う。
イナダの下処理について
こちらは釣り上げたイナダ。
青物全般そうだが、血液量が多い。そのため、血抜きは必須だと思う。
おかっぱりでも船でも、だれになんと言われても血抜きはしたい。神経締めをしないまでも、血抜きだけでも、持ち帰ったあとの保存性が高まる。
それと、入れ食い状態のときにてきぱき処理をするには、延髄部分をカットするのがスピーディだと思う。エラの頭部側の付け根に調理バサミを差し込むというのが安全。
ということで、こちらが持ち帰ったイナダ。二人分持ち帰ったので量が多くなったので、逗子に住んでいる人にシェアすることに。
こちらは棒身状態にしたイナダ。
- うろこを落とす(数が多くなりがちなイナダはすき引きじゃないほうがよさそう)
- 頭を落とす
- ハラワタを抜く
- 血合いをきれいに洗い流す
- 水分をぬぐっておく
この状態にすると、保存性が比較的高い状態と料理がしやすい状態で人にあげられる。
イナダなどの青物類は、三枚におろしたり、皮をすくと、血合い部分の赤色が酸化して茶色になってしまうので注意したい。これは1日で色が変わってしまうし、みためが美味しそうではないし、雑味やニオイも増える。
2日寝かしたイナダを料理する
ここからは自宅で消費していったイナダの料理を紹介する。
一番デカかった1キロ前後の個体
自宅で食べるイナダは内臓とエラと血合いだけ抜いて、頭部はつけたままにしておいた。
頭も出汁に使うので、梨割にしておく。
ある程度太目で重さのある包丁だと楽。
こちらが頭を落とした身。
身のハリや色艶からいって、よい状態だと思う。
まずは、三枚におろす。
血合い(背と腹の境い目にある赤い部分)の骨は刺身包丁ですきとってしまう。このすいた身も、アラとして利用すれば無駄にはならない。
皮をすく。
「イナダにしては」という言葉をつかってしまうと失礼だけども、適度に脂のツヤが光る身だった。
血合いも美しい。
イナダのラー油ポキ丼のつくり方
まず一品目はイナダをつかったハワイ料理。
「ポキ(ポケ)」は、刺身をヅケにするが、しょうゆだけでなくごま油やニンニクなどでつけこむもの。ハワイでは、シイラやキハダマグロが有名。
さっぱりした身に油分をたしつつ、味にパンチをつけられる料理だ。
まず、片側のサクを1~2cmに細く切り分け、それをぶつ切りにしていく。
そして、あらかじめORETSURI秘伝のポキソースを作っておく。といっても、すぐできるからその場で用意してもいいと思う。
材料については以下の通り。メモの用意はよろしいか?
- しょうゆ
- みりん
- きび砂糖
- すりごま
- かどやごま油銀印(業務用濃味。だまされたとおもって大容量で買うべし。)
- かどやごまラー油(シンプルごま油界の超新星。ほかに食べるラー油などでもよい)
- 葱(今回は長ネギを使用)
- すりおろしにんにく&しょうが(できれば自分ですりおろしたほうが風味がいい)
- フライドエシャレット
- わさび(ちょっとお高いハウスの料亭生わさびを利用。混ぜ物はあるが無香料
- 胡椒
- コリアンダーパウダー
以上。
分量は、なんでもよいと思う。醤油だけ入れすぎるとなくので、すこしずつ調整しておこう。
最低限、しょうゆ、ごま油、すりおろしにんにく、すりごま、わさび、砂糖あたりが合わさっていればなんとかなるので、冷蔵庫と台所にある装備でOK。
野菜を入れる場合は、トマト、アボカド、セロリ、玉ねぎが相性がいい。
おい、正気か?ノーマルチューブわさびの2倍以上のお値段だぞ
あとは、身をつぶさないようにフェザータッチで和える。
和えた様子。
この時点で食べてみよう。
・・・
うまい!
シンプルなイナダの身にニンニクと生姜のパンチが加わり、ごま油がまろやかさを高めているよね。
和えたものをすぐ食べてもいいし、しばらく寝かしてもいい。
こちら翌日。
身がしょうゆ色になってきている。
ここで、一つまみしてみよう。
・・・
うー・まー!
思わず叫んでしまった。
身のたんぱく質がとけて粘度をもってモチモチしている状態。
いいぞいいぞ。実にいい。手仕込み感がある。
完熟をすぎた「老アボカド」は栗のようなニオイになり味も落ちるので注意
ここで程よく熟したアボカドを大ぶりにカットして投入。
なぜ、このタイミングでアボカドを入れるんだろう。
そうおもった人もいるかもしれない。
何を隠そう、アボカドは崩れやすく色が変色しやすいので、後入れして色味を活かしたほうがいいのだ。
と、いうのはホントだけども、実は前の日に買い忘れただけで、翌日買い足しただけでもある。オーライオーライ、結果オーライ、どんなもんだい。
アボカドも角が崩れないように丁寧に和える。
今回はイナダのラー油ポキ丼ということで、白飯に盛りつけてみた。薬味は万能ねぎとパクチー。それにコリアンダーパウダーがふってある。
圧倒的な武力によって、イナダとアボカドに包囲制圧される白飯。
UPで見せたろか?
こちら。
もはや白飯が見えないこのどんぶり。
ポキ丼は、スプーンをつかって盛大にかきこむのがオススメ。
いただきまーす!
ってな具合に1分30分秒以内に空気ごとかきこんだ。旨過ぎる。胃袋が盛大に喜んでいる。満足感が強い。
考えれば、
たんぱく質、脂肪、炭水化物がすべてあわさっているから、それ故の満足感なんだろうな。
ということで、白身、赤身ともに、さっぱりした生魚に味をたしてどんぶりでかきこむためには、このポキという調理法がオススメ。
ラー油を加えると、食欲が増すし、仕上げにレモンをしぼってもいい。なんだったら、追いラー油もいいと思う。
細かいところはあんまり気にしないで、お好みのラー油や調味料でアレンジしてみよう。
日清イナダラーメンは、名店中華そば「○○」の味にそっくり
つついてはイナダしゃぶしゃぶ。
これはイナダをさっぱり食べるために最適な料理の一つ。秋になって涼しくなってくると、そろそろ鍋かなと思ったりする人も増えてくると思うけど、それが人間の摂理。
まずは、アラを霜降り処理。
熱湯をかけて、のこった鱗と血合いなどを洗い流す。最後に流水でごしごし。
その後、真昆布でとった出汁で野菜と炊く。
頭部もいれることで、いい出汁がでる。
せっかくなので、有難くいただこう。
つや感。
こちらはイナダしゃぶしゃぶと刺身兼用。
包丁を変えたおかげで、刺身もだんだんと上達してきた。イナダやヒラメのしゃぶしゃぶは薄切りにしすぎると、物足りない感があるし、厚切りにすると火を通すための時間がかかったり、身が固くなりやすくなったりと、だいたいこのぐらいのスライスにするのが好み。
まずは刺身から。
いいよね。さっぱりよね。これはこれでうまいよね。すこし感じる酸味もいい。
そして、さっとしゃぶって食べるイナダ。
かすかに残る青魚のクセと油分がぬけて、さらにさっぱり。スッキリ。
ポン酢は奮発して旭ポン酢に、もみじおろしなんだけども、ポン酢はなんでも旨い。
さて。
鍋といえば、残り汁をどう活用するかという話題に行き当たる。
・うどん
・雑炊
→・ラーメン
今回はラーメンで。
こちらは特殊製法で作り上げたカナダ産豚バラのチャーシュー。焼き目が香ばしい。
みためが燃えかけた木材のようで。
自家製チャーシューをカットすると、人はだいたいつまみ食いをすると思う。
一切れいっとくか。
パクパク。うま!
もう一切れいっちゃう?
パクパク。はー、うま!
というのが続いてしまうので注意が必要。
出典:日清
今回の麺は日清の行列ができるラーメン屋さん。2人前の生めん。
これの喜多方ラーメンをチョイス。おそらくビジュアル的に、「喜多方ラーメン坂内食堂」を意識しているんじゃないかなと。
これに、イナダのアラをさらに炊きだした鍋スープを注ぎ込む(葱油添加)とこうなる!
日清・行列のできる店のラーメン
逗子
イナダ出汁と豚と鶏のトリプルスープ。
きたこれ。
さっそくスープからすすってみると・・・
こ・れ・は!
まさかの将門!
「中華そば青葉」にそっくりやんけ!
なんと、何の気なしに、あの青葉の秘密にたどりついてしまったのだった。
中野区野方うまれとしては、なんとも感慨深い。
両親がわかれ、野方の家から栃木の佐野に引っ越し、それから大学生になってもう一度野方に戻り、中野ブロードウェイの「喜多方ラーメン坂内(小法師)」や脇道にある「青葉」になんど通ったことか。大盛だって余裕綽々だったあの頃。
両方の味が好きだったけども、共通点はこんなところにあったのかと。
あれから、故あって、大宮に引っ越したときも、駅の近くのビルに青葉があって、三兄と当時つきあっていた彼女と通ったなと。あのころは何も成し遂げてなかったけど、今も何も成し遂げてない。ああ、しみるね。どうにもこうにも、このスープはよ。ありがとよ、おやっさん。ぐすん。
それにしても、ここに貝系の出汁(アサリ、ホタテ、ハマグリなどなど)をさらにブレンドすればさらに旨いものできあがるだろうなーと思った次第。
麺はほぼ噛まず飲み込み、文字通り、あっ、という間に完食しました。
満腹満腹さようならー!
平田(@tsuyoshi_hirata)
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