船釣りでは潮汐の影響を考えることが重要ですね。
今回はオマツリなどで厄介な「2枚潮」とその対策をわかりやすく解説します!
2枚潮とは
2枚潮=上潮と底潮の流れが逆なパターン
2枚潮とは、上潮(うわじお=海面近くの潮)と中層や底潮の流れが異なることを指します。
流れの違いにより道糸のたるみが生じ、あらゆる釣りがやりづらくなります。
釣り客の間隔によってはオマツリが連発し、釣りにならないことも。
実際は「上潮・中層・底潮の流れの速度や方向が異なることは普通」です。
一般的に「2枚潮だね」と釣り人や船長がいうときは、「2枚潮の傾向が強い状態」を指します。
わかりやすい2枚潮は底潮に対して上潮が速く逆に流れている場合です。
ほかに、底潮と上潮の流れる方向は同じようでも、層によって潮の流れる速さが変わることから2枚潮と呼ばれる場合があります。
海面に近い上潮が速く流れる理由としては以下の理由があります。
- 風の影響
- 真水の影響(降雨や雪解け水による)
- 水温の影響
風の影響はとくに表層付近で強い風によって海水が動くことからおきます。
たとえば芯になる中層から底潮までがほとんど流れていない場合で、前夜からの強風で風波がおきている場合です。
仕掛けを投下すると、海面からしばらくは仕掛けが吹き飛ぶように流れていくわけですが、やりづらい潮です。
真水の影響は大量の降雨や雪解け水の影響で、塩分濃度が低い潮がより高い底潮と分離して上層を流れます。
梅雨時や台風のあとは異様に濁った水が河川を流下してきたゴミをはらんで海面近くを勢いよく流れていく様子をみます。
そんなときも、中層から底潮までの流れと異なるわけです。
水温の影響については、2枚潮でよく見られるのですが、海水温の違いが潮の層を生んでいる状態です。
水温が高い潮(たとえば沖の潮)が入ったあと下層のより低水温の潮と混じらず層ができることがあります。
凪が続く場合、上潮と底潮が混ざらないため、こうした影響が続くといわれます。
2枚潮=上潮のながれだけ強く糸のたるみができるパターン
釣り人はよく潮の流れについて語りますが、上潮・中層・底潮の流れが正確にどうなっているかは、実際にはわかりません。
2枚潮については、後述の「見分け方」で想像し、釣り方や道具で対策していくのみです。
一方、潮流計を積んでいる船ではデジタルに設定水深における潮の流向・流速をベクトルが可視化されます。
そのため、船長はポイントについてすぐに「けっこう潮流れてますよ。左舷側は頻繁に入れ替えてください」みたいに言えるわけです。
潮流計は設定深度における潮流の流速や流向が数字でわかり、ベクトル表示される
出典:古野電気株式会社
2枚潮の見分け方
では、2枚潮の見分け方はどうやったらよいのでしょうか。
釣り船であれば、丁寧な船長であれば都度アナウンスしてくれたり、まわりの釣り客の「2枚潮だなー」というつぶやきからもわかるものですが、自分でも判断したいところですね。
次に2枚潮の代表的な見分け方を解説します。
水深に対して着底速度が遅い
同じ水深に対して、着底速度が大幅に遅くなることがあります。
これは経験でわかることです。
他に、海域が変わって水深も同じなのに、「さっきより着底がめっちゃ遅いな」と感じることがあったり。
そんなときは2枚潮なのかもしれません。
オモリの着底感覚がわかりづらくなる
2枚潮が発生しているとき、海中に伸びる道糸には「たるみ」が大きくできます。
このたるみにより、オモリが着底するときの手感度がより小さくなったり、わからなくなったりします。
「あれ、オモリ着底したけど、ほんと気づくか気づかないかだな」
そんなときは2枚潮かもしれません。
底で誘いを入れた際に仕掛けが持ち上がらない
底釣りの場合、海底からルアーや仕掛けをしゃくりあげて誘いますね。
2枚潮の場合、酷い時には道糸が「つ」の字のようになってしまうため、思ったように仕掛けが底から跳ね上がらなくなります。
自分としては底からしゃくりあげているのに、瞬間的に着底してしまう場合。
これは底潮が弱い場合もありますが、2枚潮により道糸のたるみが生じて力が伝わっていないかもしれません。
隣の釣り客と道糸の角度が変わる
あらかじめ仕掛けを投下している釣り人が隣にいたとします。
あとから自分の仕掛けを投下するとき、その釣り客の道糸と自分の道糸の角度や方向が違う場合があります。
このとき、道糸やオモリの号数をはじめ仕掛けの構成が同じ場合は、2枚潮かもしれません。
2枚潮の対策
道糸(PE)を細くし、編み数を増やすのは有効な2枚潮対策
次に実釣に役立つ2枚潮対策を紹介します。
①道糸の号数を細くする
ほとんどの船釣りでは道糸にPEラインを使います。
PEラインの号数を下げることで潮受けを減らし、2枚潮の影響を軽減できます。
このとき注意点は、ECサイトで安価に買えるPEラインは海外規格の可能性があるという点です。
自分では「2号をつかっているつもり」でも、国内規格だと3号ぐらいの太さがあり、潮受けしているという人は船上でもしばしば見ます。
②道糸の編み数を増やす
PEラインは「より合わせた糸」ですが、その編み数を増やすことで表面が滑らかになり「潮受け」を軽減できます。
たとえば4本編みを8本編みや12本編みに変更するなどです。
③オモリを重くする
オモリを重くすることで上潮で押し流される影響を軽減でき、道糸が立ちやすくなり、着底感覚を上げることができます。
ただし、道糸とオモリは船ごとに規定があり、良かれと対策したことがオマツリにつながるかもしれません、船長に相談しましょう。
「オモリ80号にしちゃってもよいっすか?」みたいに聞いてみましょう。
また、2枚潮が酷いときには、だいたい船長からオモリの変更アナウンスがあります。
「ちょっとやりづらいからオモリ80号にしてみて」などなど。
④タングステンシンカーや沈下速度が速いシンカーに変える
タングステンシンカーや砲弾型などの沈下速度が速いシンカーに変えることで、2枚潮の影響を軽減できます。
オモリ号数と同様、沈下速度が変わります。
混み合った乗合船では、オマツリの原因にもなるので船長に相談するとよいでしょう。
⑤仕掛けをシンプルにする
標準の仕掛け構成に対して集寄などでデコレーションをしている場合、もとのシンプルな形にしてみましょう。
潮受けが減り、2枚潮対策になります。
だいたいの釣りでは「シンプルな仕掛けが一番トラブルが少なくよく釣れる」ものです。
⑥サミングを強めにやる
サミングとは、仕掛けを投入するときに親指でスプールに触れて、放出される道糸の出を調整する動作を指します。
潮が緩いときはサミングはしなくても問題なかったり、スプールに触れるか触れないかの弱いサミングでも大丈夫です。
一方、2枚潮の場合、親指で押さえる動作を強めにするのも有効です。
⑦落下を途中でとめて道糸を立たせる
仕掛けを投入するとき、海底までに数回落下をとめてみましょう。
中層で落下をとめたあと、道糸が立つまでまってから再落下させると道糸がたちやすくなり、2枚潮に有効です。
⑧キャストしない
キャストする釣りの場合、「2枚潮では投げない強い意志」も大切です。
2枚潮が強いときに、キャストすると、上潮で道糸がもっていかれてしまいます。
着底後も道糸のたるみが大きくなり、アクションなどが仕掛けやルアーに伝わりづらくなります。
⑨隣席のPEラインと筋をずらす
基本スキルですが、投入ごとに両隣のPEラインの筋を確認して、その前後に投入していくことも大切です。
隣が船下に落としているのであれば、すこし竿を振り込んで投入してみるなどで、2枚潮由来のオマツリを軽減できます。
⑩底がとれないときは落としなおす
軽いオモリをつかっているときに2枚潮がキツイと、底がとれないこともあります。
そんなときは、「アレ着底しない???」と、道糸を出し続けず、一旦回収して再投入してみましょう。
再投入時に、前述の対策をしてやってみると底がとりやすくなります。
⑪ヒット時は隣と道糸を離す
2枚潮で魚がヒットした際は、オマツリしながら上がってくることが多く、魚がバレたり、からんだ仕掛けを解く工数が増えます。
そんなときは、両隣と声掛けし、できるだけ隣の釣り人と道糸を離して巻いてくるのが有効です。
⑫固めの竿、先調子の竿を使う
2枚潮では着底感覚がとりづらくなります。
また、ジギングなどのルアー釣りでは道糸のたるみからアクションをつけづらくなります。
そんなときに柔らかめの竿や胴調子に近い竿をつかっていると着底がわからなかったり、アクションの力が竿に吸収されていまいます。
着底感覚がわからないのならば先調子の竿、ルアーをより動かしたい場合は固めの竿をつかってみましょう。
まとめ
2枚潮が酷いときも、同じ船で高い釣果を上げる人がいるもの
船釣りのなかでも乗合船での「酷い2枚潮」はかなり厄介ですね。
自分が釣りづらいだけでなく、オマツリの頻発により釣りをしている時間が少なくなることも。
2枚潮を的確に判断し、効果的な対策をし、快適な釣りや釣果につなげていきましょう。
仕掛け等で対応できることも多く、準備も大切です。
関連アイテム
▼PEラインを4本編みから8本に変えるだけで潮受け軽減