※内臓などが目立つ記事です。苦手な方はオススメしません。
先日、東京湾でガンギエイを釣ったんですね。マゴチ釣りをしていて。やけにデカいマゴチがかかったぜ、ヒャッハー!!幻の70UPもらったぜー!!!っておもったら。
♠型のフォルムが特徴のガンギエイ
泳がせ釣りやぶっこみ釣りだと、アカエイなら比較的よく釣れるんです。あとツバクロエイもスミイカ釣りで釣ったことがあり。
ところがガンギエイを釣ったのは初めて。地域的なものはあるとは思うんですが、東京湾では個体数はそれほどではないのかも。もちろん底引き網だったりでは結構入るのかもなんですがね。
ORETSURIへアクセスくださる人は、基本的に釣り人だと思うんです。
釣師的には、釣れても「なんじゃこりゃ」ってな感じでリリースすると思うんですね。だから「実際旨いの?」だったり、身体の特徴を知るのは初めてなんじゃないかなと。
いつも、食べたことがない魚をググるときにお世話になる、ぼうずコンニャクさんの市場魚介類図鑑にも以下のようにあるぐらいで、あんまり積極的に食べる地域はないようで。むかしは食べていた地域があったのかもしれませんが。
■種の確認をして食べたことはない。ただし、煮つけ、ムニエルなど美味であることは間違いない
一方、韓国料理として有名な発酵食品「ホンオフェ」では、このガンギエイが原料らしいんですね。ソコガンギエイという種類かもしれません。
ということで、ところ変われば良く食べられている魚ながらも、日本ではあんまり食べる人がいない、このガンギエイを料理していきます。
ガンギエイを解体する
見出しに「解体」って言葉をつかったんですが、一般的に流通する魚の場合は、調理とか下処理ということばがよく似合うものの、エイやサメの場合はこの「解体」という言葉が似合うかなと。
ガンギエイは見た目から「♠魚」と言っても過言ではありますまい
ぺったーん。
ガンギエイの標準サイズが不明なんですが、エイの世界では小型な方ですね。2キロぐらいじゃないかな。量ってないけど。
釣ってから血抜きをして、保冷をしてその日に調理ということでアンモニア臭などはありません。魚としての生臭みも少ない。特徴的なのはローション系のヌメリで、これはけっこうありましたねー。
頭部の先、口というか口吻というか、まーそういったパーツが半透明で、テラテラしてます。
透き通って向こう側が見えそうで見えないけ。
他のエイ類のように、尾に毒棘はなく、ちいさく硬めの突起が続いている様子。ガンギエイの「ガンギ=雁木」というのはWikipediaによれば、以下の通り。
階段あるいはそれに似た形状を持つ構造物のことである。鳥の雁が斜めに並んで飛ぶ様子が階段の形に見えるため、このように呼ぶ
このエイの小さい棘か、もしくは、尾びれの先端付近のヒレが雁木っぽいなってことなんでしょうかね。
尾から胴体のつけ根まで隆起した棘が続く。これもエイ類ではよくある特徴ではあります。
ヒレ部分はソフトでうまそう。
ここで裏返してみましょう。
ぺったーん。
逆ハの字部分がエラなのですが、そこから調理バサミを突っ込んで血抜きしたので、やや穴が深くなってます。
ニヤリ。
エイ類全般、この不敵な笑みがなんともね。
全体のヌメリを塩でとってから進めていきます。
次に、開腹。
デロリアン。
どうもエラの逆ハの字が、激おこの眼に見えてくる。
それにしてもこの臓器はなんだろう。
肝臓かな。
めっちゃ、ダークネス。
エイ類は、比較的肝臓が発達していて、レバ刺しに向いていることもあるんですが、ちょっとこのダークネス肝は気が進まずポアすることに。
このベビーサタンみたいなのは卵ですね。
エイの卵はこの尖った部分で海藻などに巻き付いて産み付けられるようで。
こいつは腸。
エイ全般の腸はみためがちょっとキモめではあります。
ということで腹部を開いた姿がこちら。他にも謎の臓器があるわけですが、今回は内臓系には手を出さず。
そんなに怒んなよ。
美味しく食べてやるさ。
でもって、エイヒレにあたるところを切り取っていく。
そんなに笑うなよ。
さばきづらくなるだろ。うそだけど。
ガンギエイの口も鋭い歯ではなく、やすり状で硬く、貝類や甲殻類などをかみつぶすことができる仕様。
生きているうちに指を挟まれたらあかんことになりますなー、これは。
そして残ったのがこちら。エラが黒く変色してるんですがこれを切り取って下処理が完了。
こちらが下処理済みのガンギエイです。
ドラゴンテールっぽい尾は、そのまんま煮つけてやろうとおもったわけです。身は少ないながらも、コラーゲンも出るだろうし、捨てるに惜しいと。
ガンギエイの煮付け
まずはガンギエイのアラ部分を濃いめに煮つけていきます。
フライパンにエイのアラをいれる。
容赦なく熱湯をかける。
するとぬめりが浮いてくるので、これを流水で洗い流す。
ぬめりが強い魚をそのまま料理しちゃうと、臭みがでる。これは古今東西共通の真実です。
こちらが、下処理を完了したアラ。尾の棘がハッキリと見えますね。けっこうツンツンしてます。
次にあらかじめ調合しておいた煮汁を流しこむ。
- 砂糖
- 醤油
- みりん
- 東肥赤酒
- 安日本酒
机の上にあったコカ・コーラ。これは炭酸がぬけてしまったもの。
コーラは角煮とか煮込み系にいいんです。臭みもぬけてね。
火をつける。
照りだしの水あめを溶かす。
最初は強火でアルコールとニオイを飛ばすつもりで。
特に臭いが強いというわけではないんですがね。念の為五郎ってやつです。
その後、アルコールが飛んだと思われるあたりからは弱火で30分。ちょっと長めに煮込むのは「軟骨からエキスを抽出したいという人々の願いから」と言い伝えられています。
うむ。もういいでしょう。
てきとうに盛り付けて、長葱を散らす。
うまそうねー!
これが口吻部分。牛筋煮込み、みたいになってやがる。
これは旨いだろうな。
どれどれ。
・・・
旨。
コラーゲンのてらてらとしたぬめりと煮汁に後押しされるコク。体にいい味がします。
臭みはゼロ。
やっぱり、状態がいいエイの煮付けは旨いもんです。
ガンギエイの台湾風唐揚げ
よーし続いて、唐揚げ事業に進んでみましょう。
エイヒレ部分を使います。
濡れ布巾で押さえながら、一家に一つは欲しい便利アイテム「メリー骨抜きプライヤー」で引っ張る。
エイの皮は、ほんとしっかりしているんで、かなりの重労働。
メリメリとむけていく。
こちらがきれいに下処理がすんだエイヒレ。
刺身でも旨いんだろうけども、今回は、揚げ物を食べたいということで唐揚げです。
やっておいて、なんですが、エイの皮をむく際は軍手にラジオペンチが最強だと思います。骨抜きプライヤーが目の前にあったからつかったわけですが、はさむところにギザギザがないから滑るんですよね。
こちらが当家秘伝の唐揚げ粉です。
市販のにんにく強めの唐揚げ粉に五香粉を混ぜましょう。八角が嫌いな人はやめておいた方がよいかも。
唐揚げ粉に五香粉を混ぜると、だいたいの魚は臭みがなくなり旨くなります。これは覚えておきたいところ。今回のエイはまったく臭くはないんですが、為五郎ってことです。
このようにペースト状にした秘伝の唐揚げ粉に30分ぐらい漬け込み、味を浸透させる。
あとは中温で揚げる。ヒレ部分なので、熱が通ってないぞこの野郎!みたいなのはありません。
二度揚げとか手間なんで、そのまま中温から高温にシフトチェンジしてゴールすればいいと思います。料理なんて、お菓子作り以外は、なるようになるさ。
できあがり。唐揚げと言えばレモン。
それと緑で差し色を入れましょう。今回はスペアミントを飾ったんですが、レモンバーム系もいいです。
バリ島で、アヤムゴレンという鳥の唐揚げを食べたことがあるんですが、それにレモン系の香りがする謎ハーブが添えられてましてね。唐揚げと一緒に食べると、ベストマッチでうまいんです。
UPしたのがこちら。
追い五香粉をしておくと、さらに香りが引き立ちます。
食べる。
・・・
サクっという衣の次に、軟骨のパリっとした感じ。
唐揚げ粉のにんにくと五香粉の台湾っぽさが、旅情をそそります。
いいぞいいぞ。これもうまい。
ガンギエイのムニエル
つづいてムニエルへ・・・。
もう片方のエイヒレに小麦粉と胡椒をまぶす。
フライパンでソテー。好みですが、これもニンニクをつかいガーリックオイル状態で進行したほうがうまい気がします。
表面はやや焦がし気味に。
盛り付け。
ソースは、刻んだディル・レモン汁・しょうゆとバター・クレイジーソルト。これらで仕上げたもの。
味は・・・。
上質。
繰り返しますが、臭みなく、クセもなく、軟骨のパリっと感がある独特の味わい。
まとめ
今回は、あんまりお馴染みではないガンギエイの料理を紹介しました。
比較的良く食べられているアカエイと比べると、臭みやクセはこのガンギエイの方がなかったような気も。アカエイのほうが内湾や河川を行き来して、汚濁エリアにもいるので、そういった要素による負の加点もあったりするんでしょう。アカエイは悪くない。新鮮なのは旨い。
煮付け、唐揚げ、ムニエルと3種類のガンギエイ料理なんですが、わたしの好きな順は、唐揚げ→ムニエル→煮付けかなと。
みなさんも、店頭で丸のままのガンギエイに出会うことはないと思うんで、もし釣れたら試してみてください。実に美味です。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
関連アイテム
▼東肥赤酒は煮付け好きはぜひ試してほしいアイテム。五香粉はカルディとかで買った方が小容量で買えて安いです。だいたい使い切んないので。クレイジーソルトはムニエルなどの下味など万能ですねー。これはたくさんあっても使い切る。