魚をさばいたあとのアラをどうするかは、信仰の自由と同じぐらい人によって異なるんですが、個人的にはだいたいアラ炊きにすることが多いです。
今回は水温が低めの時期に船釣りでたくさん釣れるイシモチのアラをつかったナンプラースープを紹介します。
イシモチの下処理について
こちら釣りたてのイシモチ(シログチ)。
釣りあげたらエラを切って血抜きをしましょう。あと保冷はしっかり。バケツに突っ込んだままにしておくと、どんどん身が劣化していってしまいます。
岸釣りで水汲みバケツに入れて置きっぱなしなどにしている人もいるんですが、春以降温かくなるとすぐにアウトになってしまうので注意。
そんな状態でイシモチは臭くて苦手とかいっていると、あかんですぞ。
アラは捨てるに惜しいんですよね。鶏肋。
こちらはイシモチのさつま揚げを作ったときに出たアラで、中骨、頭部、カマ部分、皮が入っています。
沸かしたての熱湯をかけて全体の血合いと鱗をとり、水道水で何度か洗い流すと透明になります。
鍋に水を張り、以下の材料を投入して弱火で火にかけましょう。
- たたいたパクチーの根
- たまねぎ
- たたいたニンニク
- 生姜スライス
- ナンプラー
- 白胡椒
沸騰してから20~30分炊けば十分に出汁が出ます。
こちらが抽出したイシモチのアラ炊き出汁。
パクチーとナンプラーが入っているので、この時点でタイorベトナム風味。
イシモチのアラ炊きでナンプラースープを仕上げる
ナンプラースープというのは和製英語だと思うんですが、だいたい鶏ガラなどと香味野菜でとったスープの味をナンプラーで整えたものだと思ってください。
タイ料理屋にいってスープを頼むとだいたいこのナンプラースープがベースです。あとレモングラスなどハーブ類の違いはありますが、ベトナムのフォーの出汁などもほぼ一緒。
こちら冷蔵庫で保冷しておいたイシモチのアラ出汁。
脂肪分はほぼなく、身・骨・皮から抽出できたコラーゲン成分によってゼリー状になっています。甘くしてレモン汁でもかければデザートとして食べても問題ないんじゃないかと。
ナンプラースープなんですが、以下の材料をいれておけば大体様になります。
- パクチーの根(叩いておく)
- 生姜スライス
- ニンニク(つぶしておく)
- ナンプラー
- みりん
- 砂糖(人参と玉ねぎから甘みがでるのでほどほどに)
醤油や味噌同様、ナンプラーにもいろんな工程をのぞいてつくった即席なんちゃってナンプラーがあるんですが、こういう魚醤主体の料理ではよいものを使いたいところ。
「アライドコーポレーション バランス フィッシュソース(ナンプラー)ゴールド」は、2年熟成で上澄み液のみを使用しているので、色合いが良く、厭な匂いが少ないのでオススメ。
ナンプラースープのほかにナンプラーチャーハンにもピッタリ。
パクチー(香菜)は根っこ付きで売っていただきたい
パクチーは、根付きを買って包丁でたたいてつかうとよいです。独特の朝鮮人参みたいな香りがでます。体に良さそうな匂いながらも、パクチーが苦手な人は無理かも。
あとは具材をいれて弱火~中火で炊くだけ。
今回はキャベツ、ニンジン、たまねぎ、セロリをサイコロ状にして入れています。
他に鶏ささみなどもさっぱりしてよく合います。
薬味は、小葱にライムorレモンとコリアンダーパウダー。
レモンよりはライムが独特の香りがあってらしさがでます。コリアンダーパウダーも爽やかな風味になるので手元にあったら入れるとよいと思います。
味は・・・。
洋風ブイヨン(スープストック)などで作った味よりあっさり。
それでいて、ゼラチン質がとけこんでいるので口の中にぬめっこい感覚がのこります。
よく、ラーメン屋がつけ麺などの出汁に大量の豚ゼラチンや鶏皮由来のコラーゲンエキスを投入してコクやまろやかさ、ねっとり感を出すんですが、あんなものが薄まったものを想像してみてください。
具材としては野菜しかいれてないけれども、栄養やミネラル的にはイシモチ由来の様々なものがつまっているんでしょう。塩加減をしっかりしておけば子供の離乳食レシピにもよいと思います。
他に、同じ出汁に創味シャンタンやウェイパーなどの動物出汁をブレンドして、ベトナム風にフォーにしたり、タイ風汁ソバにしてみたり、インドネシア風汁ごはん(ソトアヤム=鶏スープごはん)にしてみたりと、いろいろ活用できます。
脂肪分があまりないので冷凍しても長持ちしやすいですが、1か月を目途に消費するとよいと思います。
ではでは。
平田 剛士(@tsuyoshi_hirata)