イシガニ料理をこれまでいろいろと作ってきました。
味噌汁、塩ゆで、トマトクリームパスタ、トムヤムプー、イシガニチゲ、イシガニラーメンなどなど。
これがどれもうまい。
重装歩兵じみたイシガニ。これは最大サイズのオス。
イシガニ自体は甲羅がかなり堅牢で、たとえるなら蟹業界のVOLVOといったところなんですが、身が少ないというのが難点です。
とはいえ、すくない身からは極上の出汁がでる。市場に流通していないので、基本的に獲った人だけが味わえる妙味。
と、前置きはこのあたりにして、本日の料理です。
イシガニ・パッポン・カリーとは?
ググってもレシピがでてこない魚介料理を志向しているORETSURIでも、これははじめての試み。
タイ料理に、プー・パッポン・カリー(タイ語でプー(=蟹)・パッ(=炒)・ポンカリー(=カレー)」というのがあるんですよね。
マッドクラブ(ノコギリガザミ)をカレー粉と野菜と炒めて、卵でとじて仕上げるあの料理。
あれは滅茶旨い。心底うまい。
メシがダイソンのように吸い込まれてしまう一品。ノーマル白米でも旨いですし、ジャスミンライスorもち米ともよく合うわけです。
考えてみればノコギリガザミもイシガニもサイズは違いますが似たようなものなので、今回はイシガニでチャレンジしてみることに。
イシガニは冷凍しておいたものを解凍して使うと便利
蟹類は特徴して死んだら一気に鮮度が落ちるという点があります。
そのため、捕獲したあと当日食べる以外は基本的に冷凍します。
こんな風にね。
ほんとは爪をゴムバンドでしばったほうがいいですよ。折れるし邪魔なんで。
ペットボトル氷とキビナゴ餌が見えますね・・・
こんな風にね。
手前のイシガニの両爪が分離している。さてはジオングか・・・
これを解凍します。
時間があれば常温で自然解凍してもよいですし、流水か水につけての解凍でもよいと思います。
今回は水につけて解凍することに。
旨みがぬける云々は大差ないので、これで。
10分程で解凍できます。
イシガニの下処理
<イシガニの下処理>
- 爪の付け根の内側の水垢を洗う(これは冷凍前の実施済み)
- 尻蓋をとって甲羅をあけて、エラと胃袋部分(口からつながっているじゃりじゃりしている)をとる
- 胴を半分にハサミできり、爪は出汁がでるようにハサミ等でわっておく
※このあたりのイシガニの下処理風景は、こちらでキャッチアップください。
大型のオスともなると、爪であれば、ある程度の身はあります。
野菜の準備
プーパッポンカリーでは、旨みがまとわりついた野菜類もかかせないので、好みの野菜を入れてみましょう
<プーパッポンカリーの野菜(お好みで)>
- たまねぎ
- にんじん
- ピーマン
- ニンニクスライス
- チンゲンサイ
- 長ネギ
- 万能ねぎ
- しめじ
※▲チンゲンサイ以下はお好みで。
プーパッポンカリーの卵液を調合しておく
ここで卵に味付け用の調味料をまぜておくとあせらず便利です。
卵料理は、火加減が重要なのでね。
<プーパッポンカリーの卵液の材料>
- 卵3つ
- 牛乳少々(or生クリーム・無糖練乳・ココナッツミルク等)
- クラブペースト(蟹オムレツづくりの記事で詳細を確認)
- コリアンダーパウダー
- 胡椒
- タマリンドペースト(南アジア系料理によく使われる甘酸っぱいマメ科のペースト)
- カレー粉(ここで入れておくか、蟹を炒める際に直で、後者のほうが香ばしい)
- ナンプラーorオイスターソース
そんでもってこれを混ぜておく。
いよいよイシガニ・パッポン・カリーの仕上げ
家庭用コンロでは火力が出しにくいもんなので、コンロのセンサーを切って、中華鍋を空焚きしたあとに植物油をよくなじませておきます。卵やナスを料理する際は、油は気持ち多めにするのが上手につくるコツ。
ココナッツオイルあたりがベストなんだと思いますが、そこはノーマルサラダ油で。
スライスニンニクとともに、野菜類を投下。
やがてイシガニを投下。
炒める。炒める。
本来カレー粉はこのあたりで投入しておくとよいかなと。
火が通りやすい野菜を投下。
安日本酒代表の『筑後盛』をちょろっと入れる。
白ワインでも焼酎でも味醂でもよいと思います。
そんでもって強火のまま卵液を投入。
鍋をふりつつ、卵で全体をとじていきます。
・・・
いいかんじだぞ。卵が絶妙なレア感。
・・・
わちゃ。
カレー粉入れるの忘れた件。。。
ということで、急ぎカレー粉をいれたのですが、やや卵が固まりすぎてしまいました。
これはこれでよろしいながらも、親子丼同様、玉子はややレア感があったほうがいいですよ。
仕上げ。インスタ映えまったなし。
見栄え的にも、ライムやパクチーをかざるとよいと思います。
それにしても、
六本木あたりのエスニック料理屋で出てくるあれだ。一皿3,000円ぐらいするあれ。
して味は。
・・・
うんまい!
イシガニ料理の歴史にあらたな1ページが刻まれた瞬間がこれか!
海原雄山であれば、もれなく料理人を召喚したはず。
おい料理人を呼べ!
「このイシガニパッポンカリーとやら、和食のなかでも食卓にあまり上らない日陰者のイシガニを遠くタイの味覚に仕上げるとは!この雄山、はじめて味わったわ。カレー粉の香りに誘われて、口にしてみれば広がる旨みと酸味と甘み。その奥でイシガニが岩陰に隠れるようにして主張してくる。だがそれをほじくり出して口にしてみればどうだ。全体が至高の一体感を持つ。ううむ」
おまけ。タイ料理にはナンプラースープもいいよ
タイ料理をつくったときに、口やすめて的に欲しいのがナンプラースープです。
こちら。
生姜とニンニク・パクチーの根(たたいたもの)をいれながら中華スープ(ウェイパーとか)で出汁感をくわえて、日本酒あたりを投下して細かく切った野菜を煮て、ナンプラーをジャージャー注いで炊き上げればだいたいできあがりです。
コリアンダーパウダーをいれるとやや爽やかさがでてさらに本格的に。
お好みでパクチーもりもりで。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)