今回はエギタコ竿のパイオニア、アルファタックルの「フネタツ船タコ攻め」と「フネタツ明石タコ」のスペックや使用感を紹介します。
購入する際に比較点がわかりづらい両者の違いもわかりやすく解説します。
アルファタックル フネタツシリーズについて
フネタツシリーズは30種類以上ある
出典:アルファタックル
フネタツシリーズはアルファタックル「エイテック」から販売されている船竿の入門~中級クラス向けのロッドです。
ライトゲームロッド(汎用竿)から細かな専用竿も多く展開しています。
最大の特徴は価格帯で、競合商品のダイワ「○○Xシリーズ」やシマノ「○○BBシリーズ」と比較すると3,000~4,000円程度安価。
特徴は以下の通り。
<フネタツシリーズの主な特徴>
- TOPガイドがSiCではない
- マイクロガイド系(感度向上)のアイテムではリーダー詰まり注意
さらに細かい点をいうとカーボンブランクスの偏り精度や樹脂部分のバリなどがダイワ・シマノのスタンダードクラスと比較すると目立つのですが、実釣にはあまり関係ありません。
しっかり使えて、お値打ち価格。
船釣り初心者以外に「実益」を重視するベテランを中心にファンが多いシリーズです。
「フネタツ船タコ攻め」のスペックと特徴
フネタツ船タコ攻めは極先調子の固めな竿
出典:アルファタックル
「フネタツ船タコ攻め」はその名の通り、積極的に攻めていくときの竿です。
では何を攻めるのか。
それは、根です。
東京湾であれば根が荒い川崎や横浜の岸壁周りは、シーズン初期と後期によく狙われます。
6月開幕初期のタコはデキダコと呼ばれ小型で、捕食者から身を隠すために堤防基礎・テトラ等の荒根に多く潜んでいます。
またシーズン後期にロングランで出船している場合、平場と呼ばれる沖目エリアのタコが少なくなり、釣りきられていないという点で再度荒根周りが狙われる傾向にあります。
川崎・横浜界隈の堤防周りは根がかり多発地帯
岸壁周りは堤防基礎などで捨て石が多く捨てられているため、釣り人の対策も必要なエリアです。
何個もエギやオモリをロストする前提で釣るのも方法論の一つですが、荒根に適したタックル、仕掛け、釣り方で根がかりは極端に減らせます。
荒根周りで根がかりをさけるとき、重要なのは竿です。
荒根では根とタコの触りを判断できることはもちろん、根にハマる瞬間に、オモリを迅速に根から離せる竿が必要です。
では、どんな竿が向いているか。
根を感じ取り、初期根がかりに気づいてオモリを底からすぐに話すために最適なのは9:1等の極先調子竿です。
極先調子竿としては以下の竿が知られています。
- カワハギ竿
- テンヤタチウオ、深場タチウオ系で掛け調子の竿
- テンヤスミイカ竿
それぞれ調子はよいのですが、エギタコでつかうにはデメリットが出てきます。
- カワハギ竿は全体的な強度が足りず、破断リスクが高い
- タチウオ竿は感度重視でガイド径が小型のためリーダー詰まりが起きやすい
- テンヤスミイカ竿は長くて重く小突きにくい
今回紹介する「フネタツ船タコ攻め」は極先調子竿で以下のスペックを満たしています。
- ガイドが大きい(エギタコに使うPE3号+フロロ10号等の結び目が詰まりづらい)
- 強度が十分
- 180㎝と短く、自重も147gのため小突きやすい
「フネタツ船タコ攻め」の実機インプレ
ガイドはステンレスフレームのハードガイド(FUJIのOリング)で傾斜なしの大型です。
PE3号+フロロ10号を接続したとき、根周りでリーダーを150㎝程度とっても、ガイドづまりはそれほどしません。
グリップはスモールトリガータイプです。
トリガーがしっかりしている竿よりパーミング性能は落ちますが、滑って落とすということはいままでしていません。
気になる人は尻手ロープをつかうとよいでしょう。
全体はセンターカットのツーピースです。
十分強度があり、曲がりも問題ありません。
タコというと強度の点でバットジョイントの竿もありますが、そこまで変化があるとは思えません。
フネタツシリーズのグリップ上部分はシールを貼ってクリアコーティングされたもの。ややチープです。
25号オモリをつるしたときの調子はこの通り。上から(固い順)に並べます。
- フネタツ深場タチウオの先折れ補修(一番奥)
- フネタツ船タコ攻め(奥から2番目)
- アブ・ガルシア黒船エギタコKETC-91/165XH(一番手前)
- 明石タコ(奥から3番目)
フネタツ深場タチウオの先折れ補修したものを除くと、一番固めですね。
フネタツ船タコ攻めは市販品でも最も極先調子系のエギタコ竿なのではないでしょうか。
フネタツ船タコ攻めは平場でも使える(キャストコントロールしやすく、触りがわかりやすい)
個人的にエギタコでも固めの竿が好きなので、荒根対策、平場ともに問題点を感じていません。
釣りなれていない人がフネタツ船タコ攻めを平場で使う場合、オモリを安定させて釣るには慣れ(クラッチをきって小突く等)が必要です。
というのも、先調子すぎので、小突きに対してオモリが底を離れやすくなるためです。
船が上下するような場面で使用するにはコツが必要という点を考えると、ややクセ強めな竿かもしれません。
ただ、極端な調子ゆえにタコの触りもわかりやすいのは魅力。
触り系の前アタリをしっかり感じ、乗せの間を積極的に作り出してあげれば十分全エリア、全天候でも使用できます。
また、固めの竿なので、キャストをする際にコントロールしやすく、キャストミスも起こしづらいのも魅力です。
さらに、テンヤスミイカやテンヤタチウオを極先調子竿でやったことがある方はわかると思うのですが、アワセ時の衝撃レベルも高めです。
竿がショックを吸収しないため、手首にズン!とくるアレです。個人的にはあの衝撃が好きなので気に入っています。
「フネタツ明石タコ」のスペックと特徴。「フネタツ船タコ攻め」との違い
フネタツ明石タコ。180cmと同じ長さなので遠目には船タコ攻め一緒
出典:アルファタックル
フネタツにはもう一つエギタコ(テンヤ対応)用に「フネタツ明石タコ」がリリースされています。
サイトをみているだけではわかりづらいのですが、違いは以下の通りです。
- 明石タコはバットジョイント(グリップ上から継ぐタイプ)
- ブランクスのグラス含有率(明石タコは73%、船タコ攻めは20%)
- 竿先の調子(明石タコは8:2調子でオモリを安定させて小突きやすい)
明石タコ、船タコ攻めともにエギだけでなくテンヤも対応した竿です。
一方、明石タコのほうがバットジョイントにグラス素材メインで丈夫にできている印象です。
カーボン含有率の低さから明石タコの自重は182g、船タコ攻めより35g重めです。
バットジョイントなので仕舞寸法が135㎝(船タコ攻めは93㎝)。ややかさばります。
竿先は比較的平場にむいていてる調子でTOPガイドから20㎝手前ぐらいから曲がるような仕様。
六角オモリを寝かして起こし、オモリを底から離さないという動作は、船タコ攻めよりやりやすいです。
上が船タコ攻め、下が明石タコ。穂先の白いペイント部(グラスソリッド)が長いのが船タコ攻めです。
上が船タコ攻め(奥)、下が明石タコ(手前)。
こうしてみるとわかりやすいですね。
固め&極先調子の根がかり回避力か、穂先柔らか目でこそ実現できるオモリの安定性か、これはつかいどころですね。
個人的には船タコ攻めで荒根も平場も問題ないのですが、安定して基本の小突きができるという点は明石タコです。
マニアック&玄人向きの船タコ攻め、初心者や小突きで疲れたくない人向けの明石タコといってもよいと思います。
ちなみにグリップの長さはほぼ変わりません。
ブランス径は、ほんのわずかに船タコ攻が太目です。
上が船タコ攻めです。
まとめ
今回はエギタコ竿のパイオニア、アルファタックルの「フネタツ船タコ攻め」と「フネタツ明石タコ」のスペックや使用感を紹介しました。
それぞれの特徴と向いている人をまとめると以下の通りです。
- フネタツ船タコ攻め:とにかく根がかりを回避し攻めたい。エギやオモリを底から離さない基本スキルがある。仕舞寸法短めが好き。衝撃強め好き
- フネタツ明石タコ:オモリを底上で安定させて釣りたい。多少重くてもより丈夫な竿がほしい
筆者は船タコ攻め派なのですが、フネタツ明石タコも安くてちゃんとつかえるよい竿です。