初心者でも手軽にスタートでき、簡単に何らかの魚が釣れる「ちょい投げ釣り」は、岸釣りでもサビキ釣りとあわせて人気です。
ちょい投げからはじめての釣りをスタートする場合も、釣り竿とリール選びには最低限の知識を持っていた方が、長く釣りを楽しみ続けることができます。
今回は失敗しない「ちょい投げ竿」の選び方を解説します。
はじめに結論をいっておくと、ちょい投げ竿には2~3mのシーバスロッドかエギングロッド(30g程度投げられるもの)を購入しておけば間違いありません。
エサだけでなく、ルアーもふくめて一本で色んな釣りをやりたいのなら「磯竿」を選ぶのは間違いです。
釣具店で実際に相談する前の予備知識としても活用ください。
「ちょい投げ釣り」について
ちょい投げ釣りの仕掛けは「ジェット天秤と2本針」が基本
ちょい投げ釣りは「ちょい投げ」とも呼ばれます。
堤防から天秤という仕掛けにつけた虫エサ(イソメ・ジャリメ)を投げて、シロギスなどの小物を中心に五目で狙う釣りを指します。
ちょい投げ釣りには、1日釣りをしても疲れず、軽く投げて10~50m程度飛ばせるタックル(道具)が必要です。
▼ちょい投げ釣りについてより詳しく解説した記事です。「ちょい投げ釣り自体がよくわからない」方はこちらを合わせてチェックください。
ちょい投げ用の釣り竿に必要な条件は5つ!
次に、ちょい投げ釣りで使う釣り竿に必要な条件を、5つにまとめて解説します。
- 軽さ
- 長さ
- 適度なオモリ負荷(剛性)
- 感度
- 操作性(扱いやすさ)
①「軽さ」
ちょい投げ釣りは、気軽な釣り。
重い道具をがんばって使うような釣りではありません。
リールとのバランスもありますが、できるだけ軽い釣り竿が適しています。
釣り竿の重さは主に、素材と長さで決まるのですが、素材についてはグラス繊維よりはカーボン主体の竿が軽いと言えます。
最初の1本を選ぶ際は、カーボン主体の竿(カーボン含有率80%以上)を選ぶとよいでしょう。
②「長さ」
釣り竿の重さは、主に素材(グラスorカーボン)と長さで決まるという話をしました。
長い竿は飛距離を出しやすいものの、取り扱いに慣れが必要です。
ちょい投げ釣りにオススメの長さは、身長や腕力にもよりますが、1.8m~2m50cm以内ぐらいを目安にしておけばよいと思います。
また、よくいく釣り場環境が以下の場合は3m程度の長い竿があると釣りをしやすいです。
- 足元からテトラ帯が目のまえに広がっている
- 堤防等で足場が高い
<釣り竿の長さの目安>
- 子供・女性:1.8m~2m程度
- 男性:2m~2.5m程度
③適度なオモリ負荷(剛性)
ちょい投げ釣りの竿は、仕掛けに使われるオモリを無理せず投げられる強さが必要です。
釣りをする場所等によって、必要な重さは異なりますが、10gから30g程度まで投げられる竿がオススメです。
④感度
ちょい投げ釣りは、海底でオモリの重さを感じながら釣りをする釣りです。
海底の地形の変化や、小さな魚のアタリが敏感に感じられたほうが楽しいですし、釣果にもつながるのでできるだけ感度が高い竿を選ぶとよいでしょう。
感度には目で穂先をみて判断する「眼感度」と、手元で感じる「手感度」というものがあります。
大まかに言えば竿の素材や穂先の柔らかさでこの感度は変わってきます。
グラス繊維に対して、カーボン含有率が高い竿ほど感度が高く、穂先が細いものほど「眼感度」は上がります。
<釣り竿の素材特徴>
- グラス繊維(ガラス繊維):粘り強く丈夫。破断しにくい。感度はカーボンに劣る。重い
- カーボン繊維:感度と軽さはグラス繊維に勝る。
⑤操作性(扱いやすさ)
ちょい投げ釣りは、軽く投げて釣る釣りですが、操作性が高いほうが気持ちよく釣りができます。
ストレスなく前に投げることができれば、「オマツリ」による他の釣り人とのトラブルも減ります。
操作性が高い竿を選ぶとよいでしょう。
グラス繊維よりはカーボン繊維主体の竿が操作性に優れ、長すぎる竿よりは適度な長さ(身長+数十センチ)の竿が扱いやすいと言えます。
ちょい投げに必要な5つの要素を網羅したのが「汎用ルアー竿」
パックロッドで持ち運びがさらに手軽に!
ここまで、ちょい投げ釣りにむいている釣り竿の条件を、5つにまとめて解説してきました。
- 軽さ
- 長さ
- 適度なオモリ負荷(剛性)
- 感度
- 操作性(扱いやすさ)
実は、この5つの要素を併せ持った釣り竿が「ルアー用の釣り竿」なのです。
具体的には、以下の3種類のルアー竿がちょい投げに適しています。
- バスロッド(ブラックバス釣り用の竿)
- エギングロッド(ルアーでアオリイカを狙うための竿)
- シーバスロッド(ルアーでスズキを狙うための竿)
それぞれ、長さ・重さ・オモリ負荷が変わるのですが、大まかに言って以下の通りです。
- 長さ:バスロッド < エギングロッド≒シーバスロッド
- 重さ:バスロッド < エギングロッド<シーバスロッド
- オモリ負荷(剛性):バスロッド < エギングロッド<シーバスロッド
女性や子供の場合は、バスロッドかエギングロッドが扱いやすいです。
男性の場合や、ある程度腕力がある方はエギングロッドもしくはシーバスロッドを選ぶとよいでしょう。
「ライトショアジギングロッド」というジャンルの竿は、シーバスロッドよりさらにヘビーです。
ちょい投げ釣りの1本目の竿としては適していません。
ちなみに、最初の一本としてエギングやシーバスロッドを選んでおけば、操作性も高いため、エサ釣りだけでなくルアー釣りをやりたいときにもチャレンジできるので二度お得です。
「釣り竿セット」を買うべきでない理由は「安物買いの銭失い」
ネットや釣具店では、堤防(波止)用のセット竿(竿+リール+糸)が3,000円程度で売られています。
結論からいうと、こういったセット竿は、お金の無駄になりがちなのでおすすめできません。
一見、釣り道具が全部そろっていて安あがりに見えるのですが、なぜ無駄なのでしょうか。
セット竿を買うべきでないかについては、以下の通りです。
<セット竿を買うべきでない理由>
- グラス素材主体なので持ち重りし、感度が低い
- ガイドと呼ばれる釣り糸が通るリングがチープで壊れたりズレやすく、投げるたびにトラブルになる
- リールがすぐに壊れる(巻けなくなる・パーツが折れる・パーツが外れる)
- リールに付属しているナイロンの釣り糸が無駄に太く、すぐにヨレてトラブルになる
これが事実です
つまり、セット竿を買うと、扱いづらくて、投げにくく、投げられてもすぐにトラブルになりがちなのです。
さらに、感度が低いので魚の細かいアタリもよくわかりません。
長く釣りを楽しんでいきたい場合は、竿とリールと糸はそれぞれ個別に選ぶとよいでしょう。
釣り場にいって、糸の絡みなどのトラブルに時間を費やすストレスを感じるのであれば、多少初期投資をして、道具を用意をしたほうがよいのです。
安物買いの銭失いの典型例。ゴミは持ち帰ろうね!
釣り場にいくと、しばしば心無い人によって、このセット竿が捨てられています。
トラブルになったリールや折れてしまった竿を持ち帰るのも面倒なので、捨ててしまうのでしょう。とても残念です。
安かろう悪かろうがセット竿なのです。
数千円出してすぐにゴミになってしまうのであれば、もうすこしお金を出して、長く使えるものを選べばよいのになーと思うばかりです。
長く釣りをやりたいという志向があったり、できるだけトラブルは回避し、無駄金を使いたくないという場合。
道具は竿とリールそれぞれ選んだ方がよいと覚えておきましょう。
これは、特にはじめて釣りをはじめる人には伝えたいことです。
ちょい投げにつかえる汎用ルアー竿、オススメ3シリーズ
ちょい投げに釣りにオススメな釣り竿は「ルアー竿」という話をしてきました。
次に、ちょい投げ釣りで使いやすいオススメのルアー竿のシリーズを3つ紹介していきます。
具体的には、シマノ・ダイワ・メジャークラフトという主要ロッドメーカー3社の3シリーズをチェックしておきましょう。
他にもたくさんのルアー竿があります。
が、まずはこの3社から選べば十分。
これら3社の入門者向けルアーロッドは必要最低限の機能が備わっていて、安価で損しないはずです。
また入門用とはいえ、説明書通りに大切に扱えば、数年以上使い続けられます。
<シマノ「ルアーマチック」シリーズ>
実勢価格4,000~7,000円台。
「ルアーマチック」は、シマノの幅広いルアーターゲットに対応した入門者向けルアーロッドシリーズです。
種類が多いのですが、基本性能は一緒なので、長さとオモリ負荷で選びぶとよいでしょう。
ルアーマチックは4,000円台から手に入る圧倒的な価格優位性と性能面の安心さから、筆者が一番オススメするシリーズです。
ほとんどの機種でカーボン含有率は80%以上で軽量かつ高感度。
ルアーマチックMBというパックロッドタイプもあり、電車釣行に便利です。
はじめての1本にオススメなのは、以下の3機種です。
- S66ML:女性や子供にも最適。1.98m、7~18gに対応。
- S86ML:やや重めのオモリを使ったり、すこし飛距離を出したい場合に最適。 2.59m、6~28gに対応
- S86ML-4:S86MLが4本継ぎになったもの。仕舞寸法69.9㎝でリュックにいれての電車釣行やバイク釣行におすすめ。2Pモデルより割高
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<ダイワ「ルアーニスト」シリーズ>
実勢価格5,000~7,000円台。
ダイワからは「ルアーニスト」という入門者向けルアーロッドシリーズが販売されています。
淡水から海まで幅広いターゲットに適したモデルを網羅しています。
はじめての1本にオススメなのは、以下の2機種です。
「ルアーニスト」シリーズではMLクラス(ミディアムライト)以上のモデルが7フィート以上に設定されています。
これがシマノのルアーマチックシリーズとの違いです。
気になる実売価格では、シマノのルアーマチックシリーズより少しだけ割高です。
性能面ではほぼ変わりがないので、あとは好みで選ぶとよいでしょう。
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<メジャークラフト「ファーストキャスト」シリーズ>
実勢価格5,000~6,000円台。
ルアーやルアーロッドに特化したメーカーのメジャークラフト。
同社が入門者や、中級者のセカンドロッドとして販売しているのが「ファーストキャスト」シリーズです。
主に①ライトソルト(メバル・アジなど)②エギング③シーバス向けの3つのシリーズで展開しています。
ちょい投げ釣りに向いているのはエギングとシーバス向けのシリーズですが、はじめての1本にオススメなのは以下の3モデルです。
- FCS-802EL:女性や子供はこちら。2.44m、6-20gに対応。
- FCS-862E:やや重めのオモリを使ったり、すこし飛距離を出したい場合に最適。 2.59m、10-20gに対応
- FCS-862L:7-23gのオモリに対応したシーバスロッド
※対応するオモリ号数はエギの号数から想定しています。
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「磯竿」って、ちょい投げにつかえるの?
はじめてのちょい投げ釣りには、ルアー竿が向いているという話をしてきました。
一方、「重さ・感度・操作性」という点ではルアー竿に劣るものの、「磯竿」と呼ばれる釣り竿も、ちょい投げ釣りに使うことができます。
ずばり、磯竿の優位性は長さです。
ルアー竿と比べて比較的長く設計されているため、足場が高い釣り場や足元から手前5m程度に障害物(テトラ・岩・海藻)などがある釣り場でも快適に釣りをすることができます。
ちなみに磯竿は、ルアー竿より柔らかめで設計されているためルアー釣りには向いていません。
エサ釣り専用の竿と覚えておくとよいでしょう。
エサ釣りのみを堤防から釣りをはじめて、ゆくゆく小磯(小規模の磯)などにチャレンジしていきたいという方は、磯竿を選ぶのもよいでしょう。
ちょい投げにオススメなのは、2号もしくは3号の磯竿で、3m程度が軽く扱いやすいと言えます。
軽量な磯竿は、一定の長さがあるため堤防からサビキ釣りをする際にも扱いやすい点が利点です。
<磯竿のメリット・デメリット>
- 価格は長いということもありルアーロッド全般より割高(7,000~13,000円程度)
- エギングロッドやシーバスロッドより長く、持ち重りするので置き竿でないと疲れる(磯竿3号で200g程度。ルアー竿+50g)
- サビキ釣りや小磯での釣りに応用可能
- ルアー釣りには利用不可(ルアーの操作性が低い)
▼シマノの入門者向け磯竿「ホリデー磯」は3号3mのモデルがオススメ
▼ダイワの入門者向け磯竿「リバティクラブ 磯風」は3号3.9mのモデルがオススメ。※3.9mより短いモデルがない
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ちょい投げ竿に合わせたい「スピニングリール」と「ライン」
アブ・ガルシアのスピニングリールは安くて替えスプールがついてくるのでお得!
ちょい投げ釣りにルアーロッドを選んだ際、合わせたいスピニングリールは小型から中型までのスピニングリールです。
ダイワ、シマノ、アブ・ガルシアの3ブランドのスピニングリールから選べば問題ありません。
▼ダイワでは、レブロスの2500か3000番台がオススメ。番号末尾が6のモデルはスプールが浅溝でラインの巻容量が少なめの仕様。ちょい投げでは、それほどラインが必要ないため、より経済的に釣りができます。
▼シマノでは、セドナの2500番台がオススメ。HG(ハイギア)・S(シャロースプール)のモデルもあります。
▼アブでは、カーディナルⅡ SXやSTXの2500番がおすすめ。低価格で替えスプールがついてくるので超お得!
ちょい投げ釣りにつかうスピニングリールにあわせるラインは、ナイロン8ポンド(2号)あたりか、PEラインの1号・1.5号を選んでおけば問題ありません。
- ナイロンライン:安価。吸水・気温・紫外線等で劣化しやすい。マメに巻き替えるのがポイント
- PEライン:やや割高。摩耗しやすいが、その他の劣化はしにくいい。比較的長期間つかえる。細くて飛距離がでて感度が高い
▼ちょい投げ用のナイロン・カーボナイロン系ラインは2号8lb.のバルクライン(大容量)をつかうのが経済的。
▼ちょい投げ用のPEラインはシマノのピットブル4本編が経済的。200m買ってシャロースプールに半分ずつ使うとさらにお得。
▼ちょい投げやサビキなどにおすすめの低価格帯スピニングリール解説記事
まとめ
今回は堤防釣りで一般的なちょい投げ釣りにオススメの釣り竿について解説してきました。
筆者は、汎用性や価格面でルアーロッド(エギングorシーバスロッド)を強くおすすめします。
エギングやシーバス用のルアーロッドをつかってちょい投げ釣りをしていると、軽くて操作性が高く投げやすいのです。
また、磯竿に比べて感度が高いので底質の変化や魚のアタリも取りやすいので楽しく釣りができます。
自分にあったちょい投げ竿が見つかるとよいですね!
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▼はじめてのちょい投げに最適なのはシマノのシエナコンボ。ナイロン2.5号を巻いたリールがついて、あとは仕掛けと餌があればちょい投げができます!
安価な釣り竿セットとは別物でちゃんと使えるセットです。