アマダイ五目の釣りはゲストも多彩。リリース?持ち帰り?
良型ヒメ。身が水っぽく崩れやすい
東京湾や相模湾で秋から春先まで楽しまれているアマダイ五目の釣り。
この釣りはコマセをまかない釣りながらも、小型のゲストがかなり釣れる釣り。
キダイ(レンコダイ)、アカボラ(ヒメコダイ)、トラギス(各種)、アラの幼魚、マトウダイ・カガミダイの若魚、ヒメ、カナガシラ、ムシガレイ、ガンゾウビラメ、アカタチ、などなど。
まーいろいろ釣れます。
こうした「貴殿」類(ゲストだと思ってください)をみんなどうしてるのかなーとおもって、きょろきょろしてみたところ、8割以上の方が、釣っては「あー、キダイかー」みたいに海にリリースしていたり。
イトヨリダイとかマトウダイの大き目だと喜ばれたりするようですが、だいたい真顔で海に返されているはず。
ここで、魚の始末について、わたしは何もいうつもりはありません。
深場から電動リールで急速に巻き上げられた魚の眼や胃袋は飛び出ているし、リリースしてもカモメの餌か、他の魚の餌になるのでしょう。
これはこれで、めぐりめぐって、また海の資源につながるのだとは思います。海面の戦いでカモメが勝利すれば、やがて糞をして、植物プランクトンの栄養になったり、動物プランクトンがヒャッハー!ってな具合に群がる。海面下に沈んだとしても、死魚を好む魚などゴマンといます。魚じゃなくても、蟹・エビ・貝など、押さえの陣営もバッチリ。
貴殿類がなぜ持ち帰られないかというと、こまごまして下処理がメンドクサイ、身が少ない、水っぽいから料理しづらい、どうやって料理してよいかわからない。
だいたい、このような理由かなと。
今回は、こうしたお悩みをお持ちのみなさんに、アマダイ五目で釣った魚のかんたんな活用法を紹介します。
今回のアマダイ五目で持ち帰った魚は8種類
今回持ち帰った魚たちはこちら。
- カガミダイ
- ヒメ
- アズマハナダイ
- カナガシラ
- アマダイ(小型。中型は別の料理に)
- キダイ
- アカトラギス
- ゴマサバ
8目。
アカボラが混じったら天ぷらにしたいなと思っていたら、ヒメが濃い場所で、トラギス率も低めだった印象。キダイもそれほど釣れず。キダイの群れが濃いときは、ほんとキダイしか釣れないので。底にオモリをおいていても、底潮が吹きあがっていたりすると、キダイ地獄だったり。
ヒメ。うろこが大きく、身は水気が多く崩れやすい。
キダイ。30cm以上のサイズが釣れればきっと喜ばれる魚。塩焼きなどで旨い。
カナガシラ。頭が固い。
貴公は、漫画ベルセルクに出てくる火竜グルンベルトみたいだな。
アズマハナダイ。この魚も、見た目はいいので、30cm以上に育つのであればきっと釣り人に喜ばれた魚。アズマハナダイ船みたいなのが出船していたかもしれない。たぶん、きっと、メイビー。
カガミダイ。もらいもの。とぼけた顔つきだが、骨格が刃の鎧っぽくて特異。体の側面にトゲトゲがある。
大型になれば、ムニエルなどにすると旨いが、小型はリリースされていることがほとんどのようで。
ゴマサバ。
浅場でアジに混じってマサバの大型が釣れている晩秋に、水深100mなどで釣れるのはゴマサバなのか。この個体は自分で釣ったもので、もうすこしデカイ個体をおじさんにもらった。
おじさんのゴマサバがホーミングミサイルと化して、周囲の仕掛けを全部オマツリにした贖罪の意味もあって、「いる?」といわれたわけだ。贖罪のゴマサバ。でもって、わたしは「あ、はい」みたいにもらったのだ。たんぱく質はもらいたい。
目にアニサキスが入ってましたけどね。
アラの下処理
アマダイ釣りで釣れる魚はだいたい、身が緩みやすい。なので、できれば当日に下処理までしたい。
こちらは以下の処理をしたもの。
- 鱗をとる
- 血合いをとる
- エラをとる
トラギスやヒメあたりの、底にいる生き物は胃の内容物に独特の臭いがあるので、身に移らないように処理したい。
さらにゴマサバをぶつ切りにして、霜降り処理。
情け容赦なく、多めの熱湯をそそぎ、祈祷する。
ヌルよ取れろ。
血合いよ取れろ
生臭みは消えろ。
しばらくして熱湯をすてて、流水で、ひとつひとつ、流していく。
とくに残存した血合いや内臓は落としたい。
よし、すっきりした。
「フュメ・ド・ポワソン」って何?炊けばわかるさ。
「フュメ・ド・ポワソン」について言及してこなかったが、要はフレンチのスープベースのことで、魚出汁だと思っておけばいいと思う。
鍋にスパイス、ハーブ、香味野菜をいれて炊く。
<材料>
- タイム
- ディル
- ローリエ
- ホール胡椒
- コリアンダーパウダー
- セロリ
- パセリ
- たまねぎ
- 人参
- 白ワイン
- 塩ひとつまみ
あとは沸騰するまで強火。沸騰してから弱火であまりぐつぐついわないようにしておく。
強火で炊きだしてもよいが、濁るので。白湯気味に仕上げたい場合は強火でサクッと炊きだせばいいと思う。今回は清湯気味に仕上げる。
沸騰してから30分ほど弱火で炊いたもの。
もうこの時点で出来上がりではある。あんまり、炊きすぎると魚のクセやニオイが出がちなので、ほどほどがいい。
が、ちょっと、シャワー浴びてこようかなー。とおもって出てきたらこのとおり。
まーこれはこれでよいんじゃないかな。
あとは濾すだけ。
ザルにクッキングシートやペーパーを敷いて、少しずつスープを入れる。
徳富濾過。
このとき、スープを入れすぎると濁りが出やすい。
出汁殻は捨てるんだけど、もったないと思う人は、ブレンダで砕いてポタージュみたいにしてもよいと思う。ベランダ農業をやってる人は、魚粉にして土に混ぜるのも一つかなと。
▼漫画家の佐藤秀峰さんはいつもアラを砕いてふりかけにしているとのこと。カルシウムたっぷりで、いいね。
そうこうして抽出できたスープがこちら。
角度的に白濁しているようにみえるけども、本当は金色に輝くスープです。なんでもかんでも物事をネガティブにとらえると寿命が縮むぞ。
ということで、できあがり。
すこし飲んでみると、塩気もほぼ入れてないので、澄んだ魚とハーブのスープといったところ。
じゃあ、この「フュメ・ド・ポワソン」をどうするんだい?
っていうと、いろんな料理のベースに使うわけですよ。
- 洋風おでんのベースにする
- パスタソースのベースにする
- ポタージュスープのベースにする
- ブイヤベースのベースにする
- パエリアにいれて炊き込む
- 和出汁+中華出汁に加えてラーメンスープにする(フレンチハイブリッドラーメンができる)
などなど。
使い方は無限大ですね。
下処理の手間は増えるが、いろんな料理に活用できるのでぜひつくってみてほしいところ。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※キダイはキンメダイのように筋肉中に水銀を保有している量がやや多め。妊娠中の方は摂取量に気をつけましょう。80gの切り身を週に2回までが目安とのこと(参考:大阪府)
▼このフュメ・ド・ポワソンをつかって雑魚ブイヤベースをつくってみました。アマダイは入っているかって?秘密ですよ。
関連アイテム
▼ブレンダをつかって野菜ごと砕いてしまったほうが栄養価はとれるかも。