これまでイシモチを釣っていろんな料理をつくってきたんですが、実はイシモチは煮魚(「煮付け」含む)にしてもとても旨い魚です。
ただ身に水分量が多いんですよね。だから煮崩れしやすい。それで敬遠されて、釣りたてでの刺身、塩焼きや干物あたりが一般的です。刺身は釣り人や漁師界隈じゃないと食べたことがないかもですが。
イシモチの煮付けは、作りなれていないと、それこそ「ぐちゃぐちゃ」になってしまうんです。
崩れても、それはそれでおいしいのでよいのですが、もうすこしうまく作りたいという人向けに、今回はイシモチをもっと上手に煮付けにする方法を紹介します。
イシモチは釣ってすぐが重要!血抜きと保冷はしっかり
イシモチはシログチでもニベでも、釣ったそばから血抜きをして、保冷しておくという下処理が必要です。
特に3月以降は徐々に水温があがりはじめるので、血抜きをしたあともバケツに入れっぱなしにせず、5~10分程度で切り上げたら水氷でよく締めましょう。
1月~4月ぐらいの船釣りであれば、だれでも数十尾釣れるので、そんなに数は競わず、一尾一尾丁寧に血抜きしていったほうがあとあとお得。
氷だけをいれたクーラーボックスに魚をいれる人もいますが、あれは魚の片面しか冷えないんです。海水でつかるぐらいの「水氷=潮氷」をつくり冷やすのがオススメです。
持ち帰り後のポイントは棒身にしたあと塩をふって寝かせる
写真は塩焼き用のイシモチ。ドリップをぬいたあとの追い塩
イシモチを釣った後、持ち帰ったらすぐに下処理を行うのがオススメです。
下処理は以下の工程を済ませておきましょう。
- 鱗をとる
- エラと血合いと内臓をぬく=頭部の取り除けば「棒身」に
- ふり塩をして、冷蔵庫1時間から一晩寝かせる
これだけやって、あとは水分をキッチンペーパーやリードで抜きながら、毎日交換すれば、冷蔵で数日から7日程度は大丈夫です。
この下処理工程でポイントなのは、鱗とりで重要なのはジェントルにやることです。要は身を強く握ってゴリゴリこすると身が崩れるので軽くさする程度にというわけです。
これは小型から中型の魚全般に通ずることなんですが、鱗とりをする際は、魚の頭部側から両エラ部分に親指と人差し指をかけて持って行うと身が痛みずらいです。これはね、自分でこれが良いだろうと考えてずっとやっているんですが、ぜひやってみてください。身に温度もつたわりづらいですしね。
それと、煮付けの場合頭部は残した方が見栄えがいいとは思います。
一応イシモチもほほ肉があるので頭部を残すとすこしだけ美味しい部位を味わうこともできますし。また、頭部があることで煮汁に溶け込むコラーゲン物質が多くなって煮凝りが固まりやすくなります。これは副産物として冷やしたものを温かい飯にのっけてかきこむと最高です。これほんと。
イシモチに塩をふって水分をぬくというのは、釣り人の間ではやっているひとも多くなってきた感があるんですが、個体の大きさによって塩をふる量と水分をぬく時間は変わってきます。
ドリップと一緒に臭みを抜く効果もあるのですが、1時間などと、あまりこだわらず、次に料理するときまで放置してもよいと思います。旨味が減少するなどはあるとは思いますが、たかが知れています。
ただしドリップを吸い込んだキッチンペーパーなどは随時交換しましょう。臭みのもとですので。
最初から「本みりん」をいれた煮汁で短時間調理
ふり塩によって水分をぬいたイシモチとはいえ、煮方を間違えると用意にぐちゃぐちゃに仕上がってしまいます。
煮汁には必ず「本みりん」をいれましょう。魚の身を締める役割があります。わたしの場合、水は全くいれないで以下の調味料を適宜素材に応じて調整して入れています。極端な話、甘じょっぱくなっていれば大丈夫。
煮付け業界で最強の調味料それが「東肥赤酒」何度もごり押しする実力は伊達じゃない
- 砂糖
- 醤油(メバルは白醤油のほうが雰囲気がでる)
- 本みりん(そろそろみりん風調味料から卒業してみませんか?)
- 安日本酒(最近は米100%にグレードアップ)
- 東肥赤酒(これがあれば本みりんと日本酒は入れなくてもOK)
- 水あめ(最高の照りを出すのにはこれだ!)
他に素材の臭み等によって生姜スライスや長葱、ゴボウなどをいれることもあります。
が、このなかで、生姜とゴボウは「うほほ」ってな具合に入れすぎると、その味オンリーになるので注意です。これほんと。供した瞬間に、海原雄山に「味の分からぬ山猿めが!」と言われてしまいますよ。箸もつけてもらえません。
誰でもうまくできる煮魚の調理工程は以下の通り。
- 魚の身があついときは飾り包丁を入れる
- 80℃ほどに冷ました熱湯を魚にかけて霜降り処理
- すべてを混合した煮汁をいれて、キッチンペーパーで落し蓋をして、さらに鍋蓋をし中火で10分
- 菜の花などのつけアワセをいれる際はラスト2分程度でいれると色合いがきれい
※基本的に調味料は混合しておくのが合理的です。ただ、水あめだけアワセられないので、鍋の煮汁にいれながら溶かしましょう。熱ですぐ溶けます。
あんまり強火でぐつぐつやり続けるとどうしても身が崩れるので、ジェントルにさくっと10分程度で煮つけるのがポイントです。
焦げつかない大型のフライパンとフライ返しがすんごく重要
「大は小を兼ねる」が当てはまるフライパン。「深底+28cm+側面に傾斜」があればだいたいなんとかなる
地味な話なんですが、家庭で魚の煮付けをつくるときはフライパンが便利です。それも大型の。サイズとしては28cmぐらいが市販サイズとしては一番大きいものなんだと思います。
焦げつき防止の樹脂やチタン加工がされているフライパンを選んでいる人が多いと思います。が、この加工は一定期間で剥げてくるんですね。そうなるとどうしても焦げつきやすくなったりします。なので、怪しくなったら新しいものを購入したほうがお得です。
イシモチを複数尾煮付けにしたとき、菜箸などで垂直に持ち上げると、つかんだ部分や尾部分が崩壊します。そのためフライ返しは必須だと思ったほうがよいでしょう。
仕上げに皿に移す際は、フライ返しを慎重に身の下にさし入れ、フライ返しを動かすというよりも、フライパンを傾けるようにして鍋肌をすべるようにして皿に移します。
このとき、鍋肌の滑りが悪くなっていたり、鍋のふちがほぼ垂直になっているフライパンはこの工程が難しくなってしまうので注意が必要です。
イシモチを煮魚にするときの味付けは濃いめがオススメ
イシモチと菜花の煮付け
煮魚や煮付けについても、いろんな好みがあったりしますね。薄味、濃い味、甘辛、辛目、アブラマシマシなどなど。ラーメン二郎みたいなもんです。
イシモチの場合、白身で個性が強いわけではないので、ごはんのお供として考えたときは甘辛く煮付けるのがオススメです。あえて、白醤油を使い砂糖をつかわず淡い味わいにしてもよいのですが、両方つくってみた結果としては、甘辛が一番うまいなと。権威ある平田総研の研究結果なのでそういうことなんですよ。四の五の言いなさんな。
ということで、人それぞれ、好きなようにやればいいと思うんですが、これからつくってみようかなと思い立った人には、ぜひ甘辛からデビューしてみるとよいと思います。
まとめ
今回はイシモチの煮魚・煮付けを煮崩れさせないようにつくる方法を紹介しました。
イシモチは、船釣りであればかなりまとまって釣れる魚です。投げ釣りでも濁りが入っているときなど、パターンがはまると連続で釣れるので料理のレパートリーに困ることも。
そんなときに、煮魚や煮付けがあれば、また一つ食べる楽しみ、食べてもらう喜びが増えますね。
関連アイテム
▼中型までの魚に向いているフライパンは28cm+深底+側面に傾斜あり。
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