どうも平田です。
今回はシマノ「ピットブル12」の使用感を紹介します。
「ピットブル12」は12本編の単色PEライン。
キャストの飛距離を伸ばそうとしたり、潮受けを減らそうとする人が購入するはずです。
しなやかさと、なめらかさを両立。超低伸度ルアーキャスティング用PEライン。
あたりまえなんですが、単色なので船よりもショアでの釣りが想定されているかと思います。
実際につかってみて12本編の恩恵はあるんですが、使い方やシチュエーションなどを考えないとトラブルが多く起きてしまいます。
はじめにいっておくと両軸リールでの「ピットブル12」の使用はトラブルが多めになりがち。
スピニングタックルでの使用を前提にしたほうがよいなーと思いました!
たぶん、購入するといっても8本編までの方がほとんどだと思うんですが、参考になればと。
テンヤスミイカの釣果と飛距離の相関性
飛ばせる人ほどより釣果を出しやすい。状況により船下も大事だけど
相変わらずテンヤスミイカという東京湾マイナージャンルの釣りにハマっているんですが、この釣りで重要なのは飛距離です。
スッテスミイカにおきかえてもよいですし、「投げのスミイカ」をやらない人は、竹岡沖など平場のカワハギ釣りを考えてみてください。
(※カワハギだと投げすぎると手返しが云々というのがあるかも)
スミイカの数が少ないとき、釣り座が不利になるほど飛距離が重要になってきます。
テンヤスミイカをする釣り人をみていると、大体以下のグループに分かれます。
- A:全く投げられない人、あえて投げない人
- B:投げられるが5~10m程度
- C:投げられるが10~20m程度
- D:投げられるが30m程度~
別に投げられるのが正義ではないんですが、やはりみていると平均釣果はDグループに近づくほど高くなります。
とはいえA、Bグループでもポンポン釣る人もいます。
まず船下の釣りをわかりやすく「点の釣り」とします。
潮が流れていれば場が変わるわけで、「点の釣り」をやっていても、船下をやることで常に新しい場所をしゃくることができるわけです。
これは点が動いていくので「線の釣り」。
が、潮がさほど流れない場合、船下をやりつづけても、ほとんど同じ場所をピンポイントにしゃくり続けているだけだったり。
でも、船下をネチネチ攻めているとヒットすることがあります。
これは、おそらくあちこち投げて「面の釣り」を展開するC、Dグループの人(前衛)が遠くから船下に寄せてきたイカなのかもしれません。
つまり潮も動かず不利な釣り座でキャストできないと、潮上側(後衛)の受け皿として「拾う」という釣り方・攻め方がメインになってきます。
考え方にもよりますが、これは「守りの釣り」と呼んでもよいかもしれません。
一方、投げるひとは、どんどん投げては探るので、意外と船下が盲点になりがち。
その点、「どんどん投げたい人の盲点」をあえて突いているのならば、それはそれで「攻め」という観点もありますね。
PE号数と釣り物とのバランス
どの釣り物にも最適なPE号数がある
さて、テンヤやスッテを遠くへ投げるとき、PE2号だと潮受けし、底をとるまでに上潮(うわじお)に持ってかれる場面もあります。
風受けして飛距離が伸びない場面も出てきます。
その点、指定号数MAXのPE2号より細糸であれば、より遠くに飛ばせて、潮をかわしつつ着底位置もより遠目になるわけです。
個人的にもそういった狙いから、もともとPEラインは4本編をつかってましたが、それが8本編みになり、2号主体から1.5号主体になりました。
1度PE1号+リーダー4号でやってみたんですが、千葉側のモンゴウイカ(1~2キロぐらい)が乗った瞬間に高切れしたり、キャストミス時の高切れ(接続部切れ)も起きやすいと感じたのです。
これはもちろんラインが弱っていたという要素もあったかと思います。
なので、今は1.5号8本編に落ち着いてきています。
ちなみに8本編2号だと、多少ヘタって傷があってもさらに安心。
バックラッシュしたときの解きやすさは1.5号より上です。
両軸リールでキャストが苦手な人ほど2号を選んだほうがいいと思います。
実験的に「ピットブル12」を購入
パッケージに光沢感
さて、テンヤスミイカもすっかり遠投派になってくると、より遠投するためにはどうしたらよいかを考えはじめます。
PE1号8本編でどうかしらん。
これ初期のスミイカであればよいんですが、11月以降、400~500gUPの個体も登場してきています。
極先調子であるテンヤスミイカ竿のフルドラグだとそれなりに衝撃もあります。
7:3調子のライトゲームロッドなどでスッテをやる場合とは明確な差があるのです。
それと酷いバックラッシュをしてラインに結び目ができたら再起不能になりがち。
そこで、号数をあまり下げず12本編で飛距離を上げるということを考えたわけです。
飛距離については8本より12本編が有利。
撚糸の数が増えることによりラインの断面が真円に近くなり、ガイドとの摩擦が4本編より少なくなります。
また、素材表面も滑らかになり空気抵抗も少なくなるため、飛距離も伸びます。
4本編み
1投目:47.5→2投目:47.0→3投目:53.0→4投目:46.0→5投目:48.5→6投目:49.0
平均:48.5メートル8本編み
1投目:54.5→2投目:49.0→3投目:55.5→4投目:52.0→5投目:55.5→6投目:55.0
平均:53.6メートル12本編み
1投目:57.0→2投目:51.0→3投目:58.0→4投目:56.0→5投目:60.0→6投目:54.5
平均:56.1メートル
出典:シマノ いまさら聞けない!飛距離実験 4・8・12本編みPE シーバスプラグでどれほど違う?
これはシマノによる実験ですが、8本編と12本編だと平均2.5mの差がでるようです。
意外と小さいと思いきや、その3m弱の範囲に他の釣り人がテンヤやスッテを流せなかったイカがいたら・・・。
そう、そのイカを自分だけ狙えるわけです。
これは小さいようで大きい。
おほほほほ。
ズシン!
想像しただけでスミイカが乗る映像が見えるぞ。
ってことでピットブル12の1.2号150mを買いました。
本当は1.5号200mを買いたかったんですが、Amazonだと送料よろしく系でちょい割高だったんですよね。
12本編のPEといえば、ダイワの「UVFメガセンサー12ブレイドEX+Si」もあったんですが、こちらはピットブル12よりさらに割高です。
もはやプロ仕様というかそういった価格帯。
気になる人もいると思うのでまとめておくと、Amazonプライムだと1.2号150mは以下の通りです。
- 円
マーカー有無の差はあるんですが、同じ号数&m&12本編で1,700円も差があると、ちょっと生粋のダイワ党以外は食指が伸びづらいんじゃないかなーと。
ってことで、まーピットブル12を選びましたね。
どこでもよいことが書いてあるので、ざっと読み
ピットブル12はハリ・コシがある
さて、このピットブル12ですが、手に取るとかなり滑らかな質感なんですが、ちょい固めです。
「ハリがある」「コシがある」という表現が一番ピッタリなんでしょう。
「ランカーサイズのシーバスを何本も釣っているけど、全く不安感がないね。実は初期サンプルは硬すぎた(笑)。時々、バックラッシュしたんだけど、しなやかに改良していく事で問題がなくなった。トラブルがなくなると、ラインの強さが光ってくるよね」
これは製品ページで鈴木斉さんがいってたコメント。
プロトタイプがもっと硬かったのを、トラブルを軽減し扱いやすくするために、だんだんとしなやかにしていった進化してきたみたいです。
ほーん。そうですか。
たしかに硬いラインほど、スプールなじみがわるくなり、ふとした瞬間にラインが一気にふわっと放出されてライントラブル乙というのはよくあります。
今回はオシアコンクエスト200HGに巻いたんですが、1.2号150mを巻くために、PE2号を100m巻きました。
これはシマノの「糸巻量計算ツール」で算出された下巻量PE2号110mよりやや少なめに巻いたもの。
キツキツで巻かない限り、だいたい算出された数字のままにやると巻きすぎになってしまうので、そのあたりの配慮です。
こちらが巻き終わった状態。
テンションは適度にかけて、スプール端にラインも収まっている状態です。
「ピットブル12」を両軸リールで使用した印象
さて、実釣ですよ。
やるき十分。
遠投よろし?
・・・
・・・
・・・
PE死亡遊戯
ちょ、出船前からライン虎舞龍武将がいるぞ。
ひぃぃ。
リーダーつけたあとでラインがスプール軸に巻き付いたアルヨ。
圧倒的な冷静沈着武将
必死だが、腹式呼吸でなんとか落ち着こう。
いやね、なにが起きたのか。
ひとつひとつ話していきますね。
自宅でラインを巻いてリーダーをつけた後に下糸にライン先端が絡まないように、レベルワインドからラインの端をだしてストッパーでとめておいたんですよ。
備えあれば患いなし。好きなことわざです。
でね、カップヌードル味噌味にお湯をいれたものを、ほくほく釣座にもちこみ、出船前にタックルを準備。
そこで、クラッチをきっていつもの通り、ガイドにラインを通そうとしたんだ。
メカニカルブレーキはいつもと同じ設定です。
するとどうだ。
わちゃ。
スプールの回転にともない、巻かれていたラインがブワー!っと一気にでてきたで御座る。
そこで無意識にハンドルをきってクラッチを戻した(たぶん)。
で、そのときに、スプールとリール筐体のスキマにPEラインが入り、スプール軸に絡んで巻き込んだんですね。
オワタン。
ここで通常の釣り人は焦って、ペースを乱してしまうんですが、そこは練度の高い帝国テンヤスミイカ兵たるわたしです。
まずは、冷静になるためカップヌードル味噌味をすすってから事態の対処にあたることにしました。
こまいこまい。
何事もテンパったまま処置するのはよろしくない。
実際はちょっとどうしよっかなーと考えて、カップヌードルが伸びてからすすったわけなんですがね。
とはいえ、やっぱ朝は味噌味がうまい。
味噌ラーメンは世界遺産にしたほうがいいんじゃないかね。
そうこうして朝ごはんを終えました。
で、巻き込んだ部分(傷あり)を10mほどハサミでカットして、再度ラインを通してリーダーを組んだわけです。
お前はなにを言いたいのか。
これはピットブル12のハリ・コシの強さになれないで、クラッチをきってガイド通しをやったのがわるかったんだと思います。
8本編だとそんなにぶわっとしないんですが、このラインはいきがち。
リールに巻く際に、一度糸巻きを真水に濡らしてから超強めのテンションで巻いていくと少しは違うと思います。
つまり製品特性になれていなかったから起きてしまった過ち。
メーカーの説明不足とかではなく、下調べと心構えが足りなかったなと。
・・・
さて、その後、出船して、1時間以内で1杯釣れたんです。
ところが、投げるたびに40%ぐらいの確率で軽度のバックラッシュが起きていたんですね。
頻発するバックラッシュ
けっこうな嫌がらせレベルのストレスです。
トラブルなく投げるのが得意だと思ってるんですが、それでもバックラッシュが頻発するという。
なので、投げるのが得意じゃない人はちょっと釣りにならないレベルだと思います。
これはスプールへのラインなじみがわるいせいなのでしょう。
もってうまれたハリ・コシゆえの特徴。
遠心力ブレーキがあっても、キャストしている最中サミングをしつづけないと、ラインが浮いてかなりの確率でバックラッシュになるという。
そのトラブル以外の飛距離については。実際軽く投げるときは、あきらかに8本編よりスーッとラインが飛んでいく印象です。
とはいえ、投げてから着水するまでサミングをしっかりしつづけないといけない。
それにフルキャストするとラインがキンク(よじれ)した部分が、やがて結び目になることが想像され、そうなると高切れまったなしな状態。
高切れしなくても、余計なトラブルが起きたままの釣りは、精神力が求められるテンヤスミイカには大きな足かせです。
・・・
・・・
・・・
そのうち、テンヤを投げて回収するうちにスプールへのテンションがさらに加わって、ややトラブルも減ってきたんです。
とはいえ、やはりサミングなしでキャストすると起きるバックラッシュ。
そこで気づいたのは40mぐらいラインが出たところに出没した通称「ぴょん吉」です。
ざわ…ざわ…
ざわ…ざわ…
そうPEのキンク部分がいつのまにか結び目になるアレですね。
なんと、最悪の事態が起きてしまった。
そのぴょん吉を軽く引っ張ると結ぶ目が直ることもあるんです。
ってことで、恐る恐るゆっくり引っ張ってみると・・・
ええ、コブにジョブチェンジなさいました。
序盤戦
南無三宝。
ざわ…ざわ…
ざわ…ざわ…ざわ…ざわ…
さて。
このまま、結び目まで切ってリーダーを結びなおすか、それともスペアスプールに巻いたタナトル8の1.5号に改めてリーダーを結びなおすか。
このあたり、新規事業をやっていた人や経営者は特にわかると思うんですが、物事は、はじめるよりも撤退するタイミングが大切です。
優れた人は撤退タイミングをあらかじめ決めてから物事をはじめるといいます。
わたしは会社員じゃないんですが、サラリーマンの場合は、いつやめて次にどうするかをきめて次の会社に入るということですね。
そういった打算的な動き、そういうのはちょっと苦手です。
とはいえ、その時、わたしはどうしたか。
そう、新規事業たるピットブル12の使用継続を凍結しました。
風が強い日は船室のなかでスプール交換とリーダーを組みをやるのがおすすめ
そこでいつもつかっているタナトル8の1.5号にチェンジ。
圧倒的な判断力。
冷静沈着な行動力。
暗黒の大地に雲間から射す一筋の光!
その光を人は希望という!
そう、その後は何のトラブルもなく遠投しまくり、11杯釣れました。
船長も「平田さんほんと11杯?俺が数えていた限りでは13,4杯釣ってたような気がするんだけど?」
となりのおじさま「そうだよ。僕が見ていた限りだと、15,6杯ぐらい釣っていたような?」
という感じに勢いをもって連荘した場面も。
スミイカもたまっている場所やタイミングがあります。
やっぱり飛距離・潮受け云々の前に、ちゃんとバッターボックスに立ってバットを振り続けていられるっていうのも重要ですね。
テンヤが海底になければ、どうやってもスミイカは釣れない。
その点、今後もテンヤスミイカとスッテスミイカは飛距離・潮受け・トラブル回避のバランスからタナトル8の1.5号かなーと思ってます。
ピットブル12はスピニングタックルならよいのでしょう
さて、個人的には扱いづらく、早々に使うのをやめたピットブル12。
冒頭でもいったとおり、そもそも単色ラインで船のバーチカルな釣りは想定していないはずです。
キャスティングルアーということなので、サワラとかシーバス狙いならよいとは思います。
スピニングリールに巻いてつかうんならトラブルも軽減するはずです。
もちろん、8本編よりはトラブルが起きやすいとは思うんですが、両軸リールほどではないはず。
単色ラインをつかうメリット
他にオフショアで単色ラインをつかうメリットといえば、フグなどにPEラインを噛み切られることが少なくなることもあると思います。
特に白い部分があるとよく齧られるとされるんですが、単色ではPE部分はあまり狙われないはず。
まとめ
今回はシマノ「ピットブル12」の使用感を紹介しました。
スミイカの釣りではあんまり使用している人はみないのですが、いろいろ考えている人はどうなんだろうと思うことがあるかもしれません。
両軸リールの場合はちょっと辛い。
やや太目か、サミングやブレーキきつめで投げないといけなくなるので、平均飛距離も結果的に伸びないはずです。
以上、今回の勉強でした。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
▼ピットブル12実釣動画。序盤でトラブルが連発したのでラインを変更してます!