どうも平田です。
ひさしぶりにタチウオを釣ったこともあり、タチウオ料理をアレコレつくっています。
これまでつくってきたタチウオ料理レシピ(ストーリー)はこちら。
タチウオを多く釣った経験がある人は覚えがあると思うんですが、タチウオって旨いんですが、食味に「飽きる」んですよね。
ね?これは釣り人特有の悩みです。それも、船釣り派に多いぜいたくな悩み。
まわりでもタチウオの持ち帰り禁止条約が締結された家庭もチラホラあります。
タチウオは白身で淡白な味わいなんですが、脂があり、独特の風味があるんです。
刺身や塩焼きというシンプルな料理ほど、飽きないようにみえて、実は孔明の罠的に飽きやすかったり。
特に数が釣れる夏から秋のシーズン中は、「もうタチウオは食べられない(でも、釣りはしたい)」という人も多いんじゃないでしょうか。
そんなタチウオをおいしく食べる料理レシピを開発したい。
ということで、今回は「太刀づくし丼」と題して、釣りたてのタチウオをふんだんに作ったレシピを紹介します!
な、なんだこの旨さは!
思わず風のようにかきこんでしまった。
「太刀づくし丼」
太刀明太、漬け太刀、炙り太刀(炙り、強目、弱め)、南部どり卵黄 pic.twitter.com/iSQWwlaMyP— ORETSURI(俺釣)の人 (@tsuyoshi_hirata) August 11, 2021
タチウオの下処理はお早めにね!
この日は、横須賀大津港いなの丸さんの午前タチウオ船で、天秤餌釣りでした。
前半はアタリが出づらかったものの、後半曇天になってから活性があがり、アタリも増えた状況。
結果は6本。5本良型だったので、十分な量です。
これでも一家庭だと多いんで、実際は半分、人におすそわけしたんですけどね!
タチウオって、比較的鮮度落ちしやすい魚で、これは腹回りが弱いという特徴からです。
どういうことか?
タチウオを釣ったまま冷蔵庫にいれておくと、翌日か翌々日ぐらいまでには腹膜を突き破って消化液が身肉を溶かすんです。
日中に釣るタチウオは夜と違って胃内容物が少ないorないことが多いのでまだよいんです。
が、岸釣りで半夜釣りしたやつはカタクチイワシでパンパンだったりして速攻腐敗します。
あとタチウオは血抜きしないと、臭みや雑味が出やすい印象です。血の量が多いんですよね。
個人的に季節感を楽しみたいので、いわゆる「夏タチ」を釣ることが多いんですが、釣ってからの保冷が今一つだと、すぐに腐敗臭が出ます。
なので、タチウオを釣ったら当日中には下処理をしましょう。
あと、血抜きのために、バケツにいれておくのは5分程度で十分です。
数釣り狙いの「シャクリゾンビ」になると、バケツの中で鮮度落ちが進んでいっちゃいますよ。
早朝アジ&泳がせの釣果も。持ち帰ったタチウオは当日中に下処理しよう!
<タチウオの下処理>
- 尾側の身肉がすくないところを切り落とす(活用するなら揚げるか、岸からのテンヤ引き釣りの餌に)
- 頭を落とす
- 内臓をぬいて、血合いを完全に除去する(血合い部分が特に多い魚なのでしっかりとりましょう)
- 20㎝程度のぶつ切りにする(冷蔵庫内で保冷しやすいように)
ここまでやっておけば、人にもおすそわけしやすいですし、料理するときも楽です。
さらに、軽く塩をふって水分を抜いておくと、日持ちします。
この状態ならば4日ぐらいは問題なく刺身でOK
はい、こちら。
刺身の場合、背びれをそのままにして大名おろしでよいのですが、塩焼きもつくるので、今回はちょっくら丁寧に。
背びれのところに角度をつけず、V字カットします。
この通り。
こうすると、塩焼きにしたときに小骨が邪魔になりません。
サクがとれました。
ハラス部分は黒い膜があるんですが、包丁の刃側でこそぎ通しておきます。
これで下処理は完了。
タチウオの香り漬けをつくろう
あらかじめ、「タチウオの香り漬け(漬け太刀)」をつくっておきましょう。話はそれからです。
まず、鍋に以下の材料をいれて煮切ってから冷やします。
- みりん
- きび砂糖
- 醤油
- 東肥赤酒
- 生姜スライス
醤油と酒類の比率は1:1ぐらいで。あとはお好みでどうぞ。
▼香り漬けのつくりかた
粗熱がとれたら、スダチをしぼってから皮ごといれ、刻んだ青唐辛子をイン。
あとは冷蔵庫か氷水で冷やします。
漬け液が冷えたらスタンバイOK。
タチウオのサクをイン。
どれぐらい漬けるかなんですが、身が薄いので1時間で十分です。
が、気づいたら翌日になっていました。
まーこれはこれでOK。
タチウオの身から水分が抜けて、漬け液がしみこんでいますね。
それもそのはず、意表をついてこれは翌々日のものだからです。
こうなると身の弾力がグミっぽく出てくるんですが、それが嫌いな人は四の五の言わず1時間ぐらい漬けてすぐに食べましょう。
あと、身肉にタレがしみこみづらくするためには、まな板の上に置いたタチウオのサクに熱湯をかけて、氷水で冷やしたものをつかうとよいです。
江戸前寿司のマグロ漬けがそうですね。
あとは、糸づくりに。
皮目が固いので、うまくやらないと、ぐちゃります。
辛子太刀明太子を仕込んでおく
タチウオの真子を「辛子太刀明太」にしておきましょう。
三角コーナーにポアしてしまう人がほとんどなのですが、ちゃんと作れば絶品です。
一度やれば冷凍もできるし、太刀明太パスタなどに応用も可能。
漬け液で熟成させる工程を考えると数日かかるので、これは、前もってやっておいたり、ラップにつづんで冷凍しておくとよいと思います。
▼作り方はこちら
今回は塩締め後の脱塩処理をやや長めにやったのでソフトな仕上がり。
低塩分で仕上がりますが、切るのが難しい。
タチウオの炙りをつくっておく
タチウオの炙り。タチウオ料理の基本ですね。
炙ることで、皮目ごと皮下脂肪の旨さを味わえるんですよね。
今回は強めに炙ったものと、軽めのものを2種類用意しました。このへんもお好みで。
炙り強め
炙り弱め
炙りをいれないタチウオの刺身をつかってもよいですが、皮が口に残るので、飾り包丁をいれておくとよいと思います。
「太刀づくし丼」を仕上げよう
さて、そろそろ本題に入ろうか。
「白飯」に攻め込むための最後の仕上げです。
用意しておくのは以下の通り。
- 白飯(酢飯でももちろんOK)
- よい卵(今回は「南部どり」のたまご)。臭みがなく卵黄の味が濃いものがよいですね
- 小葱や大葉
- 黄ゆず胡椒(青ゆず胡椒より辛いです)
- スダチ
大葉やノリを酢飯に盛り付け、あとは仕込んでおいた漬けタチウオ・炙りタチウオ・辛子太刀明太子を盛り付けるだけ。
あらかじめご飯の中央にくぼみをつくっておくと、卵黄がのりやすいですよ。
できあがり。
一見つくるまでの工程がいろいろ大変に見えますよね。
実はこれ、釣ってきた太刀魚をそれぞれ調理して日々食べる中での余りものを活用しただけなんですよね。
そう、冷蔵保存しておいたものを酢飯に盛っただけなんですよ。
丼ぶりのために、いろいろ作ったのではなく、いろいろ作ったのを白飯にのせればええじゃないか。
そういった後付けの発想です。
だから漬けが翌々日まで漬け込んでしまったものだったりするんです。
四の五の言うのはこの辺にして、食べましょう。
まずスダチを全体にしぼる。
このとき、皮目を下にして絞るのが重要です。果汁が果皮の香気をはらんで絞り落ちるんですよね。
あと、スダチの酸味は、酢飯をつかわなかったので、その代わりという意味合いもあります。
酸と香りにより、タチウオを食べ過ぎたときに感じる、「あの風味」も軽減できます。
さて食べ方は自由なんですが、まずは漬けタチウオとごはんだけで食べてみます。
漬けの甘辛さと、青唐のさわやかな刺激。それをスダチの酸味と香りが締めている。
つぎに、中央の卵黄を崩して漬け太刀とからめ、メシと食べる。
フハッ!なんだこれ!めちゃくちゃ旨いぞ!
漬け太刀の甘辛さを卵黄が円陣で囲んでしまい、信じられないほどの一体感。
黄ゆず胡椒をからめてみても味変できてじつにいい。飽きない。いいぞ。
おっと、この時点で、丼半分の飯がないという事実。
風のように吸い込まれた白飯。
さて、俺は残りの飯をどう吸い込むのか。
常日頃、妻に「飯を吸い込むな」と言われているが、行儀なんてどうでもいいんだ。
俺は今、猛烈に白飯を吸い込みたい!
もう誰も俺を止められない。
よし、残りの飯は、漬けタチ・炙りタチ・辛子太刀明太・卵黄・小葱&大葉の5軍をかき混ぜて食べてみる。
向かうは白飯・函谷関!
バホバホバホ。
満腹。
わが軍の勝利です。
いやー国門・函谷関とはいえ、たやすいものでしたよ。
具材単体での旨さ。
丼のなかで具材と飯が融合したときの旨さ。
丼は欧米のバーガー類と一緒なのではなかろうか。
様々な味が渾然一体になるところに良さがあるというわけか。
まとめ
ひさしぶりにタチウオを塩焼きに。これも美味。脱水すると旨味が増します
タチウオを釣ったあとに、いろいろ料理をつくるわけですよ。
それらが余ったときに、なんなら白飯にのせてかきこんでみたらいいんじゃない?
っていうのが、「太刀づくし丼」で伝えたいことなんです。
最後のほうに「五国合従軍」とか明らかにキングダムかぶれとしか思えないネタがでてきましたね。
なにを5国とするか。
史実でいえば、合従軍は敗北したわけなんですが、それはそれ、これはこれです。
何をのせるかは、丼の采配を握るあなたが決めればよいことです。
ちなみに、今回の具材に「さらし玉ねぎ」と「マヨネーズ」をいれて、全部まぜてかきこんでみてください。
眼がくらむほど、超絶美味です。いつかやってみてください。
それと、家飯ぐらいは、空気ごとかきこませてください。
わたしからは以上です。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)