新素材ともよばれるPEライン。
ナイロンやフロロカーボンラインよりあとに登場したものの、すっかり釣りシーンに普及しているなくてはならないラインですね。
PEは(Polyethylene)ポリエチレンからとられた名称で、多くが4本もしくは8本の繊維をより合わせてできています。
今回はそんなPEラインの特徴をおさらいしていきましょう。
PEラインのメリット
まずPEラインのメリットを3つ挙げます。
- 高感度
- 高強度
- 高浮力
簡単に言えば、感度がよく、強く、浮くという特性があります。
それぞれ詳しく説明していきます。
PEラインは伸びないため高感度
ナイロンラインを引っ張ってもらうとわかりますが、かなり伸びがあります。
次にPEラインを引っ張ってみましょう。ほぼ伸びないですよね。
釣りでは、魚のバイトがあった際にラインが引っ張られ、主に以下の要素でアタリを理解することができます。
- ラインの動き(ウキの場合はウキの動き)
- 穂先の振動
- グリップ部分の振動
このとき、ラインの伸びが少ないほうが、それぞれのアタリを感じやすいわけです。
この特性を生かして、比較的水深のあるポイントを使う沖釣りや、遠くにキャストしてアタリを拾う必要があるショアジギングなどの多くでこのPEラインが用いられています。
PEラインは高強度
PEラインは、同径のナイロン・フロロラインより極めて高い強度があります。
このメリットはキャスティングや船釣りで活かされます。
たとえばラインのが細くなればなるほど、風の抵抗を受けにくくなり飛距離が伸びますし、船釣りであれば潮が速い場合でも、太いラインより潮受けしにくいといメリットがあります。
PEラインは浮力が高い
PEラインは淡水・海水にかかわらず沈みにくいラインです。
水流や潮になじませるような釣りには向いていませんが、沈まないという特性を活かしてTOPウォーターの釣りには向いています。
前述の伸びがなく強度が高いという点を考慮して、ナマズ・雷魚・ブラックバス釣りのTOPウォーターの釣りなどには最適でしょう。
PEラインのデメリット
PEラインは高強度で伸びもすくないというメリットがありますが、以下のデメリットもあります。
- 伸度が少ないため高切れしやすい(キャスト時・アワセ時)
- 耐摩耗性が低い(根ずれ、歯ずれに弱い)
- 波風の影響を受けやすい
- ティップやガイド部分に絡みやすい
- 魚種によってはラインが見破られやすい
- 結束強度が高くない(すべりがある)
それぞれのデメリットと対策を説明していきます。
PEラインは高切れしやすい
PEラインを用いた遠投かご釣り。ナイロンラインと比較して高切れしやすい釣法の一つ
PEラインは伸びが少なくアタリがわかりやすいラインなのですが、伸びがないということはデメリットにも繋がります。
たとえばキャスト時やアワセ時はラインに急激な負荷が生じやすい状況ですね。
こうしたときに、PEラインをつかっていると、突然パツン!と、高切れすることがあります。
キャスト時は、ガイドにラインが絡んでいた場合、もしくはバックラッシュが起こると、ラインの太さによってはかなりの確率で高切れします。
この高切れには以下のような対策法があります。
<PEラインの高切れ対策>
- リールのバックラッシュ対策を十分に行う
- 細すぎるPEラインを用いない
- ほつれが目立つPEラインは交換しておく
- フロロカーボンもしくはナイロンリーダーを利用する
- キャスト時に穂先の絡みを毎投確認する
- ドラグをやや緩めに調整しておく
PEラインは耐摩耗性が低い
PEラインは複数の繊維をより合わせたものですが、1本ごとの繊維自体が細く、それぞれが根ずれすると、ほつれがどんどん広がって弱くなっていくという特性があります。
岩場や植物、魚の歯によって簡単に切れてしまうこともあります。
こうしたPEラインの耐摩耗性の低さには以下のような対策法があります。
<PEラインの耐摩耗性対策>
- 耐摩耗性が高く、適した強度のリーダーをつける(フロロカーボン・ナイロン)
- 耐摩耗性を高めるためにコーティングされたPEラインを利用する
PEラインは波風の影響を受けやすい
PEラインは軽く浮くという特性があるため、サーフなどの波風が強いポイントでは、取り回しが難しくなります。
風が強いところでは飛距離がでなくなり、横風にあおられキャストしたいポイントが絞れなくなることも。
また、波が強いところでは、ラインコントロールが難しくなります。
<PEラインのコントロール対策>
- 高切れに考慮しつつ、なるべく細めのラインを使う
- ロッドの耐久力に配慮しつつ、重めのルアーや仕掛けを利用する
- 無駄なラインが出ないようなサミングをする
- 着水後のラインメンディングに気を付ける
PEラインはティップやガイド部分に絡みやすい
PEラインは軽さや、そのヨレによって釣り竿の穂先やガイドに絡むことが多いラインです。
絡みが生じた場合は都度解く必要があるため手返しが悪くなりますし、キャストを伴う釣りでは、知らずキャストしてロッドの破損やラインの高切れにつながることもあります。
<PEラインがティップやガイド部分に絡まなくする対策>
- ラインがらみの軽減対策が施されたロッド使う
- ロッドの長さ程度の先糸(フロロカーボン)をつけて使う
- 風下側に釣り座を組む(船釣り)
- ラインをひっぱり竿置きに固定しておく(船釣り)
船釣りの場合、風下側に発泡素材の竿置きを設置しハリスを引っ張りやや穂先が曲がる程度にし、針先を竿置きに刺しておくと絡みずらく、移動・投入の繰り返し時の手返しが向上する。
魚種・状況によってはラインが見破られやすい
PEラインは着色されていて、水のなかでも異物として目立ちます。
魚がどの程度ラインを認識するかは、魚種・水の濁り・釣行する時間帯によってことなりますが、異物として認識される限り、バイトの可能性が下がります。
またこれらの要素から、ルアーや仕掛けに直結できないため、リーダーの結束工数がかかります。
<PEラインを見破られなくする対策>
- フロロカーボンやナイロンリーダーを用いる
PEラインは結束力が高くない(滑る)
PEラインはすべりやすく、リーダーやルアーや仕掛けとの結束力が高くありません。
結び方によってはラインブレイクではなく、「すっぽ抜け」が生じやすく、大切なルアーや仕掛けをロストしたり、せっかくのバイトを逃してしまうこともあります。
<PEラインの結束力の低さをカバーする対策>
- より結束力が高いコーティングが施されたPEラインを使用する
- リーダーやルアー・仕掛けの結束の結び方を工夫する(結束後に一定負荷をかけて確認)
PEライン利用の場合、SiCガイドを実装したロッドがオススメ
PEラインは繊維の集合体であるため、物理的に砂粒等を噛みやすいラインです。
特にサーフなど砂が絡みやすい場所で利用するロッドは、細かい砂が絡んだPEラインによりガイドが摩耗する可能性があります。
こうしたポイントで利用するロッドのガイドは、硬度の高いSiCガイドを選ぶのば無難です。
釣行後のPEラインからは塩分と砂粒を洗い流す
釣行後のPEラインはスプールごと流水でよく洗い流しておきましょう。
塩分や砂を洗い流すことができます。
ラインに残った塩分や砂粒はラインの摩耗劣化にも繋がります。
洗い流す際は湯を使うと、リールの油分が落ちるため、水を使うことをオススメします。
PEラインの摩耗を軽減し放出をスムーズにするアイテム
PEラインで発生するトラブルを軽減する方法として、ライン表面にコーティングを施すことにより摩耗を軽減し、スプールからの放出をスムーズにするアイテムがあります。
それほど高いものではないので、釣行前後・釣行中に利用してみるのもよいでしょう。
PEラインの摩耗が目立ってきたら裏返しに巻替えると経済的
用途にも異なりますが、ちょい投げやエギングなどで、50メートル前後しかいつもキャストしていない場合があるかと思います。
このとき、PEラインの残容量が100~150メートルある場合、表面だけの摩耗で交換してしまうのはもったいないですね。
この場合、使っていない下巻き部分と表面部分を巻き替えることで新しいラインのように使うことが可能です。
<PEラインの裏返し方>
- ラインを買ったときに巻かれていた糸巻を2つ用意しておく
- 糸巻Aに交換したいPEラインを巻き取る(使用済み部分が内側に巻き取られる)
- 糸巻Bに糸巻AからPEラインを巻き取る(使用済み部分が外側になって巻き取られる)
- 糸巻BからリールにPEラインを巻き取る(使用済み部分が内側に巻き取られる)
巻き取り回数が多くなるため、第一精工 高速リサイクラー2.0を利用すると高速にメンテナンスすることも可能です。
最後に
今回は、最早釣りシーンになくてはならないPEラインについて解説しました。
どんな釣り具も完璧なものなどありませんが、PEラインも一緒ですね。
特性を活かしつつ、デメリットを軽減することで、気持ちよく釣りができる手助けになればよいと思います。