シマノの船釣り用カウンター付きリールは、汎用・タイラバ用・ジギング用の3種に分かれています。
これが、いざ選ぼうとすると公式ページだけではわかりづらいんですね。
「シマノ カウンター付きリール 違い」とかでググって、登場する記事を読んでも今一つ自分にあったリールが選びにくい。
製品ごとのメリット・デメリットへの言及も謎な見当違いだったり。
では、釣具屋で聞けばいいと思っても、店員さんに聞きづらいときもありますよね。
しかも、釣具屋によってはECと比較するとかなり高い。
今回はそんな悩みをもったあなたに、シマノの船釣り用カウンター付きリール一覧と賢い選び方を解説します。
これで、もう迷わない!
▼本記事はXの以下投稿をもとにしています。Xでは釣りに関しての考察をいろいろしていますのでフォローしてみてください
【シマノのカウンター付き小型両軸リール一覧表】
シマノのカウンター付きリールは、ジャンル別のリールを出しているものの選びにくい人も多いはずです。
特に○○プレミアムを比較するとぱっと見で選びにくいので、スペック等の一覧をざっくりつくりました。
詳しい比較は記事にします。… pic.twitter.com/Zy31MtCnUD— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) February 20, 2024
カウンター付きリールの必要性はどこにある?デメリットは?
カウンター付きリールはPEラインのマーカーとあわせて活用するもの
カウンター付きリールの必要性
船釣りでは基本的にマーカー付きのPEラインを使用し、ラインの色でタナをとるのが基本です。
よく釣り船で船長から「カウンター付きリールの人も、ちゃんとラインの色でタナとってくださいね」みたいに言われます。
これはカウンター付きリールの数字が実際の水深とずれるという理由から。
ではなぜ、世の中にはカウンター付きリールがあるんでしょうか?
実は、カウンター付きリールはPEラインのマーカーとあわせて活用するものであるからです。
たとえば、タチウオの釣りで船長からタナを「65m~50m」と指定されたとする。
その数字を頭で覚えて、毎度ラインの色を数えて釣るのは手間です。
また、たとえば65mでタナをとったあとに、リールを3回転半ぐらい巻いたらアタリが出て釣れたとします。
その時「アタリが出たのは具体的に何メートルなのか」は、ヒット時の興奮であいまいになってしまったり。
よくある話です。
それがカウンター付きリールであれば、道糸でまず水深を合わせた後、デジタルで表示された水深を調整する。
その後、デジタル表示では「58m~52mぐらいにアタリが集中してるな」ということがわかるわけです。
あとは、次からいちいちタナ下限の65mまで落とさず、ディスプレイに表示されている60mぐらいまで落としてハリス分2m巻き上げて、58mから誘えば手返しが上がります。
カウンター付きリールは無くても釣りになります。
その上で、あるとさらに釣果を上げやすくなる(特に中層を狙う釣り物)ものと考えておきましょう。
また、海上釣り堀でもカウンター付きリールがあると便利です。
たとえばタナ取りグッズをつかってウキ下を微調整するときに、カウンター付きリールであればより正確な調整が可能になるわけです。
▼海上釣り堀ではタナ取りグッズと合わせてカウンター付きリールをつかうと狙った魚を釣りやすくなる
カウンター付きリールのデメリットは?
カウンター付きリールの側面
では、カウンター付きリールのデメリットはどこにあるんでしょうか。
主に3点あります。
- 重くなる
- 故障リスクが増える
- コストが上がる
です。
まず、同じスペックの両軸リールに対してICカウンターユニットと電池重量が足されるので重くなります。
最近はメーカーの技術力の向上により、カウンター付きリールでもかなり軽量ですが、感度や操作性を重視したい釣りではデメリットです。
また精密機械であるカウンターユニットと電源部が加わることから故障リスクは当然増えます。
さらに、同程度のスペックのリールに対して、コストはもちろん上がります。
シマノの船釣り用カウンター付きリール一覧と概要
ICカウンター付きリールのラインナップについて
シマノのカウンター付き小型リール一覧。※バルケッタSCは中・大型のため含めてません(クリックorタップで拡大)
シマノのICカウンター付きリールは2024年2月現在、10種のラインナップがあります。
大きく分けると汎用リール・タイラバ特化・ジギング特化の3ジャンルに分かれています。
<汎用リール>
<タイラバ特化>
<ジギング特化>
シマノのカウンター付きリール・ハイエンドモデル一覧(クリックorタップで拡大)
シマノのカウンター付きリール・~ミドルクラス一覧(クリックorタップで拡大)
それぞれの特徴や選び方については後述します。
シマノのカウンター付きリールの強味は?
堅牢さ
シマノのリールと言えば堅牢さが有名です。
実際につかってみるとわかるんですが、根幹となるメインギアやクラッチユニットはそうそう壊れず、きちんとした使用方法であれば5年ぐらいは問題なく使えます。
ICカウンターユニットについては他メーカーより浸水や湿気による曇りは発生しづらい印象です。
一方、初期不良や故障などもそこそこある印象です。
筆者バルケッタプレミアムで不具合(初期不良でICカウンターユニット部の交換)をしたことがあります。
フォールレバーの存在
シマノはハイエンドとジギング・タイラバ特化のリールでフォールレバー搭載しています。
フォールレバーの存在で規定の速度で丁寧に仕掛けやルアーを落とし込み、フォールで食わせるという釣りが可能になります。
これは競合のダイワやアブ製品にはない仕組みです。
※旧型のフォールレバーはレバーを締めこんだまま、巻くと巻き重りが発生するというデメリットがあります
デザイン性
デザインは好みの問題ではありますが、17バルケッタやバルケッタCi4+(それぞれ旧製品)の筐体は、ロープロ小型カウンター付きリールでは最適化されたデザインです。
登場以来、競合企業のデザインにも大きな影響を及ぼしています。
カウンター付きリールの基本的な選び方は?
次にカウンター付きリールの基本的な選び方を解説します。
糸巻量(型番)
まず、押さえておきたいのが糸巻量です。
糸巻量は型番(番手)によって異なります。
メインで使うPEラインの太さと必要な巻量をもとに選びましょう。
現行のシマノ製品では100番が主にPE1号を巻いて行うことを想定されています。
また、150番と200番が主にPE1.5号~2号(汎用性の高い番手)での使用を想定されています。
300番はPE3~4号(汎用性の高い番手)もしくは細糸(0.8号~2号)を長めに巻いて行うことを考えて作られています。
<シマノのカウンター付きリールの型番と釣り物>
- 100番:PE0.8~1号など。カワハギやマルイカ向け
- 150番と200番:PE1.5号~2号(もっとも汎用的)
- 300番:PE3~4号(汎用性の高い番手)もしくは深場などで細糸を長めに巻いて行う釣り(ディープタイラバ・中深場ジギングなど)
ギア比
シマノのカウンター付きリールのギア比は大きく分けて以下の3パターンです。
- ノーマルギア(無表記):一般的なギア比
- パワーギア(PG):巻き上げ抵抗が少ないギア比(巻き上げは軽いが回収速度が遅くなりがち)
- ハイギア(HG):巻き上げ速度が速いギア比(巻き重りはあるが回収が高速)
- エクストラハイギア(XG)巻き上げ速度がかなり速いギア比(巻き重りがかなり強い)
具体的には以下の取り、ギア比に対して対応する製品がわかれています。
- ノーマルギアのみ:バルケッタSC
- ノーマルギアorエクストラハイギア(XG):バルケッタプレミアム・バルケッタFカスタム
- エクストラハイギア(XG)のみ:ジギング専用リール(グラップラー系)
- ハイギア(HG)orパワーギア(PG):タイラバ専用リール(エンゲツ系)・オシアコンクエストCT・バルケッタ・バルケッタBB
尚、こだわりがなければハイギアのアイテムを買っておくと、あとあとの汎用性が高いです。
パワーギア(PG)は回収が遅くなりがちで手返しに遅れが出るほか、エクストラハイギア(XG)は巻き重りで疲労しやすいデメリットがあります。
そのため、複数の釣り物での使いまわしがしづらくなります。
ハンドル長と形状
シマノのカウンター付きリールのハンドルは大きく分けて以下の2パターンです。
- ダブルハンドル:48mm、51mm、55mm、60mm
- シングルパワーハンドル:60mm、70mm
ダブルハンドルは細かい操作が可能です。
全長が短いほど手首での安定的な等速巻きもしやすいメリット(例:タイラバ)がありますが、巻き上げ負荷(手首への負担)が上がります。
そのため、近年はダブルハンドルでも55mmのアイテムかつハンドルノブ大き目のアイテムが多いです。
次に、シングルパワーハンドルは腕全体で巻くことを想定した仕様で、細かい操作より巻き上げ力が必要な釣り(例:ジギング)で用いられます。
剛性
剛性には大きく分けて二つあります。
- ボディの剛性
- メインギアやクラッチユニットの剛性
ボディの剛性は金属を使用することで、樹脂複合素材に比べてたわみがなくなり、巻き上げ力が分散しません。
そのため、より小さな力で巻き上げが可能で、疲労も軽減します。
メインギアやクラッチユニットの剛性は巻き上げのスムースさに関連しています。
滑らかな巻き上げは疲労軽減にもつながりますし、巻き上げの際に生じる微妙な違和感(潮の変化や前アタリ・気配)も検知しやすくなります。
レベルワインド連動
ここでいう「レベルワインド連動」とは、ライン放出時にレベルワインドが連動して動くという機構を指します。
細糸で大物を釣るときに、ドラグにより放出されたラインに対してレベルワインドが干渉しづらくなるので、ハリス切れなどが軽減します。
またフォールもよりスムーズに行えます。
フォールレバー
フォールレバーはシマノ独自の機構ですが、フォール時にブレーキをかけることにより、ルアーや仕掛けの落下速度を遅くする役目があります。
- タイラバ
- ジギング
- タチウオ
- ヒラメの泳がせ釣り
等での使用が想定されていますが、仕掛けやルアーのフォール速度を遅くすることで魚が口を使いやすくするという意味合いです。
サミングより安定してテンションをかけられるわけですが、使わないユーザーにとってはまったく不要な機能でもあります。
フォールレバー搭載機種は重量も増し、価格も上がります。
また、バーチカル釣りという利用シーンからキャストに必要なサブブレーキが非搭載です。
選ぶ際にはこのことを覚えておきましょう。
シマノのカウンター付きリールの賢い選び方
巻き抵抗が強くない釣りはバルケッタで十分
さて、そろそろ本題です。
シマノのカウンター付きリールを選ぶとき、自分にあったものをどうやって選ぶとよいのでしょうか。
ざっくりいうと、以下の通り考えるとよいです。
カウンターの基本機能だけあればよい人
はじめてカウンター付きリールを買う人で、汎用性を求めるのであれば大多数の人が以下①のバルケッタBBか②バルケッタで十分満足できるはずです。
①.とりあえずカウンター付きリールを安価でほしい
→バルケッタBB150 DH-HG
・150DH-PGはタイラバの等速巻きなどに使えるが汎用性が下がる
・300HGはPE2号か3号を使ってのノーマルタックルでのヒラメ泳がせ釣りや細糸でのジギングなどに適している
②.①+ドラグ音がほしい。さらに軽い方がよい
→バルケッタ150 DH-HG
※バルケッタBBと同じ
カウンター+フォールレバーが欲しい人
汎用性かつ、ちゃんと使えるフォールレバーは④のバルケッタプレミアム。剛性を求めるならオシアコンクエストCT(フォールレバーは旧型で期待してはいけない)がおすすめです
③.②+フォールレバー+巻き上げ落下速度カウンター、ほどよい価格
→バルケッタFカスタム150DH
・注意点:フォールレバーが旧型のため、フォールレバーをつかっていると巻き重りする
・150はパワーハンドルモデル。ノーマルギアなので「素早い巻き取りが必要な」ジギングには最適ではない
・150DH-XGはダブルハンドルで巻き上げ負荷が高い釣りには適してない
④.③+さらなる巻き心地ほしい+お高めの価格は許容できる
→バルケッタプレミアム150DH(フォールレバー新型)
・その他、バルケッタFカスタムと同様。
・150DH-XGはダブルハンドルのため、マイクロモジュールギアがあっても巻き重りが強いので注意
⑤.最高の剛性と巻き心地+巻き上げ落下速度カウンター+フォールレバー
→オシアコンクエストCT200HGo300HG
・注意点:フォールレバーが旧型のため、フォールレバーをつかっていると巻き重りする
・PGモデルはタイラバとエギタコ以外には出番が少ない(ほんと)
ジギングメイン+フォールレバーが欲しい人
ジギングメインでカウンター付きリールが欲しい場合は、⑥のグラップラーCT(フォールレバーは旧型で期待してはいけない)か⑦のグラップラープレミアムを選びましょう。
XGでシングルパワーハンドルモデルはグラップラーシリーズしか用意されていません。
⑥.ジギングメイン&巻き上げ落下速度カウンター
→グラップラーCT150XG
・注意点:フォールレバーが旧型のため、フォールレバーをつかっていると巻き重りする
・パワーハンドル+XGで高速巻きでも力強く巻ける
⑦.⑥+さらなる巻き心地と剛性+α(軽量+巻き上げ距離アラーム)
→グラップラープレミアム150XG
・フォールレバー新型
・パワーハンドル+XGで高速巻きでも力強く巻ける
・マイクロモジュールギアとベアリング数UP&軽量でさらに快適
・巻き上げ距離アラームでディスプレイをみないで直感的な釣りができる
タイラバメイン+フォールレバーが欲しい人
タイラバメインでカウンター付きリールが欲しい場合は、➇のエンゲツCT(フォールレバーは旧型で期待してはいけない)か⑨のエンゲツプレミアムを選びましょう。
エンゲツCTは、ハンドルが51mmのため他の釣りでは巻き重りしやすく、汎用性ならエンゲツプレミアムです。
➇.タイラバ&カウンターほしい
→エンゲツCT150HG(HG・PGのつかいわけ)
・注意点:フォールレバーが旧型のため、フォールレバーをつかっていると巻き重りする
・汎用性ならHGだが、等速巻き優先のためハンドルが51mmのため、タイラバ以外の釣りで使うと巻き重りを感じやすい
⑨.➇+さらなる巻き心地と剛性+α(軽量+巻き上げ距離アラーム)
→エンゲツプレミアム150 HG
・フォールレバー新型
・汎用性なら150HGで、エンゲツCTと異なりハンドルが55mmのため、タイラバ以外の釣りでもより快適
・マイクロモジュールギアとベアリング数UP&軽量でさらに快適
・巻き上げ距離アラームでディスプレイをみないで直感的な釣りができる
まとめ。本当にカウンター付きリールって必要?
今回は何かと迷いがちなシマノの船釣り用カウンター付きリール一覧と賢い選び方を解説しました。
個人的な考えですが、はじめてのカウンター付きリールなら、大多数の人がバルケッタかバルケッタBBで十分だと思います。
汎用性という観点であれば、まずはそこからはじめて、他のラインナップを検討していくとよいでしょう。
バルケッタとバルケッタBBを買った人で、その後に感じるのは深場や巻き抵抗が強い釣りでの不安感です。
筐体が樹脂複合素材なのでたわむため、力が逃げてパワー不足を感じます。
そうなると、より筐体の剛性が高く、巻き上げが快適なマイクロモジュールギアを搭載したリールが選択肢に入ってきます。
それとシマノのカウンター付きリールを検討する際に考慮したい点はフォールレバーです。
バルケッタ&バルケッタBB以外のICカウンター付きリールにはすべてフォールレバーが付いてきます。
プレミアムシリーズがアップデートされ、旧型フォールレバー作動時の巻き重りは改善されていますが、本当にフォールレバーが必要なのかはよく考えたほうがよい買い物ができます。
さらに、いまさらながらですが自問したほうがよいのが「本当にカウンター機能が必要なのか」という点です。
フォールレバーがいらない、さらに水深の把握もやっぱり道糸の色のみでいい、巻き上げや落下速度って別にデジタルに見えなくてもいいとなってくると、以下の選択肢の方が軽量で同じ基本スペックならより安価です。
またカウンター付きでない場合はスプール脱着も自分で行いやすく、かつSVSなどのサブブレーキもあるものも多く、投げる釣りにも使用しやすくなります。
故障リスクもカウンターなしのほうが当然低いです。
カウンター付きリールを検討する際は、カウンターなしリールのメリットもふくめて考えたいところ。
自分にとって一番よい買い物をしたいですね。
ではでは。
平田 剛士(@tsuyoshi_hirata)
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