夏から秋は「キス」こと「シロギス」が接岸し、ちょい投げでも狙えるシーズン。
特に夜釣りでは、アタリの数は日中より極端に減るものの、大型のキスが狙える傾向にあります。
今回は、キスを「ちょい投げ夜釣り」で狙うときのノウハウを紹介します。
キス(シロギス)の生態と「ちょい投げ」に適した釣りシーズン
大型のキスは刺身に最適。鮮度良く持ち帰りましょう
シロギスは海水温の上昇にともない、5月前後に堤防・護岸まわりの浅場に接岸してきます。
大型で体力がある個体ほど早く浅場に展開しやすい傾向にあるため、アタリは少ないものの、シーズン初期(4~6月)ほど大型狙いにおすすめです。
梅雨明け後の8月、すっかり高水温期になると、「ピンギス」と呼ばれる小型のキスの群れが濃くなり、数釣りシーズンが到来。
数度の台風通過を経て、9月10月と海水温がじわじわ低下しはじめると、キスは浅場からぬけて、海水温が安定する深場に落ちていきます。
このとき、大型船が接岸する水深がある大規模漁港や深くえぐれた船道がある港では、11月・12月も大型のシロギスを狙うことができます。
以上から、ちょい投げ(数十m投げる程度)でキスを狙うコアシーズンは、夏から秋と覚えておきましょう。
大型を狙うには夜釣りも有効
シロギスの岸釣りをしていると、やがて大型のキスを釣りたくなるはずです。
キスは「砂浜の女王」とも呼ばれ、女性的な風貌をしているのですが、20㎝を超えるキスの面構えは立派になってきます。
さらに25㎝を超えると、まるで別の魚のような厳めしい風貌です。
大型のキスは別の魚に見えてくる
大型キスを狙って釣る方法には、前述の通りシーズン初期に釣行するほか、以下のやり方があります。
- シーズン後期の秋に釣行する
- 夏から秋に夜釣りで狙う
秋シーズンに釣行するメリットは水温が下がるほど、小型の群れは早く浅場から抜けてしまうという点からです。大型ほど体力があるため、漁港内の船道などにとどまっています。
夜釣りで狙う理由や、やり方については次の項で紹介します。
夜釣りで大型のシロギスを狙いやすい理由
なぜ夏から秋の夜釣りでは大型のシロギスを狙いやすいのでしょうか。
夜はクサフグ・ショウサイフグ・キューセンなどに餌をとられない
まずあるのが、シロギス以外のゲストに餌を食べられないという点があります。
日没後は、砂地に多く群れるクサフグ・ショウサイフグ・キューセンが餌をとらなくなります。
そうなると、仕掛けが噛み切られることも少なくなり、針先に餌が長くついている状態が続きます。
小型のシロギスは夜に当たりづらい
夏場のちょい投げは機動力があり警戒心の低い小型のキスから釣れる
もう一つあるのが高水温期に活性の高い小型のシロギスの存在です。
シロギス自体は、視覚をメインにして餌を捕食する傾向にあるといわれ、濁り潮よりは餌が認知しやすい澄み潮でアタリがでやすいという前提があります。
そのため、キス釣り自体は日中の釣りが有利なのですが、同時に日中は小型のシロギスの活性も高いのです。
どの釣り場でも、大型より小型の群れが大きいため、仕掛けを引いてくると、高確率で先行する小型のキスに餌を捕捉され、ついばまれてしまいます。
これでは、個体数が少ない大型を狙おうとも、小型が釣れ続けてしまうわけです。
夜になると、あれだけいた小型のキスも黙り込む傾向にあります。
これは人間も一緒なのかもしれません。子供はおそらく日中にいっぱい遊んで、夜には休むものなのです。
夜は仕掛けが見切られにくい
次に言えるのが、夜釣りであれば仕掛けが見切られにくいという点です。
小型のキスはあまり警戒心が高くなく、適当につけた餌や太目のラインでもハリがかりします。一方、大型のキスは幾多の修羅場をくぐりに抜けてきた猛者。
警戒心も高いわけです。
夜釣りでは光量も少なく、ハリスやハリなどを見切られにくいので、大型も日中よりハリがかりしやすくなります。
夜釣りでシロギスを狙う際のポイント
次に夜釣りでシロギスを狙うときのコツを紹介します。
エサは発光する「アオイソメ」がベスト。仕掛けは夜行玉付きで視認性を高める
まず餌なのですが、夜釣りは手に入れやすいアオイソメがオススメです。
日中に小型から中型を数釣りするのにはジャリメが有効なのですが、なぜ、夜はアオイソメなのでしょうか。
理由は以下の通りです。
- 発光するため、大型キスに捕捉されやすい
- 小型のキスがあたった場合にも一気に吸い込まれにくい
- エサもちがよいため、キス以外の魚についばまれてもハリに残りやすい
小型除けでは、やや大きめのハリをつかうのもおすすめです。
他に夜光玉やチモトに夜光塗料がついた仕掛けを使うと、暗い水中で餌をより目立たせることができます。
飛距離は不要、仕掛けはゆっくり動かす
夏から秋のシロギスは、岸壁近くの砂泥底に生息しているので、遠投は不要です。
100m投げるというよりも、漁港内や船道を30m程度なげて、ネチネチねらってみましょう。
夜間にサーフなどで観察してみるとわかるのですが、キスの動き敏捷ではありません。寝ている(正確には休息)のか、一か所でぼーっとしているように見えることも。
こういう状態で日中のように仕掛けを素早くさびくと、大型のキスが餌に反応できないで、餌が通過してしまうことが増えてきます。
50㎝~1m程度海底をさびいたら、しっかり食わせの間を取りましょう。
日中は5秒以内で十分ですが、10秒ぐらいステイの時間をいれるとよいでしょう。
置き竿でもキスは釣れますが、仕掛けをゆっくりさびくよりは、釣果は落ちます。
潮が速い場合は、底上30㎝以内に餌が漂うようにガン玉を打つ
漁港内であれば潮の影響も少ないですが、岸壁の外海側の場合、潮が速く、餌が底上から吹きあがっていることが想像される場合もあります。
夜間のキスは、ほぼ底べったりにいるので、あまりタナが上になりすぎるとアタリが出なくなり、セイゴやメバルのアタリが増えてきます。
こんな時はチモトや枝スの分岐点にガン玉をうって調整しましょう。
夜釣りで大型のキスが狙えるポイント
日中にたくさんキスが釣れたポイントが、そのまま夜釣りによいかというと、そうでもない印象です。
経験上、漁港内で一つポイントをしぼるとしたら、安定的に大型が狙えるのは「船道」です。
アタリ自体は多くないのですが、アオイソメを房掛けしたぶっこみ釣りの竿を一本出しておき、手持ちのちょい投げで重点的に狙ってみるとよいでしょう。
ちょい投げで、丁寧に探ると大型のキスが釣れ、置き竿の鈴がなったら、フッコサイズのスズキがヒット!と面白いシーズンです。
まとめ
今回は、夏から秋に大型のキスを夜釣りで狙う方法を紹介しました。
7月~10月ぐらいまでは、キスも浅場で盛んに餌をとっています。
夜釣りではアタリの数は減るものの、大型のキスを狙い撃ちで釣ることができる傾向にあります。
シーズン後半になると、マコガレイのポイントとも重なってくるので、それぞれ同時に狙えば面白いでしょう。
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