どうも平田です。
さて、今回は釣ったアジの血抜きをするかしないかの話なんですが、これって人によっていろんな考え方がありますね。
「雑味が気になる」と考え血抜き必須の人もいれば、「血抜きをしないほうが旨い」とする人もいる。
【再質問】釣ったアジを3日以内に食べ切る場合、血抜きしますか?しませんか?
(処理→食べ切るに文面修正)— ひらっさん♨ (@tsuyoshi_hirata) February 11, 2022
この「アジの血抜き問題」について、現時点での考えをまとめておきたかったので、文章にしておきます。
釣った魚についての「血抜きや締め」は、たぶん、やらない人より、やる人の方が多いと思います。
それこそ、或る程度釣り慣れている人は、だいたいなんらかの締めや血抜き処理をするんじゃないでしょうか。
とはいえ、専門家とされる人が「そういっている」から、「なんとなく真似しているんだよね」という人もいそうな気がします。
自分であれこれ工夫してみて「自分にとっては○○の締め方や血抜きがいい」というのならよいと思うのです。
が、「そういえば、なーんとなく血抜きしているよね」なのであれば、再考の余地はありそうです。
※前提として旨味や臭み(雑味)についてをデータ検証したものではなくあくまでも主観です
▼わたしの考えをTwitterでまとめておきました!
アジは寝かさず短期間で食べることが多い魚ですが、熟成云々でなければ、血抜き以前にもっと配慮することがある気がします。写真は血抜きなしの2日目のアジです。 pic.twitter.com/Hxh83XFxdw
— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 18, 2023
釣りアジの血抜きは基本的にしない
釣りたての黄アジをたっぷりの氷海水で締めたもの
はじめに結論を述べておきます。
個人的な考えでは、釣ったアジを長期間寝かさないで食べるなら、血抜きしないでたっぷりの潮氷で締めるのがベストだと考えています。
「長期間寝かさない」というのは、わたしの中では釣行日をいれて3日以内で食べ切ることを指します。
もしくは3日以内で食べ切らず、干物に加工することもあります。
どれも、適切な保冷をしたうえで、以下の下処理を釣行当日もしくは翌日に行います。
イワシミンチやらアミコマセやらが、薄い胃袋にたんまり入っているわけで、心理的にもベストは当日だと思います。
<釣りアジの下処理>
- 鱗落とし
- 頭部・内臓・血合い落とし・流水洗浄(特に高水温期は腸炎ビブリオ対策で重要)
- 水分をしっかり拭ってペーパーを引いたバットに重ならないように並べる
※潮氷=氷海水はたっぷり用意。魚体全体が速やかに海水に沈み氷にあたっても刺激が少ないようにする
※持ち帰る際できる限り鯵が氷で潰れないにする
※うろこ落としで身に負荷をかけない
※血合いは丁寧に落とす
※3枚におろして保存はしない(雑味が増し、血合いの色味が茶色くなる。ラップやフィルムで1枚ごとに密封すると程度はよくなります。)
※調理する際は頭部側断面を薄く切り捨てる
棒身処理で保冷。ごく軽く塩をふることも
基本的にアジは釣ってから触らず、リリーサーをつかうことにより暴れさせずハリ外しをします。
▼リリーサー
つまり、フィッシュグリップとプライヤー類は使わないということです。
フィッシュグリップはつかみやすいが、身に血がにじむことも
釣行時のスタイルによって、そのままバケツに泳がすこともありますが、ベストは潮氷をためたクーラーボックスにドボンだと考えてます。
まんべんなく冷やしやすいのはブロック氷や保冷剤ではなく、クラッシュアイスです。
バケツに泳がせない場合は、狭いバケツのなかで活かしておく間にアジが疲弊することに配慮しています。
フィッシュグリップは便利なんですが、撮影をする場合や誰かのサポートをする場合以外はあまり使いません。
あとは、足元にアジが落ちたり、グローブをしていないときにつかむ必要があるときにつかうこともあります。
一連の「釣った魚を触らずにリリーサーでたっぷりの潮氷にドボン」=「リリーサー&ドボン」は松輪水揚げのサバ、所謂「松輪サバ」の技法です。
サバはアジより暴れ、素手で触ると色が変わりますし、動きをとめるため手でしっかりつかんだり、船底でバタバタ暴れさせるとすぐに身が割れるわけです。
程度によっては、打撲によって身に血が滲みます。
アジも同じようなことが言えます。
三枚におろして、皮を引いたら、血が滲んでいたり、身がくずれている個体をみたことがありませんか?
あれは素手・グリップ・船底・地面・氷で傷んでいるわけです。
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釣りアジを血抜きしない理由
ここで、釣ったアジの血抜きをしない理由を以下の通りまとめておきます。
<アジを血抜きしない理由>
- 血抜きする手間を減らす(手返し)
- 血抜きをする際に鯵の身が傷むため(フィッシュグリップグリップや、素手の握力、座席・船底などの硬い部分にふれ打撲・身に血がにじむ)
- 刃をいれたところから海水(クーラー内)が身に入るから。エラを切る程度であればあまりに気にならない
- 寝かさない場合、血を抜かないほうが独特の風味があるから(カツオは血が旨いですよね。あーいう感覚です)
- 刺身にしたときの色つやがいいから(血抜きをすると身が白くなる)
前提として、アジの場合、白身の魚と違って寝かして食べことが少ないんですね。
ならば、生にしろ加熱にしろ鮮度の高い3日以内に食べたほうが旨いと思っています。
身のハリや旨味からいってもそれぐらいが好みです。
実際はアジだって丁寧に処理すれば、10日ぐらいは問題なく食べられるんですが、真鯛やヒラメのようなメリットは全く感じません。
釣りアジを血抜きする場合
鴨居産大型の黒アジ系個体(潮氷締め)
大型アジを刺身にするとき、やや血が強く感じます。
大型のアジはできる限り身に負荷をかけないで血抜きをする場合があります。
<速殺血抜きステップ>
- スポンジやゲルクッションを敷き、アジを上に置いて、暴れないように軽くおさえ、目の斜め上あたりの頭部もしくはエラブタ上の延髄をナイフで切断
- 片側のエラをきってバケツで泳がせ血を抜く
- 袋にいれて潮氷で保冷
八景沖の大型黄アジ系個体。撮影のために座席に乗せているが、暴れると身が傷むので基本はやらない
まとめ
今回は「釣ったアジの血抜きをするか問題」について、個人的な考えをまとめておきました。
人により嗅覚や味覚は異なります。
- 常時喫煙をしている
- 頻繁に飲酒をする
- 濃い味付けになれている
- 鼻に持病がある
- 体調がすぐれない
以上のような条件が重なると、微妙な味や匂いの差は感じにくくなります。
つまり、同じアジで同じ処理をしたとしても、人によって風味の感じ方は千差万別なわけです。
「雑味が気になる」と考え、血抜き必須の人もいれば、「血抜きをしないほうが旨い」とする人もいる。
どちらが正しいというわけでもないのですが、誰かの参考になればと思います。
ただ、本音を言えば・・・
血抜きがベストだと思って、アジをグリップや素手でがっちりつかんで身をつぶし、中途半端に血抜きをし、バケツに入れっぱなしにし、即、死後硬直させ、保冷が今一つで、氷でアジが潰れ、下処理も遅れ、身が吸水して、冷蔵庫で熟成させているつもりが「もはや血合いが酸化して雑味満点な状態」なんていうのは、やっぱりあんまり美味しくないのになーと思います。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
関連アイテム
▼保冷に必要なクーラーボックスも保冷時間によって素材が変わるので、釣ってすぐ帰ってクーラーから出すならスチロール素材で十分です。遠征する、日をまたいで氷を残す必要ならば、ハイスペック素材のクーラーを買うとよいですよ!