東京湾では、釣り物として特に人気のマゴチ。
サイマキと呼ばれるクルマエビの幼体やハゼ餌で狙うのが伝統ですが、最近はルアーで狙うスタイルも手軽で人気です。エサ釣りの場合、専用竿もありますが、ライトゲームロッドでも挑戦できる釣り。
今回はあえて、置き竿でメバル竿をつかってみた話です。
実は「メバル竿」はマゴチ釣りでも使われている?
この日の一之瀬丸マゴチ船は、2隻だし。
どうやら2隻とも満席の様子。朝一にみたところ、渡辺直人船長が操船する乗合の本船は、常連各位をはじめとして人気の様子で、角の席がなかったので、2船目の左舷大トモを選択。
そろそろ夜があけるのも早くなってきましたね。
出船前に、明けていく空を見るのも好きな時間です。
2つ目のマゴチ船はどれですか?と、たずねていると、ハルト船長が「あ、マゴチ、僕っす!」とのことでご挨拶。
今日のタックルはこちら。
大トモなので、90°離して2本竿を操る予定。
1本目は手持ち竿で、シマノ・旧型ライトゲームSSのM190。15号~60号のオモリ負荷に対応。置き竿として、シマノ・ベイゲームXメバルM300。オモリ負荷10~50号を選択。
ライトゲームSSにはMHもあるのですが、全体的な柔らかさと穂先あたりで、サイマキの微妙な前アタリを感じられたり、フグやイカをさわりを感じやすかったりします。
繊細さという点では、キス竿などもよいわけですが、バット部分をはじめ全体的な剛性面でいざというときに合わせきれなかったりという光景をよく見ます。短い竿も多いので、そのあたりも原因かもしれませんね。
なので、今のところ手持ちのライトゲームロッドではMクラスがよいかなと。
そして、メバル竿。
これは実験的につかってみようと思ったんですね。
昔ながらのマゴチ釣り師のみなさんが、信長の長柄槍隊かと思うぐらい、やけに長い竿を持っているなとおもったらそれがメバル竿だったりというのをみたことがあるんです。もちろんマゴチ竿の長竿もあるわけですが。
この、ベイゲームXメバルは全長3m。
つかう前からの想像は以下の通り。
- 置き竿にすると、揺れを吸収しサイマキが安定する
- マゴチがサイマキをくわえたときに違和感をもたれにくい
- アワセが効きにくいから工夫が必要
さて、実際のところどうなんでしょう。
マゴチ仕掛けの手作りは簡単
サイマキでもハゼ餌でもマゴチ仕掛けはシンプルなんですよね。市販品は2組で400円程度ですが、手作りしたほうが断然安上がりで、それほどめんどくさくもないわけです。
なので、わたしもマゴチ仕掛けは自作してます。
ハリを黒くぬって雰囲気を(視覚が弱いマゴチにとって意味はないと思うんですがね)
ハリスはフロロカーボン5号。
フロロマイスターの5号というお得ラインをつかってます。もうね、5号まではこのラインで十分。マゴチ釣りをしていてもハリス切れは、ほぼ経験してません。
60UPを狙うのであれば、チモトをダブルにするとかではなくて、シーガー船ハリス6号でいいんじゃないでしょうか。安いし強いし。ゴミも拾いにくい。
ハリは、いろいろ試したんですが、がまかつのマゴチ鈎18号が好きです。食い込みなどは16号、17号の方がよいんですが、曲がったり、飲まれやすくなったり。
小型のマゴチを捨てて、60UPや夢の70UPを目指すならば、男は黙って18号。
そう勝手におもってやってます。
マゴチ釣りの場合、一本釣るとだいたい針先が曲がったり、するので、釣ったらハリを換えるというのが釣果を上げるコツです。
チモトのハリスをみてあまりにも摩耗していたらハリスをつめていってもいいんですが、あんまり詰めると、タナの調整が変わるので、思い切ってハリスごと準備しておいた仕掛けに変えるのも一つです。
八景沖のマゴチ畑からスタート
一之瀬丸のマゴチの場合、港をでてすぐのところ、八景島近くから流していくことが多いんですね。
手前にある相川ボートさんにのって、八景島界隈や海の公園でマゴチ釣りをするとわかるんですが、水深5~10m弱のところでも十分マゴチがたくさんいます。あんまり浅いところは高水温期のポイントなんですけど。
ということで、様子をみてサイマキもつけちゃってもよいでしょう。マゴチ釣りは、落とした瞬間にアタリが出ることも多い釣りなので、人より早く底に落とすのも重要です。
サイマキは、脳天をさけてハリ先はちょっとだけ出す。なれればすぐにできるようになります。
毎回流す前に、海水にいれてちゃんと泳ぐか確認してから投入するとよいでしょう。脚などの動きも重要ですが、サイマキは尾で跳ねるような動きをするときの波動が一番マゴチに効きます。
ビュン!ってやつ。
うまくハリ掛けすると、何時間でもサイマキが脚を動かしていたりするんですが、この尾で跳ねる動きは元気なうちしかやらないんですね。これ結構重要です。
この釣りは、餌をケチると釣れないというのはほんとです。心と財布には余裕をもって出かけましょう。
このようなポイント。潮がやや流れている状況。
8時5分。ファーストマゴチをゲット。
メバル竿です。
中サイズ。
フィッシュグリップだけでマゴチをつかもうとすると、時間がかかるので、タオルをもっていってつかんでからフィッシュグリップというながれがオススメです。手返しがあがります。
タオルだけでもよいんですが、誰かに写真をとってもらうときは、やっぱりフィッシュグリップがあると様になりますね。
メバル竿で何度かアタリがあったんですが、やっぱり食い込み自体はよく、違和感は持たれにくいようです。
が、どこで合わせるかが慣れないと難しい。
要は、竿が柔らかいので、本アタリ前でもかなり曲がるんです。なので、食い込んだと錯覚してしまう。それと、十分巻きアワセをしたつもりでも、竿が力を吸収してしまい、フッキングできないという。
この日の前半は何度ばらしたことか。
それであみ出したのが、巻きアワセ時に穂先を海面下に突っ込むぐらいまで巻き取ってから自分の頭上ぐらい、のけぞるぐらいまでアワセを入れる手法です。
7:3のライトゲームロッドだと、このアワセ方はちょっと大袈裟太郎なんですが、メバル竿の場合はこのぐらいやらないとフッキングしないということがよくわかりました。
10時8分、2本目。こっちのマゴチの方が型がはいいかな。
10時43分、3本目。
いいぞいいぞ。乗ってきたぞ。
そうこうして移動。
11時5分、足元の生け簀にも左舷のみなさんのマゴチが投入されていってにぎやかに。
そのなかにハリ掛けしたサイマキを活かしておくんですが、写真みたいなのは横になっているから脚をうごかしても交換したほうがよいです。
小柴沖、傾斜地形はマゴチが濃いから集中!
こちら、幸浦あたりの沖目。
水深30mぐらいの深場から浅場まで、ハルト船長が流してくれます。「かけ上がり」や「かけ下がり」など、アナウンスが丁寧なので、地形変化もよくわかります。
マゴチの場合、傾斜がある程度あるところに魚がたまりやすいようで、潮先やエンジンをかけて前進する方向の釣り座からアタリが出はじめると、バタバタっと釣れるんですよね。
11時20分、4本目。おーし。この調子でいきたい。
このあたりから、ハルト船長が「平田さん、今、2船でTOPっすよ」みたいな感じであおってきます。そうなるとこちらもまんざらではないので、がんばるわけです。単純だなー。
ふはははは。
くらえ、俺のメバル竿の威力を!
アタリが出ない場所でこそ、タナの取り直しをしっかり。っていうのはほんとだと思います。
10秒に一回ぐらい動かすと、餌が動くんですよね。で、いきなり底上から引っ張られたサイマキにマゴチがリアクションバイトする。
14時12分。生け簀のマゴチも水族館状態。
足元をみながら、俺のマゴチが一番デカいんじゃないか、などと思ってしまうのは、釣り人あるある。
と、手持ち竿の仕掛けが二つ前の女性と、オマツリしている間にメバル竿にアタリが。
ちょうどハルト船長が後ろにいて、「平田さん、こっちアワセをちゃっていいっすか?」みたいにいうので、おうよおうよ、ってな具合に大人の余裕をみせつけたったわけです。
が、ちょっとまて。
ただでさえ柔らかく曲がるメバル竿が、限界まで曲がってる状態!
おい、なんだそれ!60UPなんじゃないかそれ!
うわー、ちょっと貸して!
ってな具合に、交代すると、これはデカイ。
デカすぎる。
まさか、東京湾では幻ともいわれる70オーバーなんじゃないか。
重い。
まさか、アカエイ?
にしては、巻けるしな。10~20キロとかの重さじゃないよな。
と、ドラグを気にしながら巻いてくる。
・・・
・・・
・・・
!!!!
こ、こなくそ、船下でいきなり横に泳ぎ出したぞ!
ま、マゴチって、こんなに横っ走りしないハズ。
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
!!!
き、貴殿でしたか(ガンギエイの仲間)
ギロリアン。
すんげー頭が尖ってるぜ。
あんまり、心無い人のように、魚をみて「気持ち悪い」とか、いっちゃいけないと思うので、適切な表現をと考えてみるもあんまり浮かばない。ユ、ユニークってことですね、これは。君はユニークな風貌をしているね。あは、あはは。
「小僧、これで勝ったと思うなよ。わが魂は不滅じゃ」
ってのは、俺たちの「源平討魔伝」に出てくる、弁慶と頼朝のセリフをかけあわせたものなんですが、見事に口にフッキングしている状態で見事な笑顔。
ぬめりが、マックスむらいです。
それにしても、船釣りで大型の魚がヒットして、まわりの全注目が集まり、上がってきたのがエイとかサメだったときのあの一気に覚めるムードはなんなんでしょう。
まー、正直、わたしも70マゴチの快挙を想像していただけに、ちょっと拍子ぬけしちゃったけど。
生け簀にいれると、ガンギエイ氏は圧倒的な存在感。
横幅でいえば、マゴチ4本分ぐらいの実力者といっても過言ではありますまい。
ジオンのモビルアーマー、ここにあり感がたまりません。
尾びれには毒棘がない種類なので安全。
生け簀にマゴチをいれにくる釣り人が、ガンギ先輩をみて、びっくりしているのがおもしろい。
最後にさらに3本くらい釣ってダントツのビクトリーかと思ったら、ガンギエイ氏の呪いによりリズムが崩れ5本でフィニッシュ。
2隻で、TOPのマゴチ5本は4人だったそうで。4本は7人ということで比較的好調だったんでしょう。それにしてもバラシが少なければなー。
メバル竿での釣り方になれるのが遅かったか。
それにしても、メバル竿をつかったマゴチ釣りの可能性に気づいてよかった。釣り座に余裕があれば四隅でなくても、2本竿ができたりするわけですが、流す筋を変えるのにも3mの長竿はきっと有効なのでしょう。
ガンギエイは血抜きをして持ち帰り。
勝利の5本。良型も1本とれてよかった。
おい、俺を忘れていないか?
ってことで、ガンギ氏をいれた全体写真がこちら。
魚に貴賤なく。
それにしても、ワイバーン感、すごいっすね。
まとめ
釣り上げたマゴチが吐き出したボケジャコ
今回は、メバル竿でマゴチをやるとどうなるの?というテーマでしたね。
結果は、2隻出しで同率TOPの5本。腕上げたかも。
序盤ばらしたり、本アタリにもちこめなかった数をいれれば、10は余裕でいったんじゃないかなと。
中盤以降は、メバル竿独特のフィーリングがつかめ、アワセもほぼ100%きくようになりました。
実釣後のメバル竿で狙うマゴチについては、以下の通り。
- 置き竿にすると、揺れを吸収しサイマキが安定する
- マゴチがサイマキをくわえたときに違和感をもたれにくい
- アワセが効きにくいから工夫が必要
⇒ 全部思った通り。
アワセはコツを会得するまでに2、3時間かかってしまったなと。
あとは、文中にもありましたが、本アタリへの移行タイミングがわかりにくいというのがあります。
この対策は、前アタリがあったらすぐに手持ちに切り替えて、ゆっくり聞き上げて重さを確認してという、従来のアワセをより丁寧にやるだけです。
ということで、置き竿に「メバル竿はあり!」ということで、終わりにしたいと思います。
最後に、俺たちのガンギエイ氏の笑顔をお送りして失礼します。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)