諸葛亮曰く「大型のアマダイを家庭で炙るのは一筋縄ではいきませぬかと」

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アマダイの焼き物
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世の中わかっているようでわかっていないことがほとんどなんですよね。しっているつもり、つまり、しったかぶりのまま生きてしまう。なんでかというと、年齢を重ねれば重ねるほど物事をしらないことが恥だと思ってしまっているからです。

これは、アマダイの調理についても同じです。

おい、唐突だなあ。

これは仕方ない。わたしもいきなり切りこんできたなと思いました。でも、早々に導入文から本題に入らないと、わたしがこれまで出会ってきた、なんでも検索して知っていたフリをする「Google諸葛亮」諸氏について語らなくてはいけなくなってしまいます。

そういう実際の誰かをやり玉にあげるのはちょっといただけない。わたしもすこしでも性格がいい人に見られたいんです。なので、アマダイの話にうつりますね。

目次

大型のアマダイをひらく

大型のアマダイ

今回の素材はこちら。城ヶ島沖で釣った「デカアマ」こと大き目のアマダイです。45cm。

アマダイは水分が多い魚で身が柔らかいため水気をぬいて調理する方法がよく知られています。初日なら四の五のいわず天ぷらが最高だと思います。

鮮度劣化も比較的早いので、釣りあげたその日に内臓とエラと血合いを取り除いて、背開きにして塩をうって水分を抜く方法はみんなやっているかなと。

若狭湾でとれたものを背開きにして塩をうち、京都まで運ぶとちょうどいい塩梅に塩がアマダイの水気を抜きつつ旨みも凝縮していて最高だと言われています。

それと、美味しんぼのキチ系エピソードも有名ですが、焼き魚にする際は、うろこをつけたままにして、鱗が立たないように遠火でじっくり炙るのがスタンダード。

よく「若狭湾のアマダイだから鱗が柔らかい。関東のは硬いから」とかいわれています。それもそうかもとは思うんですが、おそらく工程に秘密があり、酒をぬってじっくりじっくり炙ることで鱗が焦げず柔らかくなるんでしょう。

あとはサイズの問題もあると思います。当然、デカアマサイズよりは30cmぐらいのほうが鱗が未発達で柔らかいはず。

だけど、正月やお祝いなどのタイミングになると、人は見栄をはって、立派なサイズを炙りたいと張り切るもんです。はい、わたしです。

ということで持ち帰ったアマダイ。

12月中旬ということで、正月まで持たせるには若狭焼き用に「一入(ひとしお)」という下処理法では無理がありそうなので、開いて干物にすることにに。

冷凍保存しておけば、正月に実家にもっていくにも支障はありません。

背開き。

包丁は本鋼の厚めのものを使うと頭をきれいに梨割できます。これがステンレス製の薄刃だと梨割しにくい。真鯛もそうですが、ある程度しっかりした骨格をもつ魚を調理するために、鋼の包丁はもっておくにこしたことはありません。

丁寧に背から開いていきます。

出刃の刃が中骨をかたかた感じるぐらいでゆっくり切りひらいていきましょう。

腹骨(肋骨)あたりはかなり硬いのと、刃を誤って動かすと刃こぼれの原因になるので強がらず調理バサミをつかってしまうのもスマートです。

頭部は刃先を支点にしてざっくりいきましょう。

と思ったら、釣り鈎を飲み込んだままだったことに気づきました。

釣り鈎に気づかないで刃をすすめると、これも刃こぼれの原因になるので注意しましょう。

飲み込まれた釣り鈎はだいたい食道あたり、胃袋の入り口あたりにフッキングしていることがほとんど。オーナーの沖アミチヌ鈎がありました。

という具合に開く。尾の部分はあんまり皮目まで刃をいれると焼く途中で分離してしまうので、ほどほどに。

こちら開いた側。

よくみると骨づたいにあった血液がきれいになっているわけですが、これは洗い流しておきました。血抜きで抜けなかった血液もできるだけきれいにしたほうがよい干物ができあがります。

あとは海水よりやや濃いぐらいの塩水+日本酒に30分漬け込みます。

おい、俺たちを忘れるな。

・・・

・・・

・・・

き、貴殿たち。

ムシガレイとタマガンゾウビラメですね。

小型であるんですが、この2種類も独特な風味があるんですが、干物にむいています。実にうまいので持ち帰ってほしい。

漬け込みがおわったら干すだけ。

デカアマダイはサイズが大きかったので1日、中型アマダイとタマガンゾウビラメとムシガレイは半日ちょっと干しました。

タマガンゾウビラメ。

ムシガレイ。

それぞれ炙ればわかる旨さ。

アマダイは開いたまま冷凍します。

ラップでつつむ。

この通り。

いいねいいね。

デカアマサイズを家庭でまるごと炙るのは難易度大

大き目の魚を丸ごと炙りたいときに一般家庭で必ず問題になるのは、「できれば映えを考えてまるごと炙りたいけど炙れない問題」です。

気持ちとしては炙りたい。炙ってきれいに写真撮影して、インスタとかにUPしてドヤリングに勤しみたい。

その気持ちよくわかります。

が、45cmのアマダイを開いたものを丸ごと炙るなんて、かなり難しい問題です。

どうしよう。

ここで母和子に相談したところ「真っ二つにして焼けばいいんじゃない?写真撮るならあとでくっつければ」という大陸合理論を主張。

そりゃそうだ。

とはいえ、新年のお祝いものとして、やっぱりそこは必要以上に刃を入れたくはないという気持ちもあり、至ったのが、寿司屋を営む伯父の店に持ち込み、業務用兵器で炙るという一計です。

この通り、業務用ということで、デカアマも無事インしてますね。

一方、火は上側のみなので、適宜ひっくり返すことが必要です。これは注意しないと身がもげてアマダイゾンビになってしまう。

また、尾びれはすぐ焦げるのでアルミホイルで防御しておきましょう。

尾部分は分離しやすいので注意!

おおお、いいね、やけてるね。

裏返す。炙る。

いいねいいね。いいよいいよ。

ここで刷毛で鱗に東肥料赤酒を塗ってじっくり炙った、ら、よかった。

よかった。といっているぐらいなので、酒は塗らず炙りました・・・。

しかも、伯父と話していたら・・・。

こうなった。

わ、ちょっと炙りすぎたか。

油断してしまった。

むー。うろこがたっちまったな。

じっくりさらに丁寧に火を通すと、うろこが立ち上がるのは抑えられるのです。こりゃ美味しんぼだと料理人が食通気取りに怒られて意気消沈するパターンだな。

とはいえ、加熱は終了して盛り付け。

映え。

寿司屋のカウンターにおいてみたら、余裕ではみ出て無理がありますが、華やかではありますね。一皿15,000円ぐらいでしょうか。

テーブルにおいてみる。

映え。

南天の赤と緑が実に映えてるやんけ。

伯父作の飾り包丁の葉もいい雰囲気がでてますね。

UPで見せたろか?

こちらです。

店内に広がるエビの香り。

深海海老

城ヶ島沖で釣ったアマダイが吐き出したエビ

城ヶ島沖のアマダイは深海海老を食べているのです。

蘊蓄はそれぐらいにしてもらおうか。

多少鱗は立っているが、このアマダイの炙りの味はどうなのか?

・・・

・・・

・・・

うっ、超絶美味。感動的な香り。

甲殻類の香りがプンプンする皮目。その下に隠れほっくりとした白く甘い身質。

鱗は案の定太郎で炙りが甘く、やや口に残るものの、これは次回への宿題ということなんでしょう。課題があるから未来が楽しい。釣れないから釣りは面白いのと一緒です。

伯父は「やっぱり、コケ(鱗のこと)がちょっと口に残るな」といってました。

それもそうだ。そもそも、一入(ひとしお)でなく干物にした段階で鱗の水分がぬけ硬くなっているのかも。

30cmぐらいのアマダイを干物にせず、冷蔵庫で水分を抜く程度にし、東肥赤酒+薄口醤油をぬりぬり遠火で炙る。

これが正解なのだろうなと、今は思っています。

アマダイの炙り道はまだまだ長いようです。

ではでは。

平田(@tsuyoshi_hirata

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▼鱗付きで炙るときは東肥赤酒をはけでぬって炙りましょう。

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