「青物(アオモノ)」という言葉を聞いて、一番先に思い浮かぶ魚はなんでしょうか?
人によって違いますが、多くの釣り人が思い浮かべるのが「ブリ」の仲間かと思います。
ブリは出世魚と呼ばれ、全長や重さによって「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」「ブリ」というように区別されています。
今回は釣り人目線でみた出世魚ブリについて紹介します。
「ワカシ」はブリの幼魚。ショアからルアーで狙いやすい
ワカシはブリの幼魚で、だいたい35㎝以下程度の個体を言います。重量は、~数百グラム程度。サイズ感でいうとマアジと同じぐらいです。
関西での呼び名は、ツバス。
人間に例えると、小学生・中学生ぐらいかなと。
初夏に生まれたものが、太平洋側では黒潮にのった海藻などについて(「もじゃこ」と呼ばれる)が、やがて成長し、真夏に相模湾など各沿岸に来遊します。
警戒心はあまり高くなく、好奇心旺盛で、水深が2m程度の浅いところまで餌をおって回遊し、岸からもよく釣れます。
都道府県別の漁業調整規則で、小型の個体は持ち帰ることができません。
実際にイナダへ出世するラインは、明確に区別されず、盛夏にかけて小型で多く釣れるものは、だいたいワカシと呼ばれます。
成長スピードが、かなり速く、夏場に接岸するカタクチイワシやシラスなどを食べてみるみるうちに大きくなっていく印象です。
<釣りのシーズン>
- 夏
8月が盛期。堤防釣りよりは、サーフでのショアジギングや弓角の釣りでよく釣られています。
<釣り方>
- ショアジギング(~30gぐらいまでのメタルジグで狙うことが多い)
- コマセ五目
- カゴ釣り
ワカシは、基本的にまとまった対象魚が少ない岸からの釣りで喜ばれる印象。
サイズが小さく釣り味や食味がそれほどよくないので、基本的に遊漁船は狙いません。資源保護の意味合いもあります。
ただし、なれていなくても、群れにあたればだれでも釣れるため、初心者向けに「サバ」と合わせて「ライトルアー船」を出す釣り船も登場してきています。
<適した料理>
- フライ
- ユッケ
脂ノリがまったくないので、油を足すような料理法がオススメ。好みですが、塩焼きや煮つけにしてさっぱり食べるのも、それはそれで美味しいと言えます。
「イナダ」はブリの若魚。ライトタックルなら引き味も抜群
イナダは漢字で書くと「鰍」。
秋によく釣れ、美味しくなるという意味合いと思って間違いありません。
ワカシが9月10月ごろになると1キロ前後ぐらいまで成長し、イナダと呼ばれ始めます。実際には8月でも成長が速い個体が釣れますが、秋以降、群れ全体のサイズ感が上がり、やや脂が乗り始め食味もよくなります。
人間に例えると、中高生ぐらいのイメージ。
地域によって呼び名が変わり、関西では「ハマチ」、北陸では「フクラギ」、九州では「ヤズ」と呼ばれます。
釣り人は、さらに「イナワラ」と呼ぶことがあるのですが、これはイナダとワラサの中間という意味合い。
「ハマチ」は他にも、養殖ブリのことも指します。
<釣りのシーズン>
- 夏から秋
秋以降、1キロ前後のサイズも釣れはじめ、引き味もよいので釣り船でもコマセ五目やルアーなどで狙いはじめます。群れにあたると入れ食いになり、比較的身肉の歩留まりもよいので、釣りをする時間や持ち帰る量を加減して釣る必要があります。
<釣り方>
- ショアジギング
- コマセ五目
- カゴ釣り
- 泳がせ釣り
イナダサイズから魚食性が高まり、小鯵やイワシの泳がせ釣りでもヒットしやすくなります。
コマセをつかった五目釣りでは、タナさえ合えばだれでも強い引きを味わうことができるでしょう。
ビギナーに釣りにハマってもらうにはうってつけのターゲットかもしれません。
<適した料理>
- フライ
- 刺身
- ユッケ
基本的にワカシと変わりませんが、秋以降はやや脂ものり、刺身でさっぱり食べるのもオススメ。
醤油のかわりに、ゴマ油+塩コショウで食べるのも美味しい食べ方です。
「ワラサ」はもう立派なブリの大人。引き味も抜群
ワラサは、だいたい全長60㎝以上の個体を指します。重量でいえば、10キロ未満をワラサと呼ぶこともあります。
関西での呼び名は「メジロ」。
人間で言えば、成人式を終えたあたりから、社会人になりたてといってよいかもしれません。
ワラササイズに成長すると、脂ノリもよくなり、ワラサ目的で釣りをする人が沖釣りでも増えてきます。
<釣りのシーズン>
- 冬
冬場に、ベイトをおって沿岸部に群れがまとまるところを釣ることが多いと言えます。
<釣り方>
- ショアジギング
- オフショアジギング
- コマセ五目
- 泳がせ釣り
- タイラバ
コマセにオキアミ餌のほかに、泳がせ釣りでもよく狙われています。タイラバのゲストして釣れることもしばしば。
<適した料理>
- 刺身
- ユッケ
- フライ
- カマの塩焼き
- ブリ大根
- 照り焼き
ワラササイズは適度に脂がのっているので、ブリ大根・カマの塩焼き・照り焼きなどが美味しくなってきます。
沿岸部に居残っているワラサは脂ノリも抜群
「ブリ」は大型で脂ノリが強く釣り人を興奮させる存在
出世魚の頂点「ブリ」。呼び名は全国一律でブリです。
漢字で書くと鰤。師走以降に食味がよくなるためこのような漢字であるといいます。
全長80㎝以上であればブリと呼んでもよいと思いますが、ブランドブリなどでは、重量10キロ以上の個体などを指したりします。
<釣りのシーズン>
- 冬~初春
厳冬期に落とし込み釣り(サビキで餌を釣って落とし込む)や、ルアーなどで狙われています。
<釣り方>
- ショアジギング
- オフショアジギング
- コマセ五目
- 泳がせ釣り
ブリになるとさらに魚食性が高くなるため、ジギングや泳がせ釣りで釣ることが多いターゲット。
引きが強力になるので、相応のタックルで臨む必要があります。
一番手軽にブリを釣るのは、海上釣り堀。
<適した料理>
- 刺身
- ユッケ
- フライ
- カマの塩焼き
- ブリ大根
- 照り焼き
産卵のために日本列島の沿岸を南下するブリは「寒ブリ」と呼ばれ、最高の食味。
ただし、脂が苦手な人にはワラサ程度のほうが美味しく感じられるかもしれません。
まとめ
今回は、釣り人の多くが「青物」と聞くとイメージするブリの名前の変化についてお話しました。
特にワカシやイナダサイズについては群れにあたれば、それほどの技量がなくても際限なく釣れてしまい、結果的に困ってしまうことも。
昔聞いた話ですが、イナダを沖釣りでたくさん釣った人が、帰り道に高速道路のICのごみ箱に捨てていたそうです。
そういったことは誰も得をしないので、釣るときは計画的にしたいですね。