ぶっこみ釣りとは?
ぶっこみ釣りは、淡水・海ともによく用いられる釣法です。
「ぶっこむ」という言葉は、釣り自体がそれほど繊細ではなく、ざっくりと組んだ仕掛け(道糸の先にオモリと釣り針>+餌をつけて投げる(ぶっこみ)というところからきています。
水底まで仕掛けを沈めて待つというシンプルな釣りながら、初心者でも小物から大物まで釣ることができます。
一方、大物を釣る確率を上げるには、天候・地形・魚の通り道・魚の食性・潮や川の流れなどを考えて釣る必要があり、奥も深い釣りです。
ぶっこみ釣りと「投げ釣り」と「ちょい投げ」の違い
ちょい投げは投げっぱなしにしないでさびいてくることが多い釣り
ぶっこみ釣りに似ている釣りに「投げ釣り」と「ちょい投げ」があります。
どれもオモリ(天秤)と針+餌をつけてキャストする釣法なのですが、これらは厳密に定義されていません。
釣り人によっては、ぶっこみ釣りと投げ釣りという言葉を同様のものと考える人もいますし、「投げ釣り」と、ちょっとだけ投げて釣る「ちょい投げ」の定義も曖昧です。
筆者の考える定義は以下の通りです。
- ぶっこみ釣り:淡水や岸壁・堤防などから射程50m程度までの近・中距離を狙い、オモリを底に沈めて置き竿主体で待つ釣り
- 投げ釣り:砂浜などの開けたポイントで投げ釣り専用タックルを使い100~200mなど遠投して、しばしば竿をさびいて、シロギスなどをメインで狙う釣法
- ちょい投げ:アオイソメなどの虫エサをつけ、軽めの錘で30m程度以内に力まず投げて、仕掛けを投げっぱなしにせず少しずつさびいてくる釣り
※ちょい投げは軽量ルアータックルや細いPEラインを使うことで、力まずとも飛距離が伸び、100m程度は飛んでしまうこともあり、そうなると投げ釣りとの境界線はあいまいい
ぶっこみ釣りで釣れる魚
シンプルでいろんな魚が釣れるぶっこみ釣りの代表的なターゲットを紹介していきます。
川などの淡水の魚
- ウナギ
- コイ
- ニゴイ
- フナ
- ナマズ(マナマズ・アメリカナマズ)
- ブラックバス
ポイントや餌によって釣れる魚は異なりますが、万能餌とも呼ばれるミミズを付けた場合、このような魚を釣ることができます。
海の魚
- クロダイ(チヌ)
- マダイ
- スズキ(シーバス)
- アナゴ
- 根魚(カサゴ、ソイ、ハタ、アイナメ)
- 超大物(アカエイ、ドチザメ)
海の場合、釣る時間帯、根回りを狙うか、エサをどうするかで釣れる魚が変わってきます。ルアーや繊細な仕掛けで狙う魚もぶっこみ釣りで狙うことができます。
ぶっこみ釣りに適したポイント
ぶっこみ釣りは基本的にオモリや釣り針を水底に沈める釣法です。
そのため、根が荒すぎたり、藻類が繁茂しすぎているポイントには向いていません。
根魚を狙う場合も根上に直接仕掛けを投下するよりは根際を狙う必要があります。
ぶっこみ釣りに適したタックル
ぶっこみ釣りはそれほど繊細な釣りではないので高価なタックルは不要です。オモリを問題なくキャストでき、魚の引きに耐えられるアイテムを選びましょう。丈夫なものであれば釣具店のセットものでも十分です。
釣り竿
竿は3~5mぐらいのものが遠投もきき、取り扱いもしやすいと言えます。ルアーロッドでもよいですが、オモリ負荷を考えた釣り竿を用意しましょう。強度が低い釣り竿に重いオモリをつかうと、キャスト時や大物がかかった際に破損してしまいます。
<ピックアップアイテム>
リール
リールはスピニングでもベイトリールでも対応できますが、初心者はスピニングリールを選ぶとトラブルをより少なくすることができます。大物狙いの場合クリッカー付きのベイトリールが向いていますが、夜釣りなどでバックラッシュするなどのトラブルも多くなります。
<ピックアップアイテム>
ライン
ラインはナイロンラインやPEラインを使用するのが一般的です。ナイロンラインは5号程度~、PEラインは2号程度~を利用するとよいでしょう。
サーフの投げ釣りのようにラインを数百メートル巻く必要はありません。巻量は100~200m、傷がすくないものを準備しましょう。
サメやエイなどの大物を狙う場合、ハリスに耐摩耗性の高いフロロカーボンを使うとハリス切れが少なくなります。
<ナイロンラインの特性>
- 素材の伸度が大きいので、違和感なく食い込みがよい
- 素材に伸度が大きいので、大物の引きを吸収しいなせる
- 安価
<PEラインの特性>
- 素材の伸度が小さいので、魚に違和感を持たれやすい
- 素材の伸度が小さいので、あたりがわかりやすい
- 同じ強さではナイロンより細いため、飛距離がでやすい
- 高価
<ピックアップアイテム>
あると便利なぶっこみ釣り関連道具
ぶっこみ釣りは道糸に中通しオモリや針と餌をつけるだけで成立するシンプルな釣り方なのですが、周辺アイテムをつかうとより快適に釣りを楽しむことができます。
天秤
みんな大好きジェット天秤
天秤をつかうことで以下のメリットがあります。
- 飛行姿勢が安定するため飛距離が出る(ジェット天秤等)
- 仕掛けを一か所に固定できる(スパイク天秤等)
- 仕掛け回収時に足元の根や海藻をさけて釣りができる(ジェット天秤等)
ぶっこみ釣りをするポイントによって使い分けていくとよいでしょう。
フロート
ぶっこみ釣りは、水底にオモリを固定して釣るのが一般的なのですが、根がかりや本命以外のエサ取りからの攻撃をさけるためにフロート類をつけることもあります。
フロートにより餌が底上から浮き上がると、ヒトデ・ウミケムシ・蟹などの厄介な攻撃を避けることもできます。また魚からの視認性も高まり、魚種によっては有効です。
鈴やケミホタル(穂先)
ぶっこみ釣りは待ちの釣りですが、夜間などアタリの有無が分かりにくいこともあります。ベイトリールなどで、クリッカー付きのものはアタリをとりやすいですが、そうでない場合は鈴やケミホタルを穂先につけるとよいでしょう。
ぶっこみ釣りの仕掛け
「鯉オモリ」は遊動式で流されにくくかなり便利
仕掛けセットが便利
市販のぶっこみ釣り仕掛けをつかえば簡単に釣りがはじめられます。仕掛けにこだわりがなければ市販品を用意してみましょう。地形によって根がかりが多くなる釣りなので、予備の仕掛けを用意しておきましょう。
一面砂泥底でも根やなんらかのゴミなどが沈んでいて仕掛けをロストしてしまうこともあります。
シンプルなので初心者でも簡単
中通しオモリ(丸・なつめ・鯉オモリ・おたふく)を使う場合も、天秤類を使う場合も仕掛けの全体像がシンプルなのがぶっこみ釣りのよいところです。
より安価に仕掛けを用意したり、ハリス・オモリ・釣り針にこだわりがある場合は仕掛けを自作するのもよいでしょう。
ぶっこみ釣りに使える餌
いろいろな魚が釣れるぶっこみ釣りに適した餌を紹介します。
- 投げた時にとれにくい
- 小魚や蟹などの攻撃でも餌持ちがよい
- 集魚力が高い
- 食い込みがいい
以上が、ぶっこみ釣りの餌に求められる要素です。
淡水のエサ
練り餌
キャストする場合、練り餌はもう少し大きめ&堅めに仕上げる
練り餌は既に練ってある商品と乾燥品を水で練って使うものがあります。鯉や鮒を狙う場合など、練り餌の拡散により集魚効果が期待できる餌です。練り餌を釣り場で作る場合はやや持ち物が増えるのがネックです。
ミミズ(シマミミズ・ドバミミズ)
市販のシマミミズ房掛け
ミミズは釣り餌屋で購入できるほか、釣り場でも採集できるという点でお手軽な餌ですが、ほぼすべての淡水の魚を狙って釣ることができます。
ドバミミズ。ニオイが強くウナギ釣りの特餌。
ウナギを狙う場合は市販のシマミミズより、腐葉土などに生息するドバミミズを使うほうが釣果がよいとされています。
ザリガニ
アメリカザリガニは、ぶっこみ釣りで鯉やナマズ類・ブラックバスを狙うのに適した餌です。ターゲットの大きさに応じて使用するザリガニのサイズを変えたり、両爪をもいで使います。
海水でもクロダイやイシダイ・マゴチなどを狙って釣ることができます。
タニシ
田んぼの脇の用水路等に大量に生息しているタニシは鯉やアオウオなどに適した餌です。かなりニオイがあるため、すこし潰して撒き餌としても有効です。
レバー(豚・鳥)
レバー類は動物性のエサですが、独特のニオイがあり多くの魚が反応する餌です。狙う魚のサイズによってカットして使います。
海のエサ
虫エサ(アオイソメ・イワイソメ・ゴカイ等)
アオイソメ等の虫エサはニオイも強く動きがあり、海のぶっこみ釣りの万能餌です。
頭部の堅い部分を房掛けにすることでキャスト時も外れにくいという点で人気です。
▼真鯛やクロダイなどのブッコミ釣りに有効なユムシ。やや割高だが餌持ちがよく本命を狙いやすい
オキアミ
オキアミは集魚力の高い餌ですが、針もちが悪いためぶっこみ釣りには向いていません。もし使用する場合は、硬めに加工された不凍品を用意するとよいでしょう。
むきエビ・殻付きエビ(アルゼンチン赤海老等)
スーパーなどで手軽に買えるエビ類も様々な魚が好む餌です。殻がある場合は、つけ方によって餌持ちもよいといえます。
切り身
サンマの切り身。餌持ちはサバに落ちるが集魚力抜群。アナゴの特餌
サバやサンマなどを短冊状にした切り身は、ぶっこみ釣りの万能餌です。特にアナゴを狙う場合はこの切り身を用意することで、本命以外のエサ取りのヒットを減らすことができます。
貝類のむき身
ボイルアサリのイカの塩辛&ナンプラー和え。ボイルしてあるので針持ち良好。
ムール貝やアサリなどのむき身もニオイと旨みがありぶっこみ釣りに適した餌です。針持ちが悪い場合は、塩ですこし締めて使うとよいでしょう。
アナジャコやイソガニなどの甲殻類
アナジャコ・イソガニ・ザリガニ等の甲殻類は特に根魚が好む餌です。アナジャコの場合は、カレイも狙うことができます。
丸のままの魚
エイやサメ類を狙う場合は冷凍魚や釣り場で釣った魚を丸のまま針がけするのが効果的です。餌が大きくなるため針がかりが悪くなるため、より大きな釣り針を選ぶとよいでしょう。
ぶっこみ釣りのやり方やコツ
- ポイントを探す
- 投げる
- 着底させて仕掛けをはる
- アタリを待つ
- 打ち返し
- アタリがあったら十分に食い込ませて合わせる
ポイントを探す
まず、ポイントを決めるわけですが、狙う魚に応じた場所を選びましょう。同じ魚でも回遊の有無によって投入タイミングが変わってきます。
投げる
キャスト時は餌切れ(餌が飛んで行ってしまう)に注意します。
着底させて仕掛けをはる
仕掛けが着底したあとは、軽く仕掛けを張り、アタリをとりやすくしましょう。
アタリを待つ
魚の種類にもよりますが、ドラグをゆるめておきアタリを待ちます。
打ち返し
着底した餌はアタリの有無にかかわらず一定時間で打ち返します。これは、知らない間に餌がかじられてなくなってしまっている状態を避けるためです。特にフグや蟹はアタリが出にくいため注意が必要です。
アタリがあったら十分に食い込ませて合わせる
アタリは穂先や、ドラグによるリールの逆転や音(鈴・クリッカー)でわかります。早合わせはすっぽ抜けの元なので、しっかり食い込んだことを見計らって合わせるようにしましょう。
ぶっこみ釣りの注意点
キャスト前に周囲を確認する
ぶっこみ釣りでは3~5m程度の釣り竿に30号程度までのオモリがよく用いられますが、これらをキャストする際は危険です。1投ごとに周囲を確認してキャストしましょう。特に背後に一般の通行人が通るような釣り場は注意が必要です。
置き竿に注意
ぶっこみ釣りでは、キャスト後に置き竿にして長時間待つこともしばしばです。この時に、大型の魚(特にエイ・サメ)にタックル一式を持っていかれることもよくある話です。
また、潮の流れの変化などで隣りの人まで仕掛けが流れてしまい迷惑をかけてしまうこともあります。
ドラグを緩めたり、尻手ロープを使い、オモリの重さや形状に気を付けましょう。
対岸などが近い場合は投げる場所に配慮する
小・中規模河川などで鯉を狙う場合、遠投すると対岸まで仕掛けが届いてしまうこともあります。対岸に人がいないかなどをチェックして、キャストしましょう。
河川の場合、対岸に投げるよりは澪筋や駆け上がり部分がポイントになるということも覚えておきたいところです。
ぶっこみ釣りの待ち時間をどう楽しむか
穂先をずっと見て待つ
仕掛けを投入した後はなんの変化もない穂先をゆっくり待つのも楽しいものです。よくみると、カニや小魚などにより餌がついばまれていることがわかることもあり、打ち返しの判断につながります。
読書・スマフォ・友達との会話などで暇つぶしをしながら待つ
ぶっこみ釣りは投げたらひたすら待つ釣りです。そのため空き時間が生まれ、釣りをしながら釣り以外のことも楽しめます。
果報は寝て待て
夜釣りなど何かと眠くなるものです。夜行性の魚を狙う場合などは寝て待つ方法も一般的です。
一方、仕掛けがながれしまったりすると他人の迷惑になる可能性があるのでオモリの重さなどに注意しましょう。また、大型の魚がかかって暴れると周囲の釣り人にも迷惑をかけてしまいます。アラームなどはセットしたほうがよいでしょう。
シンプルで大物が狙えるのがぶっこみ釣り
東京湾でおかっぱりのぶっこみ釣りで狙えるベイシャーク(ドチザメ)
淡水でも海の釣りでもぶっこみ釣りはシンプルかつ多くの魚を狙うことができる釣りです。投げた後は打ち返すまでひたすら待つわけですが、待つ間の楽しみもいろいろです。
アカエイもぶっこみ釣りの好ターゲット
自分だけのポイント、得意な餌、魚など、いろいろ突き詰めていくのも面白いですよ。
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