シマノが誇る小型両軸リールゲンプウが2020年にNEWモデルになりました。
今回は、新型ゲンプウについて考察します。
船用の小型両軸リール(水深カウンター無し)の購入検討の参考にしてもらえれば幸いです。
シマノの「ゲンプウ」について
17ゲンプウ。渋い。
まず、「ゲンプウとは何ぞや?」について紹介します。つかったことが無い方も多いと思いますので。
ゲンプウは、シマノから販売されている船用小型両軸リールです。
これは船釣り豆知識なんですが、ネームの由来は「幻風」で、旧モデルはボディに漢字で記載がありました。それはそれで月風魔伝っぽくて個人的には好きです。
旧モデル(17ゲンプウ)のスペック等は、以下の通り。
- 自重205g
- PE1.5号が200m巻ける
- 最大ドラグ力は4.5キロ
- ハンドル1回転で67cmの巻き上げ(ギア比6.3)。所謂ノーマルギア
- 価格5,190円(右巻きのAmazonでの価格)
用途としては、船小物の基本PEである1.5号を200m巻いて、浅場の小物釣り全般をカバーといったところです。
一見安いリールだから巻き心地は今一つなんだろと思っちゃうかもしれないんですが、ギアの滑らかさはシマノだなーという印象です。すごく巻きやすいのでストレスはゼロ。
その堅牢さから、船宿のレンタルタックル用の小型両軸リールのレンタルタックルとしてもよく見ます。そのあたりはプロからみても信頼性が高いのでしょう。たしかにギアもクラッチもそうそう壊れませんしね。
その点、船用の小型両軸リールのスタンダードは、ゲンプウなのかもしれません。
後述しますが、入門者向けの競合製品としては、ダイワの「プリード」やアブ・ガルシアの「ブル―マックス船3」があります。
2020年版「ゲンプウ」のモデルチェンジについて
左が新型ゲンプウ(2020)、右が旧型ゲンプウ(2017)
新しいゲンプウは、2020年4月に販売開始されました。
新モデル(20ゲンプウ)のスペックや旧モデルからの変更点は、以下の通り。
- 自重190g(-15g)
- PE2号が200m巻ける(PE2号+50m)
- 最大ドラグ力は5キロ(0.5キロ)
- ハンドル1回転で59cmの巻き上げ(ギア比5.5)。PG(パワーギア)モデルのみでリリース
- 価格6,000円台(右巻きのAmazonでの価格)
- ハンドルがロング化(55mm。前作は51mm)
- EVA大型ハンドルノブを採用
まとめると以下の通り。
- 軽くなった
- ドラク力もあがった
- 糸巻き量が増えた
- 巻き上げ力が強くなり、巻き上げやすくなった
- 実勢価格は1000円程度UP
ではこのリニューアルの意図はどこにあるのでしょうか。
想像するに、より汎用的に幅広い釣り物に対応できるようにしたということなんだと思います。
たとえばPE3号が130m巻けるのですが、そうなると浅場のLTヒラメやLT泳がせあたりも視野にはいってきます。ドラグ力も高くなったので、青物あたりも問題なくとれるはずです。
あとは、PE1.5号だと260m巻けるのですが、これを1号にすればさらに多くのラインが巻けるはずです。タイラバのドテラ流しなどにも十分対応できることでしょう。
マットブラックの筐体に赤系の金属部分がクール。
正面から。
この赤系カラーは、所謂シャア専用カラーといっても過言ではありますまい。
上から。
17ゲンプウと比較すると、かっこよさが増しているのがよくわかります。
小型でパーミングもしやすい。
2020年版「ゲンプウXT」について
ゲンプウXT
ゲンプウには旧作同様、XTモデルが存在します。
ノーマルのゲンプウとの仕様の違いは、以下の通り。
- 自重195g(+5g)
- PG(パワーギア)モデルに加えて旧機種同様ノーマルギアモデルが存在
- PGモデルは「エギタコ」や「ヒラメ」などのタフな釣り向けのCI4+特大ハンドルノブと60mmロングクランクハンドル採用
- ノーマルギアモデルは55mmロングクランクハンドル+EVA 大型ハンドルノブ
- ベアリング数が3(ノーマルは1)
- 価格9,265円(右巻きPGのAmazonでの価格)
ゲンプウXTを購入する際に見た目以外の要素では以下がポイントになると思います。
- パワーギアでなくて、ノーマルギアモデルがほしければゲンプウXT
- パワーギアモデルでさらに巻き上げやすさ(力をいれやすい)を追求したい
価格面を考えると、特段のこだわりがなければノーマルゲンプウのPGモデルを選べばよいのだと思います。
そのうえで、タコエギやヒラメ、深場の手巻きタチウオなど巻き上げのしやすさを求めるときにはゲンプウXTのPGなのでしょう。
これも勝手な想像なのですが、スプールとハンドルの金属部分のカラーリングにスコーピオンチックな要素が入った気がしないでもないです。前作のゲンプウのハンドルはオレンジだったんですが、あれは好みがありますしね。
前作の地味さ、質実剛健さからすると遊びの要素が入ってよいんじゃないでしょうか。
ダイワのリールや船竿が好きな人の話を聞くと「デザイン」という話が出るんですが、つきつめるとそれはちょっと傾いているカラーリングだったりします。釣り人の「中二ごころ」を刺激するような。ええ、よくわかります。
リールやロッドは所有感を刺激するものなので、そのあたりを分析した結果なんじゃないかなと。
ゲンプウと競合アイテムの比較
この記事を書いている時点での、ゲンプウの競合アイテム(カウンターなし船用小型両軸リール)は、以下の通りだと思っています。
<ノーマルゲンプウと競合するモデル>
- ダイワ「プリード」(類似スペック:ノーマルゲンプウ)
- アブ「ブル―マックス船3」
<ゲンプウXTと競合するモデル>
- ダイワ「フネX」
- ダイワ「フネXT」
ノーマルゲンプウと直接競合する価格帯での新作(たとえばNEWプリード、ブルーマックス船4)は出ていないので、低価格帯での1台目などは、20ゲンプウを買うのがよいでしょうね。基本スペックもすべて上ですし。
ハイギアモデルがほしい場合は、ダイワであればプリードの「150SH-DH」や「リザルト」、アブの「レッドマックス船3」という選択肢です。リザルトは価格面からいって、プリードやレッドマックス船3を買った方がお得な気もします。個人的にはレッドマックス船が好きです。
ゲンプウXTについては、ダイワ「フネX」と「フネXT」との比較になるかと思います。
このあたりはもう好みの問題な気がしています。フネXTにはハイギアモデルの「150H」と「150HL」があるぐらいが明確な差かなと。
XT同士で比較して、もし自分で買うとしたらゲンプウXTのPGを買うと思います。
判断要素は①重量-10gと②実勢価格-2,000円という面もあるのですが、最終的にはブランドの好みです。
リールや竿はスペック以外にも使っていてしっくり合うかどうかが重要なので、ブランドの好みには忠実でもよいんだと思います。
キャストをするような釣り(エギタコ・テンヤスミイカ)で使用するならマグフォースブレーキ付きのフネXTのほうがおすすめ。
エギタコモデルではドラグ力も魅力。価格も低価格に抑えられています。
▼ゲンプウXTについてさらに詳しい情報や比較は以下の記事をチェック!
俺たちのゲンプウは引き続きオススメ!
今回は、シマノから販売されている船用小型両軸リール「ゲンプウ」と「ゲンプウXT」の2020年新モデルについて考察してきました。
記事内で、「船用の小型両軸リールのスタンダードはゲンプウかも」という話をしました。今回のリニューアルによって、各社また低価格帯で新作を出してくるのでしょう。
入門者向けの1台はそこを押さえると、次の数台につながるのでマーケティング的には最重要な気がします。ダイワはリアル店舗である「キャスティング」におけるコンサルティングセールスという武器をもっていたりします。
一方、リアル店舗を介さないで最初の1台を買うひともこれから増えてくるのだと思います。
ORETSURIもそういった方が迷わずアイテムを選べるような情報を提供していければよいなーと思うばかりです。
いずれにせよ、各企業が企画力・技術力の粋を競っているからこそ、釣り人は恩恵をうけられるわけです。資本主義さまさまですね。有難い。