シマノ・ゲンプウXTは2020年に新型が登場し、ゲンプウともども多くの釣り人や船宿の貸道具に選ばれている船用両軸リールです。
今回は「ゲンプウXT」のスペックと「ゲンプウ」との違い、競合アイテムであるダイワ「フネXT」との違いについて紹介します。
ゲンプウシリーズの位置づけ
ゲンプウシリーズ。左から17ゲンプウ、20ゲンプウ200PG、ゲンプウXT200PG
ゲンプウシリーズは船小物向けの汎用リールです。
シマノには「小船」というシリーズがありますが、ライトタックル隆盛の今日では使用頻度が少なく、より多くの釣り人がゲンプウを選んでいます。
▼小船はPE3号以上を巻くコマセ真鯛・水深深めの遠征コマセ五目・ノーマルタックル甘鯛などに適している
ゲンプウシリーズは、2020年に新型が登場し、以下の点が2017年モデルより改善されました。
- PGの登場(パワーギア)
- 最大ドラグ力向上
- 糸巻量増加(PE2号200m)
- ハンドル長のロング化
- グリップのサイズと形状(より握りやすく、力を入れやすい)
高性能かつ、釣り物の範囲が広がっています。
ゲンプウは樹脂製ボディですが、ギアやクラッチ部分の剛性が高く、故障もしにくいため、多くの船宿のレンタルタックルとしてもよく見かけます。
実際に2017年モデルについては、わたしも約4年使っていますが、ギアやクラッチ部分は一度も故障したことがありません。
ゲンプウは故障しにくい印象
はじめて釣りをする人に貸すことも多いのですが、「半クラッチ状態でハンドルを巻いたり」なども何度もやられてそれなので、丈夫だなーという印象です。
ゲンプウとゲンプウXTの違い
2020年モデルにおける、ゲンプウとゲンプウXTの違いは以下の通り。
ゲンプウのスペック
ゲンプウ200PG
出典:シマノ
- 200番台のパワーギア(PG)モデルのみ
- ベアリング数1個
- バランサー付きシングルハンドルモデルのみ
- 価格は7,000円前後
- ボディはマットブラック
ゲンプウXTのスペック
ゲンプウXT(200PG)
ゲンプウXT(150)
出典:シマノ
- 150番(ノーマルギア)と200番パワーギアがある
- 150番はダブルハンドル、200番はパワーハンドル
- 両者ボールベアリングは3つ
- 実売価格は9,000~10,000円程度
- ボディはラメ入りブラック
ゲンプウとゲンプウXTって、どちらを選ぶとよいの?
船のライトタックルゲームに最適なゲンプウシリーズ。
では、購入する際はゲンプウとゲンプウXTのどちらを選ぶとよいのでしょうか?
- コスト重視:ゲンプウが2,000~3,000円安い
- 巻きやすさ、回転の滑らかさを重視:ゲンプウXTがベアリング数とパワーハンドルモデルの存在で優勢
ビジュアル面以外では、この観点だけもっておけば大丈夫です。
より安くリールを買いたいと思えばノーマルのゲンプウ。
2,000円~3,000円を上乗せしても、より巻き上げをスムーズにしたいという場合はゲンプウXTです。
ノーマルゲンプウも、旧モデルと比較して、ハンドル形状や長さの変更により、かなり巻き上げがスムーズになっています。
ゲンプウXT200PGはさらに快適です。
パワーハンドルモデルであれば、グリップを手のひらで包んで手首の力ではなく腕全体で巻き上げることができます。
60~80号のコマセカゴやオモリをつかう比較的潮受けする釣りや、ヒラメや青物などを泳がせ釣りで狙う場合は、ノーマルのハンドルだと疲労感が増えます。
一方、パワーハンドルであれば、腕力に自信がない女性でもスイスイ巻き上げることができると覚えておきましょう。
近年人気のエギタコも、タコが張り付いた際に、パワーハンドルモデルのほうが力を入れやすくなるので有利です。
ゲンプウシリーズのネガティブポイントは?
20ゲンプウ200PGと17ゲンプウ
さて。
安くて丈夫で、2020年モデルからさらに釣り物の幅が広がったゲンプウシリーズ。
スタンダードモデルのリールとしてはケチのつけようがないんですが、ネガティブなポイントはあるんでしょうか・・・。
あえて言うならば、二つあります。
メカニカルブレーキのみ
一つ目はメカニカルブレーキのみ搭載という点です。
価格が価格なわけで仕方ないんですけどね。
とはいえ、アブのブル―マックス船とレッドマックス船はゲンプウより低価格ながら、マグネット系ブレーキもついています。
(ギアやクラッチ部分の丈夫さはゲンプウが上だと思います)
ゲンプウXT200PGはエギタコも想定されているモデルなんですが、エギタコはやはりキャストすることで釣果が伸びる釣りです。
特に平場での釣りでは遠投したいところ。
強引にマイナスポイントを上げてみましたが、考えてもそのあたりぐらいな気がします。
2つ目のブレーキ機能をつけてややコストを上げるよりは、ブレーキを求めないユーザー層に、より広く届けるという思想なんでしょう。
ドラグ性能の低さ
これも仕方ないんですが、ドラグをしっかりつかうような釣りには不適です。
ライト泳がせ釣りや、タイラバ、カワハギ釣りなどで大型の個体を弱めの仕掛けて釣るような釣りにゲンプウは難があります。
ドラグをゆるくしても、ラインの出がスムーズではありません。
- ハリ折れ
- 食い込みづらい
- 身切れ
等の原因になります。
繊細な仕掛けで大物を釣りたい場合は上位機種を選んだほうがよいでしょう。
ゲンプウXT200PGとXT150のレビュー・インプレ
ここからはゲンプウXT200PGとXT150の実機をみていきましょう。
手のひら全体で包み込めるパワーハンドル。
ハンドルの側面はつるつるしていて自動車のダッシュボード装飾のような質感。
マットブラックのノーマルゲンプウと比較するとカラーリングがやや派手ですね。
色以外でいえば、筐体のサイズや素材はノーマルゲンプウと同じと思われます。
昔は、GENPUの文字が「幻風」だった時代があり。
正面。
パーミングしたときに赤パーツ部分に指を置きやすいです。
裏面。
旧型ゲンプウ同様、つまみをオープンにするとスプールを簡単に外せます。
この通り。
続いてゲンプウXT150を見ていきましょう。
ハンドルとギア部分以外は200PGと一緒です。
ダブルハンドルといっても昨今のトレンドによりロングハンドル化しているので巻き上げも快適。
ゲンプウXT200PGとXT150どっちがおすすめ?
さて、ゲンプウXT200PGとXT150なのですが、どちらがおすすめなのでしょうか。
釣り物や腕力によって変わってくるのですが、だいたい以下の通り。
<ゲンプウXT200PG>
巻き上げ速度は遅いが、より力をいれやすいタイプ。
- ヒラメ
- エギタコ
- ライトアジ、コマセ釣り(特に子供や女性)
- 深場タチウオ(回収は巻き回数が増え疲れる)
<ゲンプウXT150>
巻き上げ速度はふつうだが、バランスのよいタイプ。ダブルハンドルで操作性は上
- ライトアジ、コマセ釣り(男性)
- カワハギ(ドラグは厳しい)
- タイラバ(ドラグは厳しい)
- 浅場タチウオ(テクニカルな)
「ダイワ・フネXT」と「ゲンプウXT200PG」はどっちがよいの?
ダイワのフネXT150H
パワーハンドルモデルのゲンプウXT200PGと、ドンピシャで競合する機種といえば、ダイワのフネXT(2021年4月にモデル追加)です。
小型両軸リール×パワーハンドルで探すと最終的に比較に残ると思うのでスペックを押さえておくとよいでしょう。
<フネXTの特徴>
従来のフネXTはシルバー主体
出典:ダイワ
- パワーギア(P)モデル、ハイギア(H)モデルに加え、OPモデル(エギタコを想定したモデル)が登場
- ベアリング数は4
- ハンドルは55と60㎜(OP)
- PE2号200m&220m(OP)
- 最大ドラグ力は5キロ&9キロ(OP)
- 重量は205g&220g(OP)
- MAGFORCEブレーキ搭載
- スーパメタルフレーム(AL)
- 価格:10,000~13 ,000円(OP)
もともとフネXTはスペック的にゲンプウXT200PGとは重なっていました。
150Hと150Pが該当します。
違いは、以下の通り。
- ゲンプウXTが搭載してない2つ目のブレーキ(MAGFORCEブレーキ)
- 金属フレーム(スーパーメタルフレーム)
- ハンドル長でゲンプウXTが5mm長い
- フネXTはベアリングが1個多い
- フネXT150PとゲンプウXT200PGの重量は10グラムゲンプウが軽量
- フネXTはハイギアモデルもパワーハンドル
- ゲンプウXTにはハイギアモデルがないので深場狙いでの使用は厳しめ
以上で実売価格差は2,500円程度(フネXTがやや高価格)。
そこに150P-OPモデルの登場によりさらに差がでてきています。
- ハンドル長60㎜でゲンプウXT200PGと同様
- 最大ドラグ力9キロ
昨今エギタコジャンルが人気。
2,000~3,000円の価格差はありますが、キャストをする方は、よりバックラッシュを軽減できるダイワ・フネXT150P-OPのほうがさらに適していると言えます。
まとめ
低価格で安心して使えるゲンプウとゲンプウXT。
最初は、ゲンプウXT推しで構成しようと進んでいたこの記事ですが、調べていくと、ダイワのフネXTのお得感が際立つ内容になっていますね。
ゲンプウXT200PGについては、ダイワのフネXTに、さらなるローギアのOPモデルが登場したことにより、さらに競合優位性が色あせています。
シマノブランドにこだわりがない限り、2021年の小型両軸+パワーハンドルリールの購入場面では、多くのユーザーがフネXTシリーズを選ぶと思います。
それと、カラーリングという点でシマノのゲンプウXT200PGを選んでいた人もいるんだと思います。
一方、新モデルであるダイワのフネ XT 150P-OPはといえば、ゲンプウXT200PGのカラーリングに寄せてきている感があり、心理的なハードルはなくなっているはずです。
(カラーリング自体は2018年発売のダイワ・幻覇王 石鯛 LIGHTも同じよう)
に、似てる!(色)
今後、シマノはゲンプウXTに人気のエギタコを想定した、さらなるハイパワー機種&ブレーキ機構(SVSよりはイージーマグ機構か)の搭載機種を投入してくるのか。
はたまた別モデルのリールを出してくるのか。
やっぱりエギタコを視野にいれたリールについては、テイルウォークのタコ専用リールが売れている例があるので、特化モデルを単独で販売してもよさそうな気もします。
シマノでいえば、上位機種には圧倒的に優秀なパワーハンドルのベイゲーム150があるわけですが、ちょいお高め。
スタンダードクラス×小型両軸×パワーハンドルにおける勝負の穴をどう埋めるのか・・・。
気になる。
このようにダイワとシマノのみなさんが日々切磋琢磨するおかげで、我々消費者はよりよい釣り具を選ぶことができるわけですね。
いつもありがとうございます。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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※ゲンプウXTは17年モデルも販売されていますが、スペック面で劣るので20年モデルを選びましょうね!
▼エギタコ用のフネXTはPE3号付きのモデルも!