カサゴとは
カサゴ (笠子) は、関西ではガシラ、九州では地域によってアラカブとも呼ばれるカサゴ目フサカサゴ科の魚類で、最大サイズは全長30センチ程度。全長に対して頭部が締める割合が高い。
北海道南部以南の日本列島に広く生息していて、岸釣りで狙える水深から沖釣りで狙うような水深まで幅広く生息する魚で、いわゆる『根魚』であり回遊せず岩礁帯に定着している。
体色は茶系から赤などさまざまで、生息場所の水深が浅い場合は黒系の色、深いところでは明るい赤をしているといわれるが同じポイントで黒と赤のカサゴが釣れたこともあるので実態は不明だ。
生息域が重なるムラソイは、ひざ下程度(水深30㎝程度)ゴロタ場にも生息しているが、カサゴはどちらかというと水深が腰下以上(1メートル~)あるところを好んでいるようにも思える。(ムラソイとの縄張り争いに敗れているのかもしれないが、ただの好みなのかもしれない)
遊漁船やボート釣りなどで沖から釣る場合は、水深20メートル程度までの根回りがポイントの中心であることが多い。さらに水深が深いところにもカサゴ類は生息しているが、深場で釣れるカサゴはより大型に成長するオニカサゴやウッカリカサゴがメインになってくる。
昼でも釣れるが、夜行性といわれている。日中は根のなかに潜み、夕まずめ以降はエサをもとめて底付近をはなれ中層付近まであがってくることもある。
食性は魚や甲殻類を好むようだが、筆者が釣ったカサゴは場所に関わらずイソガニ類を食べていることが多かった。
カサゴ釣りの魅力
カサゴ釣りの魅力は、引きの強さと穴釣りの面白さに集約される気がする。
魚体がずんぐりしていて、スタミナはないが瞬発力がある引きは毎度ドキドキさせられている釣り人が多いはずだ。穴釣りは、カサゴが潜む穴を探すという点で宝探し的な要素があり、面白い。
釣り自体は決して難しいものではなく、それこそ釣り糸と錘と釣り鈎と餌だけあれば釣れる魚でもあるが、釣果を上げるためには、エサやポイントを探す必要があるためこだわると燃える釣りでもある。
カサゴ釣りの時期
シーズンというものが存在しないほど1年中釣れるが、活性は夏場のほうが高い。
冬に釣れる個体よりは高水温期のカサゴは同じサイズでは引きなども強い。冬場は岸から釣れる魚が少なくなるが、このカサゴとメバルは堤防からでも釣ることができる。
カサゴ釣りのタックルと仕掛け
カサゴは、エサ釣りだけでなくルアーでも狙うことができる。
ルアー釣りではライトソルトというジャンルに属していて、メバルやアジングなどと合わせて楽しまれている。魚がいれば釣れるため、メバルよりは難易度が低いこともあり、メバリングを楽しむ釣り人の癒し的な存在として愛されていることも多い。
エサ釣り
チョイ投げ
※カサゴを釣るときは、たらしは1㎝程度でよい
堤防釣りで、根がまばらなポイントで広くさぐる場合はジェット天秤に1~2本針を装着した仕掛けで釣るとよい。
根回りを見つけたらその場所で餌をシェイキング(ゆらゆら揺する)のも効果的だ。根がかりをさけるためには、針先がすこしねむっている(曲がっている)ものが最適だ。
胴付き仕掛け
胴付き仕掛けは、主に堤防際など足元の釣りで利用する。
錘が釣り鈎の下にあり、セッティングによっては捨て錘にもできるため根がかりに強いといわれている。釣り鈎の数は2~3本程度が一般的。根が荒い場所の場合はオモリ近くの釣り鈎をあえて取り外すのも効果的。
簡易胴付き仕掛け
スナップサルカンのスナップ側にナス型オモリをセットし、反対側に道糸とハリスを結ぶというシンプルな仕掛け。セッティングが面倒なときに行う方法で、根がかり時のコストも安い。
中通し錘仕掛け
サルカンで道糸とハリスを結ぶ。サルカン上部に中通しおもりをつける。
この仕掛けの利点は障害物に対して錘が視点になったときに餌のついた釣り鈎が潮に流され、根がかりせずカサゴにPRできる点と、カサゴにエサを食べられたときに違和感が少ないという点があげられる。
ブラー
ブラーは、赤や夜光カラーに塗られた錘にPEラインでフックが結ばれたもの。
錘と釣り鈎が一体化しているため仕掛けのセッティングが速い。錘の形状が平たいもの(西田式)は落下時にスプーンに近いアクションをするため、ただ餌を付けるよりは魚へPRするといわれている。
ルアー釣り
カサゴをルアーで狙う釣り人も近年増えている。
ワーム
カサゴを狙う際に最も一般的なルアーはワームだろう。
ストレートワーム、カーリーテール、シャッドテイル、蟹や海老を模したものなど多くのワームで釣れる。甲殻類のニオイつきのものが高い釣果を出しやすいが、全くニオイがついていないものでも十分釣れることを考えると、カサゴはワームの動きと色にひかれてバイトしているのかもしれない。
釣り方は、ジグヘッドリグで釣るのが一般的だが、根が荒いところはテキサスリグで狙う釣り人も増えている。
▼ワームはグラスミノーS or SSがオススメ
プラグ
カサゴは根回りにいるため、プラグをつかう釣りは一般的ではないが、夏場のゴロタ場などでフローティングミノーやシンキングミノーをゆっくり引いてくると、バイトすることがある。
職業釣り師の村越正海氏は、ゴロタ場でカサゴの仲間であるムラソイをミノーで釣るのが好きだそうだ。ロッド操作くれぐれも根がかりには気を付けよう。
メタルジグ類
小型のメタルジグでタテの釣りをし底付近を釣るとメバルに混じってカサゴも釣れる。夜釣りというよりも昼間のカサゴをリアクションバイトで釣るような釣り方だ。
近しいルアーで、ラパラのジギングラップというものがあるが、カサゴ釣りにも効果的だがトレブルフックの位置が根がかりしやすいため、トレブルフックを外して釣る方法もある。
カサゴ釣りのエサについて
カサゴ釣りではやはり餌釣りがメジャーだ。ここではカサゴ釣りによく使われる餌を挙げる。
虫エサ
アオイソメやジャリメなどは比較的動きがある餌のためカサゴが好む餌だ。
やや高価だがへチ釣りで岩イソメを使うという釣り師も多い。アオイソメにスレている釣り場で試してみてもよいだろう。ただし虫エサ全般に言えることだが、カサゴ以外のゲストもヒットしやすい。
オキアミ
海釣りの万能餌であるオキアミもカサゴには効果的だ。ただしどのようにつけても針持ちが悪いところがネックでもある。後述するがオキアミは撒き餌としても使える。オキアミもカサゴ以外のゲストがヒットしやすい。
切り身など
サバやサンマなどの切り身や、キビナゴやワカサギやドジョウなどの一匹がけはカサゴ以外のゲストに強い餌だ。
切り身の場合は、サンマ餌が最強の集魚力を誇る。これは脂が豊富なため周囲にいるカサゴを引き寄せるのだろう。ブッコミ釣りで放置しておいても釣れるというメリットがある。
カサゴ釣りのポイント
基本的に日中は影になっているところや根回りを狙おう。夜釣りの場合、カサゴは障害物から出て餌をさがしていると考えられるため根をダイレクトに狙わず根回りを広く面で釣るとよい。
なれない釣り場など、夜暗い状態で根回りを狙うと根がかりが頻発して釣りをしている時間が少なくなる。できるだけ、明るいうちに釣り場の地形を確認しておき、根周りを狙うとよい。
ゴロタ場
ゴロタ場とはゴロタ石とよばれる直径数十センチの小規模な石で形成される場所をいう。海底が複雑に起伏しやすく、石と石の間にカサゴが潜む。
岩場
岩場はやや大きい石が複雑にからんだ地形で、この岩場の穴もカサゴやムラソイを釣るために効果的なポイント。浅い穴より奥行きが深い穴を狙おう。また、潮がぶつからない場所より、やや釣りづらいが潮があたっているところの方がカサゴが多く居ついている。
護岸のつなぎ目
護岸のつなぎ目は、海流が変化したり、エグレていたりするためカサゴが潜みやすい。積極的に狙いたい場所だ。
漁港のスロープ
漁港のスロープは甲殻類やプランクトンや小魚が集まりやすいため、カサゴも生息していることが多い。ボトムは牡蠣殻などに覆われている場合、かなり根がかりやすいため、注意して釣ろう。また、干潮時に露出したスロープは海藻や苔類で足元がかなり滑るので注意しよう。
テトラ
テトラにもいろいろな形状があるが、日中も影ができやすいためカサゴが好んでついている。一方、釣れそうなテトラでも魚がまったくついていない場所もある。1か所でねばるよりは広く穴を探り歩くとよい。
テトラはポイントによっては立ち入り禁止とされていることも多い。ルールを守って釣りをしよう。
カサゴの釣り方
ゆっくり落とし込む
活性が高いときなどは、オモリの重さにまかせて落とし込んでも釣れるが、多くの場合、できるかぎり軽い錘を利用し、サミングしながらゆっくり餌を落とし込むとバイトが増える。
これはカサゴが落下してくる餌を目視しやすいからと言われている。
リフト&フォール
餌が着底したあと、底から離れすぎないように、竿先で仕掛けを底付近で上下させるテクニック。底にいるカサゴが餌に気づきやすくなる。
小突き
胴付き仕掛け等で餌が着底したあと、錘部分で底をたたくようにするテクニック。音や振動で底にいるカサゴが餌に気づきやすくなり、エサも揺れるため食いつきやすくなる。
ボトムパンピング
餌が着底したあと、先で仕掛けを底付近でぴょんぴょんはねさせるテクニック。底にいるカサゴが餌に気づきやすくなる。
歩き釣り(カサゴテクトロ)
堤防や護岸などの足場がよい場所に限定される技。カサゴテクトロは仕掛けを足元に落としたまま、仕掛けが底を離れすぎないようにし、一定の方向に歩いてく方法。ポイントを広く探ることができるが、くれぐれも足元には気を付けよう。
根がかり対策(ヒット後は一気に引き抜こう!)
カサゴが餌に食いつき異変を感じたあとに、ゆっくり食べることはまれで、だいたい根に潜ろうとする。この性質を理解しておき、アタリがあって魚の重さが竿にのっていたら、遊ばせずすぐに巻き取ろう。
根がかり対策(潜られてしまった場合)
ぶっこみ釣りなど、置き竿にしているとカサゴがかかったまま根にもぐられてしまうこともある。この場合、竿にじんわり力を食わてみたりあおってみるのもよいが、一定のテンションをかけたまま放置しておくと穴から出てくることもある。
カサゴの釣果を上げる裏技
オキアミを少しずつまく
穴釣りの場合、アタリがない場合複数の穴を釣り歩くのが一般的だが、カサゴを寄せるという方法もある。
小さめのオキアミを用意しておき、穴の上からぽろぽろすこしずつオキアミをこぼしていく。すると潮下にオキアミのニオイが漂っていき、他の穴に潜んでいるカサゴが狙っている穴に寄ってくる。潮が澄んでいる場所や時期は、このよってくる魚も見られて面白い。
メバルの場合は、警戒心が強いが、ダミーの寄せオキアミを食わせたあとに、そこにジグヘッドでオキアミを落とし込むと喰ってくることもある。
竿抜けポイントの根回りを狙う
「ここはカサゴがいそうなポイントだ」という場所はだいたい他の釣り人も狙うところであり、毎日のように人から狙われて魚影が少なくなっている。
釣り場に通いなれてくると、やや沖目などで根があるところがあることに気づくだろう。そうしたところの根際などをしれっと狙うと数を釣ることができる
カサゴ釣りは毒魚に注意
ハオコゼ
波止のカサゴ釣りでもっとも遭遇しやすい魚がハオコゼだ。毒棘に刺されると猛烈に痛いので、フィッシュグリップを用意しておこう。
オニカサゴ
深場に生息するオニカサゴ類のなかでも若い個体は堤防でも釣れる。カサゴによく似ているが、色や形がすこし異なるので気軽に触らないようにしておこう。
ゴンズイ
夜のカサゴ釣りでかかりやすい毒魚。ハオコゼ同様かなりの頻度で釣れるが、毒棘に注意しよう
カサゴ釣りに必要なアイテム
釣り竿
穴釣りの場合は1メートル強の短いロッドを使う。その他の場合も長い竿は必要ない。1.8メートルぐらいのライトロ都度が使いやすい。あまり柔らかいロッドは、大型のカサゴの引きを押さえきれず根にもぐられやすいので使わないほうがいい。
リール
スピニング・ベイトリールなど使いやすいものを使えばよい。カサゴ釣りの場合、魚がかかってからドラグを使うと根にもぐられるためドラグ性能は不要。高価なものはまった必要ない。
ライン
ラインは5号程度のナイロンラインが安くかつ強くてよい。最低でも2号以上のラインを利用しよう。PEラインを道糸に利用する場合は根ずれに弱いため、利用する場合は先糸としてフロロカーボンラインをつないでおくとよい。
フィッシュグリップ
カサゴやメバルや毒魚などは鋭い棘をもっている。安全に釣り鈎を外すためにもフィッシュグリップは必須だ。雑巾などで魚を押さえる方法もあるが、棘が貫通するのでさけておきたい。
プライヤー
素手で釣り鈎を外していると、何かの拍子に魚が暴れて棘などでけがをする場合がある。フィッシュグリップと合わせて針外し用のプライヤーを用意しておこう。
クーラーボックス(小型)
釣ったカサゴを新鮮に持ち帰るためにライトソルト用の小型のクーラーボックスを用意しておくとよいだろう。エラをきって海水で放血したあと持ち帰るとより長持ちする。
タモ網
足場が高いところで、大型のカサゴを釣った場合ハリスに不安があるのであればたも網を使おう。
ケミホタル
夜釣りをする場合、ケミホタル類を装着すると魚の反応がよくなるかもしれない。
釣りと防寒について
秋~春の釣りの場合、海辺の釣りはかなり冷える。十分に防寒をしてから釣りに臨みたい。
頭~首
ニットキャップやネックウォーマーで等で耳や首を隠そう。
胴から脚
ヒートテック類等のインナーを着たあとに、貼るホッカイロを以下の個所に貼るとよい。
- 肩甲骨の間
- 腰部
- 左右の手首の脈部分
足元
海水にぬれると一気に冷えがくるため防水加工された靴を履こう。また、ホッカイロをはってもよいし、おばあちゃんの知恵的に乾燥唐辛子を左右の靴にひと房ずついれるとぽかぽかする。
その他おすすめの防寒アイテム
カサゴの食べ方・料理法
刺身
淡白な味で美味しい。昆布締めにしてもよい。
唐揚げ
素揚げにしてもよいし、衣をまぶしても旨い。
煮付け
写真はメバルの煮つけ。カサゴは甘辛く煮つけたほうが良い気がする
ごぼうと一緒に煮つけてもよい。味は好みだが、個人的には薄味よりは甘じょっぱく濃いめに煮つけるほうがうまい気がする。
ムニエル・ポワレ
バターでコクを増すことによってもより美味しく食べられる。
アクアパッツァ・ブイヤベース
アクアパッツァやブイヤベースのメインとしてもカサゴは向いてる。身や骨からだしがよくでる。ブイヤベースの場合はぶつ切りにして煮込むとよいだろう。
カサゴカレー
ココナッツミルクとタマリンドペーストなどを合わせてカレーにしてもよい出汁がでておいしい。
カサゴ釣りの動画
ルアー釣り
パワーイソメ
エサ釣り
カサゴの生態動画
堤防釣りのルールやマナー
堤防などの岸釣りは、多くの釣り人が釣りをしている。他人に迷惑をかけないようにマナーを守って釣りをしよう。
岸から根魚を釣る際は特に資源保護を意識したい
カサゴは回遊性が低いため、1か所でたくさん釣ると、なかなか釣りづらくなってしまう。持ち帰るサイズや引数、抱卵個体は積極的に逃がすなど配慮して釣りをするといつまで楽しく釣りができるだろう。