飲酒×釣り=死への近道。激流で縦のまま流され死にかけた話

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多摩川上流部
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酒を飲んで釣りをする人がいる。

多少であればよいと思うが、かなり深酒をしている人もいる。

堤防の上で夜釣りをしていて、やけに酒精臭いなとおもったら、地元釣り師の足元に大五郎の4Lボトルがあったり。

沖釣りでも、沖にでて数時間後に話しかけたらすっかり酩酊してしまっている人がいたり。

酒は個人の自由で、暴れたり、ウザがらみしなければまあいいものの、やっぱり危険性は高まる。

合法麻薬のようなもので、日ごろおとなしくしている裏返しか、酒を飲むと、本性があらわれる。

とはいっても、酒飲みにとって、飲酒こそ楽しみなのはわかるし、歳をへるほど、何かを忘れたくなるのもわかる。

が、水辺での飲酒は危険だということはやはりふまえておきたい。

今回は、学生時代に渓流で飲酒BBQをしていて、死にかけた話をする。

釣りはしていないが、参考になると思う。

目次

多摩川上流部でBBQをすることになった

あれは、大学3年だったか、4年だったか。

たぶん、4年だったような。

当時のわたしは、某ラーメン屋でバイトをしていて、週6日ぐらいは勤務していた。

なぜそんなに働いていたかというと、お金がなかったからだ。

毎年、学費を延納し、様々な協力も得て、納めていた日々であった。

4年生になると、学費を払わないと卒業できない。そのため、バイトをしていたんだと思う。卒業旅行?なんですかそれはと、当時思っていた。

そのラーメン店では、朝番・夜番というのがあって、わたしは基本的に朝番だったのだが、夜番のメンバーとも仲が良かった。いや、わたしが、というよりも全体的に仲が良かったのだ。

これは店長の人柄もあって、仲が良かったのだろう。今振り返るとそう思う。

全体的に仲が良いメンバーは、だいたい打ち上げで飲みにいくか、夏はBBQなどにいくのが相場だ。そんな気がする。

が、朝番・夜番両方のメンバーでBBQに行ったら、店が動かせない。

そこで、近隣店舗のメンバーなどに店長が手をまわしてくれ、ある日、全員で奥多摩方面にBBQへ行くことになった。

普段揃わない朝番・夜番のメンバーが揃う。

異様なテンションでその日を迎えた。

多摩川上流部へ。BBQで酔う

だいたい、グループに計画性があるメンバーがいれば、BBQをやる場所は○○で、何時やって、何時ぐらい。ということになるんだと思う。

が、我々にはそういったメンバーはいなかったようで、全体的に用意周到ではなかった。BBQ場を予約するなどではなく、とりあえずいけばなんとかなるでしょ。というスタンスだった。

まあ、よくある。

若さゆえのなんとやら、ってやつだ。

当然、アバウトにながれていく。

道中、あきる野あたりのスーパーで物資を買い込み、奥多摩方面へ。

河川をみると、そこいらでBBQをやっている人がいる。

じゃあ、どこでやろうか。

ここでやるか?

いや、BBQやっている人がいっぱいいるから、もっと静かなところにいこうよ。

このように、釣りでも一緒だが、だいたいの人は、より水がきれいであろう上流に向かおうとする。

これは、手漕ぎボート釣りの人が、より沖に漕ぎだそうとするのにも似ている。

岸からバス釣りをするのに、足元のえぐれにこそ、大型がいるのに、無駄に遠投しようとするのにもよく似ている。

我々も、そういった人間の習性にもれなく上流へ向かった。

路が細くなり、さらに1時間近く走ったのだろうか。

多摩川も上流部になると川幅が狭まり、流れが強い。

淵は緑色をしていて、水深は3~4mぐらいありそうだ。

だれが決めたか知らないが、とある河原にたどり着き、そこでBBQをした。

安い解凍肉でも、屋外で炙って食べれば実に旨い。

そこに缶酎ハイやらをあおる。

何本飲んだか。

あまりわたしはアルコールに強くないものの、みんなの手前、若さもあって数本飲んだんだと思う。

実に楽しい。

朝番の話題。夜番の話題。

共通の話題。

店によく来る芸能人やミュージシャンの話題。

小柄で可愛い女の子なのに、いつも大盛りを頼んで、スープまで平らげる人の消息。

いつも、夕方前にやってきたが、あの子は最近こないよね。

などなど、取るに足らない話が実に面白い。

若さの真っ只中にあるときには気づかないが、それが青春であって、守るものが増えた地点から、ふと後ろを振り返ると、やけに光り輝いているものだ。

取るに足らないものに熱中できたあの時代。

さて。

満腹になり、安酎ハイに頭がぼんやりしていると、川に入る者が現れる。

これは古今東西一緒なのかもしれない。

夏・BBQ・飲酒といったら、川に入るものだ。

川幅は狭いところで5m以内。

広いところで10mぐらい。

蛇行して、大きな岩にぶっかって、流れはかなり急だが、ところどころ手前側の浅瀬は流れがゆるくなっている。

一人川に入って、「キッモチィィ!」なんていうと、次に続くものが現れる。

「キッモチィィ!」

「うっひゃー!」

今から20年近く前だから、暑さもほどほどだったはずなのだが、汗だくで、BBQの煤で汚れた体を清めたい気持ちはよくわかる。

ということで、わたしも、皆と一緒にパンツ一丁になり、川に入ることにした。

酔ったまま水に入り、激流で溺れる・・・

めっちゃ冷たい!

最初の印象はこうだ。

多摩川も上流までくると、再生水が流れているのではなくて、天然の降雨や湧き水由来の冷たさがある。

都市河川由来の洗剤のようなニオイはまったくない。

水深はひざ下程度。

アルコールに火照った身体に冷涼な渓流の水が心地よい。

このあたりだったら、ヤマメがいるんだろうか。奥多摩湖にはニジマスがいるから、流れて居ついた個体もいるんだろうな。岩の間には、ここまであがってきた大ウナギがいるはず。

・・・

みると、先発隊は、もう少し深くで戯れている。

水深は腰程度。

若さゆえの過ちとはなんとやら。

わたしも先発隊に加わり、腰ぐらいまでつかり水につかって一緒に戯れた。

足元はそれほど細かくない砂、石と呼んだほうがよいのか。

いずれにせよ、足場はおぼつかない。しっかり身構えないと、流れが速いので、流されてしまう。

だが、アルコールで判断能力が麻痺していたのか、わたしはさらに体を深くつけていく。

腰程度の水深から、腹程度まで。

この辺までは大丈夫だろうな。

そう高を括った、その時・・・。

足元が滑り、わたしの体が浮いた。

・・・

その後は、文字通り「あっ」という間だ。

またたく間に身体が冷たい流れに飲み込まれる。

当時から視力が悪く眼鏡をしていたのだが、水に入る際にとっていたので、視界もままならない。

水にもまれて、気づくと、頭上、50㎝程度のところに水面がある。

なんと、縦のまま流されている!

身長が180㎝以上あるのに、立った状態のまま、流芯の強い流れによって流されているのだ。

人間は縦に流されるのだな。

そのときはそんなことを考える余裕がなかった。

どうにかしなければ。

・・・

時間にしてどれぐらいなのだろう。

ほんの10秒ぐらいだと思う。

つま先立ちをしようとしても足が立たない。

泳ごうにも、強烈な流れのなかでは暴れるだけになってしまう。

何度か繰り返し、パチンコの釘のように岩場に打たれる。

酔っているせいで、身体の自由が利かない。おもっているように手足が動かない。

流された瞬間に多少水を飲んでしまってからは、呼吸をとめている。

水面がただただ明るいなー。

そうぼんやり感じて、なんとなくもうダメなのかもしれないとおもいはじめて、ただ流されていく。

・・・

・・・

・・・

何度かの岩との衝突をへて。

!?

足が何かに触れる。

運よく流れの蛇行で浅瀬側に流されたのか、足が砂地に着いたのだ。

そこからは全力で岸側に足を進めた。

再び水深が腰上に。

ひざ下に。

そう、生き延びたのだ。

酔いによる動悸にくわえて、恐怖体験。

異様に呼吸が荒い。

みると、皆がいる場所から2、30mほど流されたようだ。

身体を見ると、岩に擦れた腕や肩の傷や、砂地を這い上がろうとしたときについた足にすり傷ができていた。手と足の爪も、なんとか岩につかまろうとしたり、つま先立ちで踏ん張ろうとしたからか傷ついている。

呼吸を整えて、皆の前にもどったわたし。

切迫した事態なのに、笑ってごまかしつつ、「いやー流されちゃったよー」みたいなことを言ったんだと思う。

時を同じくして、みんなの体も冷えたと見えて、全員が川から上がった。

結果的に誰も死ななかった。

水辺で酔うことの危険性

振り返ると、紙一重で生き延びたのだと思う。

酒に弱いのに、勢いにまかせて、もうすこし酒を飲んでいたら。

岩で頭を打って気絶していたら。

流れの蛇行によって浅瀬側に流れなかったら。

などなど。

若さゆえといえば、それまでだが、やはりこのときに重要な関係があったのはアルコールだと思う。

酒を飲んでなければ、もっと判断能力がきいたはず。

流されたとしても、身体の自由がもっとあったはず。

この話に釣りはでてこないが、釣りも一緒だと思う。

堤防の夜釣りで酒盛りをしていて、落水する。

プレジャーボートなどで酒をのんで釣りをしていて、落水をする。

などなど。

特に深酒をしなくても、アルコールによって判断能力は落ちるので、普段やらないようなことをやってしまうかもしれない。

それに、落水するといつも以上に身体の自由がきかない。

磯やテトラ混じりであれば、頭を打ったらクリティカルだし、ライフジャケットをしていてもそのまま亡くなってしまうことも多いのではないか。

むしろ、釣り場で酒盛りをしている人は、だいたいライフジャケットなどしていないと相場が決まっている。

・・・

今回は、学生時代の失敗談をした。

このときから、わたしは釣りのときには酒を飲まないようにしている。

それに、酒を飲んだら水に入らないを徹底している。

人の行動は直接変えられないが、この話を頭の片隅に覚えておいてほしい。

みなさん友人知人に伝えてもらえれば幸いだ。

※アイキャッチ画像はそのときの写真です。

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