ワレカラ喰わぬ上人なし
「ワレカラ喰わぬ上人なし」というのは、殺生を禁じられた僧職でも、海藻などにまぎれているワレカラは食っているよね。お前さんが釈迦牟尼の教えをはじめ高尚なことを語っても、その実、お前は殺生を犯しているのだ。ああ罪深い。罪の人だよ。完璧な人間なんて存在しない。ああ人はどう生きても業が深い。と、いうことなのだと思っています。
人間。
むかしむかし、そのむかし、朝霧が降る大陸に、広大に茂る森があって、そこからなんらかの理由で地上に降りる意志決定をした猿のリーダーがいたのかもしれません。森に資源がなくなったのか。はたまた森林火災か、森が乾燥によってなくなってしまったのか。
大地に降り立った猿王の背中をみて、猿平民たちがウキキィー、ORETSURI!と従い、やがて群れて徒党をなして平地を移動。
いつのまにか直立二足歩行をしはじめるにいたり、やがて脳と手先が発達、あったら便利な道具や武器を作り出し、そのツールと脳の活用によって、地球上の食物連鎖ピラミッドの頂点に立っているもの。
エピソードはいろいろですが、人間が地球上の食物連鎖ピラミッドの頂点に立っているというのは誰もが否定できないはずです。
最高レベルの腕力を誇るヒグマも、鋼鉄を貫くサイも、百獣の王ライオンも、我々人間にはかなわず、結果的に、地球上はどこにいってもやがては人が大地をアスファルトで固めて高層の都市をつくっています。
自然は弱肉強食の世界。
弱いものは強いものに喰われるのだ。そんなこともよく言われます。
では、生態系ピラミッドの最上位に君臨している人間とやらはどんな食事をしているのか。
これは様々です。
吉牛。いきなりステーキ。サブウェイ。
ラーメン二郎、辛め、にんにくマシマシ、あ、野菜マシで。
などなど。
人は肉食なのか、菜食なのか、雑食なのかというような議論がちらほらあって、地域・宗教・習慣によって異なるわけです。
ときに食文化は国境や社会を超えると、異質なものと捉えられます。
- 犬を食べるのはあり得ない
- クジラやイルカを食べるのはあり得ない
- そもそも肉を食べるのは・・・
みたいな議論もあります。
人は食を選ぶことができます。
植物を食べて生きるのか。動物を食べて生きるのか。それともその両方か。
が、
ときに、植物のみを食べて生きている人のなかには、動物を食べる人間を否定して攻撃したりする勢力がいます。
このとき、わたしは前述の言葉を思い出すわけです。
「ワレカラ喰わぬ上人なし」
かなしいかな、かなしいかな、倉科カナ。
貴殿たちが、いくら頑張って動物愛を叫んだとしても、貴殿たちは間接的に動物にプレッシャーをかけているわけで、あなたが今あるいた道で踏みつぶされて死んだ蟻、無農薬野菜についていて知らず知らずのうちに食べられてしまった小蠅についてどう落とし前をつけるのか。もしかしてそのショウジョウバエは抱卵していて、無数の新しい命が…
と。
・・・
そろそろ本題に入らないと、またわけのわからないことを続けてしまいそうなので、ワレカラの話に戻りましょう。
ワレカラは海藻についている小型の甲殻類
ワレカラは海藻についている甲殻類です。
動きが鈍く泳ぐ力もないため、海藻にしがみついて一生を送っています。
このワレカラはメバルの胃袋から出てくることもあり、魚の餌としても重要な役割を果たしているはず。
こちら、アカモク。
この海藻もワレカラの宝庫。ワレカラのワールドといっても過言ではありますまい。
新芽あたりをちょこちょこつまむ。
この通り、アカモクとワカメを確保。
これがワレカラ氏です。
ワレカラにもいろいろ種類がいるので、もっと調べてみたいひとはググってみるとよいでしょう。
ワレカラを食べてみよう
ワレカラはメバルなども好んで食べているような餌。
どんな味がするんでしょうか。
大量のアカモク。
アカモクは海中で無尽蔵に生えていているものの、販売価格はいいお値段がします。
これは、下処理の人件費なのかなと。
アカモクの処理は、
- 砂やゴミ、ワレカラや小型の貝を念入りに落とす
- 葉をつむ
- 砂やゴミ、ワレカラや小型の貝を念入りに落とす
- 葉を茹でる
- 砂やゴミ、ワレカラや小型の貝を念入りに落とす
- 乾燥や冷凍
というように、砂やゴミを落とすことがかなり重要です。
葉が細かいので様々な不純物を噛みやすく、これがいくら頑張っても、これでもかと登場してくるわけです。
こちらは下洗いをして葉だけにしたアカモク。
アカモクの茎はやや口に残るので、取り除いて調理するのが一般的。
あとはゆでる。
最初は、なんだか海のニオイがするな。
いいじゃん、いいじゃん、と思っているような炊き上げ時のニオイ。
が、やがて室内でその濃度が増すと、なんとなく胃が刺激され食欲が失われたり。換気扇必須です。できれば野外の釜で炊き上げたいところ。
アカモクは湯にいれるとすぐに緑になります。
茹で汁は、ぬるぬるがすごく、天然のローション。
冷やしたらそのまま、肌研(ハダラボ) 極潤ヒアルロン液になりそう。
念入りに砂をながしておいたつもりが、そうは問屋が卸さないというやつで、この通り砂がのこるのです。じゃりじゃり。
アカモクゲリラが多数潜伏していてとりきれない。そら上人も喰ってしまうわけだ
それにしても、一体全体、こんなにアカモクを茹で上げて、貴殿はどうするのでしょうか?200文字以内で回答せよ。
といいたい量。
海は偉大ですね。
共同漁業権さえなければ、海沿いに住んでいれば、人は容易に命をつなぐことができるんじゃないでしょうか。
で、ワレカラですよ。
こちら。
こちらのビッグなワレカラたち。でかめの種類ですね。
茎ワカメのなかにもちらほらワレカラ氏がいました。
ちょっと、和の小鉢に盛り付けてみましたよ。和柄と一体化していいんじゃないんですかね。
味は。
これが、とくになく、ゆで上げたアカモク汁の風味がしつつ、食感は砂っぽいしゃりっといったものです。
栄養として、偏差値が上がる、勃起力が上がる、フォロワーが増える、チャンネル登録数が増えるなど未知の効果があったりしない限りはだれも取って食べないでしょう。
実際のところ、ワレカラは小さいし、集めるのが大変です。
がんばっても量が少ない。
かぎられた時間で同じくたんぱく源を手に入れるようとするならば、迷わずアサリやイソスジエビをとるのがスマート。
誰だって、スマートに生きたい。
まー取り立てて集めて食べたほうがいいのは、ユーチューバー界隈の「海藻に混じっている宇宙生物!を食べてみた!」みたいな動画ネタぐらいなんじゃないかと。
「おい、むしろ貴殿もこうして集めて食べているだろ」という声が聞こえてきますが、着席して落ち着いてほしい。発言するときは挙手してからにしてください。これは副産物なのです。
ワレカラの料理法としては、佃煮にしてもよさげながらも、じゃりっとした何とも言えない食感は残るはず。
なので、揚げるのが一番よいだろうなと。人類にとって「揚げる」という行為は大体正義です。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※アカモクは共同漁業権の設定されてないところでとりましょう。