本記事では、筆者が近所のスーパーで活きたクリガニを購入して料理した体験を紹介します。
はじめに、クリガニの産地・特徴・旬・美味しい食べ方について解説し、その後、実際に食べてみた様子を紹介します。
クリガニ(栗蟹)の産地・特徴・旬
はじめに、知らない人も多いと思うのでクリガニについて、豆知識をざっくりと説明しておきます。
<クリガニの特徴>
- 「クリガニ」という名前の由来は甲羅部分が栗の粒のような形だから
- 「クリガニ」と「トゲクリガニ」という2種類がいる
- クリガニは毛ガニによく似た蟹で、国内では北海道に生息
- トゲクリガニは北海道から三陸沿岸まで棲息
- 大型でも400g程度。150g~200gが多い
- 「カニカゴ漁」「刺し網漁」で漁獲されているものがほとんど
- エリアによっては堤防から釣ることもできる
- 毛ガニと風貌が極めて似ているが、やや小型で価格は毛ガニより割安
- 身は少ないが蟹味噌が多い。殻が柔らかい
- 3~5月程度までが旬(それ以外はほとんど流通しない)
- 春に旬をむかえるため、産地の青森ではトゲクリガニを「サクラガニ」と呼ぶことも
- 購入する際は、「活き」もしくは漁獲後のすぐに冷凍した冷品を買う。それ以外は食中毒防止のため控える(蟹は死後の腐敗が速いため)
- クリガニに適した料理は、生食ではなく「茹で蟹」「蒸し蟹」「トマトクリームパスタ」「甲羅酒」「味噌汁」
- 害のある寄生虫はついていない
- メスは内子が人気。オスはメスより大型になり身が多い
クリガニ(栗蟹)の食べ方
- 生きたものを購入する
- 全体をさっと洗い流して、生きているものは鉄串を口に差し込み締める(自切を防ぐ)
- 蒸すorゆで上げる(10~15分)
- 尻蓋を取り除き、甲羅を尻側から剥がす
- 「ガニ」と呼ばれるエラと胃袋と呼ばれる消化器官を以外は食べられる
※生きていても、自らゆで上げれば自切しづらい
※蒸し上げのほうが旨味は逃げないが茹であげより調理時間が必要
具体的には以下の通りです。
▼生きているクリガニを購入する
▼鉄串で締める
▼蒸す
※蒸す、茹でるの工程で生きたまま高温の場所に投入すると、脚や爪を自切してしまうので見栄えが悪くなり、旨味の汁も抜けやすくなります
▼ゆで上がり
▼尻蓋を外す
▼尻蓋のつけ根部分から甲羅をもって外す
▼エラ(ガニ)は全部取って捨てる。砂噛みなどは少ない
▼部位ごとに仕分ける
▼食べる(身が甘い。毛ガニに勝るとも劣らない)
▼身肉に味噌を絡ませて食べる(超絶美味)
▼全体をほぐしてから味噌を乗せて食べる
▼味付けをした身肉と白飯を混ぜ合わせて、甲羅につめて食べるのも乙
クリガニとのはじめての出会い。スーパーで158円で売っていた!
なんと、活きているクリガニが!関東ではめずらしい。
あれは数年前のこと。近所のスーパーで面白い魚介類が気まぐれで入荷することがあるのです。
ある日、うきうきしながら鮮魚コーナーをみてみたら「青森産 栗ガニ」が1杯158円とのこと。
これはいいな。
いや、ちょっとまてよ。
蟹と海老は鮮度落ちが激しいからなー、活きでないと、くっさいからなーと、手に取ってみると・・・。
わさわさ。
お、活きてるやんけ!
瞬間、頭の中に、「奥さん、こいつは買いでっせ!」と、誰かが直接言ってきたんです。
だれおま。
一瞬、爆買いしようかしらん、って思いましたが、いろいろ考え、4杯だけ買うことに。やっぱり、ほかにも食べたい人もいるでしょうしね。思いやりの心が大切ですからね。
まな板の上でうごめくクリガニ
このクリガニがぞもぞ動いているところを想像ください
はじめてみるクリガニは、まるでジオンのモビルアーマーのような見た目です。
この装甲だと、遠距離からのビームライフルは弾かれてしまうのだろうか。。。
見た目は毛ガニが小さくなったような感じですね。
活蟹独特の泡がパツパツと破裂する呼吸音が心地よい限りです。いきてるなーって。
手に取ってみると適度な抵抗感。
蟹類って、死ぬとだらりんっとしてしまうんですよね。
クリガニも尻蓋の△が鋭角に尖っているのがオス。メスは抱卵のために尻蓋の面積が大きい
腹側はこんな感じ。全員オスのようです。
メスが売られていない毛ガニと違って、どうやらクリガニのメスは流通しているようなのですが、今回は全員メンズの模様。
クリガニをゆでてみた
味が湯に抜けるので、面倒でなければ蒸すのが一番よい。もしくはゆで汁を再利用
まずは、オーソドックスな茹で蟹から。
湯を沸かして、塩をひとつまみ。日本酒を少量いれて、栗ガニたちを、どぶん。
ゆるせよ。
茹で時間は、サイズにもよるんですが、10~15分ぐらいたったら、ゆであがりです。拳大の小型は10分で十分。
クリガニはまるで毛ガニ。ほんとうにそっくり
うまそうな色艶ですなー。毛ガニっぽい。
クリガニの味噌は、やばうま
脚をとって、甲羅をはずしてみたところ、まずカスタードクリームのような味噌が豊富。
甘さのなかに、ほのかな苦みがあり旨旨。モクズガニの風味にやや似ています。
こうなったら、甲羅の下のやわらかい殻ごともぐもぐしてみます。
わ、うまー。甘い。
甲羅がやわらかくなった毛ガニみたいな。
クリガニを味噌汁にしてみる
クリガニは味噌汁が最高とのことで、1杯は味噌汁へ。
クリガニの殻はそれほど堅くないので簡単にパカっと割れる
まず全体を軽くゆすいで尻蓋をとり、全体甲羅と脚をハサミでわり、ダシが出やすくしておきます。
この際に、蟹の胃袋といって口吻から続く内臓部分をとると雑味を防ぐことができます。
クリガニの場合あんまり気にならないんですけどね。モクズガニあたりは必須です。
水から真昆布でだしをとり、沸騰したら昆布を取り除き、栗ガニを投入。
日本酒とみりんで調整。
これがクリガニの味噌汁だ!これは絶対うまいやんけ!湯気の香りでわかるさ
ガスの火を止めて味噌をとかしてネギをちらしてできあがり。
なめこ汁もそうですが、みりんを味噌汁にすこしいれるとまろやかになるのでおすすめですよ。だまされたとおもってやってみてほしい。
・・・
ん!
これはうまい。
甘みのあるコク。毎日飲みたい味です。むしろお風呂にして入りたい。かゆくなりそうだけど。
クリガニを見つけたら速攻で買うべき!
栗ガニ(クリガニ)は、関東圏ではあまり見られない蟹です。
どうやら東北にいくと夜の漁港であれば、懐中電灯片手にバケツ1杯とれるとのこと。
堤防からのチョイ投げなどでも釣れるとのこと。
このクリガニ、安くてかなりうまいのと食べやすいので、もしスーパーで出会ったときはぜひ買っておくとよいでしょう。
可食部分はあまりないので、一人最低2杯は買っておくとよいですよ。
今回は、茹で蟹と味噌汁にしましたが、他には身と味噌をごはんとまぜたり、トマトクリームパスタにしても旨いです。
死んでいるクリガニは買ってはいけない。まずいから
クリガニ飯、まじで旨い
余談ですが、甲殻類は自己分解力が高いので、死ぬとすぐに腐りはじめます。
この死んだクリガニを食べて、「クリガニはまずいな」と思ってしまっている人がいるようであれば残念すぎる。
茹でていないクリガニを買う場合は、必ず生きている状態であることを確認しましょう。では、どうやって生きているか確認するのか?
これは、店舗のスタッフに「生きていますか?」と、確認するのはもちろんなんです。
が、許可を得て、店頭に並んでいるものを手でつかんでみましょう。指で軽くつついてみてもよいと思います。
やっぱり売り手は確認せず「生きてるよ」と言いがちです。
でも、売りはじめは生きていても、並べているうちに死んでいたってこともあるわけです。
刺激を与えると、生きている個体は脚を元気に動かします。弱っている場合も脚はそれほど、だらんとせず、動くのが特徴です。
対して、死んでいるクリガニは脚や爪がだらーんとしていて、色が黒っぽくなってきます。
こうした蟹の鮮度低下については売り手も気づいていることがほとんど。
閉店間際の場合、「ぜんぶで○○円でいいから!」みたいな売り方をしていますが、死んだクリガニを食べるとお腹を壊す可能性もあるので控えておいた方がよいと思います。
加熱すれば大丈夫と思いきや、身はまだしも、せっかくのミソ部分(内臓)については臭みが強くなり食味も劣るわけです。
「安物買いの銭失い」というのは、クリガニを買う場合でも同じわけです。
もちろん、生きていて安く売られている場合は買いです!
関連商品
▼近所のスーパーでクリガニが売ってないけど、どうしても食べたいという場合は通販で買うのも一つです。オスとメス、サイズによって価格が異なりますが、だいたい一キロ3,000円程度(10杯程度)。シーズンから外れると冷凍のみになります。
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