近年、餌タチウオ・アマダイ・ウィリー五目等で人気が出ている天秤に、ダイワの「快適天秤」があります。
今回は「ダイワの快適天秤」の活用方法や餌タチウオで一番売れている型番を紹介します。
また餌タチウオジャンルにおける快適天秤のライバル「ヤマシタY型テンビン」との比較についても解説!
ダイワ快適天秤シリーズについて
ダイワの快適天秤マルチ/ストレートは餌タチウオの人気とともにシェアを伸ばしてきた
ダイワの快適天秤と言えば、もともとストレートタイプ(快適天秤ストレート=赤シュリンクパイプ)でした。
現在広く使われているのが黄色のシュリンクパイプが印象的な「快適天秤マルチ/ストレート」です
また、新しく弓型タイプの「快適天秤アーチ」が2021年9月に追加されました。
快適天秤マルチ/ストレートについては、船の中・小物釣り用に設計されていて、比較的安価でしっかりした作りです。
「マルチ」と「スピード」があるのですが、それぞれで共通している点は以下の通り。
- 道糸側とハリス装着側はスナップなしの「アイ」タイプ
- オモリ装着部は比較的大き目のインタースナップ
この中で「ハリス側のスナップなし」というのは意外と重要です。
一番下のヤマシタ船テンビンK型もハリス側のサルカンが外れやすい
ヤマシタのライト天秤は船宿貸道具でもよく使われ、一番ベーシックな弓型天秤ですが、ハリス側が小型インターロックスナップだったりするんですね。
多くの中小型魚向けの船天秤もそうです。
インターロック式スナップ自体は、線材の端が直角に曲げられ、強い力でも外れないような仕組みです。
なぜハリス側のスナップが小型なのか。
これは、ハリス以降の仕掛け部が自然に動くことを想定した工夫なのでしょう。
一見便利そうなのですが、実はこのインターロック式スナップが釣りの最中に開いてしまい、仕掛けが外れることがあります。
仕掛けを投下して、あれ?なにか引き抵抗が軽いな?と思ったら、天秤から先のハリス部分がない。
仕掛けを回収して確認してみると、この小型インターロックスナップが外れている。
そんな経験はありませんかね?
天秤に付属している仕掛け側のインターロックスナップが外れる理由は以下の通りです。
- 単純にスナップの締め忘れ(点検ミスですね)
- オマツリをしているときにインターロックスナップの出っ張りに他の人のPEラインやハリスが絡んで引っ張られて外れる
- インターロックスナップの開閉を何度も繰り返すうち、スナップのゆがみが生じてふとした拍子に外れやすくなっている
どれもよくあると思います。
1は注意不足。
2は仕方ない。オマツリしたら引っ張りっこにならないようにしたいところ。とはいえ、否が応でもぐんぐん引っ張っていく人はいますよね。
オマツリでは、天秤付け根のスナップが外れる可能性の方がグンと高いです。
3は点検不足ということなんでしょう。
劣化したインターロックスナップと言えば、船宿の貸天秤によくあるパターンです。
日々繰り返し何度も使用されるのでこれは仕方がないですね。
インターロックスナップのつけ根はかしめてあるので、サルカンからプライヤーなど外さないといけません。
または使用前にチェックし、スナップが劣化している場合は、天秤側の線材の輪っかやサルカン部分に仕掛け側のスナップをつけてしまえばOKです。
ちょっと長くなりました。
なにをいいたいかというと、個人的には天秤側のスナップは不要だと思っているということです。
基本的にハリス側にスナップがついてますしね。
テンビン側のスナップは不要
その点、ダイワの快適天秤はハリス側のインターロックスナップがないから好印象です。
オモリ装着部分のインターロックスナップは大型で丈夫
ダイワ 快適天秤の選び方
快適天秤 マルチ線径1.6㎜、アームの長さ300㎜
マルチとスピード、どっちがおすすめ?
現行の快適天秤にはマルチとスピードがあります。
何が違うのかというと、天秤の腕部分が固定式なのが「マルチ」で、可動式なのが「スピード」です。
マルチは一般的な天秤と変わりません。
出典:ダイワ
「スピードタイプ」は仕掛け回収時に腕がまっすぐになるため、仕掛け回収時に水の抵抗が少なくなり素早く回収できます。
実際につかってみても、たしかに体感できます。
スピードタイプの快適天秤
手返しをよくするには効果的ですし、手巻きリールの釣りでの疲労度を避けるのにもよいと思います。
一方、「アワセの際も力がハリ先までまっすぐに伝わるためアワセが効きやすい」とあるのは、ケースバイケースなのだろうなと感じています。
たとえば餌タチウオ。
スピードタイプをつかうと、タチウオのアタリがしっかり出る(ガツン!というアレです)までにすこしタイムラグがあるように感じます。
シャクリ幅が狭く、巻き上げ速度が遅めの場合は特にそう感じます。
魚が餌に食いつき、ハリスを引っ張る。
その力が天秤の腕に伝わる際に、腕が可動すると力が完全に伝わるまでに時間がかかるような気がします。
一方、道糸と腕がほぼまっすぐになった状態では、マルチよりスピードタイプのほうがしっかりアワセられるのかもしれません。
以上の感触から、個人的には「快適天秤はマルチがいいな」と感じています。
或る一か月間での快適天秤の売り上げ(Amazon経由の一部)
ORETSURI経由での快適天秤の売り上げも、大半がマルチです。
これは以下の理由からだと思われます。
- 既存ユーザーは「スピード」の優位性をあまり感じていない
- 新規ユーザーは低価格帯商品ということもあり、より低価格のマルチを選びやすい(実売価格で~200円ほど安価)
線材の太さと長さ
上:マルチ1.2㎜-200㎜下:マルチ1.6㎜-300㎜
次に快適天秤を選ぶ際のポイントが線材太さ(線径)とアームの長さです。
出典:ダイワ
それぞれ、mm単位で表現されています。
- 素材線径1.2㎜×アーム長さ200㎜
- 素材線径1.4㎜×アーム長さ250㎜
- 素材線径1.6㎜×アーム長さ300㎜
これは釣り物によっても異なるのですが、主要ターゲットである餌タチウオを考えると太目の線材(1.6㎜)にアーム長30㎝が最適です。
餌タチウオで使用後の線径1.2㎜
線径1.2㎜と1.4㎜は、指4本くらいの中型タチウオでもアーム部分がかなり曲がります。
1.6㎜でも天秤部分をもってドラゴン級タチウオが暴れると、アームが曲がることもあるのですが、比較的頑丈です。
オモリ装着部のスナップもより丈夫。
ステンレスの線材は、曲がったアームを何度も直しているといつか金属疲労で折れるんですよね。
なので、これから餌タチウオで快適天秤を購入する人は、マルチのΦ1.6-300を最低3個買っておけばバッチリだと思います。
なぜ3個か。
これ重要です!
餌タチウオは比較的高切れしやすいので天秤ごとロストが増えるからです。
オマツリとは関係なく、ふいにタナでステイしているときにPEラインがタチウオ(orトラフグ・サワラ)に噛み切られてロストします。
また、他の釣り客の巻き上げや竿のコントロールが甘い場合、流れてきたタチウオによって容赦なく高切れします。
快適天秤マルチ自体は、餌タチウオ以外にもアマダイ、イサキ、ウィリー五目などに活用できるのでたくさんあっても損はしません。
釣り物的に線材Φ1.6㎜が太目な場合は、クッションゴムを入れることでアーム部分のハリをやや緩和できます。
※タチウオの取り込み時は天秤の腕(仕掛け側)ではなく黄色いシュリンクパイプをもって、腕は持たず、ハリスをつかむとアームが曲がりにくい。
▼市販されている快適天秤マルチには素材線径・アーム長ごとに対象魚が記されています。
- 素材線径1.2㎜×アーム長さ200㎜:LTアジ・LTウィリー五目・タチウオ ★繰り返しの曲げにより破断リスクが高いためタチウオではおすすめしない
- 素材線径1.4㎜×アーム長さ250㎜:アジ・タチウオ・イサキ ★指4本くらいまではなんとかなる ハリス5号等、夏タチウオで潮受けを軽減するためにはよい
- 素材線径1.6㎜×アーム長さ300㎜:アジ・タチウオ・アマダイ★タチウオでは一番人気 指5本以上を重ねて釣っても破断しない
競合製品ヤマシタの「船テンビンY型」との比較
静音とオモリが暴れない点がメリット。デメリットは強いシャクリやおまつりでオモリロストしやすい点
大人気のダイワ快適天秤マルチなのですが、餌タチウオでの使用を想定したときに、1番の競合はヤマシタの「船天秤Y型」と思われます。
主要メーカーから広く販売されているストレート天秤で一定の強度と長さがあるのはこの2つだからです。
多くの天秤餌タチウオユーザーはこの二つを比較検討することになるはずです。
それぞれスペックも似ているのですが、形状以外での違いは以下の通りです。
<ヤマシタ「船テンビンY型」とダイワ「快適天秤マルチ」の比較>
- オモリ固定部(インターロック式スナップ)の強度で船テンビンY型は不安が残る
- 同、スナップ固定方式の違い(船テンビンY型は接続部がシンプルでオモリが暴れにくく音が静か)
- 熱シュリンクパイプの色(船テンビンY型の黒は視認性が劣る)
- 船テンビンY型には1.2㎜がない(餌タチウオでは、ほぼつかわないので問題ない)
- 船テンビンY型が、やや割高(実売価格、数十円~100円)
実釣で実感できるのが1と2です。
船テンビンY型のオモリ固定部は、快適天秤同様インターロック式スナップです。
このスナップなのですが、小型が採用されていて強度面で不安があります。
60号~80号オモリをつけて強めにしゃくり続けると、衝撃でスナップが開いてしまいオモリをロストしやすいのです。
またオマツリ時にも案外簡単にスナップが開いてしまい、オモリだけ抜けます。
一方、船テンビンY型のオモリ接続部にもメリットがあります。それは一般的なスイベルを介さない分シンプルさです。
可動音が静か(陸上確認)なのと、しゃくったときのオモリの動作が安定している(これも音に関わる)のが実感できます。
オモリ固定部のスナップをあえて小型にしたのは、静音効果とオモリの安定を狙ったのだと思うのですが、このあたりはトレードオフなのでしょう。
すれたタチウオを狙い、触りの判断を鈍らす雑音を減らすには確かに効果的なので、使用時はスナップ部をかしめるなど工夫するとよいでしょう。
▼ヤマシタの船テンビンY型も餌タチウオでは線径1.6㎜ 30㎝がおすすめ
まとめ
指5本以上のタチウオ狙いは素材線径1.6㎜がおすすめ!
近年、餌タチウオで特に使用率が高い天秤であるダイワの「快適天秤」。
船上で黄色いシュリンクパイプをよくみかけるようになりました。
実際に餌タチウオできちんと餌を動かし、しっかり掛けるのに最適な設計で、筆者もよく使っています。
一方、マルチとスピードの違い、線材の太さや長さについて悩む人もいるのではないでしょうか。
快適天秤を購入する際の参考にしていただければ幸いです!
関連アイテム
▼餌タチウオであれば、マルチのΦ1.6-300を3本用意しておけば安心です。
東京湾のライトタチウオであれば夏場は60号程度(40~80号)のオモリを数個、冬から春は80号(~100号)を複数個用意しましょう。
▼スカリー60号、80号をつかえばオモリの落下スピードが向上し、手返しも上がります