金沢漁港の相川ボートからの釣行で釣ったシロギスとメゴチに、一之瀬丸の釣行で釣ったマゴチを寝かしたもの。
今回はこの素材をもとに天盛りを作る。何のひねりもない。
金沢八景天盛りの材料
ごぼ天が食べたかったので、野菜はゴボウ・マイタケ・ナス・ししとう。
ゴボウは鎌倉のちくあんという蕎麦屋で食べたものがじつに旨かったので、それにならって太目にきって、全体的に水気をきっておく。
ゴボウは意外に揚げるとすぐに火が通るし生でも食べられるので、ごんぶとでも大丈夫。とはいっても〇のものを4つに割るぐらいがいいかなと。
「野菜は八景産じゃないのかよ」とかいう人は、これまで生きてきた自分の人生を呪うとよい。
シロギス3尾とメゴチ2尾。
マゴチも熟成が進みつつ美しい。
シロギスをさばく
シロギスの鱗は簡単にとれる。
スプーンをつかうと身が痛まないでいい。この♡型スプーンアイスクリームを食べる用らしいのだが、結婚祝いに前の会社の後輩にもらったもの。彼は中国人だったんだけども、こういうあからさまにラブみたいなのをプレゼントしてくれる背景を考えるに、中国ってもっとラブラブ恋愛なのかもと。それはそれでいいこと。
んで、よくみると反射して室内がみえなくもない。
このハートスプーンはM状のくびれ部分が便利でつかうとシロギスのうろこが簡単に取れる。
それと、シロギスはきれいな魚だけども、ゴカイなどの底餌を食べているので胃腸内容物が臭い。そのためできるかぎり、まな板につけないで調理したい。
今回、まな板を汚さないさばき方を紹介したい。ちなみに、まな板の上に紙をおいて調理する方法もある。新聞紙はインクがつくようなイメージがあってあまり好きではない。
まずシロギスの頭のつけ根を中骨部分の下まで切る。
頭を腹側にまげると内臓がきれいにとれる。
鮮度が悪いと内臓が崩れるので注意。あとは、親指と流水で腹の中を洗い、キッチンペーパーで水気をしっかりとる。
こうすると、まな板が汚れない。あとは松葉おろしにする。
大名おろしで片面をおろしつつ、尾のつけね部分をのこす。
シロギスやマハゼはカッターナイフもおろしやすい。
裏返して、もう一度大名おろしをし、中骨を切り取る。
その後、腹骨をすく。
鮮度がよいシロギスの身は透き通っている。
メゴチをさばく
続いてメゴチ。
野外だと茶褐色オンリーに見えるがよくみると様々な色が
よくみるとメゴチは迷彩カラー。元祖カモフラがここにいたぞ。
地味な魚ながらよく見ると色彩豊か。
まず、背びれ部分を薄くきる。
頭の付け根部分まで背びれを切り取り、頭部の付け根を中骨まで断ち切る。このとき頭をすべて切り取らない。
腹側を上にする。
包丁の刃先で中骨をおさえつつ頭を引く。内臓部分は臭いのでできるだけ潰さないように。
ずばばばば。
快なり。
カワハギもそうだが、この皮を剥ぐという行為は残虐ながらも、気もちがいい。
たぶん、多くの釣り人もそう思っているはず。
内臓による汚れが身にすこしはつくので、流水でさっと洗い流して水気をきっておく。
メゴチもこうして皮と内臓をとってUPにすると、透明感があってうまそうに見える。
このままサクにして刺身にしてもいい。
▼メゴチを刺身にして食べた記事
このメゴチも松葉おろしにする。このあたりはシロギスと変わらない。
片側を大名おろし。
反対側も大名おろし&中骨カット。
メゴチの下処理も完了。中骨は骨煎餅用に。
この方法であればたくさんメゴチを釣っても簡単に処理できる。
が、あまり小さいのは食べるところが少ないので、リリースするか泳がせ釣りの餌にしたほうがよい。
ちなみにこだわらなければメゴチの皮はつけたままで揚げることもできる。
マゴチの下処理
マゴチは親指と人差し指で円をつくる程度のサイズ感でぶつ切りにすると、揚げたときの食感もいい。写真はとり忘れた。親しらずを抜いたので集中力を欠いている。
揚げ油はごま油ブレンドが香ばしい
揚げ油は米油×ごま油が好み。
とかいってみるとちょっとこだわり派にみえるので、みんなも「俺は○○油が好きだ」とかいってみるといいよ。
ごま油は人それぞれでの好みもあるので最初は2割程度からはじめて、だんだんと増やしていくといいと思う。江戸前天ぷらはごま油の比率が高いが、できあがりの衣の色合いも茶褐色になる。浅草あたりの江戸前天ぷら界隈より、てんやの天丼の方が旨かったりするご時世ではあるけども。
厚切りにしたゴボウは油にいれたあとに、つなぎの衣で5本程度の塊にすると見栄えもよくなる。
できあがり。
おい。よくみると、竹輪天がいるぞ。女将を呼べ!
って、
ひさしぶりに、この竹輪天をつくってみたら驚異的なうまさでびっくり。
もしかして今回の素材で一番うまいんじゃと思ってしまうばかりの出来栄え。
竹輪の勝利。ビクトリー竹輪。
揚げたては衣のなかみがもっちりとして得も言われぬ旨さ。
マゴチ、キス、メゴチ、それぞれすまん。
とはいってもみんなうまい。
こちらメゴチ天。
もうすこしサイズが欲しかったところだけども、気のせいかメゴチって最近シロギスより釣れなくなってきているような。金沢八景だけなのか。デカメゴチだけを釣って天ぷらにしたい。
シロギス。さくふわ旨旨。塩がよく合う。
「スーパーで売っているシロギスはオーストラリアから輸入しているものがほとんどなんだよ。あれは近縁種でね」
とかいうと、通ぶれるよ。
こちらマゴチ天。
マゴチは「夏フグ」ともいわれるものの、トラフグ天の旨さには劣る。
が、同じような食感で満足感の高い仕上がり。
揚げ油がやや高温になって焦げそうになったのは内緒だよ。
メゴチやシロギスの中骨は低温の油で泡が出なくなるまで上げると香ばしいおつまみに。
天ぷらなどの揚げものは油の処理も面倒ながら、たまにやるとじつにいいなと。
池波正太郎の本に、「天ぷらは親の敵だとおもって食え」というような一説があって、それは天ぷらが揚げたそばから劣化していくことを差している。
天ぷら職人も、素材を揚げて油切りの網において皿に盛り付ける時間なども計算しながら調理していたり。ただ衣をつけて揚げれば旨いというのはありながらも、極めるとなると、その難しさにめまいがしてくる。
天ぷらを自分でつくるとどうしても全部揚げてからまとめて食べるという流れになるけれども、本当にうまい天ぷらは、1品ずつ挙げてもらってそれを木の香りがするカウンターで、ハフハフいいながら食べるものだと思う。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)