「エビメバル」はメバルの種類ではなく、「モエビ」と呼ばれる活き淡水海老をエサにつかった船釣りのジャンルです。
東京湾奥では2月1日に解禁され、主に千葉木更津~金沢八景付近に位置している船宿から乗合船が出てシーズンは数か月続きます。
餌による手指の汚れも少なく、極端にシビアな日でなければ初心者にでも簡単に釣れ、食味もよいため人気の釣りです。
今回は「エビメバル」で釣果を上げるための釣り方やタックル・仕掛けを解説します。
目次
実は沿岸部のメバルは3種類いる

エビメバルで釣れたシロメバル
メバルには沿岸部に生息している種類と深場に棲息している沖メバル(ウスメバル・トゴットメバル)がいます。沿岸部に生息している個体は3種類に分類され、シロメバル・クロメバル・アカメバルと呼ばれています。
それぞれ性質は異なりますが、東京湾のエビメバル船では第二海堡周辺や川崎・横浜近辺等でシロメバルがよく釣られています。
東京湾の船釣りでは沿岸部のメバルを総称して「黒メバル」と呼んでいます。
メバルの生態を意識して釣ろう

根上に定位して上をみるメバル@新江ノ島水族館
沿岸部に生息しているメバルは夜行性です。
おかっぱりやボート等でルアー釣り(メバリング等)で狙う場合、主に夕方以降の夜間帯での釣行がメインですが、エビメバル船では、日中に底付近の根上に定位しているメバルの目前にモエビという淡水エビを落とし誘って食わせます。

夜の横浜沖でメバリングで釣ったメバル。夜はアグレッシブに海面まで餌を追う
夜間のメバルはアミや小魚を追って、常夜灯が灯る漁港等の海面で積極的にボイルします。一方、日中のメバルは底上でじっとしています。この生態を意識した上で、エビメバルの釣りでは休んでいるメバルを驚かさず、静かに釣ることを覚えておきましょう。
メバルの産卵シーズンについて
地域や個体差はありますが、メバルは秋から冬の間に産卵行動をします。12月ごろから1月後半に産卵をする個体が多く、そのためシーズンインが2月になっています。
解禁当初の2月はまだ産卵後の痩せた個体も多く、活性が低くなかなかアタリを出すのが難しいことがしばしばです。3月以降は藻場に餌も増え、体力の回復のために盛んに餌をとるようになるため、比較的釣りやすくなります。
エビメバルに適した天候・潮など
メバルは「眼張」と書き、身体に対して眼がとても大きく、視力がよい魚です。夜間でも常夜灯下にたまる小型のアミや小魚を上手に食べていて、捕食も比較的うまい魚です。
エビメバルの釣りではハリス1号前後の細い仕掛けを使いますが、天気は晴よりも曇りがよいとされ、海面が凪いでいるときが最適。
これは海底に光が届きにくいため、ハリスや仕掛けが目立ちにくく、船の上下によりタナが狂ったり仕掛けが暴れることが少ないなどの理由があります。
潮は他の魚同様、多少は動いているときのほうが食いがよく、群れが固まっている場所や時合(食いが立つ)等の要素が明確にあります。
同じような根の上でもバタバタっと船全体で釣れたかと思うと、いきなり釣れなくなるということもあるため、釣果を伸ばすためには釣れるときに釣っておくということを意識しましょう。
エビメバル船のシーズンと特徴

金沢八景沖の根は良型シロメバルが多い
エビメバルのシーズンは東京湾では2月1日にスタートし、数か月続きます。
シーズン初期はまだ釣られ切っていないということもあり大型の個体が釣れる傾向にあり、シーズンが進んで水温がやや上昇する4月・5月付近では中小型の数釣りがメインになります。
水族館でメバルの群れをみていると、大型の個体が潮上にむけて一番よいポジション(群れの上側)に位置しているのですが、おそらく、エビメバルの釣りでも仕掛けに飛びつくのは大型からなのでしょう。
船宿も一か所でメバルを釣り切らないように、ポイントをローテーションしますが、やはり日を追うごとに大型の個体は少なくなる印象です。
もしエビメバルで尺クラスなど大型の魚を釣りたい場合は、2月~3月など比較的早いタイミングで釣行することをオススメします。海域によって3月1日から解禁されるポイントもあります。
エビメバルに適したタックル

竿はエビメバル専用モデルもしくは胴調子の長めのゲームロッド
エビメバルの釣趣を楽しめる釣り竿は、柔らかめに設計された2~3m前後のメバル専用竿です。
専用竿であれば長めのエビメバル仕掛けも操作しやすく、繊細なアタリをはじくこともなく食い込みも抜群で、かかったあとの釣趣もよいと言えます。
他に、7:3~6:4のライトゲームロッド・マゴチ竿(オモリ負荷がちょうどいい)なども対応可能です。
ライトゲームロッドを選択する際は1.8、1.9mよりは2.4m程度の長めのアイテムを選んだほうが仕掛けの操作性もよいといえます。これは、エビメバルの仕掛けが2.4m程あるからです。
一方で最近はトラブルが少なく、ライトゲームロッドに適した2m弱の仕掛けも多く発売されています。
※3m程度のメバル竿はマゴチの置き竿にも流用可能です。
リールは軽量の両軸リールであれば問題なし
リールは特殊なものは必要ありません。
主なポイントは水深~30m程度の浅場ですし、底上がメインのためカウンターも不要です。手持ちで誘い続けることが多いため、できるだけ軽量なものがよいでしょう。
道糸は1号前後のPEラインを使用
道糸は1号前後のPEラインを用います。
基本的に浅場の釣りでターゲットの重量もそれほどではないため、1号もしくは1.5号を用意しておけばよいでしょう。根がかりした場合も、PEラインが直接根に巻かれたとき以外はハリスから切れるため高切れの心配も少ない釣りです。
あまり太いラインを巻いていると、アタリがわかりづらくなり、食い込みが悪くなったり、潮受けしやすくオマツリの原因になります。
川崎~第二海堡周辺等ではフッコサイズのスズキもヒットします。リールのドラグは念のため調整したほうがよいと言えます。
エビメバルの仕掛けの選び方

最初は船宿のエビメバル仕掛けをつかうのがベスト
エビメバルの仕掛けは、「東京湾専用」「江戸前」「エビメバル」というような表記で市販品が販売されています。
一方、船宿仕掛けは各船長が回るポイントの特性を踏まえて作られています。特に胴付きの一番下の針を25㎝前後にしている船宿仕掛けが多く、これが重要です。
活性が低い場合など、メバルがべた底で停滞していることもしばしばです。
こういった状況では離れた場所に餌のモエビがあっても自ら追って餌を食べない傾向にあり、アタリを出すためには目前に餌を置く必要があります。
そういった意味合いで一番下の針は底すれすれにある必要があります。一番下の枝スが錘から40~60cm程度に設定されている場合は、20cmほどに詰めるのもオススメです。
市販品のエビメバル仕掛けを選ぶポイント
一番下の枝スの位置は30cm以内がオススメ
市販品のエビメバル仕掛けでは前述の通り、胴付きの一番下の針が25~30cm程度の設定されているものオススメです。
枝スは35cm~40cm程度の長めでアタリを増やしたい
枝スの長さは35cm程度あるほうが違和感をもたれにくく、アタリが増え、食い込みもよくなります。
ハリスは1号を中心に考えたい
ハリスは1号を中心に渋めの場合は0.8号程度まで落としていくとよいでしょう。ドラグ調整をゆるめにしておけば1号でも尺メバルは釣ることができます。
1.5号以上は大型がヒットした場合も安心ですが、アタリの数は少なくなります。特に潮色が澄んでいる日は顕著に差がでます。
枝スはビーズ交換タイプが経済的

枝スを変えられるエビメバル仕掛けは経済的
他に枝スをビーズで差し替えるものと直結しているものがあります。仕掛けの修復コストが安いのがビーズ交換タイプで、直結は仕掛け破損時に全交換になりやすいという特徴があります。
ほかに直結は糸がよれにくく、比較的強度が高いというメリットもあります。
根上を釣る釣りのため、針先が甘くなったり伸びてしまうこともあります。仕掛け全体を交換しないで済むように、予備の針(45cmハリス付きのチンタメバルやヤマメ鈎がオススメ)を用意しておくとよいでしょう。
メバルサビキの存在もチェックしたい
エビメバルという乗合ですが、モエビをエサに使わず、サビキで釣ったほうが圧倒的に釣果が伸びる場合があります。
特に3月以降、シラスが湧き、メバルがシラスばかり食べるようになるとモエビ餌より、シラスに似たサビキにアタリが出やすくなります。
またメバルサビキの場合は、針数が多く、簡単に底から数メートルまでタナを探ることができます。
注意点は2つあります。
一つ目は、多くのメバルサビキは仕掛け全長が3メートル以上あるためメバル専用の長竿でなくてはコントロールが難しい点。二つ目は、潮受けしやすいため、オマツリが増え、オマツリすると仕掛けのリカバリーが困難であるという点です。
メバルサビキを使用する際は、混雑状況や潮の速さ等も考えて行いましょう。
オモリは25号が基準。根がかり対策にはホゴオモリがオススメ
エビメバルで狙れる水深は深くても30m程度です。
湾奥の岸壁・バースエリアから第二海堡まわりが基本のため、重さ25号が基本と覚えておき、潮が速いときなど30号で調整します。さらに浅場の場合20号指定の場合もあります。
新品の鉛オモリの輝きはメバルを警戒させるという意見もあり、人によっては油性黒マジックで塗りつぶしたり、黒塗りの市販オモリを使用する人もいます。
モエビの保管・つけ方・注意点
どの釣りでも餌のつけたかや保管は重要ですが、エビメバルの釣りでも同様です。

多くの船宿ではこのように真水の入ったバケツにモエビと観賞魚ネットが配られます。おかわりのモエビは、操舵室もしくは船首側・船尾側のいずれかの水槽(発泡スチロール容器等)に補充しにいくことが一般的です。観賞魚用ネットは配布されないこともあるので、できれば持参しましょう。
<モエビ餌を取り扱う際の注意点>
- 一度にバケツにモエビを入れすぎない→酸欠する
- 春以降等、バケツの水が温まり過ぎないようにする→弱る。場合によっては小型の保冷剤を使用する
- モエビをつかむ際はソフトにつかむ。特に頭部を強くつかまない
- 軟水系のミネラルウォーターを持参しておくと、バケツに新鮮な真水を足せるため便利です

モエビは必ずネットですくう

モエビのエサづけはオキアミと異なるので注意。わからない場合は遠慮なく船長にきこう
<モエビ餌の付け方>
- モエビをネットですくい、利き腕でない方の手でそっとつかむ
- 尾羽を切り取る。ハリモチをよくするため三角形状の尾羽の付け根は残す(爪・歯などは使用せずはさみですっぱり切ると弱りにくい
- 尾羽をきった中心線から針を2節ほど通して背中側にぬく
※「モエビ」は淡水のエビなので海水ではすぐに弱ります。鈎掛け後、白くなってきたら交換しましょう。エビが底上で跳ねる動きは、明らかにメバルの喰いを誘います。死んだり弱ったモエビでは釣果が下がるため、3投したら交換や、ポイント移動ごとに必ず交換するなどのルールをきめておくと釣果につながりやすいといえます。

いつの間にかついているアカクラゲの触手…
4月以降水温が上がり始めるとアカクラゲが増えてきます。自分だけアタリがないときはアカクラゲの触手がついていることも。
流れているゴミや、海藻の付着もあるので、仕掛けは放置せず、こまめに状況確認しましょう。
エビメバルの釣り方

仕掛け投入~着底
仕掛けを投入する際は、絡みがない状態で落とし、底上3m付近からスプールをサミングしながらゆっくり落とします。勢いよくオモリを落とすと、メバルが驚いて散ってしまうためソフトな落とし込みを心がけましょう。
メバルの活性が高いときは着底した瞬間、もしくはその前にアタリが出ますが、そうでない場合は着底を感じてからオモリが船のゆれで上下しないように調整しましょう。
あとは錘を底につけたままゼロテンション(張らず緩めず)で待つだけです。基本的にモエビが動くので、誘いは要りません。メバルが底べったりに定位している場合、幹糸自体をたるませたり這わせるのも効果的です。
誘いを意識して竿でアクションをつけてしまうとアタリが遠のきます。特に低水温期は顕著なので静かに待ちましょう。
メバルは根上に棲息することが多いため、着底した時点で底が砂泥の場合は、すこし様子をみてから5mほど巻き上げて再度落としなおすのがオススメです。
砂泥底の場合、オモリが「ぬぽっ」と埋まり、なんらかの根がある場合は「ごつごつ」という感触がします。根上であまりオモリをゴツゴツするとメバルに警戒されるので注意しましょう。
キャストができる場合は、前方等に下手投げし、手前に寄せてくる間に根を探りつつ釣ると釣果が伸びるのですが、根が荒い場合、根がかりによるオモリロストも増えます。
岸壁際のポイントでは、メバルも際に居着いているため、積極的に障害物際に落とし込むとよいでしょう。
アクションは静かに
うまい具合に根上にオモリが位置している状態で、思うようにあたりが出ない場合は、ゆっくり竿をあげて、ゆっくり仕掛けを落としてみましょう。
このとき、速すぎるアクションをやってしまうとメバルに警戒されます。ごくゆっくり、深呼吸をするぐらいのスローモーションで仕掛けを操作するのが基本です。
3つのアタリと合わせるタイミング
活性にもよりますが、以下の3つのアタリが出ます。
- まずメバルが付近にくると、警戒してモエビが逃げる「ツンツン」という振動が手元に伝わってきます
- その後、メバルがエビを吸い込む際にでる「コツ」っというアタリがでます
- その後、「ぐぐーっ」と引き込まれるアタリがでます。
低活性ほどアタリがシビアです。じっくりまって、3番目のあたりでゆっくり竿先を聞き上げるとヒットします。
エビメバル用の鈎は、軽量で刺さりやすいチンタメバルやヤマメ鈎を使っているため、合わせなくても勝手にかかります。
メバルが餌を吸い込んで針がかりするとぐぐーっと竿先から胴にかけて重さがのりますので、そこからゆっくり聞き上げて一定速度で急がず巻き上げます。
釣況によって追い食いを狙ってみてもよいでしょう。
アタリがでて、メバルがのってから30cm程度巻き上げて待つと追い食いすることもあるのですが、大型がヒットした場合、無理をするとハリス切れやバレにつながるので。一尾ずつ釣りあげるのがオススメです。
巻き上げと取り込み

堅いところにフッキングすればよいが・・・
メバルの上唇には薄皮状の部分があり、針がかった部分が薄皮部分であると強引なアワセや巻き上げによりバレてしまいます。アジ同様、大型ほどバレやすいため、かかった後も油断せず巻き上げ、25cmを超える大型は、必ずたも網をつかって取り込むとよいでしょう。
釣り上げたときに針を飲まれているときもありますが、ハリスが1号前後と細いため無理に引っ張ると切れてしまうので注意です。ビーズ経由で仕掛けの交換ができるタイプの場合は無理に外さずハリスを切ってしまったほうが手返しが良くなります。
アタリが出ないときの対策
まわりではメバルが釣れているのに、自分だけ釣れない場合は以下の点をチェックしてみましょう。
- モエビをオキアミのように鈎掛けしていないか?
- 底上で仕掛けを動かし過ぎていないか?
- 仕掛けがよれていないか?
- ハリスが幹糸と絡んでしまっていないか?
- モエビが死んだり弱っていないか(白くなっている)?
- ハリにアカクラゲや海藻などのゴミがついていないか?
エビメバルは初心者でも簡単に楽しめる!

サビキでなければライトゲームロッドでもチャレンジ可能!
エビメバルの釣りは、コマセも不要で、刺しエサもオキアミではなくモエビのため手指が汚れにくく、ニオイもつきづらい釣りです。
複雑なアクションも不要で、底上でそっとしておくほうがアタリが出ることも多く、ビギナーでも大型のメバルを爆釣することもしばしばです。
シーズン初期の2月はまだ海上も寒いですが、3月も過ぎてくると比較的過ごしやすくなるため、船釣りがはじめてな人も誘って一緒に楽しめると思います。
エビメバルにチャレンジできる船宿
浦安
横浜
金沢八景
エビメバル釣りのアイテム
釣り竿
▼エビメバル専用ロッドは仕掛けの操作性・アタリをはじかない・釣趣という点で優位。ライトゲームロッドの場合は2m以上ある6:4調子がオススメ。
リール
▼両軸リールはカウンターなしのもので問題なし。軽量でPEライン1号もしくは1.5号が100m以上巻いて有れば問題なし。
▼エビメバル仕掛けは返しが小さい細軸の針で構成されていることがほとんど。針を外す際にプライヤーを使うよりは、エリアトラウト用のリリーサーを使うと便利。玄人は自作のリリーサーをつかっていて手返しが早く、入れ食い時に数を伸ばします。プライヤーを使うとフックが細軸のためかかりどころによっては針の交換が必要になることも。
ライン
▼4本編のPE1号もしくは1.5号を100m以上巻いておけばOK
仕掛け
※日中は下針が30cm以内で、枝スが35cm~40cmあるものがオススメ
▼自作仕掛けは大容量のがまかつメバル王やヤマメ針がオススメ。
▼フジワラのメバル SP 25号 マッドブラックはエビメバルファン御用達のアイテム。色が落ちにくいのがメリット。ロスト時のことを考えて最低3つは用意しておきたいところ。通常の25号錘を1キロ単位で購入して黒マジックで黒塗りにするのも低コストでオススメ。25号錘は、カサゴ・シロギス・手漕ぎボートでの泳がせ釣りなどに転用可能。根がかり対策としては細長いホゴオモリもオススメ。
▼基本的に手持ちの釣りのためキーパーは不要だが、取り込み等、簡易的な竿置きがあると便利
▼水温が上がる季節はモエビを活かすためにエアレーションを持参するのもオススメ
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