諸君、お元気だったであろうか。
今回の決戦の舞台は横浜市金沢区にある「海の公園」である。
はじめにいっておくと、この公園はめっちゃすごい。なんとこのご時世で無料で潮干狩りができるのだ。息を吸って吐くだけでも税金がかかるというこの時代に、オール無料。タダなのは公園の水ではなく、アサリである。
しかも横浜界隈のアサリは海の栄養も多く、身もふっくらしてうまいときた。よい年は規定の2キロも余裕綽々でアサリがとれてしまうという魅力的すぎる海の公園。なんだこれはボーナスステージかよ。
しかもこのアサリ、潮干狩り実施前にスタッフが外国産アサリなどをホイホイまいているというアレではなく、モノホン天然である。馬路か。これは横浜市民ならずとも、神奈川だけでなく東京などの近隣からも遠征するのもむりはない。
家族や親せき友人らの兵力を結集して集う。まさに総力戦である。
実際にいってみればわかるが海の公園では少年兵と呼ぶには幼すぎる子供ちゃんも潮干狩りに興じているし、結構アサリをとっている。一人頭2キロが横浜市条例のルールなので、一般家庭からすると全家族を総動員して臨むのが慣例のようだ。一人で2キロでも4人家族であれば8キロ。8キロというアサリを持って帰ってどうするのか、そんなことは各家族しかわからないが、今のところこのルールでアサリの自然繁殖は続いていて、とられ切れていないので大丈夫なのだろう。
2018年はあまりアサリがとれなかったが、今年はいい。3月から先駆け兵が大量のアサリを捕獲している。という情報がネット斥候部隊から入ってきたのである。
ちなみに、この海の公園ではアサリを掘るのにつかっていい道具が決まっている。
▼これだ
潮干狩りのルール ≪重要≫
幅15㎝を超える貝採り器具の使用はできません。
2㎝以下の稚貝の採取はできません。
一人が一度に採る貝の量は、2㎏以内です。
出典:海の公園
忍者くまでやジョレンは使えない!
出典:神奈川県
が、生きるということは戦いだ。
海の公園の潮干狩り最前線までいけばわかるが、ルールというか市条例を余裕のよっちゃんでスルーし、猪八戒が装備するようなカイマキ(アサリマキ・ジョレンとも呼ぶ)を駆使し圧倒的な兵力でだれよりも沖めを攻撃する人もいる。
チェストウェーダーで腰上まで水につかりながら海底を効率的に攻めるガチ勢。あれは近隣のアサリを販売する漁業者や飲食店界隈の兵力なのかもしれない。
しかし、諸君。
かつて赤い彗星と呼ばれたシャア・アズナブルという男はこういっていた。
「モビルスーツの性能の差が戦力の決定的な差ではないことを教えてやる!」
この文言を潮干狩りという仁義なき戦場に置き換えたときにどうなるだろうか。
諸君も自分の心の声に耳を傾けてほしい・・・
そう。
きっと、こうなるはずだ。
熊手類の性能の差が
潮干狩りの決定的な差ではないことを
教えてやる!
ということで、海の公園の潮干狩りにいってきました。
じゃ、いってみましょう。
海の公園の潮干狩り装備は濡れたり汚れてもいいファッションで
4月の大潮。
この日は休日だったので、海の公園もかなりの出足が想像されたのですが、思い立ったが吉日と、足をのばしてみました。といっても逗子からだとすぐにつくんですよね。
服装はノースフェイスのハーフパンツ(水着&huruchinn)とkeenのクリアウォーターCNX。
海の公園はほぼ砂地ですが、貝殻など鋭利なものも沈んでいるので、足の裏を守れる履物がよいでしょう。ビーチサンダル類は波で脱げやすいので注意です。子供ちゃんの場合は、使い古しのスニーカーを履かしてウォーターシューズ代わりにするのも一つです。
こちらは金沢八景と直結した横浜シーサイドラインの金沢八景駅の自販機。この高さ、子供にターゲットをあわせているんでしょうね。子供の「ジュースのみたい攻撃」に訴える。したたかな行楽マーケティング戦略がうかがえます。
シーサイドラインで金沢八景から海の公園南口までは4分。電車で八景から乗り換えるのであれば南口駅でおりればよいと思います。一つ先に海の公園柴口駅があるんですが、これは横浜・新杉田経由でくだってくるときにつかうとよいです。
また、車利用の方も、4月の週末や5月の連休はこの海の公園界隈の駐車場はどこも地獄のように混むんですね。なので、新杉田からシーサイドラインのどこかの駅で車をおいて、シーサイドラインにのって海の公園に向かうのも一つです。
「急がばまわれ」と言いますが、これはそういうことなんでしょうね。
自分が大丈夫とおもって、家族連れで朝遅めに海の公園の駐車場に到着した日にはとめられず、駐車場探しがはじまり、干潮タイミングはとっくのとうに過ぎ去って、関ヶ原遅参、徳川秀忠状態になりかねません。
子連れだった場合、テンションが乱降下した子供らのうらみはおそろしいものがありますし、備えあれば患いなし。無理をせず、余裕をもって遠くに車をとめてから向かいましょう。
遅参家族となり悲しみの家路をたどるか、潮干狩りで大漁状態になり、家族内での地位をゆるぎないものにするか、それは親であるあなたの立ち回り次第です。健闘をお祈りします。
さて、この日は、日曜日。
どれぐらいの兵力が潮干狩りの戦場にいるんでしょうかね。
・・・
・・・
・・・
ぎゃ。
めっちゃ人大杉連。
ご覧ください。
おっさんの単独潮干狩りの人、老兵、家族総動員令の方々、いろいろなパーティーが思い思いに砂をかいていますね。
さて、どこから攻めるか。
・・・
これはあれだな。去年アサリ数が少なくてもなんとか確保できた岩場(南端)から攻めよう。
ギィィ。
こいつはあかんかもしれんな。
しばらくやってみて、あきらかにアサリの埋蔵量がすくないので移動。
兵は神速を貴ぶ。
郭嘉もそういっていました。
船釣りでもそうですが、船長が燃料費を惜しみがちなのか、明らかに魚の活性が高くなく釣れないポイントにずっといると心が折れてしまいます。そうなると士気が下がる。兵は敵と戦っていないとやがて盆暗になってしまうともいいます。それに、潮干狩りでは潮が満ちてきたらジ・エンド。
ここはドムなみの機動力でアサリのたまり場を素早くさぐり、半径3mにいなかったら移動を繰り返すことに。
写真のまんなかあたりの馬の瀬の延長線上がいい。
ここは基本に戻ろう。
競合他社が少ない場所&アサリの埋蔵量が期待できる場所はどこか。
・・・
このとき、脳内のマイ諸葛亮が登場。
諸葛亮曰く
「殿、この戦場の地形上、真ん中エリアの馬の背の沖目に勝機アリと思われます。アサリは平地より餌をとりやすい駆け上がりに埋伏しているのです。ここは兵数を分散させず急襲して一気にたたきましょう!」
うむ。その意気やよし!
って、兵数っていっても掘るのは俺しかいないんだけどね。
お、ここいる。いいぞいいぞ。アサリがいるじゃないか。
ノーマル熊手にアサリがぶつかる金属的な感覚。
うーむ。たしかにとれるけども、これじゃ2キロは確保できんな。
どうにかならんものか。
そうだ、あれだ。
アサリ洗い作戦でいこう。そうしよう。
説明しよう。
アサリ洗い作戦とは100均などで販売されている水切りかごに、手づかみでとった周囲の砂を適当にぶち込み、その後、海水で砂を洗い流すことによってアサリをつかまえる手段である。
って、これは結構やっている人も多いんですけどね。
だんだんとアサリがとれる量が増えてきた。がはは。
この作戦では小型の混獲も多いものの、都度選別していると工数がかかるため、一旦全部確保した後に、最後に小型のアサリ(2cm以下)を選別してリリースするのがコツです。
手づかみで砂をつかんでとありますが、素手だと爪の中に砂が食い込んだりしてかなしいことになるので、軍手をしましょう。使用後の軍手は砂が噛みまくるので使い捨てできて便利。
この軍手をはめた手指を人間熊手のように曲げます。
ゴッグの手をイメージしてみてください。バルログとかウルヴァリンでもよいんですが、たぶんゴッグが一番フィットします。己の手指が肉と骨でできたものでなく、超合金でできたものだと思い込む。全身の気を手指に集中させる!
そうすると、いつのまにか砂に埋もれているアサリの息づかいが聞こえ、その殻が指に触れただけで生きているかどうかもわかるのです。なんというか、そういうことにしておいてください。
このとき、腰をおろして人間熊手マシーンのようにホリホリするんですが、波によっておしりが濡れたりします。なので、水着がベストかと思います。
ザクザク。ザバー(砂を水切りざるに入れる音)
このとき砂のなかに何がいるかをいちいち確認しないで、とりあえず砂を水切りざるにいれていきましょう。
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
そんでもって、水切りざるに砂が満杯になったら、海水でゆすぐ。
すると、アサリが大漁なわけですよ。おほほほ。
もちろん、ナガラミ、シオフキ、殻だけのアサリなどが混獲されるのですが、これはあとで選別します。
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
ザクザク。ザバー
・・・
・・・
・・・
ふははははは。大勝利。
潮があげてくるまで時間がありつつも、このあたりで潮干狩りは終了。
一旦、ザルに入れて海水につけておき、砂抜き工程に入りましょう。
海の公園の岩場にあるのはワカメとアカモク
海の公園には南北に磯場があり、そこのゴロタ石の下や隙間をほってもアサリがいます。
このエリアでとっておきたいのは、ワカメとアカモク。
これはヒジキとアナアオサ。
ひじきは処理がやや手間です。アナアオサも食べられますが、食感がごわごわしているので乾燥させて青海苔などにするのはいいでしょう。ちょっと都市河川の河口あたりの風味がします。
これはワカメ。
これはエレキング、
じゃなくて、巨大アメフラシです。
産卵シーズンでいたるところにオレンジ色の寒天ソーメンみたいな卵があります。すんごいデカイ。
これはかなしみのスマフォ。
沖目の手漕ぎボートから落下したのか、海の公園の潮干狩りで落ちてしまったのかは謎。みなさんも気をつけましょうね。
海の公園南側にひろがるエリアにはがんばってもとりきれないほどのアカモクが繁茂しています。
岩場に生えるアカモクも、砂地にはえているアマモも生き物のゆりかご。
アカモクも根っこから切らず、先端側のできるだけ柔らかそうなところ、傷んでないところを切って持ち帰ってみましょう。
海の公園は共同漁業権のエリア外なので、これらの海藻やたまにいるナマコ類も持ち帰ることができます。
できるだけ先端かつ艶のある部分をカット。
小型のナイフがあると便利。四の五の言わずビクトリノックスを持参しておけばよいのです。
アカモクにワタリガニの子供がいました。小粒でも挟まれると痛い。
これはリリース。
この通り。左がアカモクで右がワカメです。
アカモクは帰宅して茎を取り除いた状態で3.8キロありました。1年分のアカモクを調達したといっても過言ではありますまい。
アカモクは乾燥させたり冷凍したりで保存できるので便利な海藻なので、興味があればとってみるのもよいですね。
このアカモクってやつはワカメ同様岩場に生えます。このあたりの足元はゴロタ石。足指が保護できる靴で採取するとよいですよ。
※春の彼岸大潮以降はアカメフグことヒガンフグの卵が付着する可能性があります。採取や食用にするのは注意する必要があります。
こちらはアカモクやワカメにつきもののワレカラ。ヨコエビも生息していました。ワレカラもヨコエビもメバルなどのエサになる生き物です。
2cm以下の稚貝はリリースしましょう!
ちっこいのは選別して、海に返すのがマナー
手前の遅参気味の親子があんまりアサリをとれてなかったので真ん中のほうがいいですよとアドバイスをしたものの、そのままでいたようで、それほど取れなかった模様。
海の公園は南北の端が浅くなっていてそこの駆け上がりの潮が引きやすく人が集中します。特に南側は磯場もふくめてとりきられている感もあるので、一か所でやってだめだったら大きく移動したほうがよいです。これホント。インディアンうそつかない。
だんだんと潮が満ちてくる。
最後まで粘っていた人もずぶ濡れになる前に引き返してきます。ワン太郎もいますね。ここにアサリがたくさんいるワン!みたいな展開なんでしょうか。
4月だと海水が温かいエリアもありますが、風に吹かれると寒いので注意。ずぶ濡れは風邪ひきますんで。わたしもこの翌日から2日間風邪気味でしたからね。おっさん諸氏も気をつけたほうがいいですよ。
砂抜き用の海水は2Lペットボトル等で確保しておきましょう。家で塩をとかして作る人工海水の数倍アサリが元気で砂がよく抜けます。
売店のカップヌードルは貫禄の250円。需要と供給の法則がなりたっています。
各種装備もあります。忍者熊手も販売されていますが、神奈川県のルールでは使用禁止なので注意。ジョレンが販売されている釣具店同様、売っている=使っていいというわけではないというやつですね。大人の世界です。
わたしのオススメはゴッグ軍手の手掘り+水切りかごです。100均でアイテムをそろえておけば、スカリをいれても合計1,000円以内で楽しめるはず。
水汲みバケツや、バットにアサリをならべて砂抜きしながら帰る方法もありますが、水温が高くなったり酸素が少なくなるとアサリが死んであっという間に腐ってタタリ神になるので注意。
さて、アサリも十分とれたし、腹ごしらえでも。
俺、コロッケパンすきなんだよなー。
楽しみだなー。
ワクワク。ワクワク。
・・・
ギィィ。
驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し。
これからゴールデンウイークにむけて潮干狩りシーズンですが、大潮でなくても、公園両端は干潟になりやすいので、あえて日にちをずらして勝負するのも一つです。勝利の栄光を君に!
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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