皆さんこんにちは、大井です。
前回のクロアナゴ釣行の続きです。初めてのクロアナゴ釣りで興奮しっぱなしですが、ここから第二ラウンド。料理して食べてみたいと思います。
とはいえ、クロアナゴの料理に関しは全くの未知。実物を見たのも初めてだし、捌くのももちろん初。何もわかりません。とりあえず現地で締めた2匹を持ち帰りました。
なので今回はクロアナゴのおいしい食べ方ではなく、どういった体をしているか、身質や骨、臭みはどうかなどを紹介し、私が実際作った料理はちょろっとだけ紹介します。おいしい食べ方はまた今度。
持ち帰るとさらに実感するクロアナゴの巨大さ
釣行後にクロアナゴを食べてみたいという友人宅へ。
お持ち帰りは89㎝と98㎝の2匹。さっそくクーラーから出しシンクに置くと写真の有様。デカすぎる。
友人が「うわっなにこれ…」と軽く引いてました。そりゃ怖いですよね。
クーラーから出し、最初に思ったのは“妙な生臭さ”でした。
なんとも形容しがたいのですが、マアナゴのヌメリ臭を濃縮したような、耐え難い臭さではないにしても鼻につく臭い。料理に影響でなければよいのですが……。
というか大きすぎてどう捌けばよいかわかりません。とりあえず背開きにしてみました。
まな板に乗った感じ。これは乗ったといえるのだろうか。
アナゴを捌くうえで重要なのがヌメリ落としです。通常塩もみで落としますが、このサイズだといくら塩があっても足りなさそうなので、今回は熱湯をかけてヌメリ成分を凝固させ、包丁の背でこそげ落とすことに。
この方法は非常に手軽ですし、マアナゴにも使えます。が、熱が加わるために鮮度落ちの原因となりますのでご注意ください。
しっかりヌメリを落とせば目打ちしなくても捌くだけなら可能です。きれいに捌くなら目打ちして練習したほうがいいかもしれないです。
目打ちしない場合、胸鰭付け根から背骨を断たないように斜めに包丁を入れ、背中から三枚おろしをする要領で包丁を入れます。肛門より後ろ側の身はそのまま中骨に沿って皮一枚残すまで切っていきます。
肛門より前側の身は内臓を覆う膜にあたるので調理ばさみ等で切り開き、内臓をとってしまいましょう。あとは頭を断って背骨を切って終了です。
大体通常の背開きと変わりませんね。
身は非常にきれいな白身で肉厚です。皮も分厚く丈夫でした。冬だからなのか、なかなかいい具合に脂がのっていました。
もう一匹は肛門より前側の身と後ろ側の身を分けて三枚おろし風にしました。捌き方にこだわらなければこのほうが大きさ的にはやりやすいかもしれません。
また、非常に背骨が硬く、通常の包丁では限界を感じました。捌く際は出刃包丁をお勧めします。
めっちゃ硬いですマジで。
クロアナゴの胃袋の中身と生臭さ。原因はおそらく……
捌いたクロアナゴは両方ともパンパンにお腹が膨れていました。そうなると気になるのは胃袋の中身。何を食べてるのでしょうか……
1匹目はこちら。ほとんど消化されてしまって何なのかわかりませんが、エソやハゼのような気がします。
2匹目はこちら。カサゴのような、メバルのような。そんな感じの稚魚ですね。
どちらも内容物は魚でした。ほかにも色々食べているみたいでしたが、ほとんど消化されてしまってました。
クロアナゴからは魚類 115個体 513g,甲殻類 13個体 22g,軟体類 4個体 15g,その他 l個体 2gが出現した。 IRIは魚類が 15984.6と突出して高い値を示した。ダイナンアナゴからは魚類 102個体 1910g,甲殻類 83個 体370 g,軟体類 21個体 537g,その他 8個体 172gが出現した。 IRIは魚類が 6069.1と最も高く,次いで甲殻類が 2169.3とな った。
出典:東京湾におけるクロアナゴとダイナンアナゴの食性
引用したのは東京湾のクロアナゴの食性について研究データなのですが、クロアナゴ・ダイナンアナゴともに、胃袋からは餌として魚類が一番多くみられるようです。生きたものを食べるだけでなく、死んだ魚類を積極的に食べると思うんですが、魚食性が高いということがよくわかりますね。
そして気になったのがもう一つ。
シンクにあけた時から臭う生臭さはどうも内臓から出ているみたいです。それも胃や腸からではなく、おそらくここなのではないかなってところがありました。
それは肛門の真上、背骨に張り付くように存在する部位でした。写真左側、一際赤黒いところです。
図にするとこんな感じ。網掛けの部分が臭い容疑器官です。実物とも間違えるくらい激ウマなイラストですね。
内臓が入っている部分は肛門より少し後方まであって、その臭いの原因の一つと思われる器官は肛門より奥の背骨側にありました。指で押すと少し血交じりの透明な液体が出てきます。
ヌメリ成分を作る器官なのか、はたまたもっと特殊な器官なのか、ありふれたものなのか。知っている方いれば教えてください。
クロアナゴは小骨と皮目の臭みに配慮して料理したい
さて、下処理が終わったらさっそく料理にいってみましょう。
アナゴといえば、煮つけ、白焼き、てんぷら、唐揚げ等々いろいろできます。しかも今回は大きさが大きさ。何でもできてしまう気がしてわくわくなのですが一つ問題が。
クロアナゴって、小骨が凄いんです。
しかもこのサイズですから、もう小骨じゃないんです。ふつーの骨です。しかもめっちゃ硬い。
気にせず食べようとするものなら喉に小骨が集中砲火で耳鼻咽喉科行き不可避です。怖いですねえ。
それらを考慮したうえで、いくつか作ってみました。
① クロアナゴの白焼き
まず白焼き。鱧の調理法を知っている方ならおなじみの手法、骨切りを行って焼きました。
……しかし、包丁の切れ味が悪いのか、骨の付き方が複雑なのか、皮目のほうに骨が集中してありました。
味は魚自体のうまみが非常に濃く、また歯ごたえがあるしっかりした身質で食べ応えがありとてもおいしかったです。
ただ、皮の臭いが気になりました。例の生臭さですね。友人は気にならないといっていましたので個人差がありそうです。
② クロアナゴの甘辛煮
こちらは骨切りなしです。やはり皮のほうに骨が集中します。
醤油ベースで甘辛く仕上げました。身がより締まり、しっかりとした食べ応えが特徴です。味は染みにくいものの、白焼き同様、身のうまみのおかげで魚本来の味と甘辛醤油がよく合っておいしかったです。
身の脂も程よくいいですね。
③ クロアナゴのさつま揚げ(1stロット)
さつま揚げです。もういっそ小骨ごとすり身にしてしまおうと考えたのですが、身の弾力に負け、すり身にできませんでした。
一応山芋と卵を混ぜて揚げましたが、やはり気になる小骨。味はおいしいんだけどなぁ。
④ クロアナゴのさつま揚げ(2ndロット)&唐揚げ
細切りにしてすり鉢ですり身にしたところ、見事成功。多少は気になるものの、食べるのには全く問題なくなりました。
唐揚げは皮を引き、皮目の方から骨切りをしてじっくり低温で上げました。こちらも食べるのには問題ないくらいの骨の硬さになりました。
こうなるとしっかりとクロアナゴの味を堪能できました。なんと説明したら伝わるか難しいところですが、後引くうまみがあり、味の濃い白身魚といった感じです。
⑤ アラの味噌汁~白焼きを添えて~
2匹でも大量にアラが出ましたので、炊いて出汁をとりました。
……が、一番出汁は非常に生臭く、正直食べられたものではありませんでした。
なので二番出汁を使ってみます。
こちらは一番出汁。灰汁をきれいに取ってから味を見たのですが、うまみの中にとんでもない生臭さが隠れていました。
こちらは二番出汁。臭み消しにショウガを加えました。
一番出汁は味は濃いのですが臭みが凄く、二番出汁は臭みこそないものの、さっぱりしすぎな感じです。
それでもしっかりとクロアナゴの味が感じられて良い出汁が出ました。今回は味噌汁でしたが、潮汁でもいいかもしれません。
クロアナゴ料理はまだまだ可能性を感じる
今回の料理はクロアナゴを知るという基本編で終えました。
しかし、まだクロアナゴ料理の最適解を出した気がしません。小骨が凄いと前述しましたが、実はハラミは骨が全くありません。
しかも肉厚で脂が乗っている一番おいしいであろう部位です。今回は全く気にせずその部位も料理しましたが、そこだけまた別の料理にするのも一つの手だと思いました。
さつま揚げにする際も、すり鉢よりもフードプロセッサーがあるとより楽になりそうです。
また、持ち帰り方も再考する必要がありそうです。締め方や保存方法を見なおし、場合によっては生かして持って帰るのがいいのかもしれません。
今回の経験でクロアナゴはおいしいという事実は確かめられました。下処理は面倒ですけど。今後はよりおいしく食べられる方法を探していきたいと思います!
それではまた。
大井(@KT_Fishing1018)
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