釣りをしていると、どうも釣りのことが中心になってしまう気がします。
これは仕方ないことでもあるんですがね。
ひとりで釣りをしていても、「まー釣れなくてもいいよー。釣りができればそれでいいよー」などと自分に言い聞かせるんですが、やっぱり釣れないと焦りはじめる。
そんでもって、なんで釣れないんだろ、どうやったら釣れるんだろう、うーむ。
みたいな思考の流れになりがちです。
よく釣りって、「なんにも考えなくていいよねー」といった表現をされるんですが、無心で釣りをしている人はほとんどいないんじゃないかなと。
ザリガニ釣りでも、どこにザリガニがいるかとか、エサはケンタッキー・フライド・チキンだと集魚力高いなとか考えてしまいます(これは筆者の小学生ときの話)
最近、あえて釣りをしないで釣り場やその周辺を散歩することがあります。
主な目的は釣り場のポイントを記事化するための地道な取材活動なのですが、そもそも散歩が好きなんですよね。
歩いているだけで、いろいろなものが目に入ってて楽しい。
この活動では釣りをしないようにしています。釣り竿をもっていかない。
だからこそ、心の余裕ができていろいろな周辺事情が目に入ってきたり。なにより装備が軽いのでフットワークもよくなります。
釣り場周辺の商店での会話をするにも、釣りへの焦りが全くないので、油を売るというか、じいさんばあさんたちと、その地域の何気ない話がでてきたり。結果的に地域の人が釣り人をどのようにとらえているかつかめたり。
この日は友と三浦半島西岸を逗子から横須賀佐島あたりまで歩いていました。彼は10歳ぐらい年上の釣り人なんですが、同じくこの日は釣り竿をもってきていません。
散歩にいこう。そうしよう。という人が身近にいるっていいなと改めて思います。
これは人家の石垣に生えた明日葉。もちろんとらない
歩いていて気付くこと。
まず明日葉が多いんです。
明日葉って、伊豆半島や伊豆諸島に多いイメージなんですが、もともと三浦半島にも自生してるんでしょうね。いたるところで見ます。
ゴミと明日葉。
この写真。
とある崖の下側に生えた明日葉とペットボトルのゴミです。
公園の下にあたるんですが、上から人がゴミを落とすようで、草の陰にはたくさんのゴミがありました。
ゴミを捨てる人って2種類いて、一つ目が息を吸って吐くようにごみを捨てるナチュラルボーン的な人。二つ目が、なんらか罪悪感を感じて捨てる人なんですよね。
後者は程度の差はあれど、やっぱりなんだか悪いことをしているという自覚があるわけです。だから、タバコでもなんでも見えないところに捨てるんです。
息を吸って吐くようなゴミ捨てをする人は、もう何をしてもとめられないと思うのですが、なんらか罪悪感を持っている人はゴミをもっと正しく捨てやすくするような仕組み(ゴミ箱)を設けるとちゃんと捨てるような気がします。
こちらは三浦半島西岸にある新興住宅地の傍にある山から流れている水辺です。
沢と呼ぶのもどうかな。
そう思うぐらいの水深がMAX3cmぐらいの流れ。小指の第一関節ぐらいまでが最深部だと思ってください。
このエリアはフェンスでおおわれているのですが、クレソンと思われる植物が茂っていますね。
もともと、いきもの好きというのもありますし、釣り人の性というのもあって、だいたい水辺を通ると、何かいるかなーとのぞいてみる習慣があります。
これは「俺もそうだよ」という人も多いんじゃないかな。
それにしてもこのアスファルト舗装された道路わきの水深3cmぐらいのゴミだらけの排水口に直行する流れに何がいるのか。
しゃがんでみると、何かがはねたような気がします。
・・・
モエビ類かな。
スジエビ、ヌカエビとかはいそうだな。
よくみたら、ハゼの仲間とカワニナがいました。
ハゼと一口にいってもいろんな種類がいるんですよね。
淡水だとヨシノボリが一番親しみ深いとは思うんですが、なんとなくゴクラクハゼっぽいなと。
去年葉山の川でガサガサをしたとき以来飼育しているゴクラクハゼがいるんですが、冬を無事越してすくすく成長していいます。それがこの幼魚に似ているなと。実際のところは、くわしくないのでわかりません。
カワニナ。
彼らはこんなに小さい流れなのに、かなりの量がいます。
藻類あたりを食べるとは思うんですが、山から直接染み出ていることもあって栄養があるのでしょうかね。
真鶴半島あたりにいくと、「真鶴周辺の海に魚が豊かなのは手つかずの原生林から流れ込むミネラルが」というような話がありますが、同じようなもんなのでしょう。
海は山や緑があってこそのものなんですよね。牡蠣だって、山から河川を通じて流れ込む鉱物類があったほうが美味しくなるんだよ。ということで。これはよく釣りにいく水産会社を経営している人からもよく聞いています。
それにしてもエビ。
個人的にエビは造形的に魚より好きだったりするんですが、くまなく探したらいました。
テナガエビ。
ああ、いいなー。エビ。
そうか、テナガがいたのかー。意外です。
これって陸封型のテナガなのかな。
この道端の流れはどうやって終わっているかというと、排水溝(カワニナが網につまってたくさん死んでいる)に直結なわけですよ。それが相模湾にやがては流れ込むわけですが、産卵時に汽水域に下ってどうのこうのという話ではなさそうです。
モクズガニやウナギだったら、雨の日にでもアスファルトの道を移動するイメージなんですがね。
このテナガエビは多分、この道路わきで生まれて代々命をつないできたんだろうなと。
そう考えると、このテナガ以外のハゼやカワニナ、ほかにもいるかもしれない淡水生物はみんなここで生まれてここで死ぬんでしょうね。
ここで生まれて、
ここで死ぬ。
そんなことを考えると、なんだか命の奥深さみたいなものを感じたり。
もともと、この沢がある山の向こうには広大なニュータウンがあるんです。いわば多摩ニュータウンみたいなやつです。映画「平成狸合戦」で出てきたような。
このあたりも、本当は山から流れた川があったのを道路をつくって遮断して、排水溝を実質的な流れの終着点としたのでしょう。
だからといって、川とそこにいる命をまもれー!などと主張するつもりはないです。大なり小なり、人は以前底に住んでいた生き物の上に生きているからです。
でもですね。
そこに、ちゃんと生き物がいるっていることは、気づける人間でいたいなと思うばかりなんです。
我が家には0歳児がいるんですが、こういったことはちゃんと教えてあげようと思います。
カワニナがすんごく大量にいたので、我が家の水槽用に持ち帰ることに。
セブンイレブンの知る人ぞ知る「スラーピー」の入れ物にカワニナをいれて、そのまま飯屋にいったり。
明日葉もよさげなところをつんできました。
御浸しか天ぷらにしようとおもったのですが、クロダイの焼き霜づくりの飾りとなって、そのあとしゃぶしゃぶしてポン酢で食べました。
この明日葉、前述の通り、ゴミがたくさん落ちていたところにあったものです。
たぶん、ゴミをぽいぽい捨てた人は、そこに食べられる野草があるんて知りもしないだろうなー。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)