「ちょい投げ」は釣り初心者でも気軽に遊べる釣りです。
一方、どうしても底を釣るため、比較的根がかりしやすい釣りでもあります。
今回は「ちょい投げ」での根がかりに困っている方にむけて、有効な根がかり対策を紹介します。
なぜ安易に根がかりしてはいけないのか
根がかりでラインを切ると大量のラインや仕掛けが水中に残ってしまう
海底付近を狙う釣りをする限り、根がかりを完全に防ぐことはできません。
これは釣りの経験を積み、スキルが向上しても同じです。
根がかりの可能性を下げることはできますが、ゼロにはできません。
どんな釣りのプロや名手でも根がかりをしますし、仕掛けやルアーのロストをします。
だからといって、安易に「根がかりしてもいいや」という心構えでいるのはどうでしょうか。
根がかりを軽く考えすぎると、防げる根がかりも避けられなくなります。
- 根がかりで水中にゴミが増える
- 高切れした釣り糸や仕掛けによってさらに根がかりが増える
- 以降、エンドレス
このように、釣り人一人ひとりの行動が、さらなる根がかりを生み出すことにもつながります。
一人ひとりの根がかり対策スキルが上がれば、環境負荷も低くなり、釣りという趣味の持続性が高まるはず。
ちょい投げ根がかり対策①地形を考えて釣りをする
足場がよく砂泥底なら「ちょい投げ」にぴったり
まず、ちょい投げの根がかり対策で重要なのは地形です。
そもそも、ちょい投げは底をさびいて、イソメなどを動かして釣る釣りなので、根が多いエリアには向いていません。
<ちょい投げに向いていない地形>
- 地磯
- 海藻エリア
- 底石が沈められた護岸際のエリア
ちょい投げのりにいく前に、ネット・釣り場情報誌などで現地情報を確認しておきましょう。
▼釣り場ごとの地形概要を理解しやすいのが釣り場情報誌
Googleマップ・Googleアースで地形をみるのも一つです。
比較的浅い海、透明度が高いエリア・季節であれば海底の地形も想像がつきます。
逗子海岸。海岸に向かって右側は根が張り出し投げ釣りには不適
その後、現地で「釣り慣れていそうな人」に挨拶をしつつ、海底の地形や底質を聞く方法がおすすめです。
「こんにちはー。すみません、ちょっとお聞きしたいですが、この辺って底に根ありますか?」
という、ような聞き方です。
同じ釣り場でも、「突堤の先端10m以外は根があらく、底釣りはできない」「○○の裏は空いているけど、岸から30mは根がかりが酷い」「護岸から30mは捨て石が埋まっている」などという情報が手に入ります。
ちょい投げは基本砂地・砂泥地で行うわけですが、砂地でも「シモリ」と呼ばれる沈み根・隠れ根が点在していることがあります。
釣り慣れていない場所の場合、これらの情報を確保するまでに時間がかるので、できれば丁重に聞いてしまうのがよいでしょう。
また、季節によっては沈み根周りを中心に海藻が多く生えるエリアもあります。
基本的に秋から春までは海藻類が多く、根がかりしやすい場所が増えると考えておきましょう。
ちょい投げ根がかり対策②仕掛けの工夫をして釣りをする
さて、根がかり対策で十分地形を考えたら、次に重要なのが仕掛けです。
天秤を使わず「中通しオモリ遊動仕掛け」にする
投げ釣りにおいての天秤はハリスと道糸が絡むのを防ぐ役割があります。
一方、比較的安価なL型天秤などは、根にハマりやすいという特徴もあります。
▼根にハマりやすいタイプの天秤
20~30m投げる釣りであれば、天秤をつかわずともそれほど仕掛けは絡みません。
中通しオモリをつかったシンプルな遊動仕掛けにすると根がかりは減ります。
道糸側から中通しオモリ(ゴム付き)、サルカン、ハリス・ハリという仕掛けです。
中通しオモリも水深に応じて3~8号程度をつかえば、さらに根をかわしやすくなります。
底上で立つ天秤を使う
浮力体のバランスから底上で立つ天秤を使うのも一つです。
オモリ自体の沈下速度がゆっくりになるため、急にオモリが根にハマることが少なくなります。
また、仕掛け自体を底上から浮かしやすくなり、ハリ部分の根がかりも減ります。
浮き上がりやすい天秤を使う
ちょい投げ定番のジェット天秤など、回転に伴い浮き上がりやすい天秤をつかうのも一つです。
足元から手前が根や海藻エリアで、その先に砂地があるエリアの場合は特に有効です。
リールの巻き取り量を覚えておき、〇回ハンドルを巻いたら、即座に高速巻きして回収というような釣り方をします。
こういった釣り場では、比較的ハイギアのリールが適しています。
オモリを軽くする
ぶっこみ釣り仕掛け。ちょい投げはもっと小さいオモリを使おう
使用するオモリを軽くするのも効果的な根がかり対策です。
重いオモリほど根にしっかりハマりやすく、軽いオモリは本格的な根がかりになる前に対処できる可能性が上がります。
水深や潮流によりますが、ちょい投げ釣りであれば、5~8号程度のオモリで十分です。
ハゼ釣りや夏場のシロギスなどは、3号~5号程度までのオモリをつかうことで根がかりが激減します。
オモリの形状を変える
潮流が強い場所でちょい投げをし、置き竿をする場合、いつのまにかオモリが流されてしまい根の隙間にハマってしまう場合があります。
仕掛けを流されたくない場合は比較的流されにくいスパイクオモリやおたふくオモリをつかいましょう。
※一般的にスパイクおもりやおたふくオモリを置き竿にしてつかう釣り方はぶっこみ釣りと呼ばれます。
きちんと糸を結ぶ
最低限サルカンへのクリンチノット等の結び方はマスターしておきましょう。
結び方がわからないまま釣りにいき、「毎投結び目が解けてしまった」というような経験を繰り返していませんか。
適切な結び方でない場合、根がかりした際にはひとたまりもないので、やめましょう。
<おすすめの結び方>
・ダブルクリンチノット(シーガー公式)
道糸はPEラインがおすすめ
釣りをはじめるときにセット竿がよく選ばれますが、セットリールに巻かれたラインは、やや太目のナイロン3号等です。
ナイロンラインは伸びが多く、海底の地形を把握しづらいと言えます。
そのため、アタリと根がかりとよくわからないまま竿をあおってしまい、根がかりを本格化させてしまうわけです。
PEラインは根ずれには弱いのですが、より細く感度を上げることができます。
なるべく早めにPEラインの1.5号~2号に巻き替えておくと、飛距離も伸びやすくなり、アタリと根がかりの違いがわかりやすくなります。
1.5号あれば道糸とサルカンを直結してもそうそう切れませんが、リーダーをつけることにより、サルカン部分での高切れ率を軽減できます。
強すぎるハリを使わない
ちょい投げであれば、それほど大きな魚を狙ってはいないかと思います。
小型の魚狙いであれば、極端に強すぎる針・仕掛けはつかわないようにしましょう。
道糸に対して、ハリが弱ければ、根がかり時にハリを伸ばしたり折ったりして、ハリ意外の仕掛け本体の回収がしやすくなります。
ちょい投げなら、あまり強いハリは使わないようにしよう
ハリのチモトに浮力体をつける
底上で立つ天秤に加えて、ハリのちもとに浮力体をつけるのもおすすめです。
ハリが底からやや浮き上がるので根がかりが軽減できます。
メゴチやサビハゼのアタリをさけつつ、シロギスをメインで狙うときは特に効果的です。
針の本数を少なくする
ちょい投げの市販仕掛けは2~3本針が多いのですが、おもいきってこれを1本にしてしまうのも一つです。
針が少なくなるほど、根がかり率は下がります。
針が絡んでしまうことも少なくなるので、慣れないうちはおすすめです。
ムツ針系の仕掛けを使う
ちょい投げに使用できる市販仕掛けのなかで、針先がねむっているものがあります。
針先が軸に対して平行のものより、針先が内側をむいているものの方が根がかり対策になります。
ちょい投げ根がかり対策③釣り方の工夫をする
地形把握と仕掛けの工夫で根がかり対策をしたあとは、釣り方で対策しましょう。
投げたら頻繁に動かさない
ちょい投げは基本的に底上をさびいて釣る釣り方です。
一方、地形によっては動かすことで根がかりにつながる場面もあります。
根や海藻が多い場合、頻繁に動かさず、投げたまま放置した方がトラブルなく釣果につながることがあります。
航路等のかけあがりの場合、投げてすぐは根がからないが、数メートル巻いてくるといきなり根がかりが増えるという場所もあります。
そうした場所では、投げたら仕掛けを動かさない方が釣果につながります。
ズル引きしないで、仕掛けを跳ね上げて移動させる
砂地に粒根が広がるような場所があります。
そうしたエリアでズル引きをして仕掛けを移動させるとすぐに根がかりになってしまう場合もあります。
こうした地形ではズル引きをせず、仕掛けを跳ね上げて移動させ、餌を食わせる間を作るのがおすすめです。
オモリを含めた仕掛けが跳ねあがることにより根部分を飛び越え、本格的な根がかりになることが少なくなります。
置き竿にしない
「投げたら頻繁に動かさない」とお伝えした話と矛盾するようですが、場面によっては置き竿が根がかりにつながることもあります。
たとえば、ちょい投げをしたあと置き竿にしているとカサゴやソイなどの根魚がヒットする場合があります。
その場合、気づかないと根に巻かれて、結果根がかりが増えます。
根がかりの外し方
手前に消波ブロックや海藻があるところはジェット天秤が有効
さて底釣りをする限り、根がかりを完全に防ぐことはできません。
注意していても根がかりしてしまった場合どうしたらよいでしょうか。
やりようによっては、根がかりを外すことができるかもしれません。
まずは竿をあおらず、テンションをゆっくりかけて竿先を確認する
まず、根がかりしたとおもったら竿をいきなりあおることはやめましょう。
根がかりではないのかもしれません。
いきなり竿をあおることで、根がかりがさらに深刻なものになってしまう可能性もあります。
まず、ちょい投げで根がかりしたと思ったら、竿先にゆっくりテンションをかけて聞き上げてみましょう。
その後、竿を止めます。
魚であれば不規則なアタリを感じるはずです。なんの動きもない場合は、ほぼ根がかりです。
一部、タコが天秤や餌にのしかかっている場合や、根魚に巻かれていることもあります。
岩に頭をつっこみエラをひろげてロックしているムラソイ
ラインをゆるめてから、瞬間的にテンションをかける
根がかりに気づいたときは、ラインを出して一旦テンションをゆるめましょう。
これだけで潮によってオモリが動き、根がかりが外れる場合があります。
また、ラインをゆるめたあとに、瞬間的に鋭くテンションをかけると外れる場合もあります。
引っ張る方向を変える
オモリが根にハマっている場合は、引っ張る方向を変えることで外れることもあります。
釣り場が混雑している場合はむずかしいですが、まわりに余裕があれば、角度を左右にずらして試してみましょう。
道糸をつかんで引っ張る・竿を道糸に対してまっすぐにしてリールで引っ張る
最終的に根がかりがとれないときは以下の2つの方法で、引っ張りましょう。
- 道糸をつかんで引っ張る
- 竿を道糸に対してまっすぐにしてリールで引っ張る
道糸をつかむときは素手をさけ、グローブをするか、専用のラインブレイカーを使います。
木切れ等でもよいですが、ラインが傷つくので注意しましょう。
他に、道糸に対して竿をまっすぐにし、リール部分で道糸を引っ張る方法があります。
この方法では、リールのベール部分が破損する可能性があります。
タコやゴミなどの場合、この2つの引っ張り作業で根がかりがはずれ、仕掛けごと上がってくる場合があります。
また道糸が切れる場合は、結び目から切れることがほとんどです。
※タコは持ち帰れないエリアがほとんどです。共同漁業権に注意しましょう。
根がかりしたときやってはいけないこと
岩礁帯の上に築かれた堤防は根がかりが多いのでちょい投げに向いていない
根がかりしたときにやってはいけない禁じ手も覚えておきましょう。
安易にハサミで道糸を切らない
根がかりしたときに、ラインが切れないからといって、安易に道糸をハサミで切ってしまう人がいます。
当然海底からかなりの長さでラインが出ているわけで、ハサミで切るとたくさんの捨てラインが出てしまうわけです。
ラインを切るときは結び目から切れるようなタックルバランスを考えて釣りをしましょう。
竿を立ててあおらない
根がかりを外すために、竿を立ててあおると高確率で竿が折れます。
これは竿の性能不備ではなく、単に使い方が悪いからです。
根がかりしても無理にあおらないようにしましょう。
毎年釣り場で竿を折っている人をみます。そのどれもが、根がかりを外す場面です。
また、安いセット竿の場合、折れた竿が邪魔になるのか釣り場に捨てていく人がいますが、不法投棄にあたり犯罪です。
絶対にやめましょう。
根がかりを外したあとの注意点
根がかりを無事外せたとき、ほっとして釣りを継続してしまいがちですね。
その前にやったほうがよいことがあります。
針先を点検する
針先が曲がった針
オモリではなく針部分が根がかりした場合、高確率で針先が甘くなっています。
そのまま釣りを継続すると、アタリが出てもフッキングできず悔しい思いをすることも。
根がかり後は必ず針先を確認しておきましょう。
基本的にちょい投げでつかうような仕掛けのハリは研ぎなおさず、針を付け替えるか、仕掛け全体を交換するのが一般的です。
ハリスと道糸を点検する
根がかりが起きるとき、ハリスや道糸も傷ついてしまっていることもあります。
根がかりを外したら、必ずラインの傷を確認しておきましょう。
ホツレが生じているPEライン。傷んだ部分を詰めてつかいましょう
まとめ
今回は釣り初心者でも気軽に遊べる釣りである「ちょい投げ」での根がかり対策を紹介しました。
根がかりは、もれなく環境負荷にもつながります。
また根がかりを外す時間が増え、実際に釣りをしている時間も少なくなり、新たな釣具補充コストも増してしまいます。
根がかり対策は釣り場に行く前からはじまっています。
安易に根がかりしないような釣り方を心がけることは、結局自分にとってのメリットにもつながるわけです。