釣船の出航・欠航基準や早上がりはどう判断されるのか?

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『釣り船』と呼ばれる遊漁船の釣りは、プレジャーボートや手漕ぎボート釣りに比べて比較的風波に強い手段です。

ボート店が出船を取りやめても、比較的大きな船体の釣り船は出船することが一般的です。

そんな釣り船でも、あまりにも風雨が強い場合は当然ながら安全のため欠航します。

この出船基準について、気になったことはありませんでしょうか?

今回は、釣り船の欠航基準やその判断の流れや釣り船の出航・欠航にまつわる情報について解説していきます。

目次

釣り船の出航中止基準は船宿ごとに異なる

出船基準は船宿ごとに定められている

まず、釣り船が出船する基準は、船宿ごとに定めている出航中止基準に基づいています。

【出航中止基準】
出港地(       ) の風速       「       m/秒」 以上
波高  「     m」以上 又は 視程 「      m」 以下
のいずれかに該当する場合は、出航を中止します。
【帰航基準】
漁場( ) の風速 「 m/秒」 以上
波高「   m」 以上 又は 視程「    m」 以下
のいずれかに該当する場合は、帰航します。

出典:海上保安庁

具体的には、出船前は出航地の『風速・波高・視程』。出船後は実際に遊漁をする漁場の『風速・波高・視程』に基づいて、帰港判断がされます。

※視程:肉眼で物体がはっきり確認できる距離

出船前は船宿オーナーの判断

出船前は、船宿の経営者(多くの場合船長を兼任)によって出船判断が行われます。

この判断は前日・当日の天気予報の確認や観天望気によって判断されるほか、同漁港(組合)の話し合いや通達によって出船可否が決まることもあります。

台風が停泊地を直撃する予報の場合、船を安全な風裏に退避するような準備をする必要もあり、出船するものの事前に早上がりをすることが決まっている日もあります。

1日船は事前共有の上、早上がり前提で出船。午前船は出船するものの、午後船だけは出船中止ということもよくあります。

出船後の早上がりは船長判断

釣り船に乗船していると、天気予報では予測できなかった突然の天候悪化に遭遇することもあります。

例えば突風・竜巻などは、船の転覆や釣り客の落水にもつながり、生命の危険にも直結します。

ほかに、落雷も生死に関わる気象です。

こうした場合は、乗船している船長が観天望気による判断や船宿経営者との連絡の上、早上がりを決定します。

早上がりを決定するとき、「それほど風が吹いていない状態なのに」と思うことがあるかもしれません。

その場合も、「だんだん風が強くなる」「強い雨や落雷を伴う雲が避けられない」という見込みを含めて行われることがしばしばです。

ほかにも、天候に関係なく、あまりにも多くの魚が釣れてクーラーに入らなくなった状態や、釣り客の様子(船酔い状況・寒さ等による士気低下)など、全体状況をみて船長が判断する場合があります。

※観天望気(かんてんぼうき):空模様などをみて天候の変化を判断すること

悪天候でも釣り船の出船判断は出船エリア(海域)の地形で異なる

日本は国土を海に囲まれている国ですが、その地形は複雑です。

湾内もあれば外洋につながって波風の影響を受けやすい場所もあります。

また湾内でも、風を遮り弱める地形の有無により、風への強さが異なってきます。

多くの釣り客が毎日釣りをしている東京湾は、比較的南風に強く、北風が吹くと波が高くなりやすい傾向にあります。

これは三浦半島によって南風が遮られるものの、北は平地のため、風の影響を受けやすいからです。

一方、隣接する相模湾は、南側が外洋に大きく開けているため、南風の影響を特に受けやすい釣り場です。

東京湾の場合、観音崎手前の湾内か、観音崎より先に出船する釣り物かで出航判断が異なってきます。

風とあわせて潮位による判断

風がギリギリ出船できるような場合でも、潮位が高く、潮があげてくるタイミングでは出船中止になることも。

出船時間が大潮の上げ潮にあたるときなどは、風裏でも波高が危険になることもあります。

同じ港でも「出船判断」に差がでる理由

弁天屋から見た夜明け

船宿は一つの港に一つではなく、複数存在していることがほとんどです。

このとき、同じ港でも「出船判断」が異なる場合もあります。

釣り物、漁場によって異なる

まず釣り物によって漁場が異なるという理由があります。

できるかぎり湾内や風裏で釣りができる釣り船のほうが出船確率は高いといえます。

東京湾であれば、アジ・シロギス・マゴチなどの釣りは、観音崎手前や横浜や横須賀の港内で波風をしのげる風裏ポイントへ避難しながら釣りができるため、出船率が上がります。

タコ釣りも、どちらかというと岸に近いところで釣ることが多く出船率が高い釣り物です。

一方、東京湾口・剣崎・沖の瀬エリアでの釣りは風の影響を受けやすく、出船が中止になりやすいと言えます。

釣り船の船体サイズによっても異なる

船宿や釣り物によって出船する釣り船のサイズは異なります。

東京湾や相模湾の場合、比較的釣り客が多いため大型船が多いので多少の波風でも対応できます。

一方、小型の釣り船(和船・プレジャーボート型)の場合は、波風の影響を受けやすいため欠航判断がシビアといえます。

どのように出船判断をするのがベストか?

カワハギ釣り

では、釣り船が出船するか、しないかの判断をどのようにするのがよいのでしょうか。

確認タイミングは釣行前夜と当日早朝

まず、多くの船宿の場合、前日19時~20時の天気予報をもって翌日の出船判断をすることが多いといえます。

この時点で出船見送りのアナウンスをすることもしばしば。

判断が難しい場合は、翌早朝(出船前の時間)をもって、判断することもあります。

台風など、明確に悪天候が想定できる場合は、出船前々日までに出船中止判断がなされることもあります。

風速:風速は陸上ではなく海域の風速で判断される

天気予報をみると、Yahoo!などの地域単位では風が強くないのに、船宿が欠航判断をしていることがあります。

これは、風速判断を陸上ではなく海域(海上)の風速で判断しているからです。

海上は遮るものがないため、陸上の1.5倍から2倍程度風速があることがほとんど。

東京湾の場合、海上保安庁がリアルタイムに発表している海況を出船判断基準にしている船宿も多いと言えます。

出典:海上保安庁

観音崎手前の漁場は観音崎の風速、観音崎の先では剱崎や洲崎の風速が判断基準にされています。

「剱崎でさぁ、今8m吹いてて、これからさらに強くなってくるから出船できないよー」というように使われます。

釣り船の場合、10m程度の風速であれば出船することもあります。

一方、釣り物によっては船の揺れで、釣りをすることがきわめて困難になることもしばしば。

特にアタリを正確にとるような釣りは、荒れている海での釣行は難しいといえます。

波の高さ

波の高さが2mをさらに超え、うねりが混じり、さらに強まっていくような状況では出船を控える船が増えてきます。

一方、波が次第に弱まっていくような予報の場合は、多少の波でも出船することもあります。

船宿のウェブサイト

船宿によっては出船可否をウェブサイトに公開しているところもあります。

一方、直近のログが更新されていない船宿のサイトは参考なりません。

サイトのアップデート時間は船宿によって異なりますが、電話連絡が集中する工数を下げる手段でもあるので、こうした船宿への重ねての電話連絡はできるだけ控えたほうがよいでしょう。

船宿のSNS

比較的アナログなビジネスである釣り船も、SNSでの情報発信を利用しはじめています。

お気に入りの船宿が見つかった場合、Facebook・Twitter・LINEなどのアカウントをチェックしておくとリアルタイムな出船状況や釣況を理解できて便利です。

このとき注意したいのはFacebookの場合、アルゴリズムで船宿の情報がみなさんのタイムラインに必ず流れてくるとは限りません。

この点を理解して、気になる船宿の場合、その船宿のFacebookページに直接アクセスしてチェックするとよいでしょう。

船宿への電話

ウェブページで出船や欠航情報をアップデートしていない船宿もあります。

こうした船宿へは、電話連絡をするのがベストです。

電話連絡をする時間帯は、前日の場合、「朝の出航前後」や「昼前後」や「1日船が沖上がりする時間帯」を避けると繋がりやすいといえます。

「夜20時以降」は電話を受け付けしていない船宿も多いので注意しましょう。

仕立て船(貸し切り)の欠航決定はキャンセル費不要

和竿でカワハギを釣った

釣り船には乗り合いと仕立て(貸しきり)があります。

仕立ての場合はキャンセルポリシーが決められています。

一方、天候を理由とした船宿側の欠航決定においては、キャンセル費用はかかりません。

幹事になった場合、出船できない事態を予想して、LINEグループやメッセンジャーなどで参加者への連絡手段を用意しておきましょう。

「早上がり」の費用保証は?

船宿によっては、出船後に早上がりになった場合の費用保証を設けているところもあります。

この場合、出船してからの経過時間によって返金規定があることがほとんどです。

返金ではなく乗船料金の割引券などが配られるところが一般的です。

海況によっては、出船時に「今日は昼前に早上がりになるかもしれないので事前にご了承ください」というように船長や船宿のスタッフからアナウンスされることもあります。

いずれにせよ、納得したうえで乗船したほうが、お互い気持ちよいと思うので気になる場合はあらかじめ船宿に確認しておきましょう。

賢い船宿の予約・利用方法

船宿への予約工数や時化等の天候悪化によるキャンセルを少なくするためには、以下の方法をすすめたいと思います

  • 人気の釣り物以外は3日前を目途に予約するしないを判断する
  • 予約なしで釣行できる船宿を利用する(車釣行や電車の早朝到着が可能な場合)

天気予報は精度が上がっているため、3日前であれば、釣行当日のおおよその天候が判断できます。

こういった情報をもとに予約をすれば、予約やキャンセルの工数をできるだけかけないで済みます。

また、予約なしで釣行できる船宿を利用すれば予約にまつわる工数は全くなくなります。

このような先着順で受付する船宿は、車釣行できる方にとってはとても便利な手段と言えるでしょう。

新型コロナウィルスにともなう船宿のキャンセルについて

新型コロナウィルスの影響により、当日もしくは前夜の発熱で釣行をキャンセルしなくてはいけないこともでてくるかと思います。

体温が37.5℃以上ある場合や、全身倦怠感・頭痛・咳などの症状があるときは釣行を控えましょう。

この場合も、当日乗船前、早目に電話等で状況を伝える必要があります。

発熱にともなう当日キャンセルでもきちんと申し出れば、当日受付で船宿側が損失をうまないで済む場合もあります。

ただし、電話連絡は前日営業時間内もしくは、当日営業開始後に行いましょう。

夜から早朝の連絡は迷惑になります。

多くの船宿では新型コロナウィルスに配慮し、当日の発熱キャンセルはキャンセル料をとらない方針です。

心配な場合は、事前にウェブサイト等でチェックしておきましょう。

まとめ

今回は、釣り船の欠航基準やその判断の流れや釣り船の出航・欠航にまつわる情報を解説しました。

  • 釣り船の出航・欠航基準や早上がりは船宿側にゆだねられている
  • 釣り人の個人的な判断によるキャンセルはマナー違反
  • 新型コロナウィルス流行下において、発熱時のキャンセルは無償になることが多い

以上を理解して、船釣りを楽しみましょう。

心配な場合は、営業時間の空いていそうな時間に早めに連絡するのがおすすめです。

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