キスことシロギス釣りのエサといえば「アオイソメ」と「ジャリメ(石ゴカイ)」が一般的ですね。
これは、人によって好みは分かれるようです。
釣り船の場合、東京湾のエサは「アオイソメ」で、相模湾は「ジャリメ」が使われています。
実際のところ「アオイソメ」と「ジャリメ」は、どっちが釣れるのか?
今回は「アオイソメ」と「ジャリメ」について、シロギス釣りにおいての優位性を考察していきます。
はじめに結論をお話しすると「アオイソメ」と「ジャリメ」は、それぞれメリットとデメリットがあります。
用途・釣況(活性)・潮色などにより使い分けをするとよいでしょう。
▼アオイソメとジャリメの基本知識はこちら
「エサ持ちの良さ」の比較
アオイソメはシロギスがついばんでもハリに残りやすい
まずシロギス釣りのなかでも、数釣りをする際に重要なのが「手返しのよさ」です。
特に釣り船でシロギスを狙っている際に、活性が極めて高く入れ食い状態になったとします。
この際、キスがヒットしては餌を交換していたら手返しは落ちるので、一回セットした餌で何度も釣りつづけられる方が優れています。
この「エサ持ちの良さ」では、アオイソメがジャリメより勝ります。
イソメはジャリメより耐久力がある
これはアオイソメの方が、体組織がしっかりしているからです。
特に頭部に近い部分は吸い込みにくさはありながらも、一度ハリにかければ残りやすいという特徴があります。
ジャリメの場合、平均サイズが小さく比較的身切れしやすいのです。
そのためシロギスに飲み込まれると餌ごと脱落してしまうこともしばしば。
そうなると毎回餌を変える必要が出てきます。
活性が高いときに餌持ち重視で釣りをするためには、アオイソメが優れているのです。
「食い込みの良さ」の比較
ジャリメは細くて、カットしなくてもサイズが小さい
次にシロギスの活性が低いときや、全体的なサイズ感が小さい場合です。
こうしたときは微妙なアタリに対して「食い込みの良さ」が重要になってきます。
これは、ジャリメがアオイソメに勝っている点です。
ジャリメはアオイソメより細く柔らかいため、シロギスがついばむときに結果的にハリまで飲みやすいのです。
アオイソメの場合、低活性時は締めて体液を抜いたり、細めの個体をつかったり、頭部側をカットして尾側を使うという工夫もできます。
一方、ジャリメと比べて餌をちぎる手間や、カットしたことで動きが鈍くなったり、ハリから脱落しやすくなるというデメリットが出てくるわけです。
以上から、シロギス釣りで「食い込みの良さ」を優先したい場合は、ジャリメを使うのがおすすめです。
「動きの良さ」での比較
シロギス釣りの餌として重要なのが「動きの良さ」です。
アオイソメとジャリメについて考えると、ジャリメの方が細かく激しく動くように感じられます。
餌自体の鮮度・生きの良さという観点もありますが、経験上はいつもジャリメが細かく動いていました。
冬場の低活性時にはオモリ自体を動かさないでも、餌が一か所でかなり動くので、ジャリメが有効かもしれません。
例えるならアオイソメは緩慢に動き、ジャリメはかなり激しく動きます。
濁り潮や曇天・雨天での「気づかれやすさ」での比較
海によって濁り潮の定義は異なるけれど
海域によっても「濁り潮」の定義は異なりますが、潮が濁っていたり、底荒れしてしまっているときはシロギス全般のアタリが遠のきがちです。
これはシロギスが視覚で餌を確認しづらい点があると思います。
濁り潮だけでなく曇天や雨天などで光量が減っているときは尚更なはず。
とはいっても水中でシロギスは餌を探すわけですが、視覚面では、アオイソメが光るとされ目立ちやすいのかもしれません。
また濁り潮では、潮にのって拡散する虫餌のニオイが重要です。
カットの有無や方法にもよりますが、ハリ掛けしたときに出す体液の量やニオイではアオイソメがジャリメに勝っています。
餌の存在について「気づかれやすさ」を考えると前述したジャリメの動きの激しさも捨てがたいですが、総合的な気づかれやすさではアオイソメが勝っているのでしょう。
冒頭、釣り船の餌として、東京湾のシロギスは「アオイソメ」で相模湾は「ジャリメ」という話をしました。
これは、水質的に東京湾がより濁っていて、相模湾が比較的澄んでいるからという考え方もできそうです。
「大型狙い」での比較
大きなキスより小さなキスのほうが数が多く餌へ反応しやすい
シロギスにも「ピンギス」とよばれる小指大程度のサイズから、顔つきのしっかりした25cm以上の巨大サイズがいます。
大きなものは肘を叩くように引き味に優れるため「ヒジタタキ」とも呼ばれます。
シロギス釣りでは比較的数釣り勝負になりがちですが、人によっては大型のキスを狙っているひともいるはずです。
基本的にシロギスは群れていて、活性が高い小型のピンギスから餌を食べてきます。
これは警戒心薄いという点や個体数の数もあり、顕著な傾向です。
そのため、狙い撃ちで大型のキスを狙う際、これらのピンギスが一気に吸い込めない餌とハリのサイズにセッティングする必要があります。
ジャリメは、アタリがあった際に吸い込みやすく「乗りがいい」という話をしましたが、これが大型のキスを狙う際にはデメリットになります。
吸い込みやすい餌ということは、小型のキスやその他の小魚でも簡単にヒットしてしまうからです。
反対にアオイソメの場合は、太さや垂らしの長さにもよりますが、ピンギスの口では一気に吸い込めないわけです。
群れの中に落ちたエサを、大型のキスの吸い込む確率があがるのではないでしょうか。
アオイソメもジャリメも使い方が大切
今回はシロギス釣りで「アオイソメ」と「ジャリメ」どっちが釣れるのか?という点についてそれぞれの特性を考察してきました。
結論としては、「アオイソメ」と「ジャリメ」は、それぞれ有効性があるので、用途・釣況・潮色などにより使い分けをするとよいでしょう。
ふだん何気なくつかっている餌ですが、物理的にもハリと並んで魚に一番近い要素です。
数やサイズを安定的に釣っている人ほど、この餌のチョイスやつけ方にもこだわっています。
最終的には好みの問題ではありますが、シロギス釣りの餌選びの参考にしていただければと思います。
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▼シロギス釣りで餌とならんで重要なのがハリですが、サイズ以外としては流線型が吸い込まれにくく、早掛けが吸い込まれやすい形状です。競技針はバランスが良いのですが、流線よりは飲まれやすい特徴があります。
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