船釣りには「リレー」という異なる釣り物を複数組み合わせた乗合があります。
今回は東京湾のリレー船でも特に人気のタチアジについて解説します。
タチアジとは
タチアジは東京湾を代表する人気釣り物
タチウオ+アジで「タチアジ」です。「タチアジリレー」とも呼ばれます。
東京湾で1、2を争う人気釣物のタチウオとアジを組み合わせているわけで、人気が出ないはずがありません。
「タチウオも釣りたいけど、アジも釣りたい」
「タチウオは釣りたいけど、そんなにガチじゃなくていい」
「とにかく家族が多いので、お土産を多く持ち帰りたい」
というようなニーズに最適です。
タチウオはしばしば、アジはごくたまにかなり渋く、釣果を上げにくい日があります。
一方、両方の釣り物がそろってダメな日というのはほとんどありません。
どちらかでしっかりお土産を確保できることが保証されたような釣りがタチアジなのです。
出船後は朝一から昼頃までタチウオを狙い、昼前後からアジに移る船宿が一般的。
タチアジのシーズン
東京湾エリアではタチウオ、アジともに周年の釣り物なのでタチアジ船も周年出船しています。
一方特に釣り客が増えるのは夏秋シーズンです。
これはタチウオを狙う水深も浅くなるため、ライトタックルや手巻きタックルで十分対応できるからです。
タチアジのタックル
横浜以北出船では後半がライトアジのためライトタックルが主体
竿
タチアジ専用のロッドは市販されていません。
大きくわけて3パターン考えられます。
- タチウオやアジの専用タックルを2本用意する
- 7:3もしくは8:2調子のライトゲームロッド(20~80号オモリ負荷程度)を2本用意する
- 7:3と8:2調子のライトゲームロッド(20~80号オモリ負荷程度)を1本用意する
専用タックルを2パターン用意することでそれぞれの釣趣を高め、比較的釣果も上げやすくなります。
汎用ライトゲームロッドの場合、1本ですべてを兼ねてしまえば荷物が少なくて済むのが魅力です。(破損・ロストに注意)
ライトゲームロッドの場合、7:3と8:2調子を2本持ち込めばより多くの釣況に対応できるようになります。
※走水~鴨居付近の船宿は潮速に対応したノーマルタックルでのビシアジのためオモリ負荷130号に対応できる固めの竿が必要です。
リール
タチアジの船では、電動リールを使う釣り人が8~9割程度です。
電動リールの場合、PE2号を200~300m巻けるようなコンパクトタイプが人気。
ダブルハンドルのほうが細かいアクションはつけやすいのでおすすめです。
夏場のように水深60m以浅や、あまり道具を増やしたくない場合は、手巻きリールでも十分です。
手巻きリールの場合、海域の特性もありタチウオは巻き負荷が強い魚なので、剛性が高いパワーハンドルのリールを使用すると快適です。
※走水~鴨居付近の船宿は潮速に対応したノーマルタックルでのビシアジのため電動リールが標準です。
道糸
多くの船でタチウオ、アジともにPE2号以下が推奨されます。
おすすめはPE1.5号にフロロカーボンリーダー4号を1.5m程度つけるパターンです。
タチウオでよく狙われる猿島・観音崎・走水・海堡まわりは、比較的潮流が速いことが多く、細めの道糸が潮受けしづらく有利です。
1.5号をサルカンに直結して釣ると、タチウオではアワセ・シャクリタイミングでの高切れリスクがあがります。
アジでもビシの潮受けによるシャクリタイミングでの高切れリスクは高いので、リーダーを装着しましょう。
リーダーをつけるのが苦手な人は、PE2号で直結するのがおすすめです。潮受け対策を考えると8本編みがよいです。
特にタチウオでは、オマツリを原因とする海面付近での高切れが頻発します。
水深によりますが、PEラインは最低200m巻いておくと安心です。心配な人は予備リールを持参しましょう。
※走水~鴨居付近の船宿は潮速に対応したノーマルタックルでのビシアジのためPE3~4号が標準です。
仕掛け
タチウオは、ハリス7号8号2mの1本針が一般的です。
2本針仕掛けはオマツリ対策で禁止している船宿もあるので注意しましょう。基本的に1荷で釣るよりも、1本ずつ確実に上げることを考えた方がよいでしょう。
夏場の針は2/0、1/0が一般的で、型狙いの場合は3/0を使用します。
深場狙いの場合、1/0サイズを使うと飲まれることが増えるため、2/0もしくは3/0がおすすめです。
がまかつ(丈夫)、ダイワ、オーナー、ヤマシタ(軽量)のハリが人気です。
タチアジ便利グッズ
▼手返しをあげるためにはタチウオを確実につかめるグリップやプライヤーアジを触らず外せるリリーサーが便利です
▼餌を加工したり、魚を締めるハサミも持参しましょう
▼電動リールの場合はキーパー必須。手巻きの場合、簡易竿受けでもOK
タチウオの釣果を高めるコツ
タチウオの実釣時間は概ね4時間程度です。
エリアによりますが、半日船よりやや長い時間竿を下せるため、釣果を比較的得やすいはずです。
天秤での餌タチウオが中心ですが、曜日や釣り座限定でテンヤタチウオができる船宿もあります。
釣果を上げるためのポイントは以下の通り。
- 太すぎたり細すぎる道糸やハリスを使わない
- 仕掛けは自作する前に市販品から試す
- オモリ号数を指定に合わせる
- 柔らかすぎる竿を使わない(餌が動かない)
- 餌をしっかりつける
- 餌をしっかり動かす、とめるときは止める
- 常に周囲の釣り人を観察し、誘いを真似する
餌付は特に重要(回転・ずれを防ぐ)
▼具体的なタチウオの釣り方はこちら
アジの釣り方と釣果を高めるコツ
アジの実釣時間は概ね3時間程度です。
東京横浜方面からの船は、比較的浅場の横浜沖付近でライトアジをやることがほとんど。
横須賀付近の船宿の場合、鴨居~猿島周りのポイントがメインになり、60~130号などビシの重さが変わります。事前に確認しておきましょう。
釣果を上げるためのポイントは以下の通り。
- 太すぎたり細すぎる道糸やハリスを使わない
- オモリ号数を指定に合わせる
- 硬すぎたり、先調子すぎる竿を使わない(アタリをはじく、バレやすい)
- タナは潮速と活性により日々変わることを理解して探る
- 餌をしっかり撒く(ビシのつまりを取り除く)
- 付けエサは重ね付けせず、小さくつける
- 餌がすぐに空になる場合、ビシ内部にテープや紙をつめて餌の出を調整する。
- 常に周囲の釣り人を観察し、タナ、待ち時間、誘いを真似する
アカタンは1個だけつけ針先を出す。イソメは頭部から胴までをつかい1㎝以内にカットし端から針掛けする
▼具体的なライトアジ、ビシアジの釣り方はこちら
その他タチアジ船のノウハウ
釣り座
午前船、午後船で船が変わる場合以外は、同じ釣り座でタチウオとアジを釣ることになります。
タチウオと比較してアジは釣り座の影響を大きく受ける釣り物です。
午後から潮先になる釣り座をメインに考えて席を選ぶとよいでしょう。
例:午後南風で上げ潮=トモ側、午後北風で上げ潮=ミヨシ側
※タチウオはオマツリによる高切れリスクも高い釣り物です。潮によらず、端の席を選ぶとトラブルが軽減します。
クーラーボックスのサイズ
タチウオとアジはともに釣れるときはまとまって釣れる魚です。
アジのリリースは比較的簡単ですが、タチウオは活かしてリリースすることが難しいため、基本キープすることになります。
小型のクーラーボックスでは入りきらず、氷もすぐに解けてしまうということがしばしば起きます。
最低でも25L、最適なのはタチウオを細かく折り曲げないでいれられる横置きの30L以上を持参するとよいでしょう。
船宿によっては大型のクーラーが借りられるので確認しておくのも一つです。
まとめ
タチアジにいけば高確率でアジとタチウオという美味魚を両方楽しめる
今回は東京湾の2大人気魚、タチウオとアジを狙うタチアジ船について解説しました。
それほど難易度が高くない釣り物ですが、釣況が厳しいときがあるのも事実です。
そんなときもリレーであればどちらかは釣れ、お土産も多く持ち帰ることができることでしょう。
ぜひタチアジを試してみてください!