船釣りでは道糸に「PEライン」をつかうことがほとんど。
釣り物によって号数(太さ≒強度)を変える必要があり、号数選択は重要です。
今回は東京湾や相模湾の主要釣り物でPEラインを選ぶときのノウハウを紹介します。
船釣りとPEラインについて
PEラインの「PE」はポリエチレン(polyethylene)に由来しています。
原糸をよって製造されているラインで、4本編や8本編が一般的。
12本編など、さらに多くの本数で編まれている製品もあります。
一番使われているのが、安価な4本編です。
<一般的な4本編みと8本編みの違い>
◆4本編みのPEライン
- 耐摩耗性が8本編みより高い
- 結束強度が8本編みより高い
◆8本編みのPEライン
- 直線強度が4本編みより高い
- 表面がより滑らか。潮受けしにくく飛距離がでやすい
PEラインは、同じ太さではナイロンやフロロカーボン製のラインより直線強度が高く、伸びが少ないという特徴があります。
そのため、船釣りでは道糸にPEラインをつかうのが一般的です。
また、船釣り用のPEラインは一定距離ごとに染色されているため、タナをとりやすいという特徴もあります。
ライトアジ・ライト五目はPE1.5号~2号
LTアジやライト五目(ウィリー五目)の釣りでは、4本または8本編みのPE1.5号がオススメです。
1号でも釣りはできますが、コマセ釣りでつかうアンドンビシは潮受けしやすいため、シャクリの動作で高切れしやすい傾向にあります。
筆者はPE1号で何度もライトアジ釣りをやったことがあります。
PE1号では、それほど力を入れていないシャクリでも高切れした経験が数度あります。
もしPE1号でやる場合は、弱っていないラインをつかい、先糸にフロロカーボン4号をつけるとよいでしょう。
結び目から切れる可能性が減ります。
特に大潮まわりの沖目ポイントでは、ビシにかなり抵抗がかかるので注意が必要です。
ライトアジやライト五目の釣りは、狙う水深自体が30mより浅めがほとんど。
潮受けはあまり気にせず、2号をつかっておけば、多少ラインが劣化しても、シャクリに起因する高切れはほぼなくなるはずです。
<釣り物と号数ごとの特徴>
1.5号が最適。
- PE1号:しゃくり時によく高切れする
- PE1.5号:潮受けも避けられ、高切れもしづらい。他の釣り物にも使用しやすい
- PE2号:多少弱っても高切れしづらい
- PE3号以上:オマツリしやすくなるので不適(船宿貸道具は3号であることも)
イシモチはPE1.5号~2号
船イシモチ釣りでは、4本もしくは8本編みのPE1.5号もしくは2号がオススメです。
道糸にあえてナイロンラインを巻くことでイシモチの食い込みをよくする釣り方もありますが、近年ではPEラインが主流です。
遠投する場合以外は、細糸が有利というわけでもありません。
浅場主体のため、潮受けもほぼ考えないでよいでしょう。
仕掛け自体が胴突き仕掛けで水の抵抗それほどもなく、イシモチ自体の重量もさほどないため、1.5号や2号をつかっておけば問題ありません。
一方、イシモチはアオイソメをかじるように食い込み魚です。
ショートバイトが続く場合は、PEラインの先糸としてナイロンライン4号を1.5m程度つけるのがコツです。
軟調の竿を使うのもおすすめ。
<釣り物と号数ごとの特徴>
1.5号が最適。
- PE1号:飛距離は出て潮受けを避けられるが、敢えて選ぶ必要はない
- PE1.5号:潮受けも避けられ、高切れもしづらい。他の釣り物にも使用しやすい
- PE2号:丈夫だが、そこまで強度は必要ない
- PE3号以上:オマツリしやすくなるので不適(船宿貸道具は3号であることも)
メバルはPE1号~1.5号
メバル(エビ・イワシ餌)の釣りでは、8本編みのPE1号~1.5号がオススメです。
岸壁際の浅場ポイントでは、潮もそれほど速くないため、太目のラインでも問題ありません。
一方、より潮通しのよい沖根を狙う場合、潮受けをしないラインを選ぶと釣果につながることがあります。
できるだけ直角に仕掛けを落としたほうが、オモリを浮き上がらせないで、安定して狙うことができます。
メバル釣りは根周り主体なので、高切れをさけるためにフロロカーボン4号の先糸を2m程度つけておきましょう。
根が荒くないエリア主体の場合は、PEライン直結でも問題ないですが、PE1号の場合は結束部を2重、3重にするなどの工夫が必要です。
<釣り物と号数ごとの特徴>
1.5号が最適。状況によって1号が有利。
- PE1号:沖目で潮受けを避けるときに選ぶとよい
- PE1.5号:潮受けも避けられ、高切れもしづらい。他の釣り物にも使用しやすい
- PE2号:丈夫だが、そこまで強度は必要ない
- PE3号以上:オマツリしやすくなるので不適(船宿貸道具は3号であることも)
マゴチはPE2号
マゴチの釣りでは4本もしくは8本編みのPE2号がオススメです。
マゴチ自体の重量は1キロ以内であることがほとんど。
一方、エサ釣りではしっかりとしたフッキングをする必要があるため、やや太目の道糸がオススメです。
55cm以上の個体の口蓋からハリをすべらせ、唇やかんぬき部分(口の接合部)にフッキングさせる場合、高負荷が生じます。
餌マゴチの釣りでは、勢いよく合わせた瞬間にPEラインが瞬断することもしばしば。
1号では話にならないですし、1.5号でも、ラインの傷み具合にもより、頻繁に高切れします。
筆者はPE1.5号で高切れを数度経験していますが、アタリが少ない日に高切れするのはかなり悔しいのです。
号数以外にも、できるだけ傷のないラインを使ったほうがよいでしょう。
釣行前に道糸を50mほど引き出し、点検しておくのも一つ。
<釣り物と号数ごとの特徴>
2号が最適。状況によって1.5号が有利。
- PE1号:潮受けしづらいが、かなりの確率でアワセ切れする
- PE1.5号:他の釣り物にも使用しやすいが、すこしの傷でも高切れしやすい
- PE2号:丈夫。多少の傷では高切れしない
- PE3号以上:オマツリしやすくなるので不適(船宿貸道具は3号であることも)
カサゴはPE1.5号~2号
カサゴの釣りでは4本もしくは8本編みのPE1.5号~2号がオススメです。
カサゴ自体の重量はそれほどでもなく、引きも強くはありません。
一方、根周りが主体となる釣りなので、根がかりには注意したいところ。
ポイントによってはオモリが大型の捨て石等の穴に深く入り込み、PEライン自体が擦れて摩耗することもあります。
高切れをさけるためには、フロロカーボン4号の先糸を1.5~2m程度つけておくとさらに安心です。
<釣り物と号数ごとの特徴>
2号が最適。状況によって1.5号が有利。
- PE1号:あえて細くする必要もない
- PE1.5号:他の釣り物にも使用しやすい
- PE2号:丈夫。多少の傷では高切れしない
- PE3号以上:オマツリしやすくなるので不適(船宿貸道具は3号であることも)
シロギスはPE0.8号~1号
シロギスは8本編みのPE0.8号~1号がオススメです。
船下に群れがいないこともありキャストをすることで、明確に釣果が伸びる釣りです。
できれば、比較的細めのラインをつかってロングキャストしましょう。
細糸を使うことで感度もあがりますが、一旦PEラインに結び目ができてしまうと解きにくくなるのも事実。
慣れないうちは1号が無難です。
1.5号でもよいですが、飛距離や感度は劣ります。
潮回りと釣り場によってはオマツリも多くなるため、できる限り潮受けしないタックル構成で臨むようにしましょう。
スピニングリールを使用するので、キャストミスによる高切れは少ないですが、先糸として3号もしくは4号のフロロカーボンラインをつけておきます。
<釣り物と号数ごとの特徴>
なれていれば0.8号が最適。慣れていない場合は1号が無難。
- PE0.8号:潮受けしづらく、飛距離もでて、感度も抜群
- PE1号:扱いやすい号数で、手前マツリも解きやすい
- PE1.5号:やや潮受けしやすくなる。
- PE2号以上:オマツリしやすくなるので不適(船宿貸道具は2号であることも)
タイラバは0.8号~1号
タイラバでマダイを狙う際は、8本編みの0.8号もしくは1号がオススメです。
マダイ船自体が、潮が動きやすい中潮・大潮回りで出船することがほとんど。
比較的潮流がよく動く状態で潮受けを軽減し、感度を上げるためには、細めのPEラインが必要です。
リーダーは必須で、フロロカーボン4号を4.5m程度つけておきましょう。
マダイは時に10キロに迫るサイズもバイトしてくるため、ドラグ設定は0.8kg~1kgに調整し、無理なやりとりをしないようにします。
流し方のスタイルにもよりますが、バーチカルな釣りで潮があまり動かないときなど、キャストによってフォールさせる筋を変えることが釣果につながることもあります。
その場合も細い糸のほうが距離を稼ぐことができます。
<釣り物と号数ごとの特徴>
なれていれば0.8号。慣れていない場合は1号が無難。
- PE0.8号:潮受けしづらく、感度も抜群
- PE1号:扱いやすい号数で、手前マツリも解きやすい
- PE1.5号以上:オマツリしやすくなるので不適
ライトヒラメは2号
ヒラメをライトタックルで狙う場合、4本編みか8本編のPE2号がオススメです。
1.5号でもドラグ設定により問題なく釣れます。
一方、ヒラメ以外のゲストも混じるという点は考慮しておきたいとおkろ。
ワラササイズ以上の青物が混じってくるような時期や海域によっては細ラインではやりとりに時間がかかってしまいあす。
まわりの釣り客とのオマツリの原因にもなります。
漁礁や根周りポイントでは船の揺れにより、PEライン部分の根ズレもあり、フロロカーボン5~8号程度の先糸をつけておくと安心です。
<釣り物と号数ごとの特徴>
青物の存在があるようであれば2号が無難。
- PE1.5号:潮受けしづらいが、青物が回ってくると不安
- PE2号:ワラササイズも何とかとれる号数
- PE3号:大型のハタやブリサイズが混じってくるときに選びたい号数
※実際は道糸号数ごとにオモリ号数も変わります。
イナダ・ワラサはPE2号~3号
ワラサを狙う場合、4本編みのPE3号以上がオススメです。
1キロ程度のイナダは、空いている船であれば1.5号でも問題なく釣れますが、混みあっている船の場合は2号以上の太い糸で多少強引に寄せましょう。
他の釣り客とのオマツリトラブルをさけることができます。
群れにワラササイズが混じっている際は3号以上にしておけば、いざというときも安心です。
<釣り物と号数ごとの特徴>
イナダは2号、ワラサ以上なら3号が無難。
- PE1.5号:潮受けしづらいが、ドラグをつかわないとワラサ以上はとれない
- PE2号:ワラササイズも何とかとれる号数
- PE3号以上:ワラサメインでブリサイズが混じってくるときに選びたい号数
※実際は道糸号数ごとにオモリ号数も変わります。
タチウオは1.5号~2号
タチウオは水深にもよってきますが、8本編みのPE1.5号がオススメです。
タチウオは歯が鋭い魚のため、道糸が食い切られることも多い魚です。
太糸になっても切れるものは切れるので、あまり太すぎても潮受けしてオマツリが増え釣りにくくなってしまいます。
ただし、1号以下の場合、アワセタイミングの負荷で高切れリスクが高まります。
できるだけ潮受けしない号数を考えると浅場では1.5号が釣りやすいと言えます。
<釣り物と号数ごとの特徴>
- PE1号:アワセ時に高切れしやすい
- PE1.5号:タチウオにはちょうど良い号数
- PE2号以上:丈夫だが、潮受けしやすいため、他の釣り客が釣ったタチウオの歯に切られることも増える
※実際は道糸号数ごとにオモリ号数も変わります。
アマダイは1.5号~2号
ライトタックルで狙うアマダイの釣りは、8本編みの1.5号がオススメです。
城ヶ島沖など潮が速めになる海域の場合、1号以内の道糸が釣りやすいと言えるのですが、オマツリをした際に他の釣り人のPEラインと干渉して高切れすることも多くあります。
特にアマダイの場合、ノーマルタックルとライトタックルの釣り客が同じ船上にいることもしばしば(オモリ号数は異なる)。
PE1号がPE3号以上とオマツリになると瞬間的に高切れしがちです。
また大型がヒットしてオマツリして高切れという状況は避けたいので1.5号~2号をつかうとよいでしょう。
<釣り物と号数ごとの特徴>
- PE1号:道糸をたたせやすいが、オマツリ時のリスクが高い
- PE1.5号:アマダイにちょうど良い号数
- PE2号以上:丈夫だが、潮受けしやすい
※実際は道糸号数ごとにオモリ号数も変わります。
スミイカ(コウイカ)は1.5号~2号
スミイカ(コウイカ)をテンヤで狙う場合は、8本編みのPE1.5号もしくは2号がオススメです。
水深にもよりますが、キャストが重要な釣りであるので、細ラインの方が釣果を伸ばすことはできます。
一方、細すぎる道糸はキャストミスによる高切れやアワセ切れの原因になります。
特に年明けからの下浦沖などの深場の釣りでは、スミイカも巨大化しており、900g程度に成長していることもあります。
中には1~2キロのモンゴウイカもかかるのですが、使い古しの1号ラインはアワセ時に高切れする可能性が増すのでオススメしません。
特に深場では8本編みのPEを使用することでラインを立てることでき、感度も向上します。
<釣り物と号数ごとの特徴>
- PE1号:飛距離を出しやすいが、高切れリスクが高い
- PE1.5号:スミイカにちょうどいい号数
- PE2号:丈夫。キャストミスやアワセ時の高切れリスクを軽減できる
カワハギはPE0.8号もしくは1号
カワハギを狙う場合は、8本編みのPE0.8号もしくは1号がオススメです。
細糸であれば潮受けも少なく、繊細なカワハギのアタリがより敏感に伝わります。
キャストをする場合、キャストミスによる高切れを防ぐために、フロロカーボン4号の先糸をつけるとよいでしょう。
バックラッシュからの回復は1.5号の方がしやすいという点はあります。
<釣り物と号数ごとの特徴>
- PE0.8号:潮受けを減らせ感度も高い。キャストミスによる高切れリスクは高まる
- PE1号:飛距離を出しやすいく感度も高い。カワハギに最適な号数
- PE1.5号:潮受けは増えるが、高切れリスクが減る。
- PE2号:カワハギ釣りでは使用しない
湾フグ(アカメ・ショウサイ)は1号以内厳守
東京湾内で、フグをカットウ仕掛けで狙う場合は、8本編みのPE0.8号もしくは1号がオススメです。
船宿も1号以内厳守に設定していることがほとんどです。
この釣りは10号以内のオモリの着底させ、繊細なフグの触りを感じ取れる感度が特に重要です。
細糸により、できるだけ潮受けをしないように、糸ふけがでるのを避けましょう。
<釣り物と号数ごとの特徴>
- PE0.8号:潮受けを減らせ感度も高い。キャストミスによる高切れリスクは高まる
- PE1号:飛距離を出しやすいく感度も高い。湾フグに最適な号数
- PE1.5号以上:使用不可のことがほとんど
船宿によるPE号数指定は厳守
乗合船の場合、オマツリをさけるために道糸号数とオモリ号数は指定があります。
今回オススメとして紹介したPEラインの号数が、船宿や釣況・ポイントによっては適していないこともあります。
都度確認してから釣行しましょう。
釣り物とオススメのPEライン号数一覧
- 0.8~1号:カワハギ、フグ、タイラバ、シロギス、メバル
- 1.5号:メバル、アジ、イナダ、スミイカ、アマダイ、タチウオ、ヒラメ、カサゴ、イシモチ
- 2号:マゴチ、イナダ
- 3号以上:ワラサ、ブリ
まとめ
今回は、東京湾や相模湾を代表する釣り物と適したPEラインの号数について解説しました。
近年、細くても強度の高いPEラインが販売されてきています。
船釣りになれないうちは、4本編み8本編みの違いに加えて、どの号数を選べばよいか悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
大まかにいえば、より飛距離を伸ばし潮受けを避けたい場合は8本編み。
より安価で耐摩耗性が高いのが4本編みです。
号数については、以下のように覚えておけばよいでしょう。
- 細糸で1号
- バランス型の1.5号
- 安心なのは2号
- 大物は3号以上
もちろん、多少号数が足りなくても、リールのドラグ性能やテクニックによって、十分とれる魚もいます。
一方、乗合船での船釣りは、他の釣り客の迷惑にならないようにするという前提があります。
あまりにも細糸で大物を狙うなどは控えたほうがよい場合もあります。
- 船宿、船長による号数の指定
- 釣り座の間隔
- 潮の流れ
など釣況によってパターンを変えていけるように、複数のタックルを持参するのが安心です。
あまり多くのタックルを用意できない場合、大物の釣りや繊細な釣り以外はPE1.5号を巻いておけば、ほとんど対応できると覚えておきましょう。
釣行ごとに都度巻替えをするのは手間ですが、高速リサイクラーを使うと所有するリールや替えスプールの数も最低限にでき経済的です。
替えスプールを持参し、細糸と太糸をつかいわけるのもよいでしょう。
関連アイテム
▼PEラインのオススメは、シマノのタナトル4or8です。コストパフォーマンスと安定した強度。悩んだらこれ。浅場の釣り物メインの場合、300mを購入して150mずつ使用するのも一つ
▼高速リサイクラーはリールを増やせない人にとって神商品。上下の巻替えによって、より経済的に船釣りができます。